宇宙の白熱電球─電気的宇宙論お勉強シリーズ④

銀河系の中心にねじ込まれた”白熱電球”?

2015年1月6日の「Daily Mail」の記事『天の川が時速200万マイルで泡を吹いているのはなぜか? 天体物理学の法則に反する現象に困惑した科学者』によると、(以下引用)

・”フェルミバブル”は、高さ30,000光年の白熱電球のように見える
・それらは200万年前の大爆発の間に作成された
・科学者たちは、構造物に近いクエーサーからの紫外線を研究することによって、これらの不思議な泡がどのように形成されたかを調べようとしている
・この研究では、気泡にシリコン、カーボン、アルミニウムが含まれていることがわかった
・これは、それらが巨星の集団によって形成された可能性があることを示唆している
・別の理論は、それらが銀河の超大質量ブラックホールから爆発する加速された物質の巨大なジェットによって作成された可能性があることを示唆している

この”フェルミバブル”というのは、2010年にフェルミガンマ線宇宙望遠鏡によって発見された巨大な泡状の構造です。銀河の上と下に大きな泡のように見えるのものがガンマー線映像でとらえられました。もちろん可視光線では見えません。(下図の画像参照)

フェルミバブル

銀河の中心から上下に紫色に光る卵状のものが映っているのが見えます。先ほどの記事を続けて引用すると、

天の川がこれらの巨大な泡を吹いている理由を説明しようとする多くの理論がある。一部の科学者は、それらが私たちの銀河の中心にある超大質量ブラックホールから噴出する加速された物質の巨大な噴流によって作成された可能性があると信じている。あるいは、ブラックホールを取り巻く豊富なガスから生まれた巨星の集団によって形成された可能性があり、すべてがほぼ同時に超新星として爆発した。
別の理論は、それらは暗黒物質粒子間の衝突の結果であり、それらの消滅をもたらし、その過程で荷電粒子を放出するというものだ。
……「それらを説明するいくつかのモデルがあるが、どのモデルも完璧ではない」と、カブリ理論物理学研究所のポスドク研究員であるドミトリー・マリシェフは述べている。”フェルミバブル”と呼ばれるこれらの神秘的な構造は、現在の天文学理論によれば存在すべきではない。科学者たちは、爆発の原因をまだ解明できていない

実際のところ、これがなんなのか分かってないのです。現在の天文学理論によれば”存在すべきではない”とは凄い表現です。理論の方を検討し直すということはしないのでしょうか?

フェルミバブルについては『【宇宙】時速320万Kmで膨張する天の川の「巨大バブル」の正体!』という日本語の記事がありますので、興味があれば読んでみてください。ただし先ほど出た”現在の天文学理論”による解説記事です。タイトルにある”正体”はわからずじまいです。

引用させていただいた記事にしても、ほとんどの記事は主流の”現在の天文学理論”という重力中心の観点で書かれています。電気宇宙論は紹介さえされていません。電気宇宙論では次のように説明します。

天の川銀河でこれまでに観測された中で最も奇妙な宇宙現象の一つに、フェルミバブルがあります。2010年、フェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡を使った天文学者たちは、天の川銀河のらせん状の円盤の上下に何万光年にもわたって伸びている、いわゆる”バブル”と呼ばれる巨大な構造物を発見しました。いわゆるバブル(気泡)の信じられないほどの大きさと奇妙なエネルギー放出は、過去10年間、継続的な困惑の原因となってきました。しかし、プラズマ物理学者は、このバブルを、十年にもわたって研究室で記録されてきた電気現象の実証であると容易に理解することができます」(『重力は電球を光らせるのか?』より)

残念ながら、天文物理に限らず科学のほとんどの分野で”公平”さは期待できません。公式の理論にとって都合の悪い意見や見解は自動的に検閲され、私たちの目に触れないようになっているようです。

今回の「お勉強シリーズ」はこの”フェルミバブル”を中心に話が展開します。電気的宇宙論ではどのような説明がされるのでしょうか?

宇宙の電球

以下は『宇宙が電気的である理由トップ10』の第4回『宇宙の電球』の全訳です。
要約
現在進行中のシリーズ「宇宙が電気的であるトップ10の理由」の第4回では、我々は現在進行中の天体物理学的な謎──フェルミバブル、科学者たちが”銀河の中心にねじ込まれた白熱電球”と呼んでいる巨大なガンマ線構造を探ります。このエピソードでは、なぜこのような特徴が電気宇宙では説明可能であり、予測可能であるのかを探ります。

宇宙の巨大な電球
Light Bulbs in Space

このシリーズでは、宇宙物理学者にとって解決不可能な問題に光を当てています。電気が何も起こさない宇宙の中で、想像を絶するほど強力な電磁波の放出とエネルギーを説明することに挑戦しています。

最初の3回のエピソードでは、目に見える宇宙のいたるところに見られる驚異的な磁気構造やフィラメント構造の話をしながら、この疑問を探っていきました。

重力中心宇宙論では予測も説明もされていませんが、それらはエレクトリックユニバースでは予測される特徴です。幻想的な電磁現象は、年を追うごとに認知度が高まっています。強力な電場や地球で検出された超音速プラズマジェットから、木星のオーロラに見られる謎の電子加速、さらには銀河ジェットで測定された途方もない電流まで。

しかし、標準的な天文学では、衝突、爆発、重力崩壊、加熱、衝撃波などの機械的・運動学的な過程が、測定された電気的効果を生み出すという理論が、いまだに支持されています。ところが、これまで以上に微細化された技術データが、天文学者の驚きと困惑の表現を増大させるだけであることは偶然ではありません。
今回のエピソードでは”宇宙の巨大な電球”の発見が、宇宙が電気である10の理由の第4弾である理由を解説します。

フェルミバブル

それは、全く新しい理論的な経路を必要とする驚異的に増え続ける謎のリストの一つです。

フェルミ・バブル

7年以上にわたって、天文学者たちは、いわゆるフェルミバブル The Fermi Bubbles の存在を説明するのに苦労してきました。天の川銀河の渦巻き円盤の上下数万光年に渡って、強力なガンマ線を放出する巨大な構造物。

銀河の中心から

この構造の驚異的な大きさとエネルギー放出の両方が、天文学者にとっては難題となっているようです

フェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡を使った天文学者たちは、2010年にいわゆる気泡を発見しました。天の川の中心から出ているエネルギーローブenergetic lobes は、それ以来、非常に不可解な存在となっています。

フェルミのバブルは説明を拒む
フェルミのバブルは説明を拒む

2014年のphys.orgの記事「広範な分析にもかかわらず、フェルミのバブルは説明を拒む」は、その謎の概要を次のように説明しています。
「気泡の輪郭は非常にシャープで、泡自体がその巨大な表面にほぼ均一なガンマ線で光り、まるで銀河の中心にねじ込まれた3万光年の法外な白熱電球が2つあるように見える……彼らのサイズは別の謎だ。フェルミバブルの最奥部には最高エネルギーのガンマ線があるが、銀河から遠く離れた場所にあるため、はっきりとした原因はわかっていない」

最近のスペースニュースのエピソードで概説したように、重力は宇宙で稲妻を引き起こすのか、天体物理学者が、放電現象の紛れもない特徴を観測しても、機械的・運動学的プロセスしか可視化できないというのは、ほとんど信じられないことのように思えます。

前述のphys.orgのレポートは、何がバブルを吹いたのか、という疑問を投げかけています。まるで銀河の中心から空気が吐き出され、宇宙の真空の中に風船のような布をいっぱいに満たすかのように。

宇宙の真空の中の”風船”

研究者たちが提案している理論的な可能性のひとつは、とてつもない数の巨星が、なぜかほぼ同時に爆発して、ガンマ線の泡を形成していたというものです。phys.orgの報告書にあるように、”バブル”のもう一つのその場しのぎの理論は、
「……銀河系の中心にある超巨大ブラックホールから爆発的に加速された物質の巨大な噴出によって作られたのではないか」というものです。さらに最近では、2017年に天文学者たちが、数百万年前に射手座Aにあるとされる仮想のブラックホールによる、いわゆる巨大なおやつ giant snack が、泡を生み出すエネルギーを生み出したと主張しています。 

仮装のブラックホールから?

これらの科学者たちは、ガス雲G2が2014年に待望の最接近を果たしたときに、想定されるブラックホールが別の”おやつ”の有利な条件を持っていたことを忘れてしまったのかもしれません。どうやら、想像されていた重力の怪物は空腹ではなく、ガス雲をそのままにして、世界中の天文学者を驚かせたようです。

我々は再び、驚異的な電磁現象を説明するために巨大な重力に目を向ける科学者の皮肉に注目します。この場合、銀河系の中心にねじ込まれた”白熱電球”にほかなりません。

白熱電球?

最近も何度か報告しているように、銀河ジェットの推定では10の18乗の電流、または1兆(10の12乗)ボルトの稲妻に相当すると言われている驚異的な電流が、電波天文学者によって測定されています。また、遠く離れた宇宙空間にある多数の銀河で、すべてが同じ方向に回転しているという一見理解しがたいラジオジェットの発見は、ブラックホール支持者によって説明されることはないでしょう。

銀河のスピン軸に沿って放電

運動力学的・機械的メカニズムでは説明することはできない

最近も何度か考察しているように、電気宇宙では、天の川銀河の中心にプラズモイドと呼ばれる超高密度のエネルギー貯蔵現象が存在しています。銀河の電気回路の負荷の一種で充電池のようなものです。銀河回路では、電力は螺旋状の腕に沿って内向きに流れ星を照らし、中央のプラズモイドに集中して蓄えられます。プラスモイドが閾値密度に達すると、通常は銀河のスピン軸に沿って放電します。このプロセスは、プラズマフォーカス装置を用いて実験室で再現されています。

実験室で再現

一見、不可解に見える泡の特徴、銀河中心から最も遠いところにある気泡の外縁に最も強いガンマ線が存在することは、電気的な解釈で説明可能であり、実際に予測可能です。

プラズマ宇宙論の父、ハンス・アルヴェーン Hannes Alfven は、二重層と呼ばれるプラズマ形成を離散天体として分類し、二重層の爆発がガンマ線バーストや謎のX線放出の源になる可能性を提唱しました。二重層 double layer、またはラングミュアシース Langmuir sheath として知られるものは、異なる特性を持つプラズマ領域の間に形成されています。天体物理学者にとっては、なぜ最も強いガンマ線が気泡の外縁にあるのかは完全に謎です。

ガンマ線が気泡の外縁に
気泡はエネルギッシュなスペクトルとシャープなエッジを示す

しかし、電気的な解釈では、気泡の縁が銀河プラズマ環境と深宇宙の境界を示しています。二重層は、空間プラズマを流れる電流があるところにしか存在しません。この場合、気泡の端にある二重層は、一方のプレートに正電荷、他方のプレートに負電荷を持つ巨大な球状プレートキャパシタのようなものになります。荷電粒子は二重層を横切って加速され、X線やガンマ線を含む電磁放射線を発生させます。二重層は境界効果として作用し、薄い層で電気エネルギーを散逸させます。

プラズマ科学者のアンソニー・ペラット博士は、著書『プラズマ宇宙の物理学』の中でこう書いています。
「……X線やガンマ線源は、その放射エネルギーが電流によって供給されている可能性が高い」

天文学者たちがバブルを何百万年も前の謎の爆風や噴火によるものとし続けている一方、バブルのもうひとつの重要な特徴は、電気的な解釈を肯定しながら、この概念を完全に覆していることです。

2013年、科学者たちは雑誌「ネイチャー」で、次のような観察結果を報告しました。
「……2つの巨大な直線偏光電波ローブ、3つの尾根状の下部構造を含み、銀河中心から発せられている。銀河の膨らみの中には、フェルミバブルによく似た約60度に伸びるローブがあり、最大15マイクロガウスの強い磁場が浸透している」

これらの非常に強力な磁場は稜線の方向に密接に追従しています。これはエネルギーの流れの周りに巻かれているもので、稜線が実際に電流を表しているかどうかを突き止めなければなりません。とんでもないことに、尾根の幅は約300パーセクと極めて一定です。星を形成するフィラメントの幅が一定であるように、バブルの隆起の一定の幅は、雷の紛れもない特徴です。
※1パーセク:約 3.085677581×1016 m(約3.26光年)

衝突、爆発、噴火、間欠泉、衝撃波、加熱、他にも数え切れないほどの驚異的な電磁現象、これらの運動力学的・機械的メカニズムでは、壮大なフェルミバブルを説明することはできません。しかし、なぜ驚くべきかというと、実は電気は宇宙にあるいわゆる巨大な電球の元になっているのです。

電気力は、実際に、宇宙空間の中の、 いわゆる巨大な電球の、供給源

天体の驚きは、天文学者の頭の中で新たな理解の電球が揺らぎ始め、私たちの電気的な宇宙を照らし出すまで続くことでしょう。

──おわり

二重層、電池に例えると

※二重層という言葉が出てきたあたりから難しく感じられるかもしれません。二重層について電池で説明してある記事がありましたので、そこから引用させていただきます。
二重層とは「電池の端子間に、電解液等が分解しない範囲で電圧をかけると、正極-電解液界面の電解液側には負の電荷をもったイオンが、負極-電解液界面の電解液側には正の電荷をもったイオンが近寄ってきます。電極と異符号の電荷が相対的に増えている領域のことを電気二重層と呼びます」とあります。プラスの極にはマイナスが引き付けられマイナスにはプラスが引き寄せられるという二重の層をイメージしてしてみてください。下図のようなイメージです。

電気二重層

コトバンク」では「物体の薄い層を考えたとき,一つの面に正電荷,他の面に負電荷が連続的に,かつ面密度が等しい状態で分布しているものをいう。すなわち,電気双極子(双極子)からなる二重層である」と解説されています。

さらに『実験室および宇宙プラズマの二重層』から、かいつまんで引用させていただくと
「電気二重層は滝のようなもので、その中を落下する荷電粒子にエネルギーを与えます」
「プラズマに電荷が流れると二重層ができます。二重層は、地球のプラズマ環境や星の周りにも存在し、オーロラやパルサーの電磁波などの現象を生み出しています」
「ノーベル賞受賞者のハンス・アルヴェーンは、二重層を次のように表現しました。……プラズマ(物理的な意味での)が環境からそれ自身を保護するプラズマ形成です。それは、この言葉の生物学的な意味でのプラズマが環境からそれ自身を保護する細胞壁に類似しています」

最後までお読みいただきありがとうございました。

ソーンヒル,ウォレス(著), タルボット,デヴィッド(著), Thornhill,Wallace(原著), Talbott,David(原著), 元彦, 小沢(翻訳)

こんな玩具もありますね。


Posted by kiyo.I