ターコイズ・サン⑤ ── ホルスの目=惑星金星
金星はラーの目とホルスの目を体現している
ウィキによると、
「古代エジプトでは非常に古くから、太陽と月は、ハヤブサの姿あるいは頭部を持つ天空神ホルスの両目(「ホルスの目」)だと考えられてきた。
やがて二つの目は区別され、左目(「ウアジェト(ウジャト)の目」)は月の象徴、右目(「ラーの目」)は太陽の象徴とされた」と説明されています。〜の"象徴とされた"は、そうなのかもしれませんが、何故そうなったのかについては触れられていません。
また、
「ウアジェト(ウジャト)は、コブラの姿、あるいは、頭上にコブラをつけた女性の姿で描かれる、下エジプトの守護女神。
“ウアジェトの目"は、周期的に満ち欠けする月の象徴であることから、欠けた月が再び満ちるように、"失ったものを回復させる" “完全なるもの、修復されたもの"という意味がある」と書かれています。
しかし、太陽と月がどうして「ハヤブサの姿あるいは頭部」として考えられてきたのでしょうか?
ウアジェト(ウジャト)が、どうして「コブラの姿、あるいは、頭上にコブラをつけた女性の姿」として描かれてきたのでしょうか?
現在の太陽と月の姿が太古の時代と変わっていないとしたら、そこから、どうやって、ハヤブサやコブラの姿を連想できるのでしょうか?
ここでも、"なぜなのか?"には触れられていません。そういうことになっているという説明だけです。肝心の原因は触れられずじまいです。
下の画像は三日月の月と太陽の象徴として説明されている事が一般的ですが、昔はこんなふうに見えていたのでしょうか? こんな解釈がまかり通っていることも不思議ですが、昔も今も太陽系の軌道や姿は変わっていないという斉一説が大前提ですから、それがお約束ですから、それを疑ってみるという大胆な仮説は異端扱いされます。
ホルスの目は太陽と同一であるとされるのが一般的ですが、「ホルスの目と金星:天文学的および神話上の論及」という論文(資料として一部翻訳しました)では、「太陽から離れて再び戻ってくる天体として最有力候補に挙げられるのは、金星である。金星はラーの目とホルスの目を体現しているという仮説を立てることができる」と書かれています。
今日の空で点にしか見えない金星がいかにして、脳の断面図の松果体とする仮説まである有名な古代エジプトのシンボルとなり得たのでしょうか? ですが、なぜ金星がラーの目とホルスの目を体現しているのかは謎のままです。
この「ターコイズ・サン」シリーズで、エヴ・コクラン氏は「ホルスの目はイナンナと同じく、惑星金星と同一であるとみなされる」と指摘しています。おそらく、このような指摘は初めて耳にした方がほとんどではないでしょうか。
[要旨]2024/10/28
「ターコイズ・サン」シリーズ第5作。ホルスの目は、古代神話に対する比較アプローチの理論的力を検証する理想的な事例である。古代エジプト神話全体を通じて、最初から最後まで、最も重要な象徴として際立っている。
ピラミッドテキストでは、この"目"は、宇宙の混乱と人類の滅亡をもたらすほどの荒々しい破壊力をもつ恐ろしいアストラル(星に関係する)パワーとして描かれている。
さらに、ホルスの"目"を描写するエジプトの伝統と、イナンナ/ヴィーナスを称えるシュメールの伝統との間には、同じ天体を記述していると思われるような類似点が数多く見られる。
比較神話学の権威であり、ベテランのサンダーボルト寄稿者であるエヴ・コクランは、『火星の変容』(1997年)、『ヴィーナスの多面体』(2001年)、『スターファッカー』(2006年)、『化石の神々と忘れられた世界』(2010年)、『ファエトン』(2017年)、そして最新作『ターコイズ・サンのケース』(2024年)の著者である。
エヴ・コクラン:ターコイズ・サン―ホルスの目
Ev Cochrane: Turquoise Sun – The Eye of Horus
タルボットと私が開発した、神話に基づく激変説論者 catastrophist の科学的理論は、主に歴史の再構成です。簡単に言えば、太陽系における地球の真の歴史を再構成しようという試みです。
歴史の再構成を真剣に検討するならば、これまで捉えどころのないもの、あるいは解決不可能と考えられてきた数多くの問題が解決されることが期待されるはずです。
アレッポ国立博物館の中庭にあるブロックに描かれた太陽と月の像を持つ新ヒッタイトの精霊
一方、誤った歴史の再構成は、決して未解決の例外を真に解決することはなく、その弱点(不備な点)はすぐに露呈します。
カルキダイク出土の壺に描かれた絵(前6世紀)。ゼウスはティフォンに雷を落としている
ホルスの目は、古代エジプト神話における最も重要なシンボルであるといえます。
ヘヌウトタウイ王妃の銘板
その一方で、ホルスの目は依然として謎に包まれており、エジプト学者たちは、ホルスの目を取り巻く数多くの伝統を理解できないことを率直に認めています。
ひとつ確かなことは、この"目"にまつわる神話は最初から最後まで破滅的なものだということです。ピラミッドテキストでは、この"目"は、宇宙の混乱と人類の滅亡をもたらすほどの恐ろしいアストラル(星に関係する)パワーとして描かれています。
古代神話に対する比較アプローチの理論的な力を示すテストケースがあるとすれば、まさにこれです。一体全体、ホルスの目に付随している奇妙な伝承をどう解釈すればよいのでしょうか?
ホルスの目の象徴性を理解するためには、調査の冒頭で、世界の滅亡の瀬戸際に立たされたとされる始まりの時代に、その目が放った扇情的な(発火力のある)猛威 incendiary rampage について語るエジプトの伝承を理解することが不可欠です。
このエピソードは、おそらく第19王朝のさまざまな王による二本の石碑に刻まれた"人類の滅亡"として最もよく知られており、古代エジプトから伝わる最古の神話物語のひとつです。
そこには、ハトホル女神として描かれた"目"が、明らかに王の支配に反抗した人類を罰するために、太陽神レーによって遣わされたと書かれています。
引用:「次に、人類は、まさにレーの目の前で何かを企てた…… そして、レーの顧問たちは、陛下の御前で言った。『ラーの目をお送りください。悪事を企む者たちを捕らえるために…… それはハトホルとして記憶されるべきでしょう』。そこで、さらにまたこの女神がやって来て、砂漠で人類を殺害した」
引用終わり。
人間に対して行われた破壊的なキャンペーンは、一般的に、戦士の女神ハトホルまたは彼女の分身であるサクメトが引き起こした流血の惨事として神話化されていました。
実際、同じテキストには次のように書かれています。「ハトホルはサクメトとして人間の血の中を歩いて渡るだろう」
引用終わり。
人類の滅亡は新王国時代にさかのぼりますが、荒ぶる(激怒した、荒れ狂う、猛烈な、猛威をふるう)目 Raging Eye を描いた女神の神話は、紀元前2350年頃のウナス王のピラミッドで既に証明されており、それゆえ、計り知れないほど古い時代のものでした。
ウナス王のピラミッドでは、ホルスの目から放たれた炎が、まさしく天の土台を揺るがすほどのけたはずれの嵐を引き起こしたと記されています。
引用:「我(ホルス)は我が目に炎を灯し、汝らをとり囲み、邪悪な行いをなす者たちに嵐を巻き起こし、太古(原始)の者たちに炎の爆発をもたらす。我は天を支えるシューの腕を打ち払う」
引用終わり。
コフィン・テキストにも、ホルスの目に関連する世界の終わりのような災害を暗示する謎めいた暗示が数多く見られます。
呪文3:16は、激怒する女神の恐ろしい力を強調しています。
引用:「我は恐ろしいホルスの燃える目であり、大量殺りくの女神である。レーが彼女について語った言葉:汝の恐れは強大であり、汝の畏怖は大きく、汝の打撃力は巨大である。汝と汝の力によって、すべての人間は死の眠りについている」
引用終わり。
ホルスの目は、天を覆う炎(ns)に例えられています。
実際、戦う目を持つ女神の天上の背景は、至る所で明白です。
引用:「我は空と大地の火であり、我の炎の下にはすべての敵がいる」
引用終わり。
エジプトの主要な女神は、いずれも一度ならずホルスの目と同一であるとみなされています。ハトホル、イシス、ウアジェト(ウジャト)、ムト、ウェブセトなどです。
セクメトにまつわる伝統は、戦う女神の本質を適切に示しています。
『パピルス・ブレムナー・リンド』レイモンド・O・フォークナー
ブレムナー=リンド・パピルスでは、王を守り、荒ぶる目として敵を追い払うのはセクメトです。
引用:「汝はレーの目のこの炎に定められている。汝に対して炎の嵐を送り出す…… セクメトの名において汝に力を与える。汝に対して炎のように燃え盛る。この"栄光の蛇"の名において」
引用終わり。
怒り狂う蛇の女神としてのセクメトのイメージは、エドフで発見された宗教的な碑文に数多く記されています。そこでは、女神の目が再び炎を吐く蛇と比較され、その蛇は保護の力で有名です。
次の一節をご覧下さい。
「おお、セクメトよ、レーの目よ、炎の女神よ、創造主を包み込む守護の女神よ…… おお、セクメトよ、血で道を満たし、見渡す限りのものを屠る女神よ、生きたイメージ、生きた鷹のもとへ来たり、彼を守り、あらゆる悪から彼を守りたまえ」
引用終わり。
意外なことに、道を血で満たし、極端に殺戮する恐ろしい女神が、ここでは生きた鷹であり星の神であるホルスに近づき、彼の守護神となるよう促されています。
火を吐くウラエウス※の蛇によるホルスの保護は、エジプトの宗教では自明のことです。
多数のテキストが"荒ぶる目"の慰撫 pacification(和解、鎮定)について言及しています。
正確な慰撫の手段は、私たちが望むほど明確に説明されてはいませんが、その"目"が慰撫されると、それが神ホルスに戻されたか、あるいは元通りに修復されたことは明らかです。
実際、多くの証拠が、その"目"を持つ女神が最終的にホルスの星を王家の頭飾りや王冠のように飾るようになったことを示唆しています。
この点に関して代表的なテキストは、ピラミッドテキストの220、221節であり、その目を持つ女神は、"魔術の偉大なる者 Great of Magic(偉大なる魔術)“という称号で呼ばれています。
引用:「魔術の偉大なる者よ、彼は汝のもとへやって来た。なぜなら、彼は彼の目による保護に包まれたホルスだからだ。おお魔術の偉大なる者よ……! ほう、炎の蛇よ! 我の畏怖が汝の畏怖のようであるように、我の恐れが汝の恐れのようであるように、それを叶えよ…… もし偉大なるイケトが汝を産んだのであれば、蛇のイケトが汝を飾ったのだ。もし蛇のイケトが汝を産んだのであれば、偉大なるイケトが汝を飾ったのだ。なぜなら、汝はホルスの目による保護に包まれたホルスなのだから」
引用終わり。
ここで明確に述べられているように、火を噴くウラエウスの女神に囲まれたホルスは、Ikhet the Serpent(蛇のイケト)、Great of Magic(魔術の偉大なる者)など、古代の称号で呼ばれ、それによって星の神に"目"が与えられ、魔法の防護壁が与えられます。この象徴化を理解する要点は、荒ぶる目がホルスの星を冠として取り囲むことで落ち着くというレポートです。荒ぶる目、ウラエウスがホルスの星の額の正しい位置に戻り、王冠が与えられることで、ホルスの星は畏敬の念を抱かせるような栄光と力を手に入れます。
・ウラエウスの女神がホルスを"取り囲む"(šn)ことで、星の神に"目"が授けられる。
・また、ホルスには魔法の防護壁(s3)が与えられる。
・荒ぶる目は、王冠としてホルスの星に戻り、それを包囲することで"鎮め"(shtp)られる。
実際、この取り囲む行為、つまりコンジャンクション(合、結合)によって、"目"の女神がホルスの星に神々の王としての力を与えていると言っても過言ではありません。
サリー・ジョンソン Sally Johnson は、この太古(原始)の神話の出来事を次のように要約しています。
サリー・ジョンソン著『古代エジプトのコブラの女神:先王朝、初期王朝、古王国時代』
引用:「創造の神は、コブラとなった"目"を、王冠を守るウラエウスとして額に置くことで鎮めた。こうしてコブラが鎮められたことで王政が確立し、ウラエウスは正当な王権と統一の象徴となった」
引用終わり。
ジョンソンの結論は的を射ており、強調するに値します。
王権の確立を象徴するのは、"目"のウラエウス Eye uraeus とホルスの星 Horus star の結合(融合)、すなわち再会(再結合)です。さらに、荒ぶる目が静まることは、荒ぶる目の破壊的な暴走に伴う恐ろしい宇宙の激変の後に、世界の秩序が回復することを示しています。この簡単な調査からでも、ホルスの目は古代エジプトにおける王権と神性に関する概念において中心的な役割を果たしていることは明らかです。
では、荒ぶる目を持つ女神にまつわる独特な(奇妙な)神話的伝統をどのように説明すればよいのでしょうか?
ピラミッドテキストの著名な翻訳者であるジェームズ・アレン James Allen は、ホルスの目を太陽と同一であるとみなしています。
引用:「ウラエウスは本質的には太陽の破壊的な力である。女神とされるのは、この場合、太陽は太陽神(ホルスまたはラー)の目として見られ、それは女性的なものであるためである(jrt)。通常、ウラエウスは(ウィジェットとも呼ばれるが、これも女性的なものである)コブラとして表される。これは、打撃を与えて殺すことのできる力という概念によるもので、象形文字では N6(コブラを伴う太陽円盤)で表される。同じ力が王の頭飾りにも宿っていると見なされている。それがウラエウスが描かれている理由である」
引用終わり。
しかし、もしホルスの目が太陽と同一であるとみなしているのであれば、ホルス・レーから離れることをどのように理解すればよいのでしょうか?
もしアレンが言うように、ホルスが太陽と同一視されるのであれば、太陽の目は離れ、世界を破壊の危機にさらした後、王冠そのものを包み込むように戻ってくるという、一見するとパラドックスとも思える状況が残ります。
また、エジプトの天体観測者が、同一の天体を同時に男性と女性として概念化する理由も問われなければなりません。
ホルスの星が男性的な戦いの神の天体上の原型を表している一方で、太陽の目は母なる女神の原型を表しているとすると、このエジプト神話の解釈は事実と食い違っており、無理があるように思われます。
また、火を噴き出す"目"による猛威を示す明白な破滅的な比喩的描写は、太陽仮説では説明が難しいという事実も同様に問題です。
太陽が恐ろしい火を噴く蛇のような姿で天から追放されるとは、どのような意味でしょうか?
どのような状況で太陽は人類を滅ぼすのでしょうか?
太陽の馴染み深い外観が、蛇のような女神として、ホルスの星を光り輝く冠やヘッドバンドのように取り囲むように概念化されるのはなぜでしょうか?
ひとつの星を指すというよりも、ホルスと"目"の関係は、二つの全く異なる天体間の密接な相互作用、あるいは合体として理解する方がより適切です。この点については、証拠の優位は明らかです。
ホルスの"目"は母なる女神と同一であるとされるべきものであり、その意味で、歴史的再構成における火星と同一であるとみなされる男性的なホルスと関連する星とは全く異なる星を表しています。古代エジプトのみならず、世界中で、母なる女神の天体としての原型にふさわしいのは、金星ただ一つです。
この結論については、エジプトの星の宗教を研究した多くの出版物の中で、ホルスの目は金星と同一であるとする証拠を提示したロルフ・クラウス Rolf Krauss の見解に、私たちは完全に同意しています。
金星がホルスの目に関するエジプトの伝統の主題である可能性を認めるとして、その破壊的な暴走を描いた激しいイメージをどのように理解すればよいのでしょうか?
“目"には、人間に火と破壊を降らせる顕著な能力がありますが、それはどこから来ているのでしょうか?
金星が、ある時は荒れ狂う蛇として、またある時は鎮められたり静まったりしているように概念化されるのはなぜでしょうか?
これらの極めて重要ないくつかの質問に対して、クラウスは単に「観察者が荒れ狂う様子と平穏な様子をどのように理解していたのかは依然として不明である」と述べるだけで、本質に迫る回答は何も提示しませんでした。
引用終わり。
ここで重要なのは比較方法です。エジプトの"目"にまつわる伝統が奇妙で突飛に見えるとしても、メソポタミアやその他の地域では、空に浮かぶ恐ろしい災害の使者として金星を似かよった言葉で表現しており、火を噴きながら蛇の形をしていると仮定する傾向が強いのです。
イナンナの高揚として知られるシュメールのテキストに保存されている古代の伝承によると、好戦的な惑星の女神が天から火を支配していたのは、後者の外見においてでした。
エンヘドゥアンナの賛美歌、ニンメサーラは、シュメールの楔形文字の粘土板から復元されたもので、翻字、英語訳、注釈付きである。
「翻字(別の言語・書記体系での書き直し、音訳)には、ラバト著『マニュエル・デピグリフィ・アッカディエンヌ』(1948年)で示されたシュメールの数値が用いられている」
引用:「竜のごとく、大地に毒を堆積させた。大地に向かって雷のように吠えるとき、草木はみな立ち向かうことができない。山から流れ出る洪水、抜きんでた存在よ、汝は天と地のイナンナである! 風に煽られた火を国々の上に降らせる」
引用終わり。
翼のある勝利のイナンナ・イシュタル、咆哮するライオンと星のシンボルに足を置き、下位の女神に崇拝されている。黒い石の円筒印章。アッカド、紀元前2334年頃から2154年頃。S.Beaulieu、Wolkstein & Kramer 1983:92より
※イナンナとイシュタルの違い
イシュタルは、シュメールの女神イナンナのアッカド語名。アッカド帝国では、イナンナの武闘的な側面が強調され、戦いの勝利のために頻繁に祈願された。イナンナとイシュタルの違いがあるとすれば、それは彼女が戦争の女神として注目されていること。
事実上、全く同じイメージが、シュメールのイナンナと同様に金星と明確に同一視されていたセム族の女神イシュタルの初期の文学的伝統にも見られます。この点について代表的な一節を以下に引用します。
引用:「我はその戦いの中で炎のように戦いを降り注ぐ。我は叫び声をあげて天と地を揺るがす。我は絶えず天を駆け巡り、そして大地を踏みつける。我は人が住む世界の残骸を破壊する」
引用終わり。
ここで、イナンナを描写するシュメールの賛歌のように、空から火と破壊を降らせているのは金星です。
この問題のイメージの天体的な背景は、これ以上明白で明確なものは考えられません。古代メソポタミアでは、エジプトと同様に、荒れ狂う惑星の女神が、その後に終末的な嵐を巻き起こします。
この点について、BM23820として知られるシュメールのテキストの証言は有益です。
引用:「イナンナ、すべての土地、すべての民の上に雨を降らせる女神、雷鳴のような嵐、天を震わせ、地を揺るがす女神。地上の球体に松明を降らせ、高地に稲妻のように閃く貴方…… 汝の怒りの心は恐ろしい洪水の波である」
引用終わり。
この賛歌やその他の初期シュメールのテキストでは、イナンナ・ヴィーナスが空から火や洪水を降らせる様子が描かれており、これはほぼ同時期の紀元前2000年頃のエジプトのテキストに登場する"荒ぶる目"の描写とよく似ています。女神のたけり狂う大災害的な性質が明らかです。
引用:「女神が毒を吐くところでは、嵐が吹き荒れ、争いが大地をうめき声で揺るがす」
引用終わり。
この概略的な調査からでも、イナンナ=ヴィーナスを描写する神話の伝統と、ホルスの目に関するそれらとの驚くべき類似性が明らかです。
しかし、エジプトの"目の女神"に捧げられた数十冊の単行本や、何百もの記事で取り上げられた"荒ぶるホルスの目"の独特な象徴性について言及した学者は知っていますが、その"目"とイナンナ=ヴィーナスの多様な対応関係について言及した学者は一人も知りません。ましてや、その伝統の体系的な異文化間の分析を行った学者は皆無です。
比較神話学の知識がエジプト学の分野では一般的ではない、という事実を指摘するだけで十分でしょう。その結果、現代のエジプト学は、20世紀初頭の学問を支配していた時代遅れの太陽神解釈から抜け出せずにいます。
『ラーの信仰:古代エジプトの太陽崇拝』スティーブン・クィルク
古代エジプトのホルスの荒ぶる目の記述が、シュメールの荒ぶるイナンナ=ヴィーナスの記述と事実上一対一で対応しているという事実をまったく認識していません。
エジプトの証言に戻ると、荒ぶる目は周囲を取り囲む嵐を生み出したことを思い出してください。先に引用したウナス王のピラミッドの記述では、ホルスの目から放たれる炎は荒れ狂う嵐に例えられています。
引用:「我(ホルス)は我が目に炎を宿し、汝らをとり囲み、邪悪な行いをなす者たちに嵐をもたらし、太古(原始)の者たちに激しい炎を放つ。我は天を支えるシューの腕を打ち砕くであろう」
問題になっている嵐をどう理解すべきかについては、明らかに、それは宇宙規模の気象擾乱だということです。
コフィン・テキストでは、同じ単語(nšn)が繰り返し使われて、終末的な擾乱を意味しています。
しかし、コフィン・テキストの呪文335では、同じ単語が荒れ狂う女神の怒りを表現するために使われています。
『古代エジプトのコフィン・テキスト第1巻』R. O. フォルカー
引用:「我は、その怒りの時に、聖なる目から髪を逆立てた」
引用終わり。
星の目と髪の毛という一見つじつまの合わない関連性については、問題の呪文に付された注釈によって、完全に明確にされているわけではありませんが、説明されています。
引用:「怒りの時の聖なる目は何か? 誰がその目から髪を逆立てるのか? それは、彼が使いに出した後に彼に対して怒りを覚えた時の、レーの右目である」
引用終わり。
ここでは、荒ぶる目の怒り(天罰)(nšn)を引き起こす災厄が、その髪((šnj)と明確に結び付けられています。
この二つの伝承を併せて考えると、ホルスの目に関連する"怒り"や"嵐"が、その宇宙からの髪と何らかの形で結びついていたことは明らかであると思われます。
同じ結論は、エジプト語の"髪"を意味する (šnj) と"嵐"を意味する (šnjt) の語源的な関係からも裏付けられます。
後者の語は、亡くなった王が天に昇る際に伴う太古(原始)の嵐を意味するために用いられます。
発話 511.
1149a. 今日:ゲブは笑い、ヌトは
1149b. 彼の前で微笑む。(Nが天に昇る時。)
1150a. 天は彼のために喜び、地は彼のために震え、
1150b. 嵐は彼のために唸り声をあげる(文字通り、彼のために突き進む)。
1150c. 彼はセトのように吠え(あるいは唸り)
また、関連するものとして、目の女神の怒りを意味する (šnt) という語もあります。
ホルスの目を金星として説明するエジプトの伝統について、クラウスをこれほど困惑させた質問に対するおそらく答えは、ここにあります。
すなわち、その奇妙な荒ぶる性質をどう説明するのかということです。
目は荒ぶるものとして概念化されました。それは、空を旋回しながら乱れた髪をあらわにしていたからです。嵐を起こし、大量の火の粉を吹き飛ばしながら。このように、放浪の女神の帰還に関するいくつかの記述では、女神が髪を振り乱していると描写されています。ここで使われている形容詞は ththで、乱れた様子を表します。
しかし、同じ単語は、その当時のひどく破壊的な気象現象についても描写しています。これだけなら明白でわかりやすいですが、金星が突然、振り乱した髪や嵐を帯びた髪を暗示するように概念化されるのは、なぜなのか、どのようにしてなのか、明らかにされる必要があります。
この問いに対する答えは、目に見える惑星は数百万年もの間、その外観や軌道を根本的に変化させていないという、現代天文学の中心的な教義とは相容れないものであると言わざるを得ません。しかし、証拠が導く先にはどこまでも従う必要があります。
シャーロック・ホームズがよく言っていたように、「不可能なことをすべて排除したら、どんなにありそうにないことでも、それが真実であるに違いない」
引用終わり。
一見ありそうもないことのように思えるかもしれませんが、古代の天体観測者たちが語る金星の近年の歴史は、非常に首尾一貫したストーリーを語っています。すなわち、彗星のような髪をなびかせながら、惑星が荒れ狂っているというストーリーです。自然科学の観点から金星の髪の性質を明らかにするためには、ホルスの星を王家のヘッドバンドで囲むようになった"目"の女神の物語を伝えるエジプトの伝統の再考がためになります。
ピラミッドテキストの第510節は、この点において特に有益です。そこでは、この"目"は偉大なるイケト Ikhet the Great として語られています。
引用:「我は、偉大なるイケトから出たこの赤い頭飾り(ヘッドバンド)である。我は、このホルスの目であり、人間よりも強く、神々にも勝る」
引用終わり。
ここで、全能のホルスの目は、イケトの蛇から発するヘッドバンドとして明確に示されています。ここで"ヘッドバンド"と訳されている語(sšd)は、この(矢印で示した)グリフで決定されています。
すべてのエジプト学者が同意するように、もし、ホルスの目が天体と同一だとされるのであれば、この選択を決定的なものとしてどう説明すればよいのでしょうか?
この質問は、別の質問に直接関連しています。
なぜ、ヘッドバンドが火を降らせ、人間よりも強く、神々よりも強大な恐ろしい蛇のような形にたとえられ、同じものとだとされるのでしょうか?
決定的な手がかりは、この単語(sšd)が “ヘッドバンド"を表すだけでなく、彗星のような物体や炎を散らす星を意味することからも明らかです。実際、エジプトのテキストには、空を横切って炎を散らしながら進む星(sšd)について記述したものが多数あります。
ブーラク博物館にあるトトメス3世(新王国時代第18王朝)の石碑、カルナックで見つかった花崗岩の勝利の石碑は、現在はカイロのエジプト博物館に所蔵されている。二匹のコブラの頭部を持つ太陽神の翼のある円盤が、二つの場面の上に描かれている。その場面では、二つの大きな羽の冠を被った神アメンがトトメス3世が捧げものをしている場面と、ヌビアの女神が見守る中、二本の長い羽の冠を被った神アメンが捧げものをされている場面が描かれ、ヒエログリフとカルトゥーシュで囲まれている。トトメス3世の勝利を称える詩が数行書かれている(下)。石碑の上部が割れている。
例えば、カルナックで見つかった詩的な石碑では、戦うファラオ、トトメス3世が(sšd)星 a (sšd) star に例えられ、「炎を散らし、その火の雨を降らせる」と表現されています。
ウェインライトが指摘しているように、王家の碑文の議論において、星(sšd)の恐ろしい幻影はエジプトのテキストで強調されている点です。
引用:「その危険な性質は、ファラオが戦場で敵に(sšd)のように見えることを望んだことで証明されている」
引用終わり。
しかし、これまで見過ごされてきたのは、火炎を振りまき、恐怖を煽るという(sšd)の星の性質が、エジプトのホルスの荒ぶる目の報告に正確に反映されているという事実です。
先に引用したウナス王のピラミッドの一節では、ホルスの目の炎が荒れ狂う嵐に例えられています。
引用:「我(ホルス)は我が目に炎を灯し、汝らを包み込み、邪悪な行いをなす者たちに嵐をもたらし、その火の噴出を太古の者たちにもたらすであろう」
引用終わり。
ホルスの目は、太古(原始)の者たちの上に炎の爆発(hfhft)や流出するガスのうねりを引き起こすと言われています。
この伝統は、トトメスの詩で書かれた石碑の星(sšd)に降り注ぐ炎の流出するガスが関連付けられていたという事実を想起させます。
では、炎の氾濫と"目"の特異な関連性はどのように説明すればよいのでしょうか?
天体的な根拠がこのようなイメージの背景にあることは、地球外からの火の氾濫と雨が、イナンナ・ヴィーナスによってもたらされた災害そのものであるという事実によって強く裏付けられています。これは、前述のシュメール人の物語だけでなく、次の賛歌からも明らかです。
引用:「竜のように、あなたは大地に毒をまいた…… 山から流れ下る洪水、おお、最高位の者よ、あなたは天と地のイナンナだ! あおられた炎を国々に降り注ぐ」
引用終わり。
同様にして、ホルスの荒ぶる目と関連付けられた炎の洪水(hfhft)は、イナンナ・ヴィーナスの扇情的な暴走(激しく怒った破壊的な行動)と関連付けられた怒りのような洪水と、正確に構造が類似しています。
次の一節をご覧ください。
引用:「彼女の怒りは、誰も逆らうことのできない壊滅的な洪水である」
引用終わり。
ホルスの目について述べたエジプトの伝統と、イナンナ・ヴィーナスを称えるシュメールの伝統との間の詳細な類似の視点から見ると、それぞれの説明が同じ天体を描写しているのかどうかを問う必要があります。
この点については、証拠は明白です。ホルスの目はイナンナと同じく、惑星金星と同一であるとみなされます。同様にして、この発見は、古代エジプトの宗教を正しく理解する上で、重大かつ広範囲にわたる影響を及ぼしています。"目"の歴史は最初から最後まで破滅的なものであり、その時代における in Illo tempore(ミルチャ・エリアーデが記録された歴史以前の時間を説明するために使用した用語)世界の終末を思わせる大惨事と明確に関連しています。闇と混沌の中で人類と戦うという概念が生まれた後、漠然とした期間を経て、荒ぶる目は最終的に鎮められ、あるいは落ち着きを取り戻し、すぐに宇宙に秩序が回復しました。
ピラミッドテキストの220と221の文言に保存されている古代の記述によると、"目"は最終的に蛇の女神として星の神ホルスを取り囲むようになりました。
蛇を手に入れ、それによって彼に神盾のような aegis-like※ 頭飾りまたは冠を与えました。
※イージス:aegisとは、ギリシャ神話においてゼウスが娘アテナに授けたとされる神盾のこと。アイギス、アイジス:ホメロスの「イーリアス」に描かれる、アテーナーやゼウスが持つ盾。これを振るだけで、山が雲に覆われて雷が鳴り、人は恐れおののいたとされる。
私たちの見解では、目の女神がホルスの星を囲んでいることは、金星が火星と結合し、彗星のような帯でそれを囲んでいるように見えるという、驚くべき天文学的現象に直接関連しています。
したがって、この単語(sšd)が頭飾りや炎を散らす星を意味するようになった理由もそこにあります。
実際、単にこの単語(sšd)が他の場所で(矢印で示した)このグリフによって決定されているという事実が、輪状のホルスの王冠を形成するウラエウスの蛇と密接な関係があることを証明しています。
デンデラの神殿
デンデラのホルス:デンデラのハトホル神殿にあるレリーフには、エドフのホルスが描かれており、上エジプトと下エジプトの王冠を合わせたものを被り、玉座に座っている。このレリーフは、神殿の外列柱室の(内部)東壁にあり、西暦1世紀のものとされる。
エジプトの"目"とシュメールのイナンナが共通の天体の原型に由来しているとすれば、シュメールの伝承におけるイナンナ・ヴィーナスと王家の頭飾りの密接な関係を示す類似した伝統が存在していると予想するのは当然でしょう。
イナンナという名前は、"mùš"(ムーシュ)の記号として知られる古代の象形文字で書かれており、古代中近東の天文学的伝統の権威として著名なピーター・フーバー Peter Huber は、それが彗星に似ていることを認めています。
『紀元前750年から紀元前1年までのバビロニアの月食観察』ピーター・J・フーバー
引用:「イナンナのシンボルは、時折彗星のように見える」
引用終わり。
しかし同時に、"mùš"の記号は、エジプトの(sšd)バンドのような王のヘッドバンド(頭飾り)を表すのにも用いられていました。
ピョートル・スタインケラー Piotr Steinkeller の発言をご覧下さい。
引用:「その具体的な意味については、間違いなく、ある種のバンドを見出すことができる。したがって、"王冠 diadem “という訳語は不適切ではない。したがって、イナンナの古代のシンボルはスカーフまたはヘッドバンドを描いているようだ」
引用終わり。
紀元前3千年紀のシュメールの神殿賛歌では、母なる女神が “mùš"というヘッドバンドを王に巻いている様子が描写されています。次の一節をご覧ください。
引用:「新生の(生まれ変わった)王に、彼女は"mùš"を頭に巻く。生まれ変わった支配者に、彼女は王冠を頭に載せる。彼女の手の中にあって、彼は安全だ」
引用終わり。
エジプトの伝統では、女神イシスに関する同様の物語が伝えられています。ピラミッド・テキストによると、イシスはいずれ神々の王となるホルスの頭にヘッドバンドまたはヘアバンドを結びました。
引用:「偉大なるイシスは、チェミス Chemmis※ でヘアバンド(細いリボン)を結び、息子ホルスの幼子の前で香を焚きながら腰布を持ってきた」
引用終わり。
※Chemmis:ケミス(チェミス)
古代エジプト語で"下エジプトのパピルス沼地の王"を意味する。ある神話によると、イシスが息子ホルスを産んだ場所、あるいは邪悪な叔父セトからホルスを隠した場所である。別の神話によると、下エジプト王の子供としてシュとテフヌトが生まれた場所である。後世の伝承(例えばヘロドトス)によると、それはブトの神殿近くの湖に浮かぶ島であるという(つまり、移動可能で、セトからよりよく守られている)。その島にある神殿は、ハルケビス(="ケミスのホルス")に捧げられていた。
copilot
「Chemmis」(チェミス)とは、古代エジプトの地名で、特にイシスとホルスに関連する神話で知られています。チェミスは、ホルスが育てられたとされる神聖な場所であり、イシスがホルスを守り育てる重要なエピソードが展開される場所とされています。この場所は、現在のエジプトのどこに相当するかは確定していませんが、エジプト神話において特別な意味を持つ場所です。
ここで問題とされている一節では、ヘッドバンドを表す言葉は(mdh)であり、(sšd)と置き換えることができます。(mdh)の最も一般的な表意文字または決定的要素がここに描かれています。
この表意文字と、イナンナ・ヴィーナスを示すために用いられるシュメール語の"mùš"記号との類似性は同時に明らかです。
両方の象形文字が王の頭飾りや冠を表現するために使われていたという事実は、両者の根源的な類似性を裏付け、らせん状の渦巻きのような形が天体の原型に由来することを示唆しています。
この証拠をどう解釈すべきでしょうか?
都心の inner city(低所得者層が密集して住む都心のスラム街を婉曲的にさす)バスケットボールの有名な挑発的な言葉を言い換えると:象形文字は嘘をつかず、帰する所、エジプトの目の女神とシュメールの金星の女神の詳細な類似点が、惑星カタストロフィズム(天体災害)の根拠を示しており、太陽系の最近の歴史、恐らく過去10,000年以内の理解において、大規模な革命が必要であることを示しています。
──つづき
ホルスの目と金星:天文学的および神話上の論及
The Eye of Horus and the Planet Venus: Astronomical and Mythological References
Rolf Krauss
ホルスの目と金星:天文学的および神話上の論及
ロルフ・クラウス
天体としてのホルスの目
ホルスの目は非常に複雑な神話上の概念である。その側面のひとつは宇宙論的である。王冠の賛歌では、ホルスの目は白い王冠
White Crown と呼ばれ、天体として認識されている。
白い王冠への賛美:
汝に敬意を表する。ホルスの目よ、白き者よ、偉大なる者よ、汝の美しさにエンネアッド(九柱の神々)が歓喜する。汝が光を放つとき、東の地平線に昇る。汝が光を放つとき、西の地平線に沈む者たちも汝を称える。汝が光を放つとき、デュアト(冥界)に光をもたらす。
・・・(中略)・・・
ホルスの目としての惑星金星
太陽から離れて再び戻ってくる天体として最有力候補に挙げられるのは、金星である。金星はラーの目とホルスの目を体現しているという仮説を立てることができる。ホルスの目には二つあるという神話上の概念は、明けの明星=若きホルスと宵の明星=老いたホルスとしての金星と関連している可能性がある。この二つのホルスの形態は、どちらもオシリスとイシスの息子である。兄ホルスは、オシリスとイシスの兄弟であるセトがオシリスを殺害する前に、受胎され誕生した。弟ホルスは、オシリスの殺害後に死後受胎された。
エジプト学者は、オシリスをめぐる神々は星や星座を体現していることを知っている。オシリス自身はオリオン座として現れ、イシスはシリウスという恒星と同一であり、セトは水星である。
争いの中で、セトはホルスの目をえぐり出した。その傷ついた目は行方不明になったが、月の神トトがホルスに返して元通りにした。セトと結び付けられた惑星の関連性、そしてホルスと金星の関連性から、欲望によって傷つけられ、その後癒された目に関する神話は、水星、金星、月を中心とした天文学的な観察を反映している可能性がある。
人類滅亡の伝説
The legend of the destruction of mankind.
人類滅亡の伝説。
[これはラーの物語である]自己生成し自己創造した神は、男女、神々、事物の主権を握った後、唯一神となった。
今、男女は次のように不満を口にしていた。「ご覧ください。陛下(陛下に生命、力、健康を!)は老い、骨は(銀のようになり、手足は金に変わり、髪は本物のラピスラズリのように輝いています。
陛下は、男女が口々に漏らす不満の言葉を耳にすると、陛下(陛下に生命、力、健康あれ!)は、側近たちにこう言った。「叫び声をあげて、私の目、シュ、テフヌト、セブ、ヌト、そしてヌト神と並んでヌ神がいたときに私と共にいた父神、母神を連れて来い。
私の目とともに彼の神官たちを連れて来させ、彼らを秘密裏にここに導かせよ。そうすれば、男女が彼らの到来に気づかず、それゆえに彼らの心で逃げ出すこともないだろう。
汝は彼らとともに大いなる家に来なさい。そして、彼らに彼らの計画(または、準備)を十分に説明させよ。なぜなら、私はヌから、私が自らの存在を実現させた場所へと向かう。そして、それらの神々をそこに連れて来させよ」
今、神々はラーの両側に並び、その頭が地面に触れるまで、神々の王の御前でひれ伏した。そして、男女を創造した者、知恵ある者たちの王が、長子神の父の前で言葉を述べた。
そして神々は、神々の王の御前で次のように述べた。「我々に語りかけよ。我々は彼らの言葉を聞いているのだ」(すなわち、汝の言葉)。
そして、ラーはヌに語りかけた。「汝、私が生まれた最初の神よ、太古の神々よ、私の祖先よ、汝ら、男女が何をしているかに注意を払え。見よ、私の目によって創造された者たちが、私に対して不平を口にしている。
汝らならどうするか教えてくれ、そしてこのことを考えてくれ、そして私のために策を練ってくれ。私が彼らを殺すのは、汝らがこのことについて私に何を言うか聞くまでだ」
ヌの王は、ラーの息子に語りかけた。「汝は、汝を創造した神よりも偉大な神である。汝は、汝と共に創造された者たちの支配者であり、汝の玉座は確立され、汝への畏敬の念は大きい。汝への冒涜を口にした者たちに対して、汝の目を向けるがよい」
そして、ラーの威光は言った。「見よ、彼らは山岳地帯へと逃げ込んだ。彼らの心は、彼らが口にした言葉のために恐れている」
すると神々は、神の御前で次のように語った。「汝の目を行かせ、汝を悪く罵る者たちを汝のために滅ぼさせよ。ハトホルとして旅する際に、汝とそれに抵抗できる目は他にないのだから」
そこでこの女神は出て行き、山(あるいは砂漠)にいた男女を殺した。
そして、この神の威光は言った。「ハトホルよ、平和のうちに来なさい。仕事は成し遂げられた」
すると、この女神は言った。「あなたは私を生かしてくれた。男女を支配下に置いたとき、それは私の心に甘美なものだったから」そして、ラーの威光は言った。「私が彼らの王として彼らを支配し、彼らを滅ぼそう」
そして、セケトは供物の血の中を夜の間、スーテン・ヘネンから歩き回った。
すると、ラーの神は語りかけた。「叫べ。そして、風のように走れる迅速な使いを私のところへ来させろ」。するとすぐに、この種の使いが彼のもとに連れてこられた。
そして、この神の威光が語った(言った)「これらの使者たちをアブに行かせ、大量のマンドレイクを私のもとに持って来させよ」と。そして、これらのマンドレーク(地中海地方産のナス科の有毒植物、根は昔催眠剤などに用いられ、媚薬になるとも信じられた)が神のもとに運ばれたとき、この神の威光は、それをアヌ(ヘリオポリス)に住まう女神セケトに砕かせた。
見よ、侍女たちがビールを造るために穀物を潰していたとき、これらのマンドレークはビールを入れる容器に入れられ、殺された男女の血の一部も入れられた。
彼らは7,000個のビールの容器を作った。
さて、南と北の王である太陽神の威厳が神々と共にやって来て、ビールの壷を見ると、なんと、女神が川を遡上する季節に男女を殺戮した後、昼間が現れた。太陽神の威厳は「それは良い、それは良い。しかし、私は彼女から男女を守らねばならない」と言った。
そして、ラーは言った。「彼らに花瓶を手に取らせ、彼女によって男女が虐殺された場所まで運ばせなさい」
すると、南と北の王の威光が、夜の三倍の美しさの中で、人々を寝転ばせる(あるいは眠らせる)ビールを注がせた。そして、この神の威厳の魂によって、四つの天の草原はビール(あるいは水)で満たされた。
そして、この女神が夜明けに到着したとき、彼女はこれらの天がビールで溢れているのを見つけ、それに満足した。そして、彼女はビールと血を飲み、心は喜び、酔っ払ってしまい、もはや男女に注意を払わなくなった。
そして、ラーの神は女神に「安らかに来れ、安らかに来れ、アミットよ」と言った。すると、アミット(またはアメン)の都市に美しい女性たちが現れた。
そして、ラーの威厳は、この女神について次のように語った。「彼女のために、一年のすべての神聖な時と季節に眠りを誘うビールを入れる器を作らせよ。そして、それらの数は私の侍女の数に従うものとする」。 そして、その初期の時代から現在に至るまで、人々はハトホルの祭りの際に、ラーの侍女の数と同じ数のビールを醸造し、人々を眠らせてきた。
そして、ラーの威光は、この女神に語りかけた。「私は病の火の苦痛に襲われている。この苦痛はどこから来るのか?」
そして、ラーの威光は言った。「私は生きているが、彼ら(すなわち、人々)との存在に私の心はひどく疲れ果てた。私は彼らの一部を殺したが、価値のない者たちの残党が残っている。私が彼らの中に引き起こした破壊は、私の力ほど大きくはなかったからだ」
すると、彼に従う神々は彼に言った。「あなたの無気力に打ち負かされてはならない。あなたの力はあなたの意志に比例するのだから」
そして、この神の威厳はヌの威光に言った。「私の器官は初めての時は弱かった(または、初めての時のように弱かった)。私は二度とこのようなことが起こらないようにする」
そして、ヌの威光は言った。「シュウの息子よ、汝は汝の父の目となり、汝の父の道となり、汝は女神ヌトとなり、汝は汝の父を……」
女神ヌトは言った。「どうしてそうなの、父ヌトよ?」女神ヌトは神ヌトに「万歳」と言った。すると女神はたちまち牛となり、その背にラーの威光を乗せた。
そして、これらのことが行われたとき、男女は牛の背に神ラーを見た。
すると、これらの男女は言った。「我々と一緒にいてください。我々は、神を冒涜する言葉を口にする汝の敵を打ち負かし、滅ぼします」
そして、陛下(ラー)は大邸宅へと向かい、ラーに従う神々は(すなわち、男たちとともに)そこに留まった。その間、大地は闇に包まれた。
そして、大地が再び明るくなり、朝が明けると、男たちは弓と武器を手に現れ、ラーの敵を撃つために武器を構えた。
すると、この神の威光が言った。「汝らの暴力の罪は過去のものとなった。なぜなら、敵の虐殺は犠牲の虐殺よりも上にあるからだ」。こうして、犠牲の虐殺が生まれた。
そして、この神の威光はヌトに言った。「私は背を上に向け、体を伸ばしている」。では、これは何を意味するのか?
それは、彼がヌトと一体となった(?)ことを意味する。
[こうして]…………
すると、この神の威光が「私は彼ら(すなわち、人々)から離れ、彼(私を見る私)は後に来なければならない」と言った。こうして…………
次に、この神の威厳がその内部から外を眺め、「(私のために)人々を集め、大勢が住める住居を用意しなさい」と言った。こうして…………
そして、その神(彼に生命、健康、強さがあらんことを!)は「広大な野原(セケト)を創れ(ヘテプ)」と言った。するとセケト・ヘテプが生まれた。
そして神は言った。「私はそこに草(aarat)を集めるだろう」するとセケット・アール(Sekhet-aaru)が生まれた。
そして神は言った。「私はそこにあらゆる種類の星のようなもの(khet)を住人として入れるだろう」すると星(akhekha)が生まれた。
すると女神ヌトは高さに震え上がった。
そして、ラーの威光は「私は、支えが女神を支えることを命ずる」と言った。すると、天の支柱(heh)が現れた。
そして、ラーの威光は言った。「我が子シュウよ、汝に我が娘ヌトの下に身を置き、汝が何百万(heh)もの支柱(heh)を守り、闇の中で生きるように祈る。
汝は女神を頭に載せ、彼女の乳母となるのだ」。こうして、息子に娘の乳母をさせるという習慣と、父親が息子を頭に乗せて運ぶという習慣が生まれた。
✭以下の資料は一般的な解釈の例です。
Raging Eye エジプトの荒ぶる目
ラーの目は太陽神ラーの力の象徴であり、しばしばウア(コブラ)や雌ライオンとともに太陽の円盤として描かれている。 保護、治癒、回復の象徴であり、魔除けやお守りとして用いられ、災厄を退け、幸運をもたらすものとされてきた。
一方、"ホルスの目"は、保護、治癒、繁栄の象徴であり、鷹の頭を持つ神ホルスの左右の目として描かれることが多い。完全性と誠実さの概念を表し、守護者および擁護者としての神の役割と関連付けられている。
要点
ラーの目は太陽神ラーの力の象徴であり、保護、治癒、回復を表す。
ホルスの目は保護、治癒、繁栄の象徴であり、完全性と誠実さを表す。
Great of Magic 偉大なる魔術
聖なる魔法の女神であるイシスは、しばしば “偉大なる魔術"と呼ばれている。彼女は古代エジプトのヘカという概念と関連しており、ヘカは自然界の基礎であり、あらゆる魔法の根底にある力。
称号と異名
イシスには、魔法に関連する多くの称号や異名がある。
魅惑の女神:イシスは、魔法の力を使って目的を達成する魅惑的な能力で知られている。
言葉の力を持つ女神:イシスは、言葉や言語の力と関連付けられており、魔法を使って現実を創造し、形作る。
魔法の女神:イシスは"魔法の女神"と呼ばれ、魔法の力を持つ強力で崇拝される女神としての地位が強調されている。
ヘカと魔法
古代エジプト文化において、ヘカは超自然的または自然界を超えるものではなく、むしろ自然界の根本的な一部と見なされていた。イシスは魔法の女神として、この力と関連付けられており、精神的な成長、癒し、保護など、さまざまな目的のためにこの力を操る能力があるとされている。
魔法の実際的な応用
“偉大なる魔術"として、イシスは呪文や儀式の実践など、魔法の実際的な応用とも関連付けられている。彼女の信奉者たちは、自己成長、癒し、保護など、さまざまな目的で魔法を使用することがある。
全体として、聖なる魔法の女神イシスは、古代エジプト文化において強力で崇敬を集める存在であり、ヘカの概念や魔法の力と関連付けられている。
Uraeus goddess ウラエウスの女神
ウアジェトは、古代エジプトの王族、保護、豊穣の女神である。彼女はしばしばコブラとして描かれ、そのシンボルはウラエウス、すなわちエジプトコブラの様式化された直立した姿である。ウラエウスは、主権、王族、神、神聖な権威の強力な象徴である。
起源と崇拝
ハジェトの崇拝は、ナイル・デルタの都市ペル・ハジェト(後にギリシア人によってブトと改名)で始まった。彼女はナイル・デルタの守護神となり、下エジプト全体の守護神となった。彼女の崇拝は古代エジプト全土に広がり、王族、豊穣、保護の女神として崇められた。
神話と関連
神話では、ワジェトは幼い神ホルスの乳母であり、ホルスの母であるイシスが彼を裏切り者の叔父セトから守るのを助けたとされている。また、太陽神ラーと関連付けられ、ラーの唾液と大地の塵から最初のウアレス(コブラの形をした神聖な蛇)を形成したと信じられている。
象徴と重要性
ウアジェトの象徴であるウアジェトは、ファラオに正当性を伝えるものであり、ファラオはそれを頭飾りとして身につけた。それは保護、主権、神聖な権威を象徴するものだった。女神が王族や豊饒と関連付けられたことから、ファラオの強力な守護者であり、土地の守護者となった。
描写と遺物
ハゲワシはしばしばコブラとして描かれ、時には人間の頭部やハゲワシの頭部を持つこともある。また、頭部にウラエウスを身に着けたり、冠として表現されることもある。ウラエウスをモチーフにした遺物には、葬祭用のマスク、装飾品、建築要素などがある。1919年に発掘されたセヌセレト2世の黄金のウラエウスは、このシンボルの有名な例である。
影響と遺産
ウアジェトの影響力は古代エジプトを超えて広がり、彼女のシンボルであるウアジェトはギリシャやローマの芸術など、他の文化にも登場した。彼女の神話と象徴は今日に至るまで、芸術、文学、精神性にインスピレーションを与え続けている。
要点
ワジェトは、古代エジプトの王族、保護、豊穣の女神である。
彼女のシンボルはウアジェト、すなわちエジプトコブラの様式化された直立した姿である。
彼女はナイル・デルタの守護神、下エジプトの守護神として崇拝されていた。
ウアジェトはファラオに正当性を伝え、保護、主権、神聖な権威を象徴した。
ワジェトの神話と象徴は、芸術、文学、精神性に今もインスピレーションを与え続けている。
Eye of Horus ホルスの目
古代エジプトの保護、王権、健康の象徴
ラーの目、またはレの目として知られる"ラーの目"は、古代エジプト神話における強力かつ複雑な女神である。 太陽神ラーの力の延長であり、太陽の円盤や右目(ウェジェトの目)として描かれることが多く、時には独立した女神として振る舞うこともある。
特徴と関連
ラーの目は、いくつかの女神と関連付けられている。
ハトホル:愛、音楽、舞踊の女神。雌ライオンや雌牛の姿で描かれることが多い。
セクメト:戦いと破壊の女神。雌ライオンの姿で描かれることもある。
バステト:猫、豊穣、保護の女神。
ラー・タウィ:太陽の周期と創造の女神。
ムト:母性と保護の女神。
ラーの目は次のように描写される。
母:夜明けにラーを産み、一日中彼を育てる。
兄弟:ラーとともに生まれ、胎盤のような存在。
配偶者:ラーの創造サイクルにおけるパートナーであり、男性原理と女性原理の結合を象徴する。
娘:日の出とともに生まれ変わり、生命の周期的な再生を体現する。
神話上の役割
ラーの目はエジプト神話においてさまざまな役割を果たしている。
人類の滅亡:ラーは、自らの権威に反旗を翻した人間に対して、ハトホル/セクメトを送り込み、目を武器として使用した。一日後、ラーはビールを注ぐよう命じ、酔っ払った状態の目の女神は、意図した犠牲者に気づくことなくラーの元に戻った。
保護:目の女神は、ファラオ、神聖な場所、そして一般の人々や彼らの家屋の保護のために呼び出された。
創造のサイクル:生命の周期的な再生を象徴する"目"は、ラーの毎日の再生の一部である。
象徴
ラーの目は、しばしば以下のような形で表現される。
太陽の円盤:太陽の目と同一視され、ラーの創造力を象徴する。
雌ライオン:女神の破壊的な側面を表す。
ウラエウス:保護と王家の権威の象徴であり、しばしばコブラとして描かれる。
結論として、ラーの目は多面的な女神であり、創造力と破壊力を体現し、古代エジプト神話においてさまざまな役割を果たしている。その象徴性は豊かで複雑であり、生命の循環性と男性原理と女性原理の相互関連性を反映している。
参考:「古代エジプト壁画リスト」には多くの画像が日本語で紹介されています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。