ペンタゴンの生物兵器①──人工ウィルス実験

目次

ペンタゴンは条約に違反して生物兵器を定期的に生産している

ウクライナに生物兵器研究所が存在するのかしないのかで激しい応酬が繰り広げられているようです。まさか、アメリカが「あります」なんて言うはずがありません。どちらにせよ、ロシアが原子力発電所や生物兵器研究所を押さえているので、いずれ真相が明かされるでしょう。もし、ウクライナを牛耳っているネオナチが脅しに使っていたらとんでもないことになるところでした。真相が明かされても欧米や日本のメディアはフェイクだとか言って無視するでしょうが。

メディアというのは紛争があったとしても、双方の意見を公平に知らせるのが本来の仕事であるべきです。だから、個人個人が自分で判断できるというものです。ところが現実は、ロシア=悪、フェイクと最初から決めつけた報道がされています。なぜですか? 主流メディアはいつも正義で正しいのですか? 正しければ、たとえ対立していたとしても相手側の主張を正々堂々と知らせれば良いのでは? それが”大人”のやり方というものではありませんか? 日本のニュースを見ていると専門家含め、タレントや有名人といわれている方が出てきて、なにかしゃべってますけど、よくよく聞くと、決めつけた意見ばかりで、とてもいい”大人”が取る態度とは言えないようです。お子ちゃまレベルです。まともな人はテレビには出してくれません。

報道とは名ばかりで、そう思わせるための意見を聞かされているように思います。ニュースを見るといつも思います。これは誰かの意見だと。客観的な報道ではないと。そうすると、それを見た、聞いた人々は、その意見の範囲内で物事を捉えます。自分で考える余地を与えません。誰かの意見を報道だと勘違いしているから。

さて、生物兵器研究所という存在を考えるうえで、次の指摘は最初にしっかりと押さえておく必要があると思います。

「国際刑事裁判所(ICC)のローマ規程第8条は、生物学的実験を戦争犯罪と定義している。しかし、米国は国際条約の締約国ではないので、戦争犯罪の責任を問われることはない」(「米国は25カ国以上で恐ろしい生物兵器の研究を行っていた。武漢、氷山の一角」より引用)

今回の記事のメインはディリアナ・ガイタンジェヴァというジャーナリストの記事「ペンタゴンの生物兵器」です。2回に分けて連載します。2018年4月の記事です。生物兵器の調査、報道においては、この方の右に出る人はいないのだろうと思います。なお、原文には、多岐にわたってリンクが張られています。それぞれ詳しく調べたい方は、元の記事にあたってください。

Dilyana Gaytandzhieva

ディリアナ・ガイタンジェヴァ
http://armswatch.com/
ディリアナ・ガイタンジェヴァはブルガリアの調査報道ジャーナリスト、中東特派員、アームズウォッチの創設者。過去数年にわたり、シリア、イラク、イエメンのテロリストへの武器供給について、一連の暴露レポートを発表している。現在は、世界中の紛争地域への戦争犯罪や不正な武器輸出の記録作成に注力している。

最初に「ロシア外務省、ウクライナにおける米国のバイオ研究所の運営スキームを公開」から紹介します。

ロシア外務省、ウクライナにおける米国のバイオ研究所の運営スキームを公開

アンナ・ナザイキナ(15:59 12.03.2022)

バイオラボ

バイオラボは、生物兵器を開発するために、米国国防総省から数百万ドルのスポンサーを受けていた、とマリア・ザハロワは言った。

生物兵器の開発が行われていた米国の生物学研究所は、ウクライナ保健省の下部組織であった。ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官が発言したものである。

「ウクライナの生物研究所は、生物兵器を開発するために、米国国防総省から数百万ドルのスポンサーを受けていた。ウクライナでは、これらの研究所は保健省に属していた」と外交官はテレグラム・チャンネルに書いている。

また、2016年夏、バラク・オバマ前米国大統領の政権が、米国籍のウリヤナ・スプルンをウクライナに派遣し、後に同国保健省のトップとなったことを紹介した。

「ウリヤナ・スプルンの父親は、ノース・アメリカン・コントロールズ社の元副社長ジョージ・ハリー・ユルキフ氏である。同社は、防衛産業向けの制御システムの開発を専門としており、設計から製品納入までを行っている」と付け加えた。

ロシア国防省が以前、ウクライナにおける米国の生物学的計画に関する文書を提出したことを思い出してほしい。ロシア国防省は、米国が民族を選択的に標的にできる生物兵器を作ろうとした可能性があると発表した。

本日、中満泉なかみつ いずみ国連事務次長兼軍縮担当上級代表が、ウクライナの軍事生物プログラムに関するロシアの疑惑に関連して、これらの実験室を検証するためにBTWCの第5条、第6条を参照するよう助言したと報じられた。

ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務副大臣は、ウクライナで見つかった生物実験室は、世界中にあるネットワークのごく一部に過ぎないと述べている。それを確認する資料があり、今後提供する予定であることを指摘した。

▼ウクライナのバイオラボの証拠の映像

ルガンスク・ルベジノエのバイオラボ、大手製薬会社がウクライナ人を実験動物として使っていた場所 2023/01/19

ペンタゴンの生物兵器

The Pentagon Bio-weapons
By Dilyana Gaytandzhieva – April 29, 2018
http://dilyana.bg/the-pentagon-bio-weapons/

バイオラボ

米軍は、国連の生物兵器の禁止に関する条約に直接違反して、致死性のウイルス、バクテリア、毒素を定期的に生産している。何十万人もの人々が知らぬうちに、危険な病原体やその他の不治の病に組織的にさらされている。外交的カモフラージュを利用した細菌[生物]戦(細菌兵器)科学者は、世界25カ国にあるペンタゴンのバイオ研究所で人工ウィルスの実験を行っている。
これらの米国のバイオ研究所は、21億ドルの軍事プログラムである協同生物学的関与プログラム(CBEP)の下で国防脅威削減局(DTRA)から資金提供を受けており、グルジアやウクライナなどの旧ソ連諸国、中東、東南アジア、アフリカに所在する。

DTRA協力的生物学的関与プログラム(CBEP)の下、ロシア、中国、イランなど周辺25カ国にあるペンタゴンの生物学研究所 出典:DoD

国防脅威削減局協力的生物学的関与プログラム(CBEP)の下、ロシア、中国、イランなど周辺25カ国にあるペンタゴンの生物学研究所 出典:DoD 画像

実験場としてのグルジア

ルガー・センターは、グルジア(ジョージア)にある国防総省のバイオ研究所である。首都トビリシの米軍バジアニ空軍基地からわずか17kmのところにある。この軍事プログラムを担当しているのは、米国陸軍医療研究ユニット ─ ジョージア(USAMRU-G)の生物学者と、民間の請負業者である。バイオセーフティ・レベル3の研究所には、セキュリティ・クリアランスを持つ米国人しか入れない。彼らは、2002年の米国・グルジア防衛協力協定により、外交特権を与えられている。

ルガーセンター(公衆衛生研究のためのリチャード・ルガーセンター)、グルジア共和国
ルガーセンター、グルジア共和国
ペンタゴンのバイオ研究所であるルガーセンターから17km離れたヴァジアニ軍事空軍基地に米軍が配備されている。
ペンタゴンのバイオ研究所であるルガーセンターから17km離れたヴァジアニ軍事空軍基地に米軍が配備されている
グルジア、ウクライナ、アゼルバイジャン、ウズベキスタン、カザフスタンなど旧ソ連諸国における国防脅威削減局プログラムの請負業者に対する国防総省の要求事項 source : fbo.gov

グルジア、ウクライナ、アゼルバイジャン、ウズベキスタン、カザフスタンなど旧ソ連諸国における国防脅威削減局プログラムの請負業者に対する国防総省の要求事項 source : fbo.gov

米国連邦契約登録から得た情報により、ルガー・センターでの軍事活動の一部が明らかになった。その中には、生物兵器(炭疽病、野兎病)やウイルス性疾患(クリミア・コンゴ出血熱など)の研究、将来の実験のための生物試料の収集などがある。

米国・グルジア協定により、グルジアでペンタゴンプログラムに従事する米軍および民間人(外交官車両を含む)には外交権が与えられている。

米国・グルジア協定により、グルジアでペンタゴンプログラムに従事する米軍および民間人(外交官車両を含む)には外交権が与えられている。

国防総省の請負業者が外交上の隠れ蓑として生物兵器を生産

国防脅威削減局(DTRA)は、軍事計画の下での作業の多くを、議会への説明責任を負わず、より自由に活動でき、法の支配を回避して動ける民間企業に委託している。
ルガー・センターで業務を行う米国の文民も、外交官ではないものの、外交特権を与えられている。したがって、民間企業は、ホスト国(この場合はグルジア共和国)の直接の支配下に置かれることなく、外交特権のもとに、米国政府のために仕事を行うことができる。このやり方は、CIAが諜報員の隠れ蓑にするためによく使われる。トビリシにある米国のバイオ研究所では、CH2Mヒル CH2M Hill、バテル Battelle、メタビオタ Metabiota の3つの民間米国企業が働いている。国防総省に加え、これらの民間業者はCIAや他の様々な政府機関のために研究を行っている。

ルガーセンターの国防脅威削減局契約者

ルガーセンターの国防脅威削減局の契約者
青がブラック&ヴィーチ+サザン研究所、オレンジがメタビオタ

CH2Mヒルは、グルジア、ウガンダ、タンザニア、イラク、アフガニスタン、東南アジアのバイオ研究所のために、国防総省のプログラムの下で3億4150万ドルの国防脅威削減局(DTRA)契約を獲得している。このうちグルジアの契約では、半分の1億6110万ドルがルガー・センターに割り当てられている。CH2Mヒルによると、米国企業は生物兵器を確保し、ルガー・センターに元生物戦科学者を雇用しているという。この科学者たちは、グルジアの軍事計画に関与している別の米国企業、バテル・メモリアル研究所で働いている科学者たちである。

ルガー・センターの5900万ドルの下請け業者としてのバテル社は、すでに米軍との過去11回の契約(1952年から1966年)で米国の生物兵器プログラムに取り組んでおり、生物試薬の研究に関して豊富な経験を持っている。

出典:米国陸軍の活動、生物兵器プログラム、第2巻、1977年、82頁
出典:米国陸軍の活動、生物兵器プログラム、第2巻、1977年、82頁

この民間企業は、アフガニスタン、アルメニア、グルジア、ウガンダ、タンザニア、イラク、アフガニスタン、ベトナムにある米国防総省の国防脅威削減局バイオ研究所のために業務を遂行している。

バテル社は、米国政府機関のために、毒性の高い化学物質と病原性の高い生物学的薬剤の両方を使った研究、開発、試験、評価を幅広く行っている。総計約20億ドルの連邦政府契約を獲得しており、米国政府契約トップ100の中で23位にランクインしている。

CIA ─ バテル プロジェクト・クリアビジョン

プロジェクト・クリアビジョン(1997年、2000年)は、CIAとバテル記念研究所が共同で行った調査で、CIAが発注した契約に基づき、ソ連時代の炭疽菌爆弾の拡散特性をテストするために再構築し、実験を行ったものである。このプロジェクトの目的は、生物兵器(生物兵器戦争で使用されるバクテリア、ウイルスまたは有毒物のどれか)の拡散特性を評価することであった。この隠密のCIAとバテルの活動は国連に提出されたアメリカの生物兵器禁止条約の宣言文からは外されている。

極秘実験

バテルは過去10年間、米国国土安全保障省(DHS)との契約により、メリーランド州フォートデトリックで最高機密のバイオ研究所(米国生物防衛分析・対策センター – NBACC)を運営している。同社は、米国国土安全保障省から3億4440万ドルの連邦契約(2006年 – 2016年)と1730万ドルの契約(2015年 – 2026年)を獲得している。

米国生物防衛分析・対策センターは米国最高機密施設に分類される。写真出典:DHS
米国生物防衛分析・対策センターは米国最高機密施設に分類される。
写真出典:米国国土安全保障省

米国国立生物防御分析および対策センター(NBACC)でバテルが行った、秘密の実験の中には、以下のようなものがある。
粉体散布技術の評価;エアロゾル化した毒素がもたらす危険性の評価と、ヒト以外の霊長類におけるエアロゾル粒子の機能としての類鼻疽るいびそ(メリオダイズ、人獣共通感染症)の毒性評価。類鼻疽は生物兵器として開発される可能性があるため、カテゴリーBのバイオテロリズム剤として分類されている。類鼻疽は、過去に米国で生物兵器としての可能性が研究されていた。

ジョージアのルガーセンターでの軍事実験のほか、バテル社はすでに米国フォートデトリックにあるバイオセーフティレベル4の国立生物防御分析および対策センター極秘研究所でバイオテロ用薬剤を製造している。国立生物防御分析および対策センターのプレゼンテーションでは、同ラボの16の研究優先事項が挙げられている。その中には、BTA(生物学的脅威物質)の可能性について古典的、新興および遺伝子操作された病原体の特徴を明らかにすること、潜在的BTAから病気を誘発する非伝統的、新規および非伝染性の性質を評価すること、ヒト以外の霊長類のエアゾール曝露試験能力を拡張することが含まれている。

米国生物防衛分析・対策センター(NBACC)の研究所で病原体を研究する科学者たち。写真提供:NBACC
国立生物防御分析および対策センター(NBACC)の研究所で病原体を研究する科学者たち。写真提供:NBACC

米国企業メタビオタは、グルジアとウクライナの国防総省の国防脅威削減局(DTRA)プログラムにおいて、科学技術コンサルティングサービスに関して1840万ドルの連邦政府契約を獲得した。メタビオタのサービスには、グローバルなフィールドベースの生物学的脅威の研究、病原体の発見、突然の発生への対応、臨床試験などが含まれる。
メタビオタは、西アフリカのエボラ出血熱危機以前および危機の最中に、国防総省から国防脅威削減局の業務を請け負っており、エボラ出血熱発生の震源地のひとつであるシエラレオネでの業務で310万ドル(2012~2015年)を獲得している。

メタビオタは3つの米国バイオラボが位置するエボラ危機の震源地で、国防総省のプロジェクトに取り組んだ。

メタビオタは3つの米国バイオラボが位置するエボラ危機の震源地で、国防総省のプロジェクトに取り組んだ

メタビオタは3つの米国バイオラボが位置するエボラ危機の震源地で、国防総省のプロジェクトに取り組んだ。

2014年7月17日、ウイルス性出血熱コンソーシアム(非営利団体)が起草した報告書は、メタビオタが検査結果の報告方法に関する既存の協定を守らず、そこで働くシエラレオネ人の科学者を無視していると非難している。また、この報告書は、メタビオタが研究所で血液細胞を培養していた可能性を指摘し、これは危険なことであり、健康な患者を誤診していたとも述べている。これらの疑惑はすべてメタビオタによって否定された。

2011年、ルガーセンター アンドリュー・C・ウェーバー(写真右)、米国国防次官補(2009-2014)、米国国防総省エボラ対応副調整官(2014-2015)、現在メタビオタ(米国委託先)社員

2011年、ルガーセンター アンドリュー・C・ウェーバー(写真右)、米国国防次官補(2009-2014)、米国国防総省エボラ対応副調整官(2014-2015)、現在メタビオタ(米国委託先)社員

刺咬昆虫(噛みつく昆虫)の軍事実験

昆虫戦とは、昆虫を利用して病気を伝染させる生物戦の一種である。国防総省はグルジアとロシアでこのような昆虫学的実験を行ったとされている。2014年、ルガーセンターは昆虫施設を備え「グルジアとコーカサスにおけるスナバエ(サンドフライ)のバーコーディング(未知のサンプルの種を決定することに使われる)に関する認識を高める」プロジェクトを開始した。このプロジェクトは、グルジア ─ コーカサス以外のより広い地理的範囲をカバーした。
2014年から2015年にかけては、別プロジェクト「急性熱性疾患に関するサーベイランス(観察)業務」のもと、フレボトミンサシチョウバエを採取し、すべての(メスの)スナバエを検査し、感染率を測定した。第3のプロジェクトでは、スナバエの採集も行い、その唾液腺の特徴を調査した。

トビリシのバスルームにいるサシバエ(左)、グルジアのハエ(中、右)
トビリシのバスルームにいるサシバエ(左)、グルジアのハエ(中、右)

その結果、トビリシには2015年以降、サシバエが蔓延している。これらの刺咬昆虫は、一年中、屋内、浴室で生活しており、以前はグルジアにおけるこれらの種の典型的な行動ではなかった(通常、グルジアにおけるフレボトミバエのシーズンは6月から9月までと例外的に短い)。
地元の人々は、浴室で裸のまま、これらの新しく現れたハエに刺されたことを訴えている。また、寒さへの耐性が強く、山間部の氷点下でも生存することができる。

ロシア・ダゲスタンのサシバエ

2014年のペンタゴンプロジェクト開始以降、隣国のダゲスタン(ロシア)でもグルジアと同様のハエが出現している。現地の人によると、噛まれて発疹ができるそうだ。繁殖地は家の排水溝だ。

グルジアのハエ(左側)。ダゲスタンの同種(右側)
グルジアのハエ(左側)。ダゲスタンの同種(右側)

ハエは唾液の中に危険な寄生虫を持っており、それを人に刺すことで感染させる。このハエが媒介する病気は、米国防総省が高い関心を寄せている。
2003年、米国がイラクに侵攻した際、米兵がスナバエ(サンドフライ)にひどく刺され、リーシュモニア症(リーシュマニア症とも、熱帯、亜熱帯、および南ヨーロッパの一部で見られる寄生虫症)に感染した。この病気はイラクとアフガニスタンに生息するもので、急性型のリーシュモニア症を放置すると命にかかわる。

1967年の米軍の報告書「アジアおよび欧州ソビエト連邦における医療上重要な節足動物」には、現地のすべての昆虫とその分布、媒介する病気が記載されている。排水溝などに生息するサシバエもその中に含まれている。しかし、それらの自然生息地はフィリピンであり、グルジアでもロシアでもない。

出典:「アジアと欧州ソ連における医学的に重要な節足動物」、米軍報告書、1967年
出典:「アジアと欧州ソ連における医学的に重要な節足動物」、米軍報告書、1967年

ホワイトコート作戦:感染したハエが人間を刺すかどうかのテスト

サンドフライ(スナバエ)
サンドフライ(スナバエ)

1970年と1972年には、機密指定を解除されたアメリカ陸軍の報告書 ─ 米国における米軍の活動、生物兵器プログラム、1977, vol. II, p. 203 によると、スナバエ熱病テストは人間に対して行われた。ホワイトコート作戦の間、ボランティアは感染したスナバエに刺された。ホワイトコート作戦は、1954年から1973年にかけてメリーランド州フォート・デトリックで米陸軍が実施した生物防御医学研究プログラムである。

米国の生物兵器プログラムは公式に終了したが、1982年にアメリカ陸軍感染症研究所(USAMRIID)は、スナバエと蚊がリフトバレーウイルス(家畜で最も一般的に見られる急性ウイルス性出血熱、人々に病気を引き起こす可能性もある)、デング熱、チクングニヤ(一般的な症状は、発熱と関節痛)、東部馬脳炎(感染した蚊に刺されることで人々に広がる。約30%が死亡し、多くの生存者が進行中の神経学的問題を抱える)の媒介になりうるかどうかの実験を行った。─ このウイルスは、アメリカ陸軍が生物兵器としての可能性を研究していたものである。

殺人昆虫

ネッタイシマカ
ネッタイシマカ

ペンタゴンは昆虫を病気の媒介として利用することに長い歴史を持っている。1981年に機密指定を解除された米陸軍の報告書によると、アメリカの生物兵器科学者は昆虫を使った数々の実験を行っていた。これらの作戦は、米国の生物兵器プログラムのもとで行われた米国昆虫戦の一部であった。

ペンタゴン(国防総省):一人当たりわずか0.29ドルのコストで625,000人を殺害する方法

1981年の米軍の報告書では、黄熱病に感染したネッタイシマカ(ヤブカ)による都市への16回同時攻撃と野兎やと病エアロゾル攻撃の2つのシナリオを比較し、コストと犠牲者数でその効果を評価している。

参考:米国および欧州NATO諸国に対する潜在的な危険としての昆虫戦の評価、米国陸軍、1981年3月報告書
参考:米国および欧州NATO諸国に対する潜在的な危険としての昆虫戦の評価、米国陸軍、1981年3月報告書

ビッグイッチ作戦:生物戦における疾病媒介動物としての熱帯ネズミノミ、ケオプスネズミノミの適用範囲パターンと生存率を調べるためのフィールドテストを実施した。

ビッグバズ作戦:100万匹のネッタイシマカが製造され、その1/3が弾薬に入れられ、航空機から投下されるか、地上で撒かれた。蚊は空中投下でも生き残り、盛んに人間の血を求めた。

出典:米国および欧州 NATO 諸国に対する潜在的危険としての昆虫戦の評価、米国陸軍、1981 年 3 月報告書
出典:米国および欧州 NATO 諸国に対する潜在的危険としての昆虫戦の評価、米国陸軍、1981 年 3 月報告書

メーデー作戦:米国ジョージア州で行われた米軍の作戦、コードネーム”メーデー”で、地上からの方式でネッタイシマカを散布した。

メーデー作戦
メーデー作戦

1981年の米軍報告書のうち「ネッタイシマカの大量生産」などの部分は機密解除されておらず、このプロジェクトがまだ進行中であることを意味している可能性がある。

ネッタイシマカは黄熱病の蚊として知られ、米軍の作戦に広く使用されてきた。同種の蚊は、デング熱、チクングニア、新生児に遺伝的奇形を引き起こすジカウイルスの媒介とされている。

ベルウェザー作戦:アメリカ陸軍化学研究開発司令部生物兵器部門は、1960年にユタ州ダグウェイ試験場で行われた数々の野外試験で、屋外の蚊の刺咬(刺したり吸血したりすること)活動を研究した。飢餓状態にある処女雌のアカイエカを屋外にいる部隊に投与する実験が行われた。

参考までに:屋外における蚊の刺咬活動に関する研究、ベルウェザー1計画、1960年、技術報告書、米陸軍、ダグウェイ試験場
参考:屋外における蚊の刺咬活動に関する研究、ベルウェザー1計画、1960年、技術報告書、米陸軍、ダグウェイ試験場

グルジアにおける熱帯性蚊とマダニの軍事実験

このような種類の蚊やノミ(過去に米国の昆虫学的戦争プログラムの下で研究された)もグルジアで採集され、ルガーセンターでテストされている。

2014年の国防脅威削減局プロジェクト「グルジアにおけるウイルスとその他のアルボウイルス」のもと、これまで見たことのない熱帯性の蚊ヒトスジシマカが初めて検出され、数十年(60年)ぶりに西グルジアでネッタイシマカの存在が確認された。

ヒトスジシマカは多くのウイルス性病原体、黄熱病ウイルス、デング熱、チクングニア、ジカ熱の媒介となる。
ヒトスジシマカは多くのウイルス性病原体、黄熱病ウイルス、デング熱、チクングニア、ジカ熱の媒介となる。

欧州疾病予防管理センターのデータによると、グルジアではこれまで一度も確認されていないこれらの熱帯性の蚊ヒトスジシマカは、隣国のロシア(クラスノダール)やトルコでも検出されている。この地域での感染拡大は異例である。

ヒトスジシマカ─現在知られている分布 : 2017年9月
ヒトスジシマカ ─ 現在知られている分布 : 2017年9月

凡例:オレンジ:定着、黄:持ち込まれた、緑:不在、グレー:データなし、白:不明

ネッタイシマカはグルジア、ロシア南部、トルコ北部にのみ分布している。ルガーセンターのペンタゴンプログラム開始後の2014年に初めて検出された。

ネッタイシマカ─現在知られている分布 : 2017年9月
ネッタイシマカ ─ 現在知られている分布 : 2017年9月

別の国防脅威削減局プロジェクト「グルジアにおける野兎病の疫学と生態学」(2013~2016年)では,6,148匹の地上ダニが採集された;5,871匹が牛から採集され,1,310匹のノミと731匹のダニが捕獲された。2016年にはさらに21,590匹のマダニが採取され、ルガーセンターで調査された。

グルジアでの炭疽菌の発生とNATOの人体実験

2007年、グルジアは家畜の炭疽病予防接種を年1回義務化する政策を終了した。その結果、2013年に罹患率がピークに達した。同年、NATOはグルジアのルガーセンターでヒト用の炭疽病ワクチンのテストを開始した。

2007年、炭疽病の発生にもかかわらず、グルジア政府は7年間の強制接種を打ち切った。2013年、NATOはグルジアで新しい炭疽病ワクチンの人体実験を開始した。

2007年、炭疽病の発生にもかかわらず、グルジア政府は7年間の強制接種を打ち切った。2013年、NATOはグルジアで新しい炭疽病ワクチンの人体実験を開始した。
凡例:症例数[グレーの棒グラフ]、ワクチン(100万回接種)[棒線]、発生率推移[破線]

ペンタゴンによるロシア炭疽菌の研究

炭疽菌は、過去に米軍が兵器化した生物兵器の一つである。米国防総省は、このプログラムはあくまで防衛的なものであると主張しているが、それに反する事実もある。
2016年にルガーセンターでアメリカの科学者が「ソ連/ロシアの炭疽菌ワクチン株55-VNIIVViMのゲノム配列」に関する研究を行ったが、これはトビリシにおけるアメリカ国防脅威削減局(DTRA)の共同生物関与プログラムによって資金提供を受け、メタビオタ(グルジアでのペンタゴンプログラムにおけるアメリカの契約者)によって管理されたものである。

2017年、国防脅威削減局はさらなる研究─グルジア国からの炭疽菌のヒトおよび家畜分離株の10ゲノム配列に資金を提供し、これはルガーセンターのUSAMRU-G(米国陸軍医学研究ユニット、グルジア?)によって行われたものである。

グルジアで34人がクリミア・コンゴ出血熱(CCHF, Crimean-Congo Hemorrhagic Fever Virus)に感染

クリミア・コンゴ出血熱(CCHF)は、ダニ媒介性のウイルス(ナイロウイルス)による感染で起こる。この病気は、1944年にクリミアで初めて明らかにされ、クリミア出血熱という名前が付けられた。その後、1969年にコンゴで発病したことが認められ、現在の病名になった。2014年には34人がクリミア・コンゴ出血熱に感染した(うち4歳児)。そのうち3人が死亡した。
同年ペンタゴンの生物学者は、国防脅威削減局プロジェクト「グルジアにおけるデングウイルスおよびその他のアルボウイルスによる熱性疾患の疫学」のもと、グルジアでこのウイルスを研究している。このプロジェクトでは発熱症状のある患者の検査と、クリミア・コンゴ出血熱(CCHV)の媒介となりうるマダニの採取を行い、実験室での分析が行われた。

グルジアでは34人がクリミア・コンゴ出血熱に感染し、そのうち3人が死亡している。出典 NCDC-グルジア

グルジアでは34人がクリミア・コンゴ出血熱に感染し、そのうち3人が死亡している。出典 NCDC-グルジア

グルジアでクリミア・コンゴ出血熱が発生した原因はまだ不明だ。現地の獣医局の報告によると、感染した村から採取した全種類のマダニから1匹だけ陽性反応が出たとのことだ。動物からヒトに感染したという地元当局の主張にもかかわらず、動物の血液サンプルもすべて陰性だった。感染したマダニや動物がいないことは、2014年にクリミア・コンゴ出血熱のヒト感染者が急増したことを考えると不可解であり、今回の流行は自然ではなく、ウイルスが意図的に拡散されたことを意味する。

2016年には、ペンタゴンのプロジェクト「グルジアにおけるクリミア・コンゴ出血熱ウイルス(CCHFV)とハンタウイルスの血清有病率と遺伝子多様性の評価」のもと、ルガーセンターで今後の研究のためにDNAデータベースのためにさらに21,590匹のマダニが収集された。

クリミア・コンゴ出血熱の症状
クリミア・コンゴ出血熱の症状

アフガニスタンでクリミア・コンゴ出血熱が発生したのは軍のバイオ研究所のせいである

また、アフガニスタン全土で237例のクリミア・コンゴ出血熱(CCHF)が報告されており、2017年12月現在、そのうち41例が死亡している。アフガニスタン保健省によると、患者の多くは首都カブールで登録されており、71例が報告され、13名が死亡しているほか、イランとの国境に近いヘラート州(67例)でも報告されている。

出典:アフガニスタン保健省
出典:アフガニスタン保健省

アフガニスタンで報告されたクリミア・コンゴ出血熱の症例数
(左下)クリミア・コンゴ出血熱[CCHF]の急激な増加、ペンタゴン・バイオラボ

アフガニスタンは、ペンタゴンのバイオ研究所が領土内にある世界25カ国のうちのひとつ。アフガニスタンでのプロジェクトは、国防脅威削減局(DTRA)が資金を提供する米国のバイオ防衛プログラム ─ 生物学的共同関与プログラム(CBEP)の一部である。
国防脅威削減局の請負業者であるジョージア州のルガー・センター、CH2Mヒル、バテルも、アフガニスタンでのプログラムを請け負っている。CH2Mヒルは1040万ドルの契約を獲得している(2013-2017年)。アフガニスタンとジョージアのペンタゴン契約者は同じであり、両国の現地住民の間に蔓延している病気も同じである。

ペンタゴンがコウモリを収集・研究する理由

コウモリは、エボラウイルス、中東呼吸器症候群(MERS)、その他の致命的な病気の宿主であると言われている。しかし、これらのウイルスがどのようにヒトに感染するかは、現在のところ不明である。国防脅威削減局生物学的共同参画プログラム(CBEP)のもと、軍事的に重要な致命的病原体をコウモリから探し出すために数多くの研究が行われてきた。

コウモリ
2014年には研究目的で221匹のコウモリがルガーセンターで安楽死させられた。
2014年には研究目的で221匹のコウモリがルガーセンターで安楽死させられた。

コウモリは、アフリカで発生した致命的なエボラ出血熱の原因とされている(2014年~2016年)。しかし、ウイルスがどのようにして人間に”飛び火”したのか、正確な決定的証拠はこれまで提供されておらず、自然感染ではなく、意図的な感染の疑いが持たれている。

これは、ロシアが2022年3月11日に国連会議を招集する前に公開した一連の証拠に由来するものである。
これは、ロシアが2022年3月11日に国連会議を招集する前に公開した一連の証拠に由来するものである。

アメリカでは致死性ウイルスのエンジニアリングが合法化されている

MERS-CoVはコウモリを起源とし、ヒトやラクダに直接感染すると考えられている。しかし、エボラ出血熱と同様に、ウイルスの正確な感染経路は不明だ。MERS-CoVによる感染者は、世界15カ国で1,980人、699人の死亡が報告されている(2017年6月現在)。

MERSの感染が報告された患者10人のうち、3~4人が死亡している(出典:WHO)
MERSの感染が報告された患者10人のうち、3~4人が死亡している(出典:WHO)

MERS-CoVは、インフルエンザやSARSと同様に、米国が工作し、国防総省が研究してきたウイルスのひとつだ。この慣例を裏付けるのが、オバマ大統領が2014年にこうした”二重用途”研究への政府資金提供を一時的に禁止したことだ。

この一時停止は2017年に解除され、実験は続けられている。潜在的パンデミック病原体(PPPs)の強化実験は、米国では合法である。このような実験は、病原体の感染性及び毒性を高めることを目的としている。

生物兵器としての野兎のと

フランシセラ・ツラレンシス(野兎病)は感染力の強い細菌であり、エアロゾル攻撃による兵器化の可能性がある(顕微鏡画像)

フランシセラ・ツラレンシス(野兎病)は感染力の強い細菌であり、エアロゾル攻撃による兵器化の可能性がある(顕微鏡画像)

ラビットフィーバーとして知られる野兎病は、バイオテロに分類され、過去に米国で開発されたことがある。しかし、国防総省は野兎病に関する研究を続けており、ダニやネズミなど、この病気の原因となるバクテリアの媒介となりうるものについても研究を続けている。国防脅威削減局は、グルジアで野兎病やその他の特に危険な病原体に関する多くのプロジェクトを立ち上げている。
特に危険な病原体(EDP)、または選択病原体(米国保健社会福祉省または米国農務省によって「公衆衛生と安全に対する深刻な脅威をもたらす可能性がある」と宣言された病原体または生物毒素)は、世界的に公衆衛生に対する大きな懸念材料となっている。これらの高病原性病原体は兵器化される可能性があり、その軍事的重要性は以下のペンタゴンのプロジェクトで証明されている。
ペンタゴンのプロジェクト:グルジアにおける野兎病の疫学と生態学(2013~2016年)(菌株分離とゲノム研究のために6万匹の媒介生物が収集された)。
グルジアにおけるヒト野兎病の疫学、グルジアにおけるヒト疾患の疫学と特に危険な病原体の監視(未分化型発熱〈ウイルスによる感染に起因する病気に適用される用語〉および出血熱/敗血症性ショックの患者における選択病原体の研究)。

野兎病は、過去に米軍が開発した生物兵器のひとつである。出典:1981年米国陸軍報告書
野兎病は、過去に米軍が開発した生物兵器のひとつである。出典:1981年米国陸軍報告書

ペンタゴンのバイオ研究所がウクライナで病気を蔓延させる

ウクライナとロシア周辺にある11のペンタゴンバイオラボラトリー
ウクライナとロシア周辺にある11のペンタゴンバイオラボラトリー

国防総省国防脅威削減局(DTRA)は、ロシアと国境を接する旧ソビエト連邦国ウクライナにある11のバイオ研究所に資金援助している。

11のバイオラボに資金を提供しました

計11枚あります。こちらで大きな画像が見れます

米軍のプログラムは機密情報

ウクライナは自国の領土にある軍のバイオ研究所を管理することができない。
2005年の米国防総省とウクライナ保健省との協定によると、ウクライナ政府は米国のプログラムに関する機密情報の公開を禁じられており、ウクライナは生物学的研究のために危険な病原体を米国防総省(DoD)に譲渡することが義務づけられている。国防総省は、その協定に基づくプロジェクトに関連して、ウクライナの特定の国家機密へのアクセスを許可されている。

米国国防総省とウクライナ保健省との合意事項

米国国防総省とウクライナ保健省との合意事項
生物兵器の開発に使用される可能性のある技術、病原体、専門知識の拡散防止分野での協力に関すること。

外交的な隠れ蓑の下での生物兵器の科学者たち

米国とウクライナの二国間協定の中に、ウクライナ科学技術センター(STCU)の設立がある。─ 米国政府を中心とする国際機関であり、外交特権を与えられている。ウクライナ科学技術センターは、ソビエトの生物兵器プログラムに関わったことのある科学者のプロジェクトを公式に支援している。過去20年間、ウクライナ科学技術センターは2億8500万ドル以上を投じて、過去に大量破壊兵器の開発に携わった科学者たちの約1850のプロジェクトを支援し、管理してきた。

ウクライナにおける科学技術センターの設立に関する協定の改正議定書

ウクライナにおける科学技術センターの設立に関する協定の改正議定書
ウクライナの米国人職員は、外交的な隠れ蓑の下で働いている。

豚インフルエンザで364人のウクライナ人が死亡

ペンタゴンの研究所のひとつはハリコフにあり、2016年1月には少なくとも20人のウクライナ兵がわずか2日間でインフルエンザに似たウイルスで死亡し、さらに200人が入院している。ウクライナ政府はハリコフでのウクライナ兵の死者について報告していない。2016年3月現在、ウクライナ全体で364人の死亡が報告されている(81.3 %が豚インフルエンザA(H1N1)pdm09によるもの ─ 2009年に世界的な大流行を引き起こしたのと同じ株)。

ドネツク人民共和国諜報機関の情報では、ハリコフの米国のバイオ研究所が致死的なウイルスを流出させたという。

ドネツク人民共和国諜報機関の情報では、ハリコフの米国のバイオ研究所が致死的なウイルスを流出させたという。

警察が不治の病の感染を調査

ペンタゴンのバイオラボが多く存在する南東ウクライナで、非常に疑わしいA型肝炎の感染がわずか数ヶ月で急速に拡大した。

汚染された飲料水により数百人がA型肝炎に感染
汚染された飲料水により数百人がA型肝炎に感染

ウクライナの都市ミコライフでは、2018年1月現在、37人がA型肝炎で入院している。地元警察は「ヒト免疫不全ウイルスなどの難病に感染している」として捜査に乗り出した。3年前にも同市で100人以上がコレラに感染している。どちらの病気も、汚染された飲料水を介して広がったとされている。

2017年夏にはザポリージア市で60人のA型肝炎患者が入院したが、この流行の原因はまだわかっていない。

オデッサ地方では、2017年6月に孤児院の子ども19人がA型肝炎で入院している。

ハルキフでは、2017年11月に29例のA型肝炎が報告された。汚染された飲料水からウイルスが分離された。ペンタゴンのバイオ研究所のひとつは、1年前に364人のウクライナ人の命を奪った致命的なインフルエンザ発生の原因とされたハリコフにある。

ウクライナとロシアが新たな非常に悪性のコレラ感染に見舞われる

2011年、ウクライナはコレラの大流行に見舞われた。33人の患者が重度の下痢で入院したと報告されている。2014年には2回目の流行が同国を襲い、ウクライナ全土で800人以上が感染したと報告されている。2015年には、ミコライフ市だけで少なくとも100人の新たな感染者が登録された。

マリウポリ(2011年)
マリウポリ(2011年)
ミコライフ(2014年~2015年)
ミコライフ(2014年~2015年)
コレラ菌
コレラ菌

2014年には、ウクライナで報告された株と高い遺伝子類似性を持つ、コレラ菌ビブリオコレラの新しい非常に悪性の亜種がモスクワを襲った。2014年のロシアの研究・アンチプラーク研究所の遺伝子研究によると、モスクワで分離されたコレラ菌は、隣国ウクライナで流行を引き起こした菌と類似していた。

ウクライナのバイオ研究所で働く米国の請負業者のひとつであるサザン研究所は、コレラのほか、ペンタゴンにとって軍事的に重要な病原体であるインフルエンザやジカ熱に関するプロジェクトを持っている。

ルガーセンターの国防脅威削減局契約者

サザン研究所の他に、ブラック&ヴィーチとメタビオタという2つの民間米国企業がウクライナで軍事バイオ研究所を運営している。

ブラック&ヴィーチ・スペシャル・プロジェクト社は、ウクライナ(2008年と2012年の2回の5年契約で総額1億2850万ドル)のほか、ドイツ、アゼルバイジャン、カメルーン、タイ、エチオピア、ベトナム、アルメニアでバイオラボを建設・運営するために、国防脅威削減局から1億9870万ドルの契約を受注している。

ブラック&ヴィーチ・スペシャル・プロジェクト社

メタビオタは、このプログラムのもと、グルジアとウクライナで1840万ドルの連邦政府契約を獲得している。この米国企業は、西アフリカのエボラ出血熱危機の前にも国防脅威削減局の業務を請け負っており、同社はシエラレオネでの業務で310万ドル(2012~2015年)を獲得している。

メタビオタ

サザン研究所は、2008年からウクライナの国防脅威削減局プログラムの主要な協力会社として活動している。同社はまた、過去に米国生物兵器プログラムの下でペンタゴンの主契約者として病原体の研究開発を行い、1951年から1962年の間に16件の契約を結んでいる。

出典 米国陸軍の活動、生物兵器プログラム、第2巻、1977年、82頁
Source: US Army Activities in the US, Biological Warfare Programs, vol. II, 1977, p. 82

──つづく

▼ディリアナ・ガイタンジェヴァ「ペンタゴン・バイオラボラトリーズ ─ 調査ドキュメンタリー」

  
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


Posted by kiyo.I