マルクルンド対流(電流が宇宙空間を流れると、自然に元素が分離する):マイケル・クラレージ
恒星はマルクルンド対流によって形成される
可視宇宙では、毎秒3,000個以上の星が誕生しているそうです。その多くは、天文学者が原始惑星系円盤 proto-planetary disks と呼ぶ、惑星が形成される高温のガスと塵の渦巻く"パンケーキ"状の円盤に囲まれているそうです。しかし、恒星や惑星系が形成される正確なプロセスは、まだ十分に解明されていません。
46億年前の太陽系がどのような姿をしていたのか? 若い惑星系がどのように形成され進化するのかを知る手がかりとして、イラリア・パスクッチらによる論文を解説した「JWST/NIRSpec 観測で明らかになった若い星からの円盤風(ディスクウインド)の入れ子構造」は、若い太陽系と思われる物質の円盤の上下から、エネルギーと物質のジェットが噴出しているのを発見したとされています。この記事の※2に訳出しましたが、私の理解力が足りないのか、一体、何が言いたいのかよくわかりません。
いつも思うんですが、一般の読者にわかりやすく伝えられない学者やライター、当の本人は本当に理解できているのでしょうか? 政府や行政の文書の分かり難さと似て、周りくどく、わざと読む気をなくさせるための文章だと思えてなりません。わたしの読解力や理解力が足りないせいだという人もいるかもしれません。そう言われたからといってムキになって反論したり否定はしませんが、変だと思いませんか? そういう人たちは"頭のいい"人たちだけを相手にしているのですか? ごまかしたいからではありませんか? 改革という威勢のいい言葉で日本を壊してきた自民党と官僚政治を見れば、彼らが似たようなレトリックを使ってごまかしてきたことは明らかではありませんか? 同じパターンではありませんか? 左脳思考の方は違いを見つけて勝ち誇った気分になるのでしょうが。
いっぽう、メディアの報道やコマーシャルはわかりやすいです。トランプはおかしい、プーチンは独裁者だ、健康にはこれがいい、、、と"親切"に教えてくれます。やけに具体的で報道にもかかわらず断定的です。この違いは何でしょうか?
変だと思いませんか?
事実と思い込みの境界は曖昧です。
テレビなどによく出てくる学者、専門家、そしてメディアは庶民を騙す"車の両輪"です。
今回紹介するビデオでは、マイケル・クラレージ博士は、前述のパスクッチらによる論文を例に挙げ、誤解を招く可能性がある主張や未検証の主張を懐疑的に見ること、何かを文字通りに解釈しないこと、つまり鵜呑みにしないことの大切さを説いています。なぜなら、実は何もわかっていないからです。分かったつもりになっていると道を誤ります。いずれ傲慢というエリート意識に行き着きます。
なお、マイケル・クラレージ博士のビデオとウォル・ソーンヒルの「恒星はマルクルンド対流によって形成される※0」という記事とマルクルンド関連の資料も追加しました。
[要旨]2024/10/13
1979年にヨーラン・マルクルンド※1が提唱した考え方によると、宇宙空間を流れる電流は、自然に元素や化合物の分離を引き起こすという。これは"マルクルンド対流"と呼ばれる。
最近の研究では、太陽系の形成における電気の役割について、確固たる論拠が示されている。
電流が宇宙空間を流れると、自然に元素が分離することが分かっている。鉄のような重い元素は中心に、水素のような軽い元素は外側に移動し、層を形成する。
これは、2024年10月4日付の『Nature Astronomy』誌に掲載された、イラリア・パスクッチらによる論文「JWST/NIRSpec 観測で明らかになった若い星からの円盤風 disk winds の入れ子構造」で観察・記録されたものである。
この論文の著者は太陽形成の電気モデルを提唱しているわけではないが、重力の結果として磁場が存在する重力モデルを提唱している。重力モデルは観測された分離を予測しているのだろうか? いいえ、予測していない。
天体物理学者のマイケル・クラレージ博士は、専門家たちがネイチャー誌に太陽が何ができて何ができないかを語っているのには聞き飽きている。
マイケル・クラレージ
「太陽系の形成(妊娠)」
https://michaelclarage.substack.com/p/the-gestation-of-solar-systems
PHYS.ORG ※2
「変化の風:ウェッブが惑星系円盤を形成する力を明らかに」
https://phys.org/news/2024-10-webb-reveals-protoplanetary-disks.html
マイケル・クラレージ:太陽系の形成|サンダーボルト
Michael Clarage: The Gestation of Solar Systems | Thunderbolts
この画像は、ジェームズ・ウェッブ望遠鏡とアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)による最近の合成画像であり、太陽系の形成における電気の役割を示す有力な証拠であると考えられます。

論文で説明されているソースのひとつ(HH30)のRGB合成画像は、複数のトレーサーによる円盤風の入れ子構造を初めて示している。Fe[II]の放射(青)は、最も速く、最も平行な成分(ジェット)を示している。Fe[II]の放射は、より低速の水素放射(緑)の内側にあり、その水素放射はさらに低速の一酸化炭素(J=2-1)放射(赤)の内側にある。Fe[II]と水素の放射はJWST/NIRSpecで取得され、一酸化炭素の放射は以前にALMA(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)で観測された。
クレジット:Ilaria Pascucci et al.
パスクッチらは、このデータと分析結果を最近発表しました。

この画像は、若い太陽系と思われるものからのものです。惑星の軌道と思われる痕跡のある物質の円盤です。

左のパネル:HH 30の合成画像:[Fe II] 1.644μm での放射(青) – H2 4.695μm での放射(緑) – LSR 速度 8.3 ± 0.3 km/s における ALMA CO (2-1)(赤)およびディスク放射を除去した後の画像。外縁のNIRSpec CO (v=1-0) のトレースは灰色で示されている。右のパネル: [Fe II] ジェットの重心(青)のトレースと、NIRSpec で検出された H2(緑)および CO (v=1-0、灰色) 成分の外縁のトレース。CO (v=1-0) の半開角と幾何学的半径はそれぞれ17.8° ± 2.5°と0.075″ + 0.025″(10.5 ± 3.5 au)であり、H2で測定された値(13.5° + 1.1°と0.045″ ± 0.01″)よりも大きい(表2も参照)。
この円盤の上下からは、エネルギーと物質のジェットが噴出しています。

上の画像はジェットのクローズアップです。中央の青い線は鉄によるものです。その周囲の緑色の線は水素によるものです。

中心の鉄と周囲の水素は、強い電流が太陽系の赤ちゃんを形成している場合、自然に発生するものです。
私はこの議論を展開し、その後、なぜ塩をひとつまみ※必要とするのか(なぜ眉唾なのか)を説明します。
※ビデオの中で"塩をひとつまみ"という表現が出てきます。これは"grain of salt"の直訳です。"一粒の塩"または"ひとつまみの塩"を取るという表現は、英語の慣用句で、特に誤解を招く可能性がある主張や未検証の主張を懐疑的に見ること、または何かを文字通りに解釈しないことを意味します。一般的には、鵜呑みにしないという意味で使われます。"眉唾"とでも訳せばいいかなと思っています。
マルクルンド対流

1979年にヨーラン・マルクルンドが提唱した考え方は、宇宙空間を流れる電流によって、元素や化合物が自然に分離するというものです。

電流フィラメントの中心からさまざまな距離にある沿磁力線電流に電子が流れる
鉄などの元素は、移動しながら電流の中心に向かっていきますが、水素やヘリウムなどの元素は外側へと移動していきます。

分離はイオン化エネルギーに依存します。もし電子を失いやすい元素であれば、中心に集まります。


マルクルンド、ヨーラン(1979年2月)
「宇宙プラズマにおける化学分離のメカニズムとしての無力磁場におけるプラズマ対流」
ネイチャー. 277 (5695): 370–371.Bibcode:1979Natur.277..370M. doi:10.1038/277370b0.
図1 フォースフリー軸対称フィラメント状構造における磁場線パターンの一般的な形態。プラズマのイオン化成分は、温度勾配VT にわたって速度Vで内向きに運ばれる。
マルクルンド対流に関する優れた要項をいくつかご紹介します。

プラズマ二重層とマルクルンド対流とは何か
今回は、プラズマ二重層とは何か、それがどのように形成されるのか、そしてそれがエレクトリック・ユニバースにおいてなぜ重要なのかを検証する。また、ビルケランド対流におけるマルクルンド対流とは何か、それが銀河、恒星、惑星系の形成において重要な役割を果たす可能性について探求する。
鉄のような重元素は電子を失いやすく、正に帯電します。

このように容易に正電荷になるため、これらの原子はローレンツ力を受けやすくなり、電流の磁場との相互作用により、それらのイオンは電流の中心により近づきます。

ローレンツ力の法則
定義:
ローレンツ力の法則は、電荷、速度、および磁場の方向に基づいて、電場および磁場が荷電粒子に力を及ぼし、その運動に影響を与える仕組みを説明している。
水素やヘリウムのような元素はイオン化しにくいため、内向きに引っ張られることは少なく、外側に分離します。


右手の法則を学ぼうという意欲さえあれば、これは全てうまくやってのけます。

電流が磁場を発生させる
実験により電流が磁場を発生させることが示される。磁場の方向は右手の法則によって与えられる。
しかし、人前で手をぐるぐると回して、何も指さずにいることが必要になります。

(ビアガーデンやピクニックエリアなど、楽しい場所であれば、周りの人からちょっとした注目を集めるかもしれません)
物理学者がこれらすべてを突き詰めていくと、二つの謎が浮かび上がってくることを指摘しておきます。

謎その1:電流が流れると、電流のラインの周りに磁場が発生します。
謎その2:磁場の中を動く荷電粒子には、その粒子自身の運動と磁場の両方に垂直な力が働きます。
古典物理学では、この二つの謎を説明することはできません。これらは観察され、その後、マクスウェルの方程式とローレンツ力に形式化され、それぞれ項目1と項目2に対応しています。

この二つの謎は、ウェーバーとヘルツが定式化した電磁力学ではより適切に扱われていますが、ご存じのようにマクスウェルに異議を唱えると、大御所が登場します。

『ウェーバーの電磁力学(物理学の基礎理論、66)』アンドレ ・コッホ・トーレス・アシス
「電気科学は、主にドイツにおいて、遠隔作用理論の研究者たちによって大きな進歩を遂げた。W. ウェーバーによる貴重な電気測定値は、彼自身によってこの理論に従って解釈され、ガウスによって創始され、ウェーバー、リーマン、F. および C. ノイマン、ローレンツなどによって続けられた電磁気学の思索は、遠隔作用の理論に基づいており、粒子の相対速度に直接依存するか、あるいは潜在的なものか力であるかを問わず、あるものが一方の粒子から他方の粒子へと徐々に伝播することに依存している。これらの著名な人物が電気現象への数学の応用で成し遂げた大きな成功は、当然のことながら、彼らの理論的思索にさらなる重みを与えている。そのため、電気の学生として、数学的電気学における最大の権威として彼らに目を向ける人々は、おそらく彼らの数学的手法とともに、彼らの物理的仮説も取り入れるだろう。しかし、これらの物理的仮説は、私が採用するものの見方とはまったく異なっている。私が意図していることの一つは、電気を研究したいと考えている人々の一部が、この論文を読むことで、現象を説明するのに劣らず適しており、一部ではより明確でないように見えるかもしれないが、私が考えるに、主張する内容と未決定のままにしておく内容の両方において、実際の知識により忠実に対応している、別の方法があることに気づくことだ」(『ウェーバーの電磁力学』)
そこで、マクスウェルの力学と、その結果生じるローレンツ/アインシュタインの相対性理論がなぜ多くの問題を残しているのか、

トーマス・フィップス・ジュニアとアンドレ・コッホ・トーレス・アシスの研究を読者の方々に探究していただきたいと思います。

トーマス・E・フィップス・ジュニア『古い物理学を新しいものに: アインシュタインの相対性理論に代わる世界観』
アインシュタインの相対性理論を批判し、それに代わる世界観を提示する書物である。フィップスは本書において、相対性理論の一般的な見解に異議を唱え、その欠陥と制度化された醜さとして彼が認識するものに焦点を当てている。この本では、マクスウェル方程式、ウェーバーとヘルツの電磁気学などについて掘り下げ、共変ローレンツ変換やミンコフスキー時空対称性などの概念の妥当性に疑問を投げかけている。

アンドレ・コッホ・トーレス・アシス『電気の実験的および歴史的基礎』
『電気の歴史的・実験的基礎』は物理学の最も基本的な側面を取り扱っている。この本では、電気の歴史における主な実験と発見について説明している。まず、プラスチックを髪の毛でこすって作ったプラスチック片に小さな紙片を引き寄せるというよくある実験に類似した琥珀効果について述べている。この本では、いくつかの機器、すなわち、バーソリウム、電気振子、静電計、電荷コレクタの作り方を説明している。電気の引力と斥力、正電荷と負電荷、ACRメカニズム(引力、電気の伝導、斥力)について論じられている。導体と絶縁体の概念、およびこれら二種類の物質の挙動における主な違いが分析されている。すべての実験は明確に説明され、安価な材料を使って実施されている。これらの実験は、これらの現象を説明する明確な概念、定義、法則につながる。歴史的な側面は、主要な科学者たちの関連する引用文とともに提示されている。この本では、導体と絶縁体を発見した偉大な英国の科学者、スティーブン・グレイ(1666-1736)の業績について、その主な特性とともに徹底的な分析を行っている。巻末には豊富な参考文献が記載されている。

アンドレ・コッホ・トーレス・アシス『アルキメデス、重心、力学の第一法則』
『アルキメデス、重心、力学の第一法則』は、物理学の最も基本的な側面を扱っている。この本は、アルキメデスの生涯における主な出来事と、彼の作品の内容について述べている。さらに、地球の重力の影響下にある浮遊物体の平衡に関する多数の実験について論じている。すべての実験は明確に記述され、単純で安価な材料を使って実施されている。これらの実験は、物質の重心の明確な概念的定義につながり、それを正確に特定するための実用的な手順を示している。安定、中立、不安定の各平衡状態が分析されている。多くの平衡おもちゃやゲームが説明されている。アルキメデスが求めた重心の理論値とともに、その概念の歴史的側面が示されている。また、この本では、正確な天秤やてこの作り方や調整方法についても説明している。いくつかの実験を行い、重心の数学的定義と力学の第一法則(てこの法則とも呼ばれる)を導く。この法則の帰結とさまざまな説明は、ユークリッドとアルキメデスの著作の徹底的な分析とともに、この本の最後に説明されている。
私はその領域に飛び込み、息切れするほど(興奮や驚きに圧倒される状態)になりながら岸まで泳いで戻ってきました。私は今、ウェーバー、ヘルツ、フィップス、アッシスの方がマクスウェルよりも正しいことを知っています。

『ヴィルヘルム・ウェーバーの電磁力学に関する主要著作の英訳』
ヴィルヘルム・ウェーバーの電磁気学に関する主要著作の英訳シリーズは、ウェーバーの電磁気学に関するオリジナル作品の翻訳を収録した書籍シリーズである。例えば第3巻では、ウェーバー定数の測定、反磁性、電信方程式、光速での電磁波の伝播に焦点を当てている。
これらの巻はAmazonで購入でき、ウェーバーの電磁気学への重要な貢献を翻訳・出版する大規模なプロジェクトの一部である。
このシリーズには複数の巻があり、それぞれウェーバーの研究の異なる側面を取り上げている。
第3巻:ウェーバー定数の測定、反磁性、電信方程式、電磁波の伝播。
第4巻:エネルギー保存、ウェーバーの原子惑星モデル、電磁気学と重力の統一。
第1巻:ガウスとウェーバーの単位の絶対体系。
第2巻:ウェーバーの基本力とクーロン、アンペール、ファラデーの法則の統一。

ウェーバーの原子の惑星モデル
ウェーバーの原子惑星モデル:ヴィルヘルム・ウェーバーは、今日のSI単位の基礎となる絶対測定システムの創始者として、カール・フリードリヒ・ガウスとともに知られている。1860年頃に開発されたウェーバーの原子モデルは、物理学史の文献ではほとんど知られていないが、ここでは、ブラジルのカンピーナス大学の教授アンドレ・コッホ・トーレス・アシス氏、ハンブルク大学自然科学史研究所、引退した上級講師カール・ハインリッヒ・ヴィーダークライ博士、グドルン・ヴォルフシュミット教授によって紹介されている。近接場効果理論(ファラデー、マクスウェル、ハインリッヒ・ヘルツ)の物理学分野での成功により、旧来の電磁気学は時代遅れの遠方場効果理論としてあっという間に忘れ去られた。電気の原子論的実体構造という考え(H.A.ローレンツ、J.J.トムソン)が優勢となったのは、19世紀末になってからのことである。アンペールの分子電流仮説に基づき、ウェーバーの原子モデルでは、電気を帯びた非常に小さな質量を持つ電気粒子が、やはり電気を帯びた計量可能な原子または分子の周りを回っている。ウェーバーによると、これらの周回粒子はエーテルの中で同じ周波数の光波を励起する。ボーアの原子モデルとの類似性は驚くほどであり、量子条件や量子飛躍を除けば、なおさらである。しかし、ウェーバーは光波の放出に関するエネルギー的な考察はまだ行っていなかった。金属電子論を説明するにあたり、ウェーバーはアンペールの分子電流から出発した。電圧が導体に印加されると、電気粒子が放出され、それによって、可算原子の影響圏から隣接する原子の影響圏へと移行する。その後、リーケ、ドルード、H.A.ローレンツが、これらの考えに基づいて金属の古典的電子理論を構築した。ゾンマーフェルトは、その後発展した量子論と固体物理学を用いて、これらの考えを再び取り上げた。
しかし、その領域に飛び込む勇気のある他の誰かを助けるほど、私は強くはありません。
最近のパスクッチ論文の画像に戻ります。

電流が空間を流れると、自然に元素が分離することが分かっています。鉄などの重元素は中心に移動し、水素などの軽元素は外側に移動します。そして、それらは層を形成します。

この観察結果は、まさにパスクッチらが発表したものです。

JWST/NIRSpec観測で明らかになった若い星の円盤風における入れ子状の構造 ※3
赤い外側の層は一酸化炭素(CO)によるものです。

一酸化炭素は水素と比較してイオン化エネルギーが低く、一酸化炭素分子から電子を奪うには水素原子から電子を奪うよりも少ないエネルギーで済むことを意味する。
一酸化炭素のイオン化エネルギーは水素よりもわずかに低いため、水素の外側に位置している理由について疑問に思うのは当然でしょう。しかし、マルクルンドは原子のみを計算対象としていました。一酸化炭素には電気双極子と磁化率があり、それらを考慮する必要があります。そのため、現時点ではこの点については見過ごしてもよいでしょう。

一酸化炭素分子の電気双極子モーメント
一酸化炭素分子では、炭素原子の近くの電子密度は酸素の近くの密度よりも大きく、その結果、双極子モーメントが生じる。
もちろん、パスクッチらは太陽形成の電気モデルを提唱しているわけではありません。

彼らは重力モデルを提唱しており、磁場は重力の結果として生じるものとしています。

重力モデルは、観測された分離をどのように予測するのでしょうか?

簡単に言えば、予測はしません。

彼らのさまざまな温度風と磁気風のモデルを検証し、納得できるかどうか確認してみてください。私は少し迷ってしまいました。
私はコーネル大学でリチャード・ラヴレースとしばらく一緒に、星形成における重力モデルとエレクトリック・モデルの違いについて研究していました。

彼は電気モデルに対して非常に寛容でした。彼については良いことしかありません。彼の重力モデルは次のようなものでした。

重力により塵とガスが圧縮され、そのシステムにはある程度の角運動量があります(二つの調整可能なパラメータ)。圧縮されたガスは、それ自体との摩擦によりエネルギーを放出します(さらに四つのパラメータ)。イオンと電子はそれぞれ独自の温度を持ち、それによって全体的な電流の流れが生じます(これは六つのパラメータだったと思います)。


磁気流体モデルでは、磁束の渦が円盤の回転に対して垂直方向に流れ、粒子と角運動量を引き離すという解が導かれます(この部分は理解できませんでしたが、これにはさらに四つの調整可能なパラメータが関わっていました)。



これらはすべてコンピュータシミュレーションで再現されました。そのコードは、多くの大学院生が何年もかけて貢献したものでした。そのモデルには、異なる要素が放射状に分離されていることを説明するものは何もありませんでした。モデルには多くの調整可能なパラメータがあり、物理的に意味のある方法で選択することも、望む結果を得る方法で選択することもできます。
ラヴレース教授は素晴らしいので、特に不満はありません。私は、モデルとコードを十分に時間をかけて掘り下げて、それについて自分なりの明確な意見を形成することはできないだろうと思いました。そこで、私はその研究を中断し、電気モデルの研究に戻りました。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、円盤の崩壊を重力で説明するのは非常に微妙な(扱いにくい)のです。

塵が中心に向かって落ちていくと想像すると、塵は崩壊しながら回転速度を速めるだけで、崩壊は止まってしまいます。しかし、もし十分な量の塵が何らかの方法で圧縮されて星になった場合、恒星点火(収縮するガス雲が熱核融合を開始し、恒星の誕生を示すプロセス)によって形成中の惑星は吹き飛ばされてしまいます。
重力モデルにはいくつかの基本的な問題があります。おそらく、重力崩壊は不可能であると説明しているピエール=マリー・ロビタイユ Pierre Marie Robitaille の研究をご覧になった方も多いでしょう。

ピエール=マリー・ロビタイユ博士は、オハイオ州立大学放射線学教授。化学物理学プログラムの教授も兼任している。1998年には、世界初の超高磁場MRIシステムの設計と組み立てを主導した。これにより、熱放射のキルヒホッフの法則に関する考え方など、熱物理学の根本的な側面を問い直す必要が生じた。これらのプレゼンテーションは、オハイオ州立大学による推奨や支持を受けたものではない。
youtube「重力崩壊は起こるのか? 熱力学の法則から得られる洞察!」
Does Gravitational Collapse Occur? Insight from the Laws of Thermodynamics!
重力崩壊と熱力学
重力崩壊の概念は、熱力学の法則によって否定される。これらの法則によれば、気体集合体は重力によってそれ自体に崩壊し、温度を上昇させることはできない。なぜなら、これは第一法則に違反し、システムがそれ自体に作用することを許容し、第二法則に違反し、圧縮を確実にする外部エージェントを持たないからである。さらに、重力崩壊の概念は、熱力学の第〇法則に矛盾する。
しかし、天体物理学では、ガスの雲が自身の重力によって収縮するプロセスは、その質量がジーンズ質量(ガスと塵の雲が自身の重力によって崩壊し、星の形成につながる臨界質量の閾値)を超える場合に起こり、恒星やブラックホールの形成につながるものとして受け入れられている。
このプロセスは、宇宙における構造形成の基礎となるもので、初期には均一に分布していた物質が、時間の経過とともに高密度の領域へと収縮する。
重力崩壊に関する議論は、天体物理学における重力と熱力学の原理の複雑な相互作用を浮き彫りにしている。
これらの議論には数式が多用されていますが、私は、数学者が自然界に何ができて何ができないかを語ることにはうんざりしています。
要約すると、

電気モデルでは、ジェットの中心に鉄があり、その外側に水素があることがすぐに予測されます。
重力モデルは、これを説明することさえ、ましてや予測することなど、依然としてもがいています。したがって、私は最近の観測は電気モデルの大きな勝利だと言いたいのです。
では、この"眉唾(鵜呑みにしないこと)"についてはどうでしょうか?

ハービッグ・ハロー30と呼ばれる天体の画像。クレジット:クリス・バロウズ STScI、WFPC2科学チーム、NASA
このすべてにおいて、"眉唾(鵜呑みにしないこと)"なのは、これらの天体が何なのか、私たちは実際には知らないということです。
私たちは、それらが若い太陽系であると想像しています。おそらくそのうちのいくつかはそうでしょう。しかし、それらはまったく異なるものであり、まだ名前もカテゴリーも存在しないものなのかもしれません。



画像提供:NASA、ESA、ハッブル宇宙望遠鏡遺産共同事業(STScI/AURA)/ハッブル・ヨーロッパ(ESA)、D. Padgett(GSFC)、T. Megeath(トレド大学)、B. Reipurth(ハワイ大学)
上の画像はハッブル宇宙望遠鏡によって撮影されたものですが、それが生のデータだとはとても信じられません。まるで芸術家の空想の産物のように見えます。その細いプラズマの噴流は何十億マイルも伸びており、一度分も広がっていません。
磁気流体力学がそれを予測していると思いますか?
すべての太陽系がこのように形成されるのでしょうか?
そうではないようです。

なぜこれらの物体はこのような形になるのでしょうか?
不明です。

これらはすべて原始恒星円盤 proto-stellar discs(恒星や惑星系の形成における重要な初期段階であり、その研究は太陽系やその他の系を形成するプロセスについての洞察を提供するとされている)と名付けられています。"原始 proto “という言葉を聞くと、私は二つのことを考えます。

ひとつ目は、そこには星しかないとすでに決めており、それ以外には何もないと考える場合

ふたつ目は、"原始(プロト)“という接頭語を使うのは、自分たちが何を言っているのか分かっていないときだけです。

私にとって"眉唾"は、自分たちが目に見えるものをすべて理解していると思い込んでいること(傲慢)です。

これらの物体が何であれ、一部には強い電流が流れており、その結果として元素が分離しているように見えます。これらの物体の一部は、太陽系を形成している最中なのかもしれません。また、それらは何か他のものなのかもしれません。

──おわり
コズミック・エレクトリック・ライツ(宇宙の電光):ウォル・ソーンヒル ※0
Cosmic Electric Lights – 'Stars are formed following Marklund convection..’ – By Wal Thornhill
コズミック・エレクトリック・ライツ(宇宙の電光)
ウォル・ソーンヒル著
2010年3月1日
出典
太陽のエレクトリック・モデルは、重力降着による問題の多い恒星の誕生を否定する。恒星は、銀河のビルケランド電流フィラメントの軸に向かう塵の多いプラズマ中の荷電粒子のマルクルンド対流によって形成される。

フォースフリー軸対称フィラメント構造における磁場線パターンの一般的な形。
フィラメントは透明であるため、最も密度の高い領域が優先的に冷却され、温度は軸に向かって低下する。そのため、プラズマのイオン化成分は、温度勾配ΔTを速度Vで内向きに移動する。図はマルクルンド(G. T.)著「宇宙プラズマにおける化学分離のメカニズムとしてのフォースフリー磁場におけるプラズマ対流」『Nature』第277巻、1979年2月1日、370、371ページより引用。
これは非常に効率的なメカニズムであり、長距離1/rの力で物質を掃き集める結果となる。マルクルンドは次のように説明している。
「私が『Nature』誌に発表した論文では、プラズマは通常のE×B/B2の速度で、円筒形の磁束管の中心に向かって半径方向内側に流れる。この内側への対流の間、プラズマの異なる化学成分は、それぞれ固有のイオン化ポテンシャルを持ちながら、徐々に温度の低い領域へと移動する。プラズマの成分は再結合して中性となり、電磁気力による影響を受けなくなる。したがって、イオン化ポテンシャルによって、異なる種類の成分がどこに堆積するか、あるいは運動が停止するかが決まる」。
このようにして形成された恒星は、ヘリウムと水素の外層を持つ。内側に向かって、水素、酸素、窒素が大気中間層を形成し、鉄、ケイ素、マグネシウムが中心核を形成する。中心核は冷えている。恒星には熱核エンジンはありません!

このオリオン星雲の赤外線画像は、塵の多いプラズマ中のねじれた電流フィラメントに沿って形成される新しい(赤い)星々を示している。
出典:ESO/J. Emerson/VISTA & R. Gendler。 謝辞:ケンブリッジ天文調査ユニット
カール・A・ラウス博士は、「太陽内部の"非標準"モデルにより、40年近くも太陽物理学界を挑発し続けている、物静かな異端児の天体物理学者」と呼ばれている。彼は、脈動変光星(周期的に表面層を膨張・収縮させる恒星)の研究から、恒星内部のスタンダードモデルに何か問題があることを発見した。通常の想定では、太陽の質量、光度、半径を観測値と一致させることができなかった!
彼は、太陽が重元素のコアを持つという仮定を置くことによってのみ、彼のモデルが機能することを発見した。さらに、彼は観測された太陽内部の振動を再現することにも成功した。ラウスの研究は、重元素がコアに集中しているZピンチにおける恒星形成のプラズマ宇宙論のストーリーに合致しているため、より注目に値する。
また、エレクトリック・スターのエレクトリック・ユニバース・モデルとも一致しており、太陽ニュートリノの欠損はもはや"太陽物理学における最大の未解決問題のひとつ"ではなくなっている。なぜなら、太陽の光は銀河が作り出す球状の放電現象だからである。太陽放射照度がニュートリノのそれとまったく同じ変調を示す理由も簡単に説明できる。太陽では、地球の粒子衝突型加速器と同様に、電気エネルギーをターゲットに集中させることによって核反応が起こる。

この図は『The Sun』電子書籍からの引用である。太陽の本体の大きさを単純に推定したもので、恒星の大気がその見かけの大きさにかなりの割合で寄与していることを示すことを意図している。
プラズマフィラメントが元素を分離するプロセス(「プラズマ宇宙論」のサイトから)
Marklund convection
マルクルンド対流

マルクルンド対流、プラズマフィラメントが元素を分離するプロセス。
マルクルンド対流(Goran Marklundにちなんで名付けられた)は、フィラメント状の電流で起こる自然なプラズマ対流プロセスであり、化学的分離を引き起こす可能性がある。電場に関連するプラズマ内で発生し、イオンと電子が中心のねじれたフィラメント状の軸に向かって内側に移動する対流を引き起こす。プラズマ内の温度勾配も、異なるイオン化ポテンシャルに基づいて化学分離を引き起こす。
このメカニズムは、プラズマ内の物質を効率的に蓄積する手段を提供する。部分的にイオン化されたプラズマでは、電磁力がイオン化された物質とイオン化されていない物質の間の粘性を通して、間接的にイオン化されていない物質に作用する。
アルヴェーンは次のように書いている。
「……イオン化ポテンシャルが最も低い元素は軸に最も近づき、イオン化ポテンシャルとともに半径が大きくなる同心中空円筒を形成する[……]イオン化物質が周囲からロープへと移動するということは、ロープがイオンポンプとして作用し、周囲を排除することを意味する。この方法で、極めて低密度の領域を作り出すことができる」
マルクルンドは次のように説明している。
「私が『ネイチャー』誌に発表した論文では、プラズマは通常のE x B/B2の速度で、円筒形の磁束管の中心に向かって放射状に内側へと対流する。この対流が内側に向かう間、プラズマの異なる化学成分は、それぞれ固有のイオン化ポテンシャルを持ちながら、徐々に温度の低い領域へと移動する。プラズマの成分は再結合して中性となり、電磁気力の影響を受けなくなる。したがって、イオン化ポテンシャルによって、異なる種類の成分がどこに堆積するか、あるいは運動が停止するかが決まる」
ヨーラン・マルクルンド教授 ※1
Göran Marklund, Professor
ヨーラン・マルクルンド教授
KTH王立工科大学電気工学部
宇宙・プラズマ物理学

KTH王立工科大学電気工学部、宇宙・プラズマ物理学
略歴および学術経歴
ヨーラン・マルクルンドは1950年11月3日、スウェーデンのストックホルム生まれ。
1975年にスウェーデン王立工科大学(KTH)で土木工学修士号(電気工学、物理学)を、1983年にプラズマ物理学博士号を、1984年に同大学で講師(准教授に相当)の学位を取得した。
1990年には宇宙プラズマ物理学の教授に任命され、宇宙プラズマグループのリーダーとなった。
1997年より、アルヴェーン研究所のプラズマ物理学部門の副所長を務める。
1993年にはスウェーデン王立科学アカデミーより「Wallmarkska priset(科学と産業の進歩に何らかの顕著な貢献をした発見や発明に対して毎年授与される※)」を受賞。
※1993年:ヨーラン・マルクルンド、「スウェーデンの宇宙研究に対する卓越した科学的、組織的貢献」に対して。
1997年よりスウェーデン王立科学アカデミーの会員。妻のネダと娘のアンナ、ペトラの二人の娘がいる。ストックホルム郊外のエルタにある古い家に住んでいる。
研究テーマ
彼の研究の主題は、太陽風 – 磁気圏 – 電離層システムにおけるプラズマ現象の実験的および理論的調査であり、特にオーロラ現象に重点を置いている。彼は、多数の観測ロケットにおける電場実験の責任者であり、VikingおよびFrejaの電場機器の主任研究員、Cluster二重プローブ電場機器の共同研究員、およびAstrid-2マイクロ衛星ミッションの共同プロジェクトサイエンティスト兼発案者でもある。彼の研究アプローチは、観測ロケットや人工衛星を使った受動的および能動的な実験から得られた現場データを、イベント研究、統計研究、数値モデリング研究を組み合わせながら使用し、小規模、中規模、およびグローバルな規模でオーロラ現象の特性を研究することである。マルクルンドは、約130の科学論文の著者または共著者である。
マルクルンド:フォースフリー磁場におけるプラズマ対流は、宇宙プラズマにおける化学分離のメカニズム
Published: 01 February 1979
Plasma convection in force-free magnetic fields as a mechanism for chemical separation in cosmical plasmas
G. T. MARKLUND
公開:1979年2月1日
フォースフリー磁場におけるプラズマ対流は、宇宙プラズマにおける化学分離のメカニズムである
G. T. マルクルンド
要約
過去20年間の宇宙研究の進歩により、宇宙プラズマを均質な媒体とみなす以前の考え方は放棄せざるを得なくなった。フィラメント形成と化学的分離は、宇宙プラズマでしばしば観察される二つの重要な現象であり、不均一性の重要性を示している。宇宙における元素の存在度を表現する際には、従来、太陽大気の平均組成が基準とされてきた。しかし、太陽風中の化学組成を現地測定や月の土壌や隕石のサンプルから多数の観測を行った結果、これらの比率には大きなばらつきがあることが示された。太陽フレアのエネルギー粒子事象における陽子とα粒子のフラックス比は、事象間および事象内で大きく変動する。最近の観測では、この変動はフレアの発生場所と観測者間の伝播効果というよりも、フレアのプロセス自体とフレアの以前の履歴と関連していることが示されている。特定の活動領域におけるフレア発生前の履歴における局所的な化学的分化メカニズムが、放出されたエネルギー粒子の組成に影響を与えている可能性が高い。フィラメント化と化学的分離の現象は、温度勾配が存在する場合、フィラメント構造に関連するプラズマ対流が選択的輸送の有効な手段となるため、関連している可能性がある。このメカニズムの一般的な原理はここで説明されている。これらの原理は、太陽フレアだけでなく、フォースフリーフィールドや熱勾配が発生する多くの他の宇宙プラズマにおいても重要である可能性がある。
変化の風:ウェッブが原始惑星系円盤を形成する力を明らかに ※2
October 4, 2024
Winds of change: Webb reveals forces that shape protoplanetary disks
by University of Arizona
2024年10月4日
変化の風:ウェッブが原始惑星系円盤を形成する力を明らかに
アリゾナ大学による

若い恒星を取り囲む惑星形成円盤の想像図。惑星が形成される高温のガスと塵の渦巻く"パンケーキ"が示されている。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使用して、研究チームは、ガスが宇宙空間に吹き出す流れである円盤風の層状円錐構造を示す詳細な画像を入手した。
提供:国立天文台(NAOJ)
可視宇宙では、毎秒3,000個以上の星が誕生している。その多くは、天文学者が原始惑星系円盤と呼ぶ、惑星が形成される高温のガスと塵の渦巻く"パンケーキ"状の円盤に囲まれている。しかし、恒星や惑星系が形成される正確なプロセスは、まだ十分に解明されていない。
アリゾナ大学の研究者を中心とする天文学者チームは、NASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使用して、原始惑星系円盤を形成する力について、最も詳細な洞察を得た。この観測は、46億年前の太陽系がどのような姿をしていたかを垣間見せてくれる。
特に、研究チームは、これまでにないほど詳細に、いわゆる"円盤風"を追跡することができた。この風は、惑星形成中の円盤から宇宙空間に吹き出すガスの流れである。磁場によって主に駆動されるこの風は、わずか1秒で数10マイルも移動する。
研究結果は『Nature Astronomy』誌に掲載され、若い惑星系がどのように形成され進化するのかを天文学者がより深く理解するのに役立つ。
論文の筆頭著者であるイラリア・パスクッチ教授(アリゾナ大学ルナ・アンド・プラネタリー・ラボ)によると、原始惑星系円盤で最も重要なプロセスは、恒星が自身の周囲にある円盤から物質を吸収する"降着"と呼ばれる現象である。
「恒星がどのように質量を吸収するかは、その周囲の円盤が時間とともにどのように進化するか、そして惑星が形成される方法にも大きな影響を与える」とパスクッチは言う。
「この現象が具体的にどのように起こるのかはまだ解明されていないが、円盤表面の大部分を覆う磁場によって引き起こされる風が、非常に重要な役割を果たしている可能性があると考えている」
若い星は、自身の周囲で渦巻く円盤からガスを引き込むことで成長するが、そのためにはまずガスがその慣性を失う必要がある。そうでなければ、ガスは恒星の周りを常に公転し、決して落下することはないだろう。天体物理学者は、このプロセスを"角運動量の喪失"と呼んでいるが、それが具体的にどのように起こるのかは、これまでつかみどころのないものだった。
原始惑星系円盤における角運動量の作用をよりよく理解するには、氷上のフィギュアスケーターを思い浮かべるとよい。腕を体に沿えておくと回転は速くなり、腕を伸ばすと回転は遅くなる。スケーターの質量は変わらないため、角運動量も同じままである。
ガスが集積するには、円盤全体にわたってガスが角運動量を失う必要があるが、天体物理学者たちは、それが具体的にどのように起こるのかについて意見が一致していない。近年、円盤風は、円盤表面からガスを吸い出す重要な役割を担うものとして浮上している。それにより、角運動量とともにガスが吸い出され、残ったガスは内側へと移動し、最終的に星に落下する。
原始惑星系円盤の形成には他にもプロセスが関与しているため、異なる現象を区別できることが極めて重要であると、論文の共著者であるNASAの宇宙望遠鏡科学研究所のトレイシー・ ベックは述べている。

論文で説明されている天体のひとつ(HH30)のRGB合成画像は、複数のトレーサーによる円盤風の入れ子状の構造を初めて示している。Fe[II]の放射(青)は、最も速く、最も平行な成分(ジェット)を追跡している。Fe[II]の放射は、より低速の水素放射(緑)の内側にあり、その水素放射はさらに低速の一酸化炭素(J=2-1)放射(赤)の内側にある。Fe[II]と水素の放射はJWST/NIRSpecで取得され、一酸化炭素の放射は以前にALMA(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)で観測された。
クレジット:イラリア・パスクッチほか
星の磁場によって円盤の内縁の物質が押し出される現象(X線風)が起きている一方で、円盤の外縁部は強烈な恒星光によって浸食され、いわゆる熱風が発生している。熱風ははるかに遅い速度で吹き出す。
「磁場駆動風、熱風、X風を区別するには、JWST(ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡)の高感度と解像度が本当に必要だった」とベックは述べた。
今回の研究で観測された風は、狭い範囲に限定されたX風とは異なり、太陽系の内側の岩石惑星(地球と火星の間)を含むより広範囲の領域から発生している。また、熱風よりも円盤の上層にまで広がっており、地球と太陽の距離の何百倍もの距離にまで達している。
「我々の観測結果は、角運動量を奪う風の最初の画像を入手したことを強く示唆しており、恒星や惑星系がどのように形成されるかという長年の問題を解決する糸口となるだろう」とパスクッチは述べた。
研究チームは、地球から見てすべてが端から端まで見える四つの原始惑星系円盤を選んだ。
「この配置により、円盤内の塵とガスがマスクの役割を果たし、強力な中心星の光の一部を遮ることで、風が圧倒されてしまうのを防いでいる」と、この研究に貢献したルナ・アンド・プラネタリー・ラボラトリーの大学院生、ナマン・バジャイは述べた。
研究チームは、JWSTの検出器を特定の遷移状態にある分子に調整することで、風が吹くさまざまな層を追跡することができた。観測により、中心ジェットの複雑な三次元構造が明らかになった。この構造は、円錐形の風包絡体の内部に位置しており、その風包絡体は、徐々に大きな円盤の距離から発生している。この構造は、玉ねぎの層状構造に似ている。
研究者らによると、重要な新発見は、四つの円盤の分子風によって形成された円錐形の内部に、顕著な中心の穴が常に検出されたことである。
次に、パスクッチのチームは、これらの観測をより多くの原始惑星系円盤に拡大し、観測された円盤風の構造が宇宙でどれほど一般的であるか、また、それらが時間とともにどのように進化するかをより正確に把握したいと考えている。
「我々は、それがありふれた現象である可能性があると考えているが、四つの天体では、それを断言するのは難しいだろう」とパスクッチは述べた。
「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡でより多くのサンプルを入手し、恒星が集まり惑星が形成される過程で、これらの風の変化を検出できるかどうかを確かめたいと思う」
観測で明らかになった若い星の円盤風における入れ子状の構造 ※3

The nested morphology of disk winds from young stars revealed by JWST/NIRSpec observations
JWST/NIRSpec
観測で明らかになった若い星の円盤風における入れ子状の構造
要約
円盤風が半径方向に広がっていることは、原始惑星系円盤がどのようにして物質を集積し、惑星がどのように形成され移動するのかを解明する鍵となる可能性がある。その際立った特徴は、速度と化学組成の入れ子状の構造である。ここでは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線分光撮像装置による、エッジオンディスクを持つ四つの若い星の観測結果を報告する。そのうち三つはすでに誕生時の包 envelope(外層)を散逸している。各天体では、[Fe ii]によってトレースされた高速のコリメートジェットが、より低速のH2の空洞内部に内包されている。あるケースでは、COの回転振動(v=1→0)放射でも中空構造が見られるが、H2よりも開き角が広い。そして、それら両者は、さらに広い開き角を持つアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)のCO(J=2→1)円錐形構造の内側に位置している。この入れ子状の構造は、たとえ包を持たない天体であっても、風による降着の理論予測を強く裏付けるものであり、惑星系の形成と進化における風の役割を評価するための理論的研究の必要性を強調するものである。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。