エレクトリック・ユニバース・モデルと宇宙論の未来:ガダ・チェハデ博士

時が経てばわかる……

電気的宇宙論を支持するガダ・チェハデ博士は「スタンダードモデルの支持者とエレクトリック・ユニバースの支持者は、究極的には二つの異なる、そして相容れない世界に生きていることになる」と言います。なぜなら「パラダイムシフトの過程では、新しいアイデアや主張は、古いモデルのものと厳密に比較したり、それらに基づいて判断したりすることはできない。なぜなら、二つのモデルには共通の尺度がないから」です。

しかし「科学に関して言えば、現在のスタンダードモデルのように深く根付いており、多額の資金が投入されているモデルに従事する人々は、何が許容され、何が許容されないと見なされるかを含めて、究極的には宇宙論に関する議論を定義し、コントロールする力を持っている」。また、「科学が制度化され、定着すると、宗教や政治などの他の支配的な制度と同様に機能する傾向がある」と指摘しています。

今日の世界、科学に限らず先ほどの指摘が究極の形で噴き出ているのを目の当たりにしているのではないでしょうか?
政治も、医療も、芸能もなにもかも腐り切っています。そして、それがやっと表面に浮かび上がっています。個人であれが悪いこれが悪いと言ったところで欲求不満がたまるだけかも知れません。メディアは報道するよりも隠すのに必死です。あろうことか、ねじ曲げて報道します。しかし、いずれ嘘とごまかしは、バレます。ばれた時何が起きるのか。虚飾の表舞台にいた方々は消え去るしかありません。高みの見物といきましょう。

話を戻すと、「新しいモデルは古いパラダイムの破壊を必要とする。科学革命において、新しいパラダイムは古いパラダイムを単に改訂するのではなく、それを置き換える」
そう、置き換えるしかないのです。何に置き換えるのか? 社会に対して批判したり、文句をいうより「何に置き換えるのか?」つまりパラダイム・シフトに想いを集中させた方が楽しそうです。

「根本的な違いがあるため、エレクトリック・ユニバース・モデルとスタンダードモデルは同じパラダイムで共存することはできない。両者はあまりにも異なっている」
そう、両者はあまりにも違っています。新しいパラダイムと古いパラダイム、新思考と旧思考。ですが、古いパラダイムのなかでの旧思考の方が圧倒的に多いように感じます。旧思考とは歴史や現状について様々なことを知っていて、"批評・批判"という形で、結局は"文句"を言っている人のことです。古いパラダイムのなかでの旧思考には抜け道はありません。"新しい"ものがどんなものなのかはわかりませんが、新しいパラダイムの基礎は、エレクトリック・ユニバースの宇宙論、世界観、疑問の立て方、認識の仕方が参考になると思っています。

サンダーボルト・プロジェクトのサイトから2016年の記事ですが、ガダ・チェハデ博士の詩を紹介します。

ガダ・チェハデ博士

変化がある、変化が起きている、パラダイムシフトが起きている。
目覚めが訪れている……
不和の解消……

続かない物語は必要ない。
説明のつかない謎に対しては、
これは私たちの過去を思い出すこと……そして私たちの宇宙の歴史を思い出すこと……

だから目を開いて周りを見渡してごらん、真実はあなたの周りにあふれているから……
そして、解放には音があるって知ってた?
それは脈動、いや、リズム、音符のような……

それは宇宙のエレクトリック・ビート、
そして、それを感じる人々は革命的なドラムに合わせて進む……

なのに、そうでない人々は、システムに麻痺させられてしまっている……
けれども、まもなく彼らの呪縛は解け、彼らも目覚めるだろう!

というのは……変化が起こっているから……
変化がある……
パラダイムシフトが起こっている……

そして、私たちの目が完全に開いたとき、私たちは意識が解き放たれるのを感じるだろう。
私たちの過去は単なる形だけのものではない。それから、思い出すことは贈り物。
そして、現代の幻想が最終的に打ち砕かれたとき、再接続は迅速に行われるだろう!

なぜなら、変化があり、
変化が起こっており、
パラダイムシフトが起きているから。

ガダ・チェハデ博士は、2016年6月19日、シェラトン・メサ・リグレー・ウエストで開催されたEU2016晩餐会で、彼女の詩を朗読した。彼女は作家、社会評論家、パフォーマンス詩人であり、地政学問題について幅広く執筆している。彼女の詩は、社会の目覚めと社会変革の問題を扱っており、最近ではエレクトリック・ユニバースについても扱っている。彼女はマギル大学で博士号を取得している。彼女の博士論文は、修辞学、ライティング研究、談話分析の分野における最優秀論文賞を受賞した。ガダはカナダのモントリオール在住。ブログはhttp://soapbox-blog.com/。彼女の詩は著作権により、すべての権利を保有している。

やっと、ガダ・チェハデ博士が描いた詩の世界がやってきたようです。

エレクトリック・ユニバース・モデルと宇宙論の未来

The Electric Universe Model and the Future of Cosmology By Ghada Chehade, PhD
「エレクトリック・ユニバース・モデルと宇宙論の未来」ガダ・チェハデ博士著

雷

PART I.

トーマス・クーンのパラダイムシフトの枠組みを参考に、私は宇宙論が現在、危機に瀕しており、必然的に革命(またはパラダイムシフト)に向かって進んでいることを立証した。科学モデルが危機的状況に陥ると、そのモデルでは解決できない異常や矛盾が増加し、そのモデルはもはや問題解決の信頼できる指針とはならず、最終的には別のモデルに取って代わられることになる。

これがパラダイムシフトサイクルにおけるモデル革命の段階である。この段階は、根本的に異なる言語を話す新しいモデル、または複数の新しいモデルの出現によって始まる。これにより、新旧のモデルは和解不可能で互換性のないものとなる。つまり、共存できないということである。簡単に言えば、モデル革命の主な基準は、既存のモデルと根本的に異なる言語を話し、互換性のない新しいモデルである。

他の用法と区別するために、この分析では言葉の言語 word language という言葉を使って"パラダイム言語 paradigmatic language“を指すことにする。ここでいうパラダイム言語とは、パラダイムが自然界で観察したものをどのように表現し、描写するかということである。パラダイムの変化は、究極的には世界観の変化である(『科学革命の構造』)。
では、現在、根本的に異なるパラダイム言語、異なる世界観を持つ宇宙論モデルは存在するのだろうか?

この疑問を解明するには、まず宇宙論のスタンダードモデルの語彙を確定する必要がある。複雑な主題を一般に認めるように要約して単純化すると、私はスタンダードモデルの用語を以下の三つの基礎的な概念と仮定(重要度の順)に抜き出した。

重力 — 宇宙の主要な力として
✓ 一般相対性理論 — 重力の定義および/または重力との関係として
ビッグバン — ビッグバンによって誕生した膨張する宇宙

これらの概念は相互に補完し合い、依存し合うものであり、スタンダードモデルに含まれるその他の大半の概念や仮説を生み出すものでもある。スタンダードモデルは、これらの基礎的な仮定のひとつまたは複数に関連する(しばしば矛盾や異例を含む)観察データを説明するために存在する。言い換えれば、スタンダードモデルの典型的な言語や語彙は、これらの基礎的な概念のひとつまたは複数を前提とし、その中に位置づけられている。

PART II.

丸い穴に四角い箱を通す
根本的に異なる宇宙論?

では、現在、これらの基礎的概念や前提のひとつまたはすべてから逸脱する代替モデルは存在するのだろうか?
主流派科学が代替宇宙論について述べていることを見てみよう。主流派では、代替案はスタンダードモデルを超える物理学 physics beyond the Standard Model(BSM)として説明されることがある。「スタンダードモデルを超える物理学(BSM)とは、スタンダードモデルの欠陥を説明するために必要な理論的発展を指す……」[i]。主流派の科学者によると、「スタンダードモデルを超える理論には、標準モデルのさまざまな拡張や……ストリング(ひも)理論M理論余剰次元など……まったく新しい説明が含まれる」[ii]

拡張の例としては、永遠のインフレーション理論や振動宇宙モデルなどがある[iii]。これらの仮説の詳細については、宇宙論学者や天体物理学者に委ねる。我々の目的にとって重要なのは、これらの理論はどちらもスタンダードモデルの基礎的な仮定と、ビッグバンに関する語彙に依存しており、したがって、十分に異なるものではないということだ。初期のビッグバン仮説のライバルだった定常宇宙論でさえ、宇宙の唯一の原動力として重力や膨張といった基礎的な仮定や概念に依拠している。

もう一つの主流派の代替案は修正ニュートン力学(MOND)である。MONDは「ニュートンの万有引力の法則を修正し、銀河の観察された特性を説明しようとする仮説」である。具体的には、「銀河が現在の物理学の法則に従っているように見えない理由を説明する、ダークマター仮説の代替案」である[iv]。つまり、MOND(およびその派生形)は、スタンダードモデルの数ある異例(および危機)のひとつに対処しようとする試みである。

MONDは、ダークマター仮説によって生じた問題や矛盾を解消する代替案として喧伝されているが、依然として重力中心の理論であり(実際には重力の銀河への影響を増大させる)[v]。また、スタンダードモデルの主な仮定や概念の多くに依拠している(暗黒物質の明白な例外は別にして)。したがって、先に挙げた拡張理論と同様に、MONDもクーンの言う意味での代替案とはなり得ない。

全体として、スタンダードモデルの拡張は、その定義上、根本的に異なるパラダイム言語paradigmatic language を含んでいるとは決して見なされない。さらに、これらの拡張はスタンダードモデルの問題や欠陥に対処するために生じたが、モデルの複雑性をさらに高めることで、結局は現代宇宙論の危機を悪化させている。以前の記事で指摘したように、複雑性の増大は危機を示すものであることを思い出そう。

超ひも理論、M理論、余剰次元といった「まったく"新しい解釈"に移ると、我々の目的にとって重要なのは、これらの理論も依然として宇宙の主な原動力として重力を取り扱っていることである。したがって、これらの理論も根本的に異なるパラダイム言語を語っているとは見なされず、新しいモデルのための真剣な理論的考察として認められるものではない。

これらは主流派の代替案のほんの一部の例に過ぎない。スタンダードモデルへのあらゆる追加要素や拡張要素を精査し評価することについては、自然科学に精通した人々に委ねる。クーンの枠組みの中で活動する批判的ディスコース(談話)分析者 Critical Discourse Analyst として、私は主に"モデル革命"の基準を満たす代替モデルの特定に関心を持っている。つまり、宇宙観を異にし、根本的に異なる言語を自覚的に直接的に採用するモデルである。

※ 談話分析:Discourse Analysis:学者は公式談話を分析して、その根底にあるイデオロギーや権力構造を理解する。これには、公式コミュニケーションの言語、構造、内容の調査が含まれる。

プラズマ放電
エレクトリック・ユニバース・モデル

私がよく知っているモデルで、また、根本的に異なる言語を使用していることで際立っているのが、宇宙論におけるエレクトリック・ユニバース・モデル(略してEUモデル)である。このモデルの支持者たちは、まったく異なるパラダイム言語を意識的に提唱している。その支持者たちの言葉で、いくつかの例を見てみよう。

エレクトリック・ユニバース(EU)の物理学者であり先駆者でもあるウォル・ソーンヒルによる『世俗的な異端者 The Secular Heretic 』誌のエッセイの序文で、同誌の編集者はEUモデルを21世紀の科学と表現し、読者に次のように語っている。
「エレクトリック・ユニバースで提示された考え方は、あなたが知っていると考えているあらゆる事柄を覆すものであるため、大小さまざまな事柄についてあなたが知っていると思っていることはすべて忘れてください」[vi]
EUモデルによるスタンダードモデルの主要な仮説の解釈について言及し、編集者は次のように指摘している。

「ビッグバンはあったのか?
まさか。
アインシュタインの相対性理論は?
それは成り立たない。
太陽は、いずれ燃料を使い果たして燃え尽きてしまう熱核融合炉なのか?
いいえ。
ブラックホールはあるのか?
そんなものは存在しない。
ダークマターやダークエネルギーについてはどうなのか?
そんな馬鹿げたことは忘れて、21世紀の科学について学び始めよう」[vii]

この主張には、エレクトリック・ユニバース・モデルが標準宇宙論の基礎となる概念や仮定の多くに疑問を投げかけているという考えが暗示されている。

重力についてはどうだろうか?
これはほぼ間違いなく最も重要な出発点である。

エレクトリック・ユニバース・モデルでは、宇宙の性質は重力だけでは説明できない。さらに、ウォル・ソーンヒルによると、「スタンダードモデルとは異なり、エレクトリック・ユニバース・モデルには電気双極子力の現れとしての重力の物理モデルがある」という。スタンダードモデルでは、重力は宇宙の根本的な組織化力である。マクロなスケールでは、宇宙は重力によって支配されている。しかし、エレクトリック・ユニバース・モデルでは、「電気力はあらゆるスケールにおける根本的な組織化する力である」[viii]

エレクトリック・ユニバースの支持者によると、

「重力の定理は、特に深宇宙において、物理学に必要なすべての答えを単独で提供するものではない。重力理論は、観察における多くの例外を説明することに苦戦している。今日の最も厄介な科学上の例外は、電気力の予想外の、時に支配的な役割を示している」[ix]

エレクトリック・ユニバース・モデルは、宇宙における重力の役割を否定するものではない。それどころか、その支持者たちは次のように説明している。

「エレクトリック・ユニバースの概念は、ガリレオ、ケプラー、ニュートンといった先駆者たちが表現した経験的物理科学の原則から生まれたものである。しかし、重力の定理には見過ごせない自然に引き出せる結論がある……」[xi]。それが電気力である[xii]

太陽のコロナ?

冒頭で私が特定した重力、相対性理論、ビッグバンの用語の階層構造により、最初の基礎概念、すなわち宇宙の組織化力としての重力に問題がある場合、他の二つも疑問視されることになる。もしスタンダードモデルの重力は組織化の力であるという見解が誤りであるならば、一般相対性理論は見当違いとなり、ビッグバンはありそうもないことになる。例えば、エレクトリック・ユニバース・モデルが重力について述べていることから、ビッグバンの問題は現実的に意味のないことになる。ソーンヒルによれば、「ビッグバンは存在せず」、「宇宙の起源は不明である」という。

暗黒物質、ダークエネルギー、ブラックホール、重力波などの理論についてはどうだろうか?
主流派科学では、それらは宣言文的な真理または初めからわかりきっていた結論として提示されているが、エレクトリック・ユニバースの擁護者たちは、これらの概念は物理的には定義されておらず、場当たり的な仮説にすぎないと注意を与えている。

パラダイムの落とし穴

しかし、スタンダードモデルがこれらの概念やその他の基礎的概念を簡単に手放すことはないだろう。その理由のひとつは、パラダイムの語彙や基礎的仮定が科学者を観察結果について話すこと(あるいは考えることさえ)を制限する議論の落とし穴に陥らせる可能性があることだ。パラダイムのシフトでは、新しいパラダイムは通常、古いモデルや既存のモデルの言語を理解する(ただし、それに同意するわけではない)。しかし、古いパラダイムは、新しいモデルの言語を理解する能力、あるいは考慮する能力さえも制限されている。

例えば、スタンダードモデルでは、空間における結束力のある電気効果を考慮しないため、星間物質の多くをガスとして記述することにとどまる。一方、エレクトリック・ユニバース・モデルでは、それをプラズマとして記述する(その一番の理由は既知の宇宙の99パーセント以上が電気を帯びたプラズマで構成されているからだ)[x]。スタンダードモデルの科学者たちはプラズマが何であるかを知っているが、彼らのパラダイムに基づく仮定を考慮すると、ガスという言葉がデフォルトとなり、したがって物理的特性もガスとなる。

エレクトリック・ユニバース・モデルとスタンダードモデルの違いについては、ウォレス・ソーンヒルの著書『エレクトリック・ユニバースという異端』や、メル・アチソンの最近のビデオを参照のこと。

▼「エレクトリック・ユニバースという異端」

この二つのモデルの最も重要な違いをいくつか探る中で、私はエレクトリック・ユニバース・モデルがスタンダードモデルに取って代わるかどうかを断言するつもりはない。アチソンや他の人々が指摘しているように、エレクトリック・ユニバース・モデルはまだ進化の途上にあり、未完成である。しかし、パラダイムシフトの枠組みに目を向けると、支配的または既存のモデルとは根本的に異なる言語を話し、互換性のないモデルであることの意味を体現する、モデル革命段階の要件をすべて満たすモデルの例としてこれ以上のものはない。

さらに、私が以前の研究で示したように、エレクトリック・ユニバース・モデルは既存のスタンダード・モデルよりも複雑性が低いと考えられるため、クーンのパラダイム転換の要件の一部を満たしている。この点において、エレクトリック・ユニバース・モデルはスタンダード・モデルの追加や拡張とはみなされない。前述の基準により、エレクトリック・ユニバース・モデルは根本的に異なる宇宙論のパラダイムである。

世界観

スタンダードモデルとエレクトリック・ユニバース・モデルの主な相違点から示唆されるのは、世界観の違いである。ウォル・ソーンヒルが説明しているように、エレクトリック・ユニバースの提唱者たちは「共鳴的に結びついた宇宙」を信条としており、それは「自己組織化」し、「エントロピーが減少する」ものである。エレクトリック・ユニバースの世界観では、「全体は部分の総和よりも価値がある」という。宇宙は「意識に満ちており……」、「共鳴的なつながりによる瞬時の情報伝達」がある[xiv]。全体として、エレクトリック・ユニバースの世界観は宇宙のつながりを強調し、重要視している。

スタンダードモデルには、正式にはっきりと述べられ示された世界観はないが、エレクトリック・ユニバースはスタンダードモデルが述べていること、そしてより重要なのは、スタンダードモデルが沈黙していることから、「まとまりがない、とりとめがない、支離滅裂な、気付いていない、無益な、常に増大するエントロピー」という世界観を推測している[xv]。これは、エレクトリック・ユニバースとは対照的な世界観である。

これらの相違を踏まえると、スタンダードモデルの支持者とエレクトリック・ユニバースの支持者は、究極的には二つの異なる、そして相容れない世界に生きていることになる。

前述の通り、パラダイムシフトや科学革命は、科学者にとって究極的には世界観の取り替えである。『科学革命の構造』で指摘されているように:

「パラダイムの変化によって世界が変わるわけではないが、科学者はその後、異なる世界で働くことになる。新しいパラダイムを受け入れる科学者は、むしろ通訳者というよりも、反転レンズ(逆さメガネ)をかけた人間のようなものである。以前と同じオブジェクトの集合に直面し、それを認識しながらも、それらを……徹頭徹尾……変化したものとして見ている」(121-122ページ)。

これまで述べたことから、パラダイムの変化は最終的に科学者の世界観と研究分野をひっくり返すことになり、それらを一新させるという結論を導くことができる。このような観点から、スタンダードモデルの支持者たちがエレクトリック・ユニバースに対してどのような反応を示しているかを見てみよう。

Part III.

言葉には力がある
言葉には力がある
EUモデルに対する主流派の反応

長い間、主流派の科学界とメディアは、クーンの著作が示唆するように反応を示してきた。科学が制度化され、定着すると、宗教や政治などの他の支配的な制度と同様に機能する傾向がある。すなわち、独善的で、反証や変化、新しさに抵抗する。長年にわたり、主流派の科学者たちはエレクトリック・ユニバース・モデルを無視し、退け、嘲笑してきた。中には、このモデルを「気違いじみた少数派の反対者」の抱く荒唐無稽な仮説と同一視する者さえいる。また、EUモデルの予測は「ビッグバンの観察結果と矛盾している」という主張もある。[xvii]

これは、エレクトリック・ユニバースが正確な予測の歴史を主張していることを考えると皮肉である。

例として、

☆ 太陽放射エネルギーの大部分は、電気的に活性な太陽プラズマにおける元素の変換によるものであるという主張は、2019年の独立したSAFIRE実験によって確認された。

☆ テンペル第1彗星に銅製発射物が衝突する前に起こる電気的な"閃光"放電。

☆ 土星の衛星タイタンの表面には、大きなクレーターはほとんどないが、リヒテンベルクパターンと呼ばれる特徴的な稲妻の傷跡がある。

☆ ヘリオポーズ(太陽の影響の端を示す境界)で発見されるものの予測の成功。

☆ 土星の北極からの熱の予測の成功。

このような予測があるにもかかわらず、スタンダードモデルがエレクトリック・ユニバースを否定することは驚くことではない。特に、クーンが非整合性 incommensurability(共約不可能性、クーンによって提唱された概念。物事を理解する体系が異なる場合、同じ帰結に達することはできない、という考え方)について述べていることを考えると。パラダイムシフトの過程では、新しいアイデアや主張は、古いモデルのものと厳密に比較したり、それらに基づいて判断したりすることはできない。なぜなら、二つのモデルには共通の尺度がないからだ。私の専門分野である批判的ディスコース分析の観点から言えば、エレクトリック・ユニバース・モデルを既存のモデルの基準で判断したり、あるいはエレクトリック・ユニバース・モデルを真剣に受け止める必要のないモデルとして分類したりすることは、言語が権力と紐付ついていることを示す典型的な例である。

CDAでは、権力はより広義の象徴的な概念として理解されており、特定の方法で誰かや何かを表す力も含まれる。

CDACommunications Decency Act:通信品位法:1934年にアメリカで成立した通信法の230節にあるわいせつな文書などの流通を禁じた部分を指す。インターネット時代に対応するために1996年に改訂された通信法では、Title V. Obscenity and Violence(第五章「わいせつと暴力」)を指す。しかし、条項にある"indecent"や"obscene"が曖昧で言論の自由に抵触するとされ、連邦裁判所および最高裁判所により違憲との判断が下った。

CDAにとって「言語は……単にコミュニケーションの手段ではなく、人々が特定のイデオロギーや教義に対して、何らかの形でコミットメントを示す手段である」[xix]。批判的ディスコース分析の観点では、言語は常に権力と支配に関わるものであり、決して恣意的(勝手気ままな行動や判断)なものではない(Birch, 1991; Hall, 1981 – “A critical discourse analysis of power and ideology,” 2011で引用)。

科学に関して言えば、現在のスタンダードモデルのように深く根付いており、多額の資金が投入されているモデルに従事する人々は、究極的には宇宙論に関する議論を定義し、コントロールする力を持っている。──何が許容され、何が許容されないと見なされるかを含めて。キャリアや資金が懸かっていること、そして、その権力によって議論が定義され形作られることを考えると、主流の科学や宇宙論が、それを脅かし、弱体化させるような真の代替モデルを否定したり嘲笑したりしても、驚くことではない。

これが宇宙論の公式談話となれば、すなわち「スタンダードモデルは受け入れられるが、それとは異なる代替モデルは受け入れられない」という見解が公式談話となれば、それは一種の神経言語プログラミングとして機能し、より広範な人々に対して宇宙論をどう考えるべきかを指示するものとなる。

※ 公式談話:official discourse:政府などの公的機関が情報を伝達し、世論を形成するために使用する言語とコミュニケーションを指す。公式談話は、イデオロギー的および政治的なメッセージを伝え、行動や政策を正当化するために使用される。

しかし皮肉なことに、新しい考え方への抵抗こそが、最終的には制度化された科学に変化を迫る。新奇なものに抵抗することで、正統派科学(または支配的な科学)は自らの変化への道筋を整える。とりわけ、解決されないまま残された危機は、既存のモデルに従事する科学者を含む個人に、より新しくより良い答えや説明を求めて別の場所を探すことを強いるからである。

ここで強調しておかなければならないのは、これは既存の破綻したモデルを完全に放棄することを意味するということである。クーンにとって、新しいモデルは古いパラダイムの破壊を必要とする。科学革命において、新しいパラダイムは古いパラダイムを単に改訂する(あるいは拡張して付け加える)ものではなく、それを置き換える。

しかし、もし台本をひっくり返したらどうなるだろうか?……
しかし、もし台本をひっくり返したらどうなるだろうか?……

主流派の科学は、エレクトリック・ユニバース・モデルを無視したり、あるいは退けることが一般的だったが、最近では、主流派の科学においても、私が “エレクトリック・ユニバースに近い"と表現するような専門用語が見られるようになった。

例えば、以下のようなタイトルが挙げられる。

磁気が宇宙を形作る方法

天の川の磁場フィラメント状骨格 G47

ジュノーとハッブルのデータが、木星の上層大気を照らす電磁気の"綱引き"を明らかにする

天文学者、銀河の中心から噴出する1,000もの電波エネルギーの奇妙な"フィラメント"を発見

これらのタイトルだけを見ても、この言葉遣いはこれまで主流派が報道してきたものとは異なり、らしくないことが分かる。また、電磁気学の議論により近いものと思われる。

タイトルの中にはフィラメントについて言及しているものさえある。また、エレクトリック・ユニバース・モデルによると、タイトルのうち二つは磁気のみを扱っているが、電磁気学の議論では、電磁気学について語る際に電気力も考慮に入れないことは無意味である。

この主流の議論における最近の変化は、何をほのめかしているのだろうか?

まだ断言するには早すぎるが、可能性のひとつとして、より高度な技術(より洗練された探査機)により、宇宙における電気の役割を否定することがますます不可能になることが挙げられる。
エレクトリック・ユニバース・モデルが長年主張してきたことである。

ウォル・ソーンヒルは、「エレクトリック・ユニバースのパラダイムは、宇宙時代において他に類を見ないほど多くの予測を成功させてきた」と指摘している。
彼は、この傾向は今後も続くと予想しており、新しいジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡からの画像や発見は、エレクトリック・ユニバースの予測をさらに裏付けるだろうと考えている。

最近の語彙の追加を踏まえると、スタンダードモデルの支持者たちは、先手を打とうと準備している、あるいは試みているのかもしれない。そして、権威を維持しながら、彼らの議論に電磁気学や宇宙の電気力のための余地を作ろうとしているのかもしれない。

つまり、彼らは電気を追加要素または拡張要素として取り入れる準備をしているのかもしれない。例えば、突然 “E-Gravity"について読むことになるのだろうか。

クーンのパラダイムシフトの枠組み、そしてこれまで議論してきたすべてのことから、長期的には持続可能ではないことは明らかである。根本的に異なるパラダイム言語を持つ、相容れないモデルを混ぜ合わせても、科学に害を及ぼすだけであり、真のパラダイムシフトや科学革命とはみなされないだろう。

根本的な違いがあるため、エレクトリック・ユニバース・モデルとスタンダードモデルは同じパラダイムで共存することはできない。両者はあまりにも異なっている。メル・アチソンが適切に主張しているように、エレクトリック・ユニバースをスタンダードモデルの拡張として追加しようとしても、ただ混乱を招くだけである。

パラダイムシフトのプロセスについて我々が知っていることすべて(モデル革命の段階を明確に区別する基準を含む)を考慮すると、宇宙論の未来はスタンダードモデルの場当たり的な修正ではありえないし、ありえないだろうという結論に達する。それどころか、科学革命の本質と定義から、前進できる唯一の道は、パラダイム言語と世界観が根本的に異なる真に代替的な宇宙論モデルである。

これはエレクトリック・ユニバースの宇宙モデルなのではないだろうか?

時が経てばわかる……

注釈

[i] https://hep.info.yorku.ca/beyond-the-standard-model/
[ii] https://en-academic.com/dic.nsf/enwiki/11813627
[iii] https://www.space.com/24781-big-bang-theory-alternatives-infographic.html
[iv] https://en.wikipedia.org/wiki/Modified_Newtonian_dynamics
[v] See Ibid.
[vi] https://thesecularheretic.com/the-electric-universe-heresy/
[vii] Ibid.
[viii] As cited in a chart created and provided by Wallace Thornhill, February 2022.
[ix] https://www.thunderbolts.info/wp/2013/11/28/common-misconception-5-what-about-gravity/
[x] See https://www.youtube.com/watch?v=Uzw6s4nbTZA&feature=emb_logo
[xi] https://www.thunderbolts.info/wp/2013/11/28/common-misconception-5-what-about-gravity/
[xii] As cited in a chart created and provided by Wallace Thornhill, February 2022.
[xiii] Ibid.
[xiv] Ibid.
[xv] Ibid.
[xvi] See https://www.youtube.com/watch?v=3ap0nxgg9Ws
[xvii] See https://www.forbes.com/sites/startswithabang/2021/05/06/why-isnt-anyone-seriously-challenging-the-big-bang/?sh=2275dfa1689f
[xviii] https://www.grin.com/document/350636
[xix] Ibid.
[xx] https://www.thunderbolts.info/wp/2021/06/26/not-if-but-when-cosmology-in-crisis-the-coming-paradigm-shift-part-3/
[xxi] See https://www.youtube.com/watch?time_continue=95&v=9brYReflH3A&feature=emb_titl

著作権 © 2022 ガダ・チェハデ。本記事のすべてのコンテンツは著者の独占所有物であり、著者のガダ・チェハデの明確な許可なく複製することはできない。

──おわり
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Posted by kiyo.I