エレクトリック・アースクエイク──地震を電気的に理解する

地震に伴う発光現象は、放電によって引き起こされる

今年は正月早々から能登半島が大地震に見舞われました。地震が起きるメカニズムとは何でしょうか?

サンダーボルト・プロジェクトが提供したマット・フィン氏の「エレクトリック・アースクエイク」、直訳すれば、電気的地震とでもいうのでしょうか。この動画の中で、マット・フィン氏は
「地震は稲光(電光)によって引き起こされます。地震波は地下の雷鳴です」と言います。

近頃は、地震があると必ず人工地震だと主張する方が増えてきました。確かに怪しいことはたくさんあります。しかし、本当に人工地震なのでしょうか?

人工地震の実験がされてきたのは事実ですし、起こすこともできます。また、ダムの建設やシェールガスを採掘する過程など人為的な原因で地震が起きる事も観測されています。しかし、HAARPや地球深部探査船"ちきゅう"がなにか"悪さ"をしているのでしょうか?

ちきゅう号は海底を掘削しています。地底下7,500メートルまで掘削する能力を備えているといっても、実際にはそこまで掘れていないし、それには莫大な費用と月日がかかります。掘削孔は直径20センチメートル程度だとしても、どうやって核爆弾か何かを深海の掘削した穴に仕掛けられるのでしょうか?
『ちきゅう』陰謀説のバカさ加減」という記事が分かりやすいかもしれません。

HAARPは、雲か電離層に電磁波が反射してターゲットの場所に届くというような図を見ることがあります。水を温められるような高い周波数(短い波長)の電磁波は、電離層を通り抜けてしまいます。ですから遠くには伝わりません。電離層で反射するのは層にもよりますが長波と中波だけです。地上波やFMなどで使用されるVHF・UHF以上の高い周波数は、基本的に見渡せる距離しか伝わりません。ですから、電離層に電磁波が反射するという図は誤解を招きます。

地震が電気的な現象であるとすれば、ちきゅう号が海底を掘削する作業は地中深くに塩水を送り込むことになります。それによって意図せぬ結果を引き起こしているのかもしれません。僕はそう考えた方が理にかなっているような気がします。皮肉なことに、主流科学の間違った地震メカニズムの理解が思わぬ災害を引き起こしているのかもしれません。

この動画では「地震に伴う発光現象は、放電によって引き起こされることを提案する」と主張したフリーデマン・フロイント博士の研究に焦点が当てられています。
実際「地震を本質的に予測不可能なものとみなす傾向にある地震学者から批判を浴びた」にもかかわらず「専門家の意見と証拠のバランスは明らかにフロイントに有利に傾き始めて」います。さらに電磁気現象が地震に先行するという証拠は急速に増えています。

エクアドルのグアヤキルで発見された地震の光が白く輝いている。アントニオ・リラ

地震に関連した発光現象は「普通の稲妻のように見えることもあれば、極地のオーロラのような大気中の発光帯のように見えることもある。また、空中に浮かぶ光る球体のように見えることもある。また、小さな炎が地面やその近くで明滅しているように見えたり、はい回るように見えたり、大きな炎が地面から出ているように見えたりすることもある
「夜空の不気味な光、低くうなる電波ノイズ、赤外線衛星画像の奇妙な明るい斑点……。エイリアンの侵略の前触れ?」
そうなのでしょうか? すべてとは言い切れませんが、実は違います。
宇宙から地球の大気圏、地下で起きる現象までトータルに電気的に理解できる方法がエレクトリック・ユニバースです。それはウォル・ソーンヒル氏が予測していたものでした。

ビックリしたのは、1930年に早くも、この現象に注目した日本人の物理学者がいたことです。寺田寅彥氏です。

「地震の際に空中又は地上に著しい発光をともなうことがあるということは、日本のみならず西洋諸国の地震に関する記事中に多数に発見され、しかもその記事の内容が古今東西を通じて共通な諸点を具備して居るのは興味のあることである。それにもかかわらずこの現象は従来学者の側からはあまり注意されず、まれに注意されても多くははじめから疑いの眼をもつて見られ、 充分に検討されなかった場合が多いように見える」
「以上の原因の外に従来全く考慮されなかったと思われる一つの可能な原因がある。それは毛管電氣現象に関するもので、地殻内に於ける水の運動のために地殻中、したがって空中に著しい電位差を起こし、場合によっては高層の空中放電を生ずることが可能であるというのである」という指摘です。

フロイント博士の論文やそれに関連した記事は資料として(本文中にもあります)掲載しました。※1、2、5、6、そして、最後に掲載した寺田寅彥氏の「地震に伴ふ發光現象に就て」はぜひ目を通してください。

要旨
2003年、科学探究ジャーナル誌は、フリーデマン・T・フロイント博士による『パチパチ音を立て、火花を発し、蛍光を発する岩石: 地震前の奇妙な現象』を出版した。大地震の前に起こる奇妙な現象についての画期的な証言である。

そのリストは長く、多岐にわたる:地表のふくらみ、井戸水の水位の変化、地表をつつむ霧、低周波電磁波の放射、尾根や山の頂上からの地震灯、地球の双極子磁場の0.5%までの磁場異常、衛星画像に見られる広い範囲での数度の温度異常、電離層のプラズマ密度の変化、動物の奇妙な行動などである。

このような多様な現象に共通の物理的原因があることを説明するために、EUの提唱者でありサンダーボルトの寄稿者であるマット・フィンが、地震において電気力が主要な役割を果たす方法と理由を解明するウォール・ソーンヒルのエッセイを展開している。

我々は、2023年2月7日にウォル・ソーンヒルが亡くなって1年を追悼する。
彼の素晴らしい仕事、理性の代弁者、そして本物の知恵は、エレクトリック・ユニバースの源泉を守っている。

出典
ウォル・ソーンヒル、EU Views、2005年12月21日
https://www.holoscience.com/wp/electric-earthquakes/

このチャンネルで紹介されているアイデアやコンセプトは、必ずしも宇宙論のエレクトリック・ユニバース・モデル、サンダーボルト・プロジェクト、T-Bolts Group Inc.を表現したり代表したりするものではありません。

マット・フィン:エレクトリック・アースクエイク
Matt Finn: Electric Earthquakes | Thunderbolts

地震被災地の光景

人々は、次に大地震がいつ、どこで起こるかを予測する方法を学ぼうとする強い動機があると期待するかもしれません。助かるかもしれない生命と財産のコストは膨大です。予測因子を探すのにあらゆる可能性を調査するというのは、かなり強力な理由ではないでしょうか?
たぶんそうだと思います。科学者たちは、太陽の黒点と地震の相関関係を見始めています。

「世界の太陽活動と大地震の相関について」

世界の太陽活動と大地震の相関について

本論文は、太陽風による磁気圏近傍のプロトン密度と世界的な大地震との間に高い相関があることを、統計的に有意に証明した初めての論文である。この結果は、地震学的研究にとって、また将来地震予測に影響を与える可能性がある点で非常に重要である。


当然ながら、最初の強い欲求は太陽黒点のデータを使って予測を立てることです。

「太陽活動周期が地震に及ぼす影響:地震予測のための概念的アイデア」

太陽活動周期が地震に及ぼす影響:地震予測のための概念的アイデア

図2:国別の地震災害数:地震活動地域を示す

図2:国別の地震災害数:地震活動地域を示す(上の記事から)

太陽活動周期とその周期は、地球の圧縮帯における地震活動を減少させることが分かっている。また、同時に地球の張力帯での活動が増加する。本研究では、過去45年間(すなわち1960-2005年)の地震活動と太陽黒点活動の周期的データに重点を置いた。
太陽黒点と地震の間に高い相関があることから、2010年以降、イラン、日本、アメリカを中心に地震が長期的に予測される。地球の緊張地帯における地震活動や振幅の非常に大きい地震の次の最大値は、主に夜間において2012-2013年の期間に予測されている。このことは、イラン、日本、米国などの地震地域に含まれる国々にとって憂慮すべきことであり、もし政府がインフラを強化しなければ、将来、さらなる災害や人命・財産の損失が発生する可能性がある。


NASAと欧州地球科学連合は、この黒点仮説にお墨付きを与えました。一言で言えば、太陽と地球の環境におけるある種の変化が、地球の磁場に影響を与えるというものです。

太陽と地球の環境におけるある種の変化が、地球の磁場に影響を与える

これが地震多発地帯での地震の引き金になる可能性がありますが、そのような引き金がどのように働くかは明らかではありません。

地震モニター

地震モニター

科学探査ジャーナル(Journal of Scientific Exploration)誌には、 地震を理解しようとする地球物理学者が直面する現実的な問題について語った良いレポートがあります。
その論文のタイトルは「パチパチ音を立て、火花を発し、蛍光を発する岩石:地震前の奇妙な現象」

「パチパチ音を立て、火花を発し、蛍光を発する岩石:地震前の奇妙な現象」

パチパチ音を立て、火花を発し、蛍光を発する岩石:地震前の奇妙な現象」※1

フリーデマン・T・フロイント博士

フリーデマン・T・フロイント博士

サンノゼ州立大学物理学科の教授で、NASAエイムズ研究センターの上級研究員でもあるフリーデマン・T・フロイント博士による論文です。

博士はこう書いています。
「大地震の前には多くの奇妙な現象が起こる。その中には何世紀、何千年も前から報告されているものもある。
地表の膨らみ、井戸水の水位の変化、地表をつつむ霧、低周波電磁波の放射、尾根や山頂からの地震発光現象、地球の双極子磁場の0.5%までの磁場異常、衛星画像で見られる広い範囲での数度の温度異常、電離層のプラズマ密度の変化、動物の奇妙な行動などである。このような多様な現象に共通の物理的原因があるとはほとんど考えられないため、大きな混乱とさらに大きな論争が起きている」

次にフロイントは、瀬戸物屋の雄牛に光を当てます。

瀬戸物屋の雄牛

瀬戸物屋の雄牛

※「a bull in a China shop(陶器店の雄牛)」とは、非常に不器用な人のことを指す。中国の食器は壊れやすく、美しく、繊細なものであり、雄牛は大きく、予測不可能なものである。
この言葉はまた、身の回りの物の価値を理解していない人を意味することもある。チャイナ・ショップに入った雄牛は、磁器が繊細で高価なものであることを理解できないだろう。

引用します。
「報告された実験室での電気測定の結果によると、地殻内の大電流の発生を説明できるメカニズムは存在しないようである。これは、いくつかの地震の前に記録されている強力なEM信号と磁気異常を説明するために必要である。残念ながら、一連の観測が既存の知識の枠内で説明できない場合、その観測を信じない傾向がある。そのため、多くの非地震的、非測地線(曲面上で二点間を結ぶ曲線のうち、最短距離のもの)的な地震前兆現象が報告されるようになると、地球物理学コミュニティには一般的な沈滞(もやもやした気分)が定着している。そこには、地殻内の岩石に十分な大きさの電流が発生するような正真正銘の(実際の)物理的プロセスは存在しないようである」

通常、岩石は良い絶縁体である

さて、通常、岩石は優れた絶縁体です。

「地震前兆信号のコードを解読する」※2

地震前兆信号のコードを解読する」※2
地殻の大きな硬いブロックが左から押され、応力レベルが増加していく単純なモデル


フロイントは、岩石が応力を受けるとp型半導体材料のように振る舞うという観点から、これらの現象すべてを説明しようと大胆な試みを行っています。

P型半導体:それは何ですか?(図と説明)

P型半導体とは?

それは、電子を一方向にしか流さない半導体材料です。

この地表下の伝導の例を挙げます。

地表から放出されるプラスイオンは、地震の前に時々発生する比較的地面近くで成長する霧の核となるかもしれない

地表から放出されるプラスイオンは、地震の前に時々発生する比較的地面近くで成長する霧の核(芯になるもの)となるかもしれません。確かに表面電位は1~2ボルトとそれほど高くありませんが、それに伴う電場が薄い表面層に広がって、1センチあたり数十万ボルトに達することもあり、コロナ放電や地震発光現象を引き起こすのに十分です。

「ファインマン ─ 大気中の電気」 
https://physics.stackexchange.com/questions/740049/potential-difference-between-inside-and-outside-faraday-cage

図9-1 (a) 地球上空の電位分布。(b) 開放された平らな場所にいる人間の近くの電位分布
(「ファインマン ─ 大気中の電気」より)

図は、地球の表面と、地球の大気の底部100kmほど、つまり地上から電離層の底部までの部分を示している。 
電離層では、(主に紫外線によって)空気が十分に電離し、大気が電気を通す層になっている。 
図は縮尺通りに描かれておらず、厚さ100kmの大気の層が大きく拡大されている。

図は、地球の表面と、地球の大気の底部100kmほど、つまり地上から電離層の底部までの部分を示している。電離層では、(主に紫外線によって)空気が十分に電離し、大気が電気を通す層になっている。図は縮尺通りに描かれておらず、厚さ100kmの大気の層が大きく拡大されている。


地震の前に宇宙から見られる熱異常は、半導体電荷が表面で再結合する赤外光の発光と関係があるかもしれません。

「モロッコの地震ビデオで目撃された奇妙な光は、何世紀にもわたって報告されてきた現象である可能性があると科学者たちは述べている」※3

モロッコの地震ビデオで目撃された奇妙な光は、何世紀にもわたって報告されてきた現象である可能性があると科学者たちは述べている」※3

「衛星による地震前の熱異常の検出、共地震変形、過去の地震の震源パラメータモデリング」

衛星による地震前の熱異常の検出、共地震変形、過去の地震の震源パラメータモデリング

アルカロホリ地域をラップした上昇軌道

衛星観測による2021年クレタ島中部地震に伴う熱異常と変形パターン
(a,b). アルカロホリ地域をラップした上昇軌道(画像ペア:2021年9月23日~29日(トラック102))と下降軌道(画像ペア:2021年9月25日~10月1日(トラック36))の共振動インターフェログラム、(c,d)上昇軌道と下降軌道のLoS変位マップ。本震と2つの大きな余震の震源を赤い星で示す。


動物の奇妙な行動については、空気中のプラスイオンの存在で説明できるかもしれません。

「災害を感知する動物たち」 ※4

災害を感知する動物たち」 ※4

フロイントが言うように、
「この理論は半導体物理学の領域に説明を置くものである。つまり、何が査読に値するか否かを大勢の地球科学者に決めてもらうのは、あまり良い計画ではないかもしれない。なぜ停電になったのか不思議に思っているときに配管工を呼ぶようなものだ

そして彼はこう続ける、
「査読システムは、長年の考え方に反するようなデータの公表に対しては、しばしば乗り越えがたいハードルを作り上げる」

でしょう? 少なくとも、このような連中に我慢しなければならないのは私たちだけではありません。

さて、フロイントはストレスのある岩石に含まれる電荷の原因を特定しました。彼がそれを証明するまで、専門家たちは不可能だと知っていました。

「動体としての地球 ─ 電気的・電磁気的に」

動体としての地球 ─ 電気的・電磁気的に

岩石にストレスがかかると、構成鉱物の中に不活性な状態で存在する瑕疵が活性化する。瑕疵は電子正孔対になり、そのうちの空孔は"正孔"と呼ばれ、応力を受けた岩石の大きな塊から流出する驚くべき能力を持つ。正孔は高速(最大100m/s)で遠く(簡単に数十km)まで移動することができる。その移動の途中や地表に到着すると、多くの反応を引き起こし、私たちが検出できる何らかの形の信号を生成する。地電位や地表・地下電界の変化だけでなく、湧水、井戸水、地下水の化学的性質も変化する。興味深いことに、樹木は根と幹や枝の間の電場を感知する優れたアンテナであるようだ


引用します。
「一旦、十分に語られ、理解されれば、(pホールの)話は基本的に非常に単純である。多くの主流の地球科学者は、なぜ発見されるのにこれほど時間がかかったのかと不思議に思う。もしpホールがどこにでもあるように見えるなら、なぜ100年以上も発見されなかったのだろうか?」

説明させてください。

半導体:P型とN型

半導体:P型とN型

p型半導体(pホール)には、4つの手を持つ通常の純粋な半導体とは異なり、3つの欲ばりな、くっ付けるための手を持つ原子を使用します。

アクセプター不純物がホールを作る

アクセプター不純物がホールを作る(右上)不純物として添加されたホウ素(左下)

この空いた場所が電子の通り道となり、これがpホールという意味です。個人的にはもっと違う名前にしたかったが、まあ仕方ない。

放電

ともあれ、証拠と、まったく「こんな基本的なことを理解するのに、何をそんなに時間がかかったんだ」という声を前に、主流派は分裂しました。
ある者は、ダチョウのように、地面の穴に頭を突っ込んで危険の裏をかくように、ただデータを吹き飛ばす、ある者は我々の仮説の一部に疑問を呈します。例えば、これらの正孔はどのようにして地球の奥深くから地表まで流れ、再吸収されることなく集めることができるのか、などです。

Figure 3 - uploaded by Friedemann Freund

図3a-cは、図2に示した実験室の形状を地球物理学のシナリオに置き換えたものである。(a) 表層から高温で延性のある中下部地殻まで、地殻の厚さにまたがる脆性岩石のスラブを想定する。スラブは地殻変動力によって左から右に押されている。

※正孔 positive hole:別名をホール(Electron hole または単にhole)ともいい、 半導体において、真性半導体であれば電子で満たされているべき価電子帯の電子が不足した状態を表す。 この電子の不足の状態を存在するはずの電子が存在しないという意味で孔(hole)といい、 周辺の電荷分布から相対的に正の電荷を持っているように見えるため正孔という。

しかし、事実として、地震発光現象は存在し、何かがそれを起こしています。

「メキシコ大地震の後に見られた空の謎の光」

メキシコ大地震の後に見られた空の謎の光

地震上空の空はなぜ光るのか?
9月7日にメキシコ南部沖でマグニチュード8.1の地震が発生した後、夜空にぼんやりとした緑色のシミが見える動画がネット上で拡散した。地震の光は、神話に近いほど珍しい現象だ。
地震光について最初に報告されたのは紀元前89年のことで、その後何世紀にもわたり、断片的な記述にとどまっている。最近では、2009年にイタリアのラクイラで発生した前震と本震の際に目撃され、2016年にはニュージーランドのウェリントン上空で青い稲妻の閃光として目撃されている。


「これは非常に難しい問題です」
ペンシルバニア州立大学とユニバーシティ・パークで岩石変形の物理学を研究しているクリス・マローンは言います。驚くほど長距離にわたって電荷を維持する問題です。

「岩石中の電荷に由来する地震発光現象の謎>青っぽい炎や稲妻のような地震発光現象は、ストレスを受けた岩石の電荷が原因らしい」

岩石中の電荷に由来する地震発光現象の謎:
青っぽい炎や稲妻のような地震発光現象は、ストレスを受けた岩石の電荷が原因らしい

地震の発生を告げる不気味な光は、過去には神のお告げやUFOの目撃情報と結びつけられてきた。しかし真犯人は、地球の地震変動によってストレスがかかると電荷を放出するある種の岩石かもしれない、と研究者たちは言う。

ナショナル・ジオグラフィック誌によれば、青みがかった炎や落雷、浮遊する球体に似ていることもある地震発光現象という奇妙な現象は、電荷を放出する特定の岩石にある小さな結晶の瑕疵によって説明できるという。研究者たちは、世界中の地震発光現象の歴史的記録を調査し、最新の発見を学術誌『地震学研究レター』に詳述した。

最近の学説では、地球の磁場の乱れや、水晶のような特定の結晶を絞ることで電気を発生させる圧電効果に焦点が当てられてきた。しかし、今回の研究では、玄武岩や斑れい岩のような特定の岩石に関連する別の電子プロセスが指摘されている。このような岩石は、マグマが地下97キロに達する垂直断層で冷えて形成された"堤防(岩脈、地層に対してほぼ垂直に入り込んだ火成岩層)“構造で見られる。

NASAエイムズ研究センターの上級研究員で論文の共著者であるフリーデマン・フロイントは「応力を受けた岩石は、地震に伴う地震波によって電荷を放出する」と言う。電荷は岩脈に沿って地表に向かって移動し、互いに結合して「プラズマのような状態」を形成し、最終的に地震発光現象の表示に関連する放電を空中に発生させる。

論文の推計によれば、このような光は世界中の地震の0.5%未満しか発生していない。イタリア、ギリシャ、フランス、ドイツ、中国、南米で最もよく見られる。しかし、日本や北米など、遠く離れた地域の観測者たちを興奮させている。
(この記事の画像は、1973年7月1日に近くのクロス・サウンド地震が発生する数時間前に、カナダのタギッシュ湖近くの山に浮かぶ黄色い球体の写真を撮った、カナダ政府の元農業検査官、ジム・コナチャーのものである)


そして驚きといえば、このチャンネルを見ている誰もが、地殻を通る強力な電荷キャリアの発見に歓声で迎えられず、地震の電気的性質がついに地震を予測し、人命を救う能力を解き放つかもしれないという深い理解も得られませんでした。

「地震発光現象と岩石中の正孔電荷キャリアの応力活性化」※5

地震発光現象と岩石中の正孔電荷キャリアの応力活性化」※5


というか、いつものように、敵意と反対で迎えられます。私たちがずっと長い間見てきたパターンです。

フロイントは、哲学者アーサー・ショーペンハウアーの言葉を引用して論文を締めくくっています。
すべての真理は3つの段階を経る。第一に、嘲笑される。第二に、激しく反対される。第三に、それは自明のものとして受け入れられる

さて、考えてみましょう。
フロイントでさえ、このように簡単に証明できることを学会の間抜けどもに認めさせることができないのであれば、地球が電気的宇宙の中の帯電体であるという事実に、どうやって目を覚まさせることができるのでしょうか?

では、フロイントの論文に電気力を加えて、何が起こるか考えてみましょう。

太陽黒点と地震の関連について、主流派が理解していない主な部分は、太陽黒点の原因となる同じ放電が、地球の電離層にも影響を与えるということです。

電離層の層

地球の電離層の昼夜の違い

ダストデビルや旋風について議論したように、電離層は基本的にコンデンサーのプレートのひとつであり、地球は2番目のプレートです。

地球全体の電流

地球全体の電流

一方のプレートの電圧の変化は、もう一方のプレートの電荷の動きを誘発します。コンデンサーとは異なり、地球は地表の岩石にも電荷が分布しています。もし、その岩石がストレスによって半導電性になるようなことがあれば、突然電気的な絶縁破壊が起こる可能性があります。

(b) 応力が蓄積すると、pホールと電子が活性化する。

(b) 応力が蓄積すると、pホールと電子が活性化する。p-ホールは、p型導電性の冷たい地殻上部を通って、ソースボリュームから横方向に流出することができる。電子は、n型導電性の地殻中下部のより高温の領域に下向きに接続することによってのみ、ソースボリュームの外に出ることができる。2つの流出電流は、実線の矢印で示すように釣り合っている。

(c)2つの流出流が、破線の矢印で示したソースボリュームのpホールと電子の生成速度に追いつかなくなる。

(c)2つの流出流が、破線の矢印で示したソースボリュームのpホールと電子の生成速度に追いつかなくなる。

つまり、大気中の雷と同じような現象が地下で起こる可能性はゼロではないということです。小さな揺れならまだしも、大きな地震となると、地下深くから大気圏、電離層まで、すべての回路が巻き込まれる可能性があります。

地震のマグニチュード・スケール

地震のマグニチュード・スケール

考えてみてください。大地震の上空で見られる電離層の大規模な乱れの説明がつきますよね?

大地震の電離層への影響

大地震の電離層への影響

2011年3月11日に日本で発生した地震の際、地震発生地域のTEC(全電子量)が顕著に跳ね上がったと言われている。この実験では、さまざまな場所からTECデータを収集・集計し、このジャンプが発生したことを証明するとともに、その有用性を検証する。

 『パチパチ音を立て、火花を発し、蛍光を発する岩石:地震前の奇妙な現象』

パチパチ音を立て、火花を発し、蛍光を発する岩石:地震前の奇妙な現象

さて、これはかなり単純明快な(明々白々の)ことのように思えます。フロイントのおかげで、電流の発生源はすでに解明されています。それは、地球上のすべてのpホールです。電離層の黒点との関連はすでに知られています。つまり、単純に1と1を足せば答えが出ます。
地震は稲光(電光)によって引き起こされます。地震波は地下の雷鳴です。放出されるエネルギーは原子爆弾に匹敵しますが、岩石のひずみの解放に由来するものはそのほんの一部に過ぎません。

地震波の広がり

地震波の広がり

そのほとんどは、地球内部に蓄積された電気エネルギーによるものです。

モーメント・マグニチュード・スケール

モーメント・マグニチュード・スケール

幸いなことに、私たちはこの情報を伝えるのに、完全にごまかし(目をくらますもの、口実)に頼っているわけではありません。今号のIEEEジャーナル『Spectrum』には、フロイントの研究に基づき、地震を予測する方法について考察した記事が掲載されています。

「IEEEスペクトル、地震の早期警報>電波異常の背後にある物理を解明する」 ※6

IEEEスペクトル、地震の早期警報>電波異常の背後にある物理を解明する」 ※6

IEEE SPECTRUM,2005

主流派は関連性がないことにして無視するでしょうが、発表された論文は、電気技術者たちによって再び真の科学が行われているように見えます。おまけに、地球上の地震と彗星について我々が指摘した奇妙な細部との間に、理論的に対称性があることを発見しました。

彗星

地球と同じ岩石体であり、太陽系と同じ電気的環境にある彗星は、しばしば核全体に分布する大きな電荷を帯びています。

彗星

しかし、地球とは異なり、導電性プラズマは核と直接接触しているため、放電は表面まで達し、巨大な尾のように彗星から燃え上がる陰極ジェットに集中します。違うのは、彗星の岩石は地球のプレートのような機械的ストレス下にないということです。だからpホールもありません。
言い換えれば、彗星はまだ優れた絶縁体であり、太陽に向かって突進するにつれて彗星の表面から電荷が失われ、岩石に深刻な電気的ストレスが生じ始めます。そして、もし表面下に放電があれば、彗星は彗星震動に見舞われる可能性があります。

彗星は彗星震動に見舞われる

このようなものの中には、岩石を表面からそのまま宇宙空間に振り払うほど強力なものもあります。

さて、ここで少し腰を落ち着けて、太陽系全体で見られる相互接続プロセスを評価してみましょう。つむじ風、峡谷の形成、宇宙回路、宇宙ジェットなどを説明するひとつの力です。

つむじ風、峡谷の形成、宇宙回路、宇宙ジェットなど

電気力が私たちの宇宙で主要な役割を果たしているという明白な事実を否定するのは、ますます愚かなことです。もし主流派がそれらのpホールを見つけられないのであれば、神に誓って彼らを回避しましょう。

このエピソードは、非凡な才能を持った人物の逝去から一年を追悼したものです。

電気力が私たちの宇宙で主要な役割を果たしている


パラダイムシフトが訪れようとしていますが、ウォル・ソーンヒルの輝かしい業績は、他の誰よりも、この非常に必要とされる変化のきっかけとなったかもしれません。

ウォル・ソーンヒル

彼は、標準モデル理論科学の役人が犯すへまの中で、理性の声でした。

ウォル・ソーンヒル、後ろにドナルド・スコット

彼が教えてくれたことに耳を傾け、それを足場にすることで、人類はこのクレイジーで狂った時代を乗り越えることができるかもしれません。
そして、美しく、シンプルで、電気を帯びた現実に基づく科学を始めます。

発言中のウォル・ソーンヒル

──おわり

パチパチ音を立て、火花を発し、蛍光を発する岩石:地震前の奇妙な現象」※1

Rocks That Crackle and Sparkle and Glow: Strange Pre-Earthquake Phenomena” by Dr. Friedemann T. Freund

フリーデマン・T・フロイント博士

概要
地震波は、地震の最も劇的で最も激しく研究されている現象である。しかし、大地震に先行する非地震現象も知られている。その中には、何世紀にもわたって、あるいは何千年にもわたって報告されてきたものもある。地表の膨らみ、井戸水の水位の変化、地表をつつむ霧、低周波の電磁放射、尾根や山頂からの地震光、地球の双極子磁場の0.5%までの磁場異常、衛星画像に見られる広範囲での数度の温度異常、電離層のプラズマ密度の変化、動物の奇妙な行動などである。
このような多様な現象に共通の物理的原因があるとは考えにくいため、大きな混乱が生じ、さらに大きな論争が起きている。そのため、非地震性地震前兆現象に関する報告は、科学界で疑いの目で見られている。
最近、地殻の大部分を占める火成岩や変成岩に、これまで見過ごされてきた電荷キャリアが含まれていることが発見された。この電荷キャリアは、価電子帯の欠陥電子、すなわち正孔である。通常の状態ではそれらは眠っているが、目を覚ますと岩石はキラキラと輝き始める。
本稿では、この正孔の物理的・化学的性質、鉱物や岩石への導入方法、活性化方法について解説する。ひとたび正孔が生成されると、電流が岩石中を伝播し、電磁放射、正表面電位、コロナ放電、正イオン放射、中赤外線放射につながるという証拠を提示する。これらの現象は、岩石を瞬間的にp型半導体に変える、眠っていた正孔電荷キャリアの目覚めという、同じ基本的なプロセスの表現である。

地震前兆信号のコードを解読する」※2

Cracking the Code of Pre-Earthquake Signals

地殻の大きな硬いブロックが左から押され、応力レベルが増加しているシンプルなモデル

地殻の大きな硬いブロックが左から押され、応力レベルが増加しているシンプルなモデル

フリーデマン・T・フロイント博士

私たちの地球は落ち着きのない惑星である。時折─世界のいくつかの地域ではかなり頻繁に─その落ち着きのなさが致命的なものになる。あらゆる自然災害の中で、地震は最も恐れられている。地震が恐れられているのは、地震が予測不可能であるからだ。しかし、何世紀にもわたって、あるいは何千年もの間、地震の多い地域に住む人々は、前兆のシグナルに注目してきた。
井戸の水位の変化、奇妙な天候、地面をつつむ霧、大地震の接近を感じているかのような動物(家畜も野生動物も)の異常な行動など、歴史的な記録は語り継がれている。現代の科学技術の出現により、前兆シグナルのリストはさらに長くなった。その中には次のようなものがある。

① 地面からの低周波から超低周波の電磁放射の散発的放出
② 地球の主双極子磁場の1/2の強さに達する局地的な磁場異常。
③ もや(薄霧)の形成と空気中の水分の減少を伴う下層大気の変化。
④ 夜間の赤外線衛星画像で見られる、地表温度が急激に変動しているように見える、数万から数十万平方キロメートルの大きな斑点。
⑤ 高度90~120kmの電離層で、電波の伝達に影響を与える通過性摂動。

電気的な石

私たちは通常、岩石は優れた絶縁体、つまり電流を通すのが非常に劣っていると考えている。しかし、鉱物がペルオキシ結合を含む岩石では、時限爆弾が時を刻んでいる。このような岩石に応力が加わると、ペルオキシ結合が切断され、突然、移動可能な電子電荷キャリア、いわゆる欠陥電子が出現し、構成鉱物の価電子帯に住んで移動する。これらの電荷キャリアは、正孔または略してpホールとも呼ばれる。
発見以来30年を振り返ってみると、私はいつもこの奇妙でとらえどころのない電荷キャリアに立ち戻っていたことに驚かされる。私はその性質を理解し、挙動を予測しようとした。突破口となったのは、このpホールが応力によって活性化することに気づいたときだった。これによって私は、地震に関連した現象を研究する道をまっしぐらに歩むことになったのである。

それでも、驚くほどシンプルで、同時に驚きに満ちた実験を思いつくまでには、数年の歳月と何度かの失敗を繰り返した。
図1は、長さ1.2メートルの花崗岩の板で、同僚の竹内昭洋博士とボビー・ラウ博士と一緒に、電流を測定するために両端に銅電極を取り付け、電位を測定するために上面にコンデンサ・プレートを取り付けた。厚板の一端を強力なプレス機に挿入し、ピストンから絶縁した。そして圧力をかけ始めた。岩に何度も圧力を加え、両端から流れ出した電流を記録した。

この実験から、応力を受けた岩石の体積が、電子電荷キャリアであるpホールと電子の供給源になることがわかった。pホールと電子は反対方向に流れ出るので、応力のかかった岩石と応力のかかっていない岩石の境界で何か重要なことが起こるに違いない。その境界は、pホールの通過は認めるが、電子はブロックする。つまり、トランジスタのダイオードのような働きをするのである。明らかに、応力のかかっていない花崗岩はpホールを伝導することができ、p型半導体のように振る舞う。応力を受けた岩石の塊から電子が流出するのは、n型接続(この場合は銅電極)がある場合に限られる。

次に、負荷を一定に保った場合、このような電流がどのくらい流れるのだろうかと考えるかもしれない。別の火成岩である斑れい岩でも同様の応力試験を行った。30分間荷重を一定にしたところ、2つの電流はほとんど強度を失うことなく流れた。12時間荷重を一定に保った場合でも、電流は15~20%程度しか減少しない。このことは、一度活性化された応力岩体積中のpホールと電子の寿命が非常に長いことを示している。

地震予知への利用

この新しい知識を、地震や、地殻応力が臨界レベルに達して破壊が起こり地面が揺れ始める前に地殻の奥深くで起こっている隠れたプロセスにどのように応用できるだろうか?

われわれは、まだこれから起こる発見への長い道のりの始まりに立ったに過ぎないが、われわれはすでに、この発見のいくつかを地球物理学的な現実に投影することができる。

図2には、幅100~1,000km、厚さ20km、スラスト方向50~10kmの強固で硬い岩石の大きな塊に地殻変動力が作用し始める地殻の断面を非常に単純化したモデルのスケッチが描かれている。
左から応力が蓄積すると、右に向かって塑性変形が伝播する。変形を受けた岩石の体積がpホールと電子の発生源となる。pホールは水平方向に流れ出すことができる。電子が流出できるのは、地殻下部のより深く、より高温の、したがってn型導電性の部分に下向きに接続できる場合のみである。

このモデルでは、すべての地殻変動地域で地殻を深く裂いている断層を埋めている水の役割を考慮することを明らかに怠っている。水や鹹水(塩水)で満たされた断層は複雑さをもたらすが、水は岩石を通るpホール伝導を短絡させることはあっても、"殺す"ことはないということが、実験室での実験ですでに分かっている。従って、応力が増加し続ける岩石において、pホールの活性化がどのような結果をもたらすか、慎重に予測することができる。

これらの結果のひとつは、地殻を水平に流れるpホール電流が、下向きに流れる電子電流とカップリングすることである。この結合は、それぞれの電場によってもたらされる。その結果、私たちの実験室でpホール電流と電子電流が変動したように、両方の電流が変動することが予想される。変動する電流は、低周波電磁(EM)放射の発生源となる
したがって、われわれのモデルは、単純ではあるが、しばしば報告される地震前の低周波電磁放射は、地殻の奥深くを流れる地電流から発生している可能性を指摘している。地電流は非常に強力かもしれない。
例えば、今回の実験で花崗岩スラブの圧力をかけられた端から流れ出る電流を例に、地殻内の1立方キロメートルの花崗岩や斑れい岩から流れ出る電流はどの程度になるのだろうか。答えは驚くほど大きな値で、10万アンペアから100万アンペアの間である。数万立方キロメートルという膨大な体積の岩石が、大地震の発生時に大きなストレスを受けるのだから、地電流は確かに巨大になる可能性がある。見方を変えれば、地中で発生した電流のほとんどが短絡したり、他の要因で消滅したりしたとしても、残った電流は驚くほど大きな値に達する可能性があるとも言える。

大気の乱れ

地中を流れる応力活性化電流のもうひとつの結果は、いくつかのpホールが地表に到達することである。その結果、地表の電位が広い範囲で変化し、周囲の地域よりも相対的にプラスになる。これは多くの結果をもたらすだろうが、私が挙げたいのはそのうちのひとつだけである。

地球の表面からおよそ90~120km上空には電離層があり、太陽からの極端な紫外線、太陽風、宇宙線が毎日降り注ぐ中で生成される電子とイオンの非常にダイナミックなプラズマで構成されている。もし下の陸地が次第にプラスになれば、このプラズマシートが反応する。もしかしたら、よく知られている地震前の電離層擾乱の源は、地殻の奥深くにあるpホールの活性化と、それらが地表で演じるいたずらにあるのかもしれない

今から思えば、30年前に始まった当初は、生命の起源や地震とは何の関係もないと思われた基礎研究が、今では洞察と発見の宝庫となっていることに驚かされる。地震予知がすぐそこまで来ていると言うのは、確かに時期尚早である。しかし、岩石中のpホールとその応力による活性化の発見は、地球の多面的な地震前シグナルの暗号を解読するための重要な一歩であると、私は確信している。

「モロッコの地震ビデオで目撃された奇妙な光は、何世紀にもわたって報告されてきた現象である可能性があると科学者たちは述べている」※3

Strange lights spotted in Morocco earthquake videos may be a phenomenon reported for centuries, scientists say

エクアドルのグアヤキルで発見された地震の光が白く輝いている。アントニオ・リラ

エクアドルのグアヤキルで発見された地震光が白く輝いている。アントニオ・リラ

地震発光現象にはさまざまな形態がある

『固体地球物理学百科事典』(2019年版)に掲載されたダー氏共著のこの現象に関する章によると、地震発光現象はいくつかの異なる形態をとることがある。

普通の稲妻のように見えることもあれば、極地のオーロラのような大気中の発光帯のように見えることもある。
また、空中に浮かぶ光る球体のように見えることもある。また、小さな炎が地面やその近くで明滅しているように見えたり、はい回るように見えたり、大きな炎が地面から出ているように見えたりすることもある。

2008年の四川大地震の直前に中国で撮影されたビデオには、空に浮かぶ発光雲が写っている。

地震発光現象をより深く理解するため、ダー教授らは1600年までさかのぼり、信頼できる地震発光現象の報告に関連する65のアメリカとヨーロッパの地震に関する情報を集めた。彼らはその成果を2014年に学術誌『地震学研究レター Seismological Research Letters』に発表した。

研究者らは、調査されたEQL発生の約80%がマグニチュード5.0以上の地震で観測されたことを発見した。ほとんどの場合、この現象は地震の直前か地震発生中に観測され、震源から600km(372.8マイル)離れた地点で見ることができた。

地震、特に強力な地震は、地殻プレートが接する地域沿いやその近辺で発生する可能性が高い。しかし、2014年の研究では、発光現象に関連する地震の大部分は、プレートの境界ではなく、プレートの内部で発生していることがわかった。

さらに、地震発光現象は地溝帯の上やその付近で発生しやすかった。地溝帯とは、過去のある時点で地殻が引き離され、2つの高い陸地の間に細長い低地が形成された場所である。

「災害を感知する動物たち」 ※4

「災害を感知する動物たち」 ※4

The animals that detect disasters

※動物の奇妙な動きについての個所のみ抜き出してあります。

■ しかし、高さ9メートル(30フィート)にも達する水の波が海岸線を突き破るまでの数分、数時間の間に、差し迫った危機を察知し、逃げようと努力した動物もいたようだ。目撃者の証言によると、ゾウは高台に逃げ込み、フラミンゴは低地の営巣地を放棄し、犬は屋外に出るのを嫌がったという。タイのバンコーイという海岸沿いの村では、津波が襲ってくる数分前に、海辺にいた水牛の群れが突然耳をそばだて、海を見つめて、近くの丘の頂上へと駆け寄っていったと地元の人々が報告している。

■ つい数日前、トンガでは1月の火山噴火の2日前に、再放流されたばかりのウミガメが突然Uターンした。

■ 紀元前373年、ギリシャの歴史家トゥキディデスが、壊滅的な地震が起こる数日前に、ネズミ、犬、ヘビ、イタチがヘリツェの街を去っていったと報告している。他の報告も歴史に点在している。1805年のナポリ地震の数分前には、牛、羊、犬、ガチョウが一斉に鳴き始めたとされ、1906年のサンフランシスコ地震の直前には、馬がパニックになって逃げ出したと言われている。

■ 研究者たちは、家畜が地震の20時間前までに行動を変え始めた証拠を発見した。モニターされた家畜が一度に45分以上、集団で50%以上活動的になると、研究者たちはマグニチュード4.0以上の地震を予測した。強い地震8回のうち7回がこの方法で正しく予測された。

■ 2006年、当時南寧支局の支局長であった姜維松氏は中国日報の取材に対し「地球上のあらゆる生物の中で、ヘビはおそらく最も地震に敏感です」と語っている。
「地震が起きそうになると、ヘビは冬の寒さの中でも巣から出ます」

■ 2014年、アメリカでイヌマキを追跡していた科学者たちは、いわゆる避難移動の驚くべき例を記録した。鳥たちは突然、繁殖地であるテネシー州東部のカンバーランド山脈から飛び立ち、南米から5,000km(3,100マイル)も飛んできたばかりだというのに、700km(435マイル)も離れたところまで飛んでいったのだ。鳥たちが去った直後、80を超える恐ろしい竜巻の大群がこの地域を襲い、35人が死亡、10億ドル(約7億4000万円)以上の被害が出た。

地震発光現象と岩石中の正孔電荷キャリアの応力活性化」※5

Earthquake Lights and the Stress-Activation of Positive Hole Charge Carriers in Rocks

フランス・サンローラン、ジョン・ダー、フリーデマン・フロイント

概要

地震に関連した発光現象(地震発光現象とも呼ばれる)は、(1)火成岩中の正孔(pホール)電荷担体の応力活性化、(2)地震が近づくにつれて応力率が急激に上昇する地殻のアスペリティ(地震の断層面上で、強度が大きく大きな揺れを起こす場所)における高電荷担体濃度の蓄積、から生じる可能性がある。
電荷キャリア濃度が臨界に達すると、pホールは縮退した固体プラズマを形成し、閉じ込められた岩石体積から抜け出し、急速に膨張する電荷雲として伝播する。地表に到達すると、電荷雲は空気と岩石の界面で誘電破壊、すなわちコロナ放電を引き起こし、光と高周波の電磁放射を伴う。

地震発光現象

地震に関連した発光現象は、地震発光現象(EQL)としても知られ、古くから報告されている[Derr, 1973; Tributsch, 1983]
1931年、日本におけるいくつかの様々な出来事から1500件以上の報告に基づいて、武者[武者金吉, 1931]は次のように述べている:「観察は非常に豊富で、非常に注意深く行われたので、現象の実在性についてはもはや疑いを感じることはできない」。
それにもかかわらず、少なくとも1960年代後半に松代近郊の群発地震でEQLが写真に記録されるまでは、科学界に疑念が残っていた。柿岡磁気天文台の地震学者であった安井は、スケッチや写真を含む周辺地域の多くの人々からの報告を研究し[安井、1973]、観測のほとんどは、大気雷、黄道光、オーロラ、流星、または他の既知の原因では説明できないと結論づけた。同様の観測は、メキシコ[Araiza-Quijano and Hernández-del-Valle, 1996]や世界の多くの地震活動地域[Lomnitz, 1994]でも行われた。

[……略……]

結論

以上の議論に基づき、地震に伴う発光現象(しばしば地震発光現象、EQLと呼ばれる)は放電によって引き起こされることを提案する。このような放電の発生源は地殻の中にあり、アスペリティ(地震の断層面上で、強度が大きく大きな揺れを起こす場所)を表す閉じ込められた岩石の大きな塊の中にあり、地震の準備過程の一部として高く急速に増加する応力を蓄積する。このような応力は、岩石の中に眠っている電子電荷キャリアを活性化させる。これらの電荷キャリアはpホールと電子であり、このうちpホールは、そうでなければ絶縁体である岩石を伝搬できるというユニークな性質を持っている。pホールと電子が活性化される速度が、それらが消散される速度を上回ると、pホールが縮退した固体プラズマを形成し、閉じ込められた岩石の体積からはじけ出て、その上にある岩石を比較的高速で伝搬する状況が生じる可能性がある。この電荷雲が地表と交差すると、空気の電離が起こり、発光を伴うコロナ放電が発生する。報告されているEQLのさまざまな形態や形状は、固体プラズマの状態や地表を通過する放電が非常に多様であることを示唆している。我々の結論は、観測された発光現象だけでなく、報告されている高周波電磁放射やその他の効果とも一致しているようである。

「IEEEスペクトル、地震の早期警報>電波異常の背後にある物理を解明する」 ※6

IEEE SPECTRUM, Early Warning For Earthquakes > Teasing out the physics behind radio anomalies

夜空の不気味な光、低くうなる電波ノイズ、赤外線衛星画像の奇妙な明るい斑点……。エイリアンの侵略の前触れ? 実は違う。
地質学者の中には、これらは差し迫った地震の兆候であり、おそらく地震が発生する数時間から数日前に地震を予知する唯一の希望であると考える者もいる。

電磁気現象が地震に先行するという証拠は急速に増えつつあるが、その証拠を説明する主な理論にはサンアンドレアス断層ほどの溝がある。
現在、カリフォルニア州サンノゼ州立大学の教員であるNASAの科学者フリーデマン・フロイントは、地殻が地下30キロ以上に広がる地質学的無線回路を駆動する巨大なバッテリーとして機能することを実験室で実証し、そのギャップを埋めた可能性がある

この実験が極めて重要なのは、フロイントの実験は、電波現象がある地震に先行する理由だけでなく、他の地震に先行しない理由も説明することにつながるからである。

フロイントは数年前、火成岩のケイ酸塩分子内の酸素結合にストレスがかかると、電子とホールと呼ばれる電子欠損(電子欠乏)が解放され、半導体になることを示した。偶然にも、ストレスのかかっていない岩石では、正孔だけが自由に通過する。
フロイントは岩石を砕いて実験し、赤外線放射、放電、ラジオノイズなど、多くの電子地震の前兆現象を再現した。しかし、なぜ地層に回路が形成され、無線信号が発生するのか、その理由を説明することはできなかった。

昨年、フロイントは岩石をより穏やかに扱う実験を行った。彼は、岩石に適度な圧力や熱を加えると、長く持続的なホール電流が発生することを発見した。
地震予知との関連は次のようなものだ:地震は、隣接するふたつの陸地が断層ですべり合うときによく起こる。時折、この知覚できないクリープ(岩石や鉱石が圧力によって変形すること)は、比較的小さく抵抗力のある岩塊によって妨害される。岩盤が折れてふたつの地塊がすれ違うずっと前に、地下深くで応力が急速に蓄積される。
フロイントが発見したバッテリー現象によれば、数百立方キロメートルの岩盤は、地震が発生する数時間前から数日前にかけて、地表に向かってホール電流を送り、地表付近で赤外線信号を発生させ、電離層の電子と相互作用するのに十分な応力を感じている可能性がある。

それでも、前兆電波放射の気まぐれさを説明するには、もっと何かが必要だった。20kmまで下ると、正孔は自由に流れるが、電子は応力を受けた岩石の中に閉じ込められたままである。しかし、30km以下になるとルールが変わる。その奥深くにある熱すぎてホールは開いていないが、電子は自由に歩き回っている。
(熱の増加に伴い、電子は価電子帯に蹴り上げられ、n型の電子伝導性が生じる)
そこでフロイントは、応力を受けた岩盤が十分に深くまで広がっている場合、あるいは他の何らかの連結経路がある場合、応力を受けた岩盤の下層から電子流が流れ出し、上層のホール電流と並行する可能性があると推測している。これらの平行電流は、応力を受けた岩石1立方キロあたり5万アンペアに達する可能性がある。
地震に先行して低周波の電波警報が発生するかどうかは、これらの平行電流が形成されるかどうか、またどのように形成され、どれくらいの期間持続するかによって決まる。

フロイントは、サンフランシスコで開催されたアメリカ地球物理学連合の12月の会議で、彼の最新の実験について報告し、何人かの物理学者から暖かい賞賛を浴びた。ジェット推進研究所の著名な衛星アナリストであるネビン・ブライアントによれば、赤外線異常の急激な発生と消滅について合理的な説明を提示した科学者は他にいないという。ラジオ・プラズマ・イメージャーの発明者であるボド・ライニッシュは、地震に関連した電離層の摂動に関する代替理論を空想的思考であると断じ、フロイントの発表を次のように要約した:「ついに本物の物理学が登場した」

カリフォルニア大学リバーサイド校の地球物理学者スティーブン・パークは、電磁気的前兆現象に懐疑的である。というのも、気象や海洋の影響を十分に考慮していないからである。パークは、サンアンドレアス断層で岩石の抵抗の変化を見つけることに成功していないと報告している。

一年余り前、フロイントとパロアルトを拠点とする地震感知ネットワークQuakeFinderのCEOであるトーマス・ブライアーは、IEEE Spectrum誌に電子地震前兆の理論と観測を要約した[「Earthquake Alarm」2005年12月号参照]。
この要約は、地震を本質的に予測不可能なものとみなす傾向にある地震学者から批判を浴びた。主流派の見解によれば、エレクトロニック・プレカーサー(電子的先駆体、は、物質が伝播する際に、インパルスの周波数成分が分散されて生じる特徴的な波のパターン。通常、プレカーサーは主信号の前に現れるが、特定の状況では後にも現れることがある)研究は、一貫性のない(矛盾する)後から特定された現象の鬼火(幻影、達成できない目標)を追いかけている。

フロイントの理論が支持されるか反論されるかはまだわからないが、専門家の意見と証拠のバランスは明らかにフロイントに有利に傾き始めている。ブライアントと他の研究者たちは、まだ発表していないが、断層とはっきりと合致して地震に先行する数百の異常な赤外線現象をまとめた。



▼(余談ですが、試しに、マイクロソフトの"chatGPT"に聞いてみました)
最後の一文についてのCopilotの返答

「これは、地震の予測において重要な発見です。これらの異常な赤外線イベントは、地震の前に発生することがあり、地震の予兆として機能する可能性があります。具体的には、地震が発生する前の数時間や数日に、地下深くから地表近くに向かってホール電流が流れ、赤外線信号が生成されることがあるとされています。
この現象は、地震が隣接する地塊が断層面で滑り合う際に発生します。地下深くでストレスが急速に蓄積され、ホール電流が地表近くに向かって流れることで、赤外線信号が発生します。また、電子との相互作用も地球のイオノスフィアで観測されることがあります。
この研究は、地震の前兆となる電磁現象についての理解を深める上で重要であり、将来的に地震予測の改善に寄与する可能性があります」

地震に伴う発光現象について。寺田寅彦著

On Luminous Phenomena Accompanying Earthquakes. by Torahiko Terada

地震に伴う発光現象について。
寺田寅彦著

地震に伴う発光現象について。 寺田寅彦著

地震に伴う発光現象について。 寺田寅彦著

地震に伴う発光現象について
寺田寅彥

地震研究所。
(1930年12月16日読了、1931年6月20日受理)

はじめに

日本だけでなく世界各地の過去の激震に関する史料の中には、激震の前、中、後に空や地上で観測された顕著な発光現象に関する記述が少なくない。
その現象は、震源地のすぐ近くで観測されることもあれば、非常に離れた場所で観測されることもあった。
観測された光の形、色、強さ、持続時間、動き、変動に関する記述は、場合によって非常に多様である。
それでも、これらの証言の混沌の中から、まったく独立した目撃者のほとんど平行した証言を拾い上げることができるのは興味深いことである。
例えば、ガッリ(Galli)のデータ集に記録された多くの証言が挙げられるが、それらは武者(Musya)氏と筆者が収集した日本のデータの中にそれぞれの複製がある。
独立した証人の間の一致は、光度の一般的な特徴に関する曖昧な記述だけでなく、鋭い観察者にしかできない非常に詳細な記述にも言及されている。
このような、ほとんど余分なほど豊富な証言資料にもかかわらず、この現象は大多数の地震学者から真剣に注目されることはなく、彼らはこれらの資料にはまったく関心がなかったようである。
やがて現象の例を目の当たりにするようになった人々の間でさえ、懐疑的な意見が優勢だった。
心理学的あるいは生理学的な錯覚がしばしば引き合いに出されたが、これには証拠がない。
遠くの稲妻、火の粉、キャンプファイヤーがしばしば引き合いに出されるが、これもほとんどが証拠なしである。
近年、送電線の短絡の可能性が、問題の現象の原因であろう新たな項目を提供した。
しかし、これらの文献をオープンマインドで調べる手間を惜しまない人にとっては、これらの現象を全く非現実的なもの、あるいは地震とは無関係なものとして先験的に切り捨てることは困難であることがわかるだろう。
例えば、A.Siebergは地震学の著書の中でこの現象について特別な章を設け、些細な原因による通常の説明が破綻していると思われる例がいくつかあると述べている。
彼は最後に、この光り輝く現象は地震学の最も暗い章に過ぎない、と十分に正しいことを述べている。
当研究所の武者金吉氏は、地震に関するわが国の歴史文書に頻繁に記述されている発光現象に早くから関心を持ち、これらの資料を見事に収集した。
筆者もまた、この現象は真剣に研究する価値があり、少なくとも精査することなく些細なこととして切り捨てることはできないという意見を持っていた。
1931年11月26日の伊豆地震は、ちょうどこの特殊な現象に対するわれわれの関心が熟しつつあった時期に発生し、非常に多くの顕著な例を示してくれたので、現象の物理的実在性に対する疑念は完全に取り除かれ、しかも地震との物理的関連性は疑問の余地のないものとなった。
そのため、この問題に関する文献の簡単なレビューと、それらに関するいくつかの議論をここで試みることは、無関心ではないと思われるが、武者氏の調査結果はすでにこの会報の前号に掲載されている。


※寺田寅彥の論文「地震に伴う発光現象について」はウィキにも見当たりません。このファイルは英文ですが、最後にまとめのような形で日本語で記されています。上の画像はその部分です。

17. 地震に伴ふ發光現象に就て
地震研究所 寺田 寅彥


地震の際に空中又は地上に著しい發光を伴ふことがあるといふことは、日本のみならず西洋諸國の地震に関する記事中に多数に発見され、しかも共記事の内容が古今東西を通じて共通な諸點を具備して居るのは興味のあることである。それにも拘らず此現象は從來學者の側からは餘り注意されず、稀に注意されても多くは初から疑の眼をもつて見られ、充分に検討されなかつた場合が多いやうに見える。昭和五年十一月の伊豆地震に際しても此種の現象が到處で観測され、此れに關する多数の報告を纏めた武者金吉氏の報文は既に本誌前號に掲載された。著者も武者氏蒐集材料と、竝に、少数ではあるが若干の信頼すべき科學者の觀察した材料とを併せ調べた結果、武者氏の結果を確かめることが出来た。
 本篇では先づ古來西洋諸國に於ける此現象の文献を略記し、次には本邦に於ける古來の記録中から若干の例を採録し、特に明治以後のものは詳しく列記した。
 次に今回の伊豆地震に關する諸資料に就て著者の所見を述べた。
(1) 光の見へた場所の分布 (2) 光の現はれた時刻 (3) 光り方の種類 (4) 光の色と (5) 強度等に就て多少の考察を試みた。 又此現象の原因に就て考察した結果は次の通である。(1) 火事と (2) 雷雨に伴ふ電光とは此際問題にならない。(3) 送電線の接觸又切断によるスパークは、現象の一部を説明するとしても、 此れでは説明されない著しい現象がある。さうして其等は (4) 山崩れ地辷りによる triboluminscence(※摩擦発光)として説明すれば多くの場合に質的には容易に説明されさうである。併し著者が行つた簡單な實験を基礎として試みた量的の計算(勿論或假定の下に)の結果では、此れだけで凡ての現象を説明するのは困難であるやうに見える。それで電線のショートと山崩と雨方で凡てを説明すれば一應は尤らしいやうである。併し充分強力な放電に開する確證が得られないのみならず、又電線の存在しなかった時代に於ける東西爾洋の記録の共通圏内に多数に現はれる閃光的現象が、今日の場合にショートで説明されるものと殆同一であり、しかもそれが雷雨の疑のない時にでも度々あつたと考へられるところに困難がある。
 以上の原因の外に從來全く考慮されなかったと思はるゝ一つの可能な原因がある。それは毛管電氣現象に関するもので、地殻内に於ける水の運動の爲に地殻中、從て空中に著しき電位差を起こし、場合によっては高層の空中放電を生することが可能であるといふのである。此に開する若千の考察をした結果を述べてある。現在では確に此の爲と考へるべき實證はないが、 多少の手掛と見られる二三の現象を附記して将来の参考とした。
 武者氏竝に著者の調査によって、「地震に伴ふ発光現象」の少くも大部分が單なる幻覺ではないこと、又此れが、凡ての場合に火事や、電光や、電線の故障等だけで説明することは出来ないので、兎も角、直接に地震によって惹起される一つの発光現象が存在することが明になつたと思はれる。
 此様な発光が主なる地震の前から現はれることもありはしないかと疑はせるに足るやうな若干の例もあるので、此點から見ても、此現象は、地震學上必ずしも軽視することの出来ない一つの問題を提供するものであらう。
 此研究に關して貴重な材料を供給された武者氏其他多数の既知又未知の諸君の好意ある援助に對して茲に深謝の意を表する。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Posted by kiyo.I