帯電した惑星─電気的宇宙論お勉強シリーズ⑥

惑星の放電─目に見えない電気のネットワーク

今回、紹介した「帯電した惑星」でファラデーモーターというものが出てきます。まずはこの動画を見てください。こんな簡単な回路で回転し始めます。

説明には「マイケル・ファラデーは最初の電気モーターを実演し、革新と発見の嵐を巻き起こしました。 このビデオでは、ファラデーの電磁回転装置の実働モデルの実演を含め、この重要な初期の装置について説明しています」とあります。
まるで”生き物”ですよね。ただ電池で動いているに過ぎない? 宇宙に見える星雲も太陽も惑星も電気も”生き物”だと捉えたらどうなるんでしょうか?

現代宇宙論の重大な失敗は、宇宙規模で作用する力が重力だけであると仮定したこと

サイエンスアラート」によると『奇妙で目に見えない何かが遠方の銀河を同期させているようだ』と題して次のような内容(抜粋)が記されています。

数百万光年離れた銀河は、目に見えない巨大な銀河間構造のネットワークで結ばれており、既存の天体物理学では説明できない方法で、銀河間の同期が行われているようだ。この発見は、私たちの宇宙に対する基本的な理解を再考させる可能性がある……天文学者が観測した銀河がつながっていて、同期して動いているように見える例は、これまでにも数多くあった。10月に『The Astrophysical Journal』誌に掲載されたLee氏の研究によると、数百の銀河が数百万光年離れているにもかかわらず、まったく同じように回転していることがわかった……現在の宇宙論的な原理は、小さなスケールでの古代の星の配列や動きを支持しているが、天文学者たちは、広大な距離を越えたはるかに大きなパターンに困惑している……

主流の天文物理学者はこの現象を説明できていません。

一方、電気的宇宙論のソーンヒル氏は動画『電気の宇宙に孤島はない』(12:01)で
科学者が言うべきことは、不活性で切断された宇宙という仮定の下では、その現象は”不可能”であるということだと思います

「なぜ他の無数の発見と同様に、これが不可能ではなく、電気宇宙では驚くべきことでもないのか、説明してくれませんか?」という質問に答えて、

電気宇宙では、膨大な距離にある銀河が同期しても何の問題もありません。それは、銀河がすべて同じビルケランド(バークランド)電流フィラメントによって電気的に駆動されているからです。渦巻き銀河は、ワイヤーの上のカタリナの車輪(周囲に突起の付いた車輪)のように、それに沿って連なっている傾向があります。

渦巻き銀河の回転と形態は、プラズマ宇宙論者によって実験的にも理論的にも説明されています。そして、最近発見された、銀河の回転が奇妙に似ているという事実は、すべてこの回路によって電気的に駆動されているという事実に結びついています。家庭の電気モーターと同じように、同じ回路に接続されていれば、電源の1秒あたりのサイクル数によって、何らかの方法ですべてのモーターが同期する傾向がありますが、銀河の場合、これらはすべて実験室でテストして証明することができます。

現代宇宙論の重大な失敗は、宇宙規模で作用する力が重力だけであると仮定したことです。この50年間、プラズマ宇宙論者は、これが正しくないことを示してきました。宇宙のスケールでは電磁力が支配的です

また、作家でもあるアンドリュー・ホール氏は、エレクトリック・ユニバースの地質学という画期的な分野を調査する「Eye of the Storm」シリーズで、北アメリカとカリブ海の電流ループについて解説しています。その中で、地球はひとつのまとまった回路として機能しており、太陽を中心とした大きな回路の中にある回路だと言います。そして、その中にも回路があり、大陸や天候を形成していると。

地球だけでなく月や惑星の地形が電気的放電によってできたこと、さらに気象までコントロールしているかもしれないということです。

デンマークのスベンスマルク博士は宇宙空間から飛来する銀河宇宙線の増減で雲の量が変化するという説を発表しています。二酸化炭素が温暖化を促進するという定説?に疑問を投げかけるために主流の学界からは評判が悪いようですけれど。僕には二酸化炭素がどうやって温暖化に関係するのか、いまだにわかりません。日照を左右するのは水蒸気の雲でしょ。火山が大噴火した時などは、その影響で地球の気温が下がるとか言うくせに、不思議です。様々な現象を別々に解釈することに慣れ過ぎてしまったのでしょうか?

要約
これまでの5回の連載では、宇宙における電磁気の役割が、現代の宇宙科学では考えられないほど大きなものであることを示す有力な証拠を紹介してきました。そして、宇宙で最も大きなスケールで最も高いエネルギーを持つ電磁気現象を検証することで、この問題を探ってきました。ここでは、私たちの住む天界に目を向け、太陽と、その電気的領域内を移動するすべての天体との間のダイナミックな相互作用について説明します。今回は、宇宙が電気的である10の理由のうち、太陽系内の惑星をはじめとする惑星の放電が6番目の理由であることを探ります。

以下は『宇宙が電気的である理由トップ10』の第6回『帯電した惑星(内側の太陽系)』の全訳です。

このシリーズの最初の5回では、宇宙における電磁気の役割が、現代の宇宙科学では考えられないほど大きなものであることを示す有力な証拠を紹介してきました。これまでのところ、宇宙の中でも最も大きなスケールで、最も高いエネルギーを持つ電磁現象を見てきました。
ここからは、私たちの住む天界に目を向け、太陽とその電気的領域内を移動するすべての天体との間のダイナミックな相互作用を見ていきましょう。今日は、宇宙が電気的である10の理由のうち、惑星の放電が6番目に挙げられる理由を探ってみましょう。

太陽系

帯電した惑星(内側の太陽系)─ダイナミックな相互作用
Charged Planets (Inner Solar System)

太陽系内縁部の電荷を帯びた惑星。人類が日常生活を送る上で、これほど電気に依存していた時代はありません。地球上では、電気が社会や自然にとって重要な役割を果たしていることは自明のことです。しかし、宇宙科学の分野では、科学的なデータが豊富になっているにもかかわらず、地球の大気や気象現象に関する奇妙で古い考えが残っています。

落雷

20世紀初頭、ノルウェーの実験家クリスティアン・ビルケランドは、太陽からの電流が地球のオーロラを動かしていると正しく仮定していました。

クリスティアン・ビルケランド
クリスティアン・ビルケランド

何十年もの間、科学界の主流はこの説を否定し、地球の磁気圏は太陽風によって”圧迫 squeezed ”されてオーロラ活動を引き起こす入り込めない膜 impenetrable envelope であるという説を支持してきました。1973年に人工衛星がオーロラに電流の磁気信号を検出したことで、ビルケランドの仮説は揺るぎないものとなりましたが、現在でも多くの科学者がこの発見の意味するところに抵抗を感じています。

オーロラ

ビルケランドは、地球と太陽の関係を検証するために、真空容器を作り、その中に地球に見立てたテレラと呼ばれる磁化された金属球を入れました。

※テレラ terrella(ラテン語で「小さな地球」の意)とは、地球を模した磁気を帯びた小さな模型球のことで、イギリスの医師ウィリアム・ギルバートが磁気の研究のために発明し、その300年後にノルウェーの科学者・探検家クリスティアン・ビルケランドがオーロラの研究のために開発したと考えられています。

テレラ
テレラ

彼は、人工的に電気を帯びた大気の中で、テレラがどのように振る舞うかを観察しました。ビルケランドの電気実験は、地球のオーロラの謎を解いただけでなく、惑星の環や彗星のジェットのエネルギーを見事に再現してみせました。

ビルケランドの電気実験
ビルケランドの電気実験
ビルケランドの電気実験
ビルケランドの電気実験

ビルケランドによる極地でのオーロラ観測から1世紀以上が経過した今でも、地球と太陽を結ぶ電気回路の痕跡を目の当たりにすると、主流の科学者たちはいまだに驚きを隠せません。

ノルウェー・オーロラ・ポラリス・エクスペディション  北極星探検隊
ビルケランド
ノルウェー・オーロラ北極星探検
地球と太陽を結ぶ磁気の扉
地球と太陽を結ぶ磁気の扉

もちろん、地球は最もよく研究されている天体であり、その電気的環境についても多くのことがわかっています。

地球環境

宇宙時代になって、地球の上層大気や電離層、内側と外側の放射線帯についての理解が深まりました。

放射線帯

技術的なデータが増えたことで、惑星科学者が説明するための課題は増える一方です。

落雷

雷は私たちの世界で最も強力な電気現象です。20世紀末から現在に至るまで、地球上の雷は大気科学者に新たな驚きを与えてきました。1960年代には、航空会社のパイロットが、雷雲の上から宇宙に向かって発生するような強力な放電を観測したと報告しています。

パイロットによる強力な電気的放電の報告
パイロットによる強力な電気的放電の報告

1990年代初頭になって、雷雲から爆発する青いジェットや、大気圏外の巨大な赤いスプライトなど、この現象が確かに存在することが確認されました。

大気圏外の巨大な赤いスプライト
大気圏外の巨大な赤いスプライト
ブルージェット
ブルージェット
雲の上の雷
雲の上の雷

今日、科学者たちはこの現象が依然として神秘的であることを認めていますが、驚くべきことに雲の上の雷は約1世紀前に実際に予測されていました。1920年代、スコットランドの物理学者C.T.R.ウィルソンは、大きな雷雨の上に短い閃光が存在することを予言していました。この現象の原因については、2001年に重要な手がかりが発見されています。

雲の上の雷

エドガー・ベーリング教授 Edgar Beringという物理学者が、高々度の気球を雷雨の上に飛ばしました。彼は、雲の上と下で落雷が起こるとき、電荷はすでに存在しており、落雷の間に時間をかけて蓄積されることはないという意外な発見をしました。これは、雷は、地球と晴れた空の間にある約100V/mの晴天電界の発生源であるという標準的な考え方に反するものです。

エドガー・ベーリング教授のノート
ベーリング教授のノート

ベーリングは、スプライトやジェットは「地球の電気回路に不可欠な要素である可能性がある」と調査結果を記しています。

地球のグローバル電気的回路

大気や気象現象を動かす究極の回路は惑星と太陽を結ぶ電流系

しかし、物理学者のウォル・ソーンヒルは私たちの惑星の”グローバル電気回路 Global Electrical Circuit”に関する標準的な科学文献について次のように述べています。
「”グローバル”という言葉が大袈裟に聞こえてしまうほど回路は限定されすぎています。それは、雲の中の熱による対流を地球の発電機と想定した回路です。この発電機は、不思議なことに嵐の雲の中で電荷を分離し、世界的規模の電流を動かしています。しかし、この回路は”アンプラグド(電気のプラグを抜いた)”です。それは、宇宙のいかなるものとも電気的に接続されていないからです。このように、全体像や宇宙規模のビジョンを持たないことは、理論家にとって根本的な制約となっています」

グローバル電気回路
”グローバル電気回路”、標準的な科学文献より

電気宇宙では、大気や気象現象を動かす究極の回路は惑星と太陽を結ぶ電流系です。

太陽風が天候や気候にどのように影響するか
太陽風が天候や気候にどのように影響するか

近年、太陽が私たちの住む地球の大気や気象に、従来の理論では考えられなかったような影響を与えていることが明らかになってきました。

地球の雷は太陽風によって増加する : 研究結果
地球の雷は太陽風によって増加する : 研究結果

2014年には、太陽からの荷電粒子が地球上の雷の増加に関係しているという発見を報告しました。英国物理学会のウェブサイトに掲載された記事によると、科学者のチームが 「……高速太陽風の到来後、最大40日間にわたってヨーロッパ全域で雷発生率が大幅かつ有意に増加したことを発見した」

高速太陽風が地球上の落雷を増加させる
高速太陽風が地球上の落雷を増加させる

そして実際、クリスティアン・ビルケランドの地球のオーロラに関する論文の確証の結果は、新しい発見のたびに、その影響が明らかになってきています。

オーロラ

今年の初め、ESAのSwarmミッションは地球大気圏に10,000℃まで上昇する”超音速プラズマジェット”の画期的な発見を報告しました。

地球の大気中に1万度の超音速プラズマジェットを発見
地球の大気中に1万度の超音速プラズマジェットを発見

今回の発見について、phys.orgは次のように述べています。
「太陽風を動力源とし、地球の磁場に導かれて電離層を流れる巨大な電流が存在するという理論は1世紀以上前にノルウェーの科学者クリスティアン・ビルケランドによって提唱された。これらの電流システムについては多くのことが知られているが、最近の観測では大きな電界と関連していることが明らかになっている」
宇宙空間におけるビルケランド電流(バークランド電流)の存在は、科学的な発見によって確認されました。

超音速のプラズマジェットを発見
超音速のプラズマジェットを発見

しかし、もちろん、標準的な解釈や予測と、電気宇宙のそれとの間には、多くの違いが残っています。天体には過剰な電荷があってはならないという考え方は、天文学の指針となっています。

地球の北極のオーロラ

しかし、サンダーボルトの同僚であるマイケル・クラレージ博士 Dr. Michael Clarage は、2014年のプレゼンテーション[地球の電気環境]で説明しました。
「全体の電荷の中立性はあまり重要ではありません。手に持っている電池には全体的な電荷はありません。しかし、重要なのは、その中の電荷を分離して仕事ができるようにしたことです」

また、これから説明するように、天体間の電荷交換は、太陽とその領域にある惑星との間で最も顕著に見られ、通常の天文学では説明できない多くの壮大な大気現象の最も有力な説明となっています。

天体間の電荷交換
天体間の電荷交換
天体間の電荷交換 壮大な大気現象

金星のはるかに頻繁で強力な雷

私たちの惑星の隣人に目を向けると、私たちの世界のあらゆる形態の雷について新たな理解が必要であることがわかります。半世紀以上前、ソ連のヴェネラ探査機が金星に着陸した際、地上の雷よりもはるかに頻繁で強力な雷の驚くべき証拠が記録されました。

金星の地上の雷よりもはるかに頻繁で強力な雷
金星の地上の雷よりもはるかに頻繁で強力な雷

しかし、金星には水の雲がないため、放電は電離層から地上に直接伝わってきます。

金星は水の雲を持っていない
金星は水の雲を持っていない

惑星科学者のドナルド・ハンテン Donald Hunten 教授は、ヴェネラの発見に関する科学論文の中で、次のように述べています。
「惑星の大気が充実していれば、雷が発生する可能性は高いと考えられている。帯電の理論は、様々な状況や大気の状態でその存在を説明する必要に迫られる」

金星の大気には奇妙な磁気の”ロープ”が存在する
金星の大気には奇妙な磁気の”ロープ”が存在する

金星の大気中に検出された”奇妙な磁気のロープ”は、金星が地球よりも直接的に太陽と電気的につながっている証拠です。

金星の”奇妙な磁気のロープ”
金星の”奇妙な磁気のロープ”

この不思議なロープのねじれたフィラメント構造は、検出された磁気を維持するために必要な電流を示しています。金星の不思議な大気・気象現象の多くは入射電流によって説明がつきます。2006年、ESAのヴィーナス・エクスプレス衛星は、金星の南極上空にある双子のサイクロンの驚異的な映像を記録しました。

金星の南極上空にある双子のサイクロン
金星の南極上空にある双子のサイクロン

その理由は、いまだに惑星科学者たちにはわかっていません。サイクロンの構造は常に進化しており、南極には永久に存在し続けるように見えるのです。

金星の北極の二重の渦
金星の北極の二重の渦

土星の北極に謎のホットスポット

しかし、電気宇宙理論の一見とんでもない予言が科学的発見によって確認されたのは、今回が初めてではありません。2005年、ケック天文台が土星の南極に暖かい渦を発見しました。

土星のホットスポットを示す"目玉"の存在
土星のホットスポットを示す"目玉"の存在
土星のホットスポット

ソーンヒルは、従来の視点からはとんでもないとしか思えない予測をしていました。彼は書いています。
「電気宇宙(理論)では、片方が熱くて片方が冷たいのではなく、両方の極が熱くなることが実験的に予測されています」
2008年、NASAのカッシーニは土星の北極に謎のホットスポットを発見し驚愕しました。

土星の北極のホットスポットと六角形
土星の北極のホットスポットと六角形

12年以上も太陽の光が届かなかった氷点下の極地だからこその驚きでした。

土星の端には熱いサイクロンが渦巻く
土星の端には熱いサイクロンが渦巻く

金星では、両極で双子の竜巻が観測されています。

金星のサイクロンが惑星の奇妙な大気の中で常に変化していることを科学者が発見
金星のサイクロンが惑星の奇妙な大気の中で常に変化していることを科学者が発見

これは重要なことです。電気宇宙(理論)では、太陽の電気的入力は一般的に惑星の極で発生し、私たちは通常、オーロラの形で見ることができます。

土星のオーロラ
土星のオーロラ

南極渦の構造が常に変化している様子は、見ての通り、プラズマ科学者のアンソニー・ペラット博士がプラズマ中で相互作用する2つの電流フィラメントをシミュレーションして再現した渦巻き銀河の形に酷似しています

※ 極渦 polar vortex(きょくうず、きょくか)とは、北極および南極の上空にできる大規模な気流の渦

金星の南極の渦とペラットのシミュレーション
金星の南極の渦とペラットのシミュレーション

電気宇宙(理論)では、金星の謎の超高速風の原動力も流入する電流です。従来の気象学では説明が困難です。

金星の謎 : 不可解なほど強くなる”スーパーハリケーン”の強風
金星の謎 : 不可解なほど強くなる”スーパーハリケーン”の強風

雲の動きは、赤道上の高層大気の4日間の回転周期を示しており、極地では2日に短縮されます。標準的な理論では、金星自体の自転周期が243日の逆行周期であることや、惑星の下層の風が非常に緩慢であることから、惑星の上層の風をそのような速度で駆動する力は存在しません。惑星は全体的に同じ温度なので、これらの風を駆動する温度勾配もありません。近年、金星の超高速風は、実は10年前から着実に加速していることが報告されています。

金星の超高速風が加速し、天文学者を悩ませる
金星の超高速風が加速し、天文学者を悩ませる

これを、ファラデー・ディスク・モーターという最もシンプルな電気モーターになぞらえて説明します。

ファラデーの円盤発電機── 作るための
ファラデーの円盤発電機 Faraday disk motor

ファラデー・ディスク・モーターは、磁場と円盤状の導体など対称的なものでできています。電流を物体の極に向けて内向きに流し、赤道に向けて外向きに流すと物体が回転します。

惑星科学者を悩ませる金星の減速
惑星科学者を悩ませる金星の減速

金星の風が加速していることがわかった一方で、不思議なことに金星の自転が遅くなっていることがわかりました。

金星の自転が遅くなっていることを発見した科学者たちは困惑した。
金星の自転が遅くなっていることを発見した科学者たちは困惑した。

ウォル・ソーンヒルが提唱した電気宇宙論では、物体に電荷を蓄えたり取り出したりすると、その質量が変化します。その結果、物体の回転速度が変化します。これは、太陽から大量の荷電粒子を受け取ったときに、地球の自転がグリッチ glitches と呼ばれる小さな変化を起こすことが地球上で観測されています。金星では、加速する風も自転が遅くなることも、流入する電流の変化によるものと考えられます。

※グリッチ:英語で印刷されたグリッチの最初の文書化された使用法は、宇宙飛行士ジョン・グレンの1962年の本IntoOrbitにあります。その中で彼は「文字通り、グリッチは電気回路の電圧のスパイクまたは変化であり、回路に突然新しい負荷がかかったときに発生します」と書いています。グリッチという言葉は、小さな誤動作や障害に使用できます。

火星のダストデビル

火星に目を向けると、不思議な風や大気の現象から、火星が宇宙環境とダイナミックに相互作用していることがわかります。

火星/グローバルダストストーム 全球的砂塵嵐
火星/グローバルダストストーム(全球的砂塵嵐)

火星の大気は地球の0.5%程度の密度しかありません。そのため強力なダストストーム dust storms が惑星全体を包み込むことがあるのは数十年来の謎でした。土壌から取り除かれたダストは、どのようにして加速され、真空に近い火星の大気中で時速数百マイルにもなる巨大な雲となるのか。さらに謎は深まり、この惑星上で最も劇的な砂嵐が発生したとき標準的な気象学ではまったく予想できない現象が起きました。それはダストデビル dust devils(塵旋風)のびっしり詰まった集合を引き起こしました。

火星の砂塵嵐
火星の砂塵嵐
火星の砂塵嵐

従来の理論では、大気の渦は、火星の嵐の前線の真横からの写真ではっきりと見られるよりもはるかに大きな風の循環を必要とします。

電気的に言えば、広範囲の規模の火星ダストストームをはじめとする、赤い惑星での驚異的な粉塵の発生は何によってもたらされるのでしょうか。ここでは広範囲な嵐に伴って見られるダストデビルについて考えてみましょう。

火星のダストデビル
火星のダストデビル
火星のダストデビル

火星のダストデビルと呼ばれるものは、地球上の竜巻を凌ぐほど巨大でエネルギッシュなものだといいます。

NASAのプレスリリースによると、典型的な火星のダストデビルは、以下のように説明されています。
「……高さ数キロ、幅数百メートル、地球上の竜巻の10倍もの大きさのモンスターコラム monster column(バケモノのような柱状の物)がそびえ立っている」

火星のダストデビル
火星のダストデビル
火星のダストデビル

気象学者が竜巻ではなく”ダストデビル”と呼んでいるのは、火星には存在しない水を含んだ嵐の雲とは無縁だからです。

人類が火星に行くときは、そびえ立つ電気を帯びたダストデビルに気をつけなければならないだろう。
火星の砂塵嵐

火星でも地球でも、ダストデビルを連想させる強力な電場(電界)は、現在では科学論文で認められています。しかし、気象学者は原因として太陽熱、空気の対流、ダスト粒子の摩擦にしか目を向けることができません。

火星の竜巻状のダスト・ファウンテン dust fountains(ほこりの噴水)の電気的性質は、同種のウォーター・スパウトwater spouts(水面上に発生する円柱状の強い渦、水上竜巻)を調べることでより理解できるかもしれません。

水上竜巻

ロシアのプラズマ物理学者V.A.ランツェフ=カルチノフ V.A. Rantsev-Kartinov の研究により、ウォーター・スパウトの理解は大きく前進しました。調査の結果、これらの現象は水面のプラズマネットワークと上空の雲の電荷との間に、長時間にわたる放電電流が発生しているためであると結論づけました。

水上竜巻

このようにして、ウォーター・スパウトの回転と細くて位相がそろった波状のじょうご状のものの両方が、プラズマ放電の挙動によって説明されます。これらのことは、惑星科学者が、電気的な活動が見られるところでは、機械的なプロセスが電荷を分離しなければならないという根拠のない仮定に関係しています。

火星の表面にある電気を帯びた塵の悪魔
火星の表面にある電気を帯びた塵の悪魔

エレクトリック・ユニバースの火星の風と天候に関する反対の視点は、2005年のサンダーボルトの”Picture of The Day”の記事にまとめられています。
「火星には”電離層を充電する”ための雷雨がないので、電気宇宙の良いケーススタディになるはずです。電気モデルは、火星の電離層が実際に帯電していることを予測し、”電荷を分離する”ための孤立したダイナモ(発電機)を想定しています。火星では電気的な影響は、地球上で見られるような嵐の雲が和らげる漏電がなく、電離層から直接地表に届きます。太陽からの放射エネルギーとは異なり、電気エネルギーは、しばらくの間”惑星のコンデンサ”に蓄積され、大気が最終的に”破壊”され大規模な放電活動が開始されると、惑星を変えるような出来事が起こる可能性があります」

”Thunderbolts”の記事では、次のような予測もしています。
「ダストデビルの強度や数は、太陽の爆発や惑星の楕円軌道の影響を受けます」

砂嵐が火星を包み込むとき
砂嵐が火星を包み込むとき

実際、近年、火星の塵が舞い上がるドラマチックな出来事を電気的に解釈することで、驚くべき結果が得られています。2012年、アマチュア天文家たちは、火星の表面から数百キロの高さに、一見不可解なプルーム(噴煙)を発見しました。

一見不可解なプルーム(噴煙)

2016年、探査機マーズ・エクスプレスを使っていた科学者たちは、惑星科学者にとってまったく予想外の発見をしました。

アマチュア天文家が発見した奇妙な火星の噴出物
アマチュア天文家が発見した奇妙な火星の噴出物

このプルームが発見される直前に、コロナ質量放出 coronal mass-ejection が火星を襲っています。
科学者チームのリーダーは、この発見についてこう語っています。
「プルームが初めて観測される直前に、火星に影響を与えていたとは非常に驚きだ」
そしてもちろん、このイベントの電気的性質は否定できないようです。

火星上の原因不明のプルームは太陽の爆発によるものかもしれない
火星上の原因不明のプルームは太陽の爆発によるものかもしれない

2016年のニューサイエンティストのレポートには、次のように書かれています。
「可能性としては、プラズマが大気中の下層にある氷の粒や塵と相互作用して電気的に帯電し、それが高くなっているのではないかと考えられるが、その効果がどのようにして大きくなるのかは明らかではない」

火星のダストレイジング現象 dust raising events の類似点は、月が月に一度、地球の磁気尾部に遭遇する際に月で発生することが知られている静電ダストストーム electrostatic dust storms かもしれません。

地球の磁場が月にもたらす不思議な現象
地球の磁場が月にもたらす不思議な現象

また、2001年に火星で最大規模のダストストームが発生したとき、火星はオポジションに達しており、約12年間で最も地球に近づいていたことにも注目したいところです。

※オポジション(衝):月などの惑星が地球をはさんで太陽と180度の位置にあること。もしくは惑星の位置が天球上で互いに180度の位置にあること。

冒頭で述べたように、クリスティアン・ビルケランドが1世紀以上前に提唱した我々の惑星に広がる電流システムを、惑星科学者たちはようやく認識するようになりました。もちろん、火星のことはあまり知られていませんが、NASAのMAVENミッションは重要な新しいデータと洞察を提供しています。

多くの驚くべき発見のひとつは、2015年のNASAのプレスリリースで以下のように特徴づけられています。
「NASAの……探査機MAVENは、火星の大気中で2つの予期せぬ現象を観測した。火星の大気の奥深くまで届く原因不明の高高度の砂塵雲とオーロラ……地表から約93マイルから190マイルの軌道高度でのダストの存在は予測されていなかった」
ミッション・サイエンティストのライラ・アンダーソンはこう述べています。
「もしダストが大気から発生したものであれば、火星大気の基本的なプロセスを見逃していることになる」

また、MAVENの科学者にとって驚きだったのは、火星の大気の奥深くまで届く非常にエネルギッシュな光るオーロラの発見です。あるチームメンバーがこう述べています。
「私たちが見たオーロラで特に驚いたのは、地球や火星よりもはるかに深い大気の中で発生していることだ。それを生み出す電子はエネルギーに満ちているに違いない」

NASAのプレスリリースによると、こう説明されています。
「MAVENの太陽エネルギー粒子観測装置は、オーロラの発生時に高エネルギーの電子が急増したことを検出した」

火星の紫外線オーロラ
火星の紫外線オーロラ

現在、電気宇宙のコミュニティでは、ビルケランドが開拓したような実験的な研究が続けられています。電界を使った簡単な実験で、大気や気象、地質などの多くの現象が日常的に再現されていることがわかります。

フェーズ1
フェーズ1
フェーズ1

これらの実験との類似は、無限に続く驚くべき宇宙の発見を全く新しい視点で捉え、惑星科学における新しい視点の切実な必要性を強調しています。

電荷交換
電荷交換

天体間の電荷交換を認識することもそのひとつです。

天体の電荷交換

次回は、宇宙が電気的であることを証明するダイナミックな電気環境を持つ、太陽系外縁部のガス惑星に注目します。

──おわり

最後までお読みいただきありがとうございました。

Posted by kiyo.I