chriskit⑦振動対策(トランスを浮かせる)
前回パワートランジスターを交換した記事で振動対策をしてみようかなっと書いて、即断はできないのでゆっくり聞きながらそのうちにと思ってたら、、、2年が過ぎてしまいました。
シリーズで書いてきたクリスキットの記事もこれで最終回になるかもしれません。これまでに書いた記事を読んでくださった方々にこの場を借りて感謝いたします。
振動源は意外なところに
クリスキットを買って自分で組み立てて使い始めたのが1998年ですから20年以上月日が経過したことになります。自分の不注意でトランジスターを飛ばしたりスピーカーのコイルを焼いたことはありましたが、機器本体の故障は一度もありませんでした。その間にプリもメインもスピーカーも改造ならぬ改悪?を繰り返してきました。今はもう落ち着いていますが、我ながら呆れます。
それにしてもなんて馬鹿なことをしてるんだろうって感想を持たれた方が多いのではないでしょうか? 自分でもそう思いますから。
生半可な知識で測定器具はテスターしかなく、でたらめともいえるような「改造」を繰り返してきたのですから。
それにこのブログはカウンセリングとかセラピー関連の記事がメインで、オーディオ関係の記事はホームページには載せていません。あくまでも趣味で好きでやってきたことを書き綴ってきただけなので。にもかかわらず検索してこのブログを訪れてくれる方が今でも意外に多くびっくりしています。ま、あきれてる人が大半だと思います。僕は自分の耳がいいのかどうか知らないし、加齢とともに13000Hz以上の音は聞こえません。音楽を聴いて癒されることが好きなだけです。
クリスキットの設計者である桝谷さんが亡くなって20年近くになってもクリスキットを大事に使い続けている方や、いまだに興味を持たれる方がいらっしゃることに素直に驚きを感じてしまいます。桝谷さんについては賛否両論あることも知っているし、他にその道では有名な設計者の方々がいらっしゃることも知っています。これまでを振り返って思うのは、情報を集めてオーディオ装置を買ったり作ったりするのもいいけど、落ち着いて音の流れに身をあずけて楽しめるような時はいつになったら来るのだろうか?とも思います。
ドライバー段のトランジスタ
さて、それでは前回に予告したままになっていた「ドライバー段のトランジスタ2SC2336/2SA1006もサンケンの2SC4883A/2SA1859Aに替えてみるつもりです。2SC2336/2SA1006もエピタキシャルですが使い始めて20年近く経ちます。試してみる価値はありそうです。それと振動対策も検討してみようかと思っています」の続きです。
実は前回の記事を書いてすぐに替えてたのです。でもほとんど違いは感じませんでした。でもやってみないことには分からないのでやってみるしかありませんしね。結論は故障でもない限り交換の必要はないと思います。それに端子の構造が違うのでこれまでのように寝かせるわけにいきません。このサンケンの2SC4883A/2SA1859Aは立てるしかありません。といういわけで替えるのはいろいろと面倒なのでやめた方がいいかと思います。
さて振動対策ですがこれもすぐに続けて試してみました。
「森林浴」「桃源郷」の言葉に魅せられた
なぜ振動対策をしたくなったのかというと「リタイヤ爺様のオーディオ特別講義」というアンプエンジニアの方が書かれた「振動対策の深ーいお話とAMP開発の舞台裏」という記事を読んで大いに興味を惹かれたからです。
『ここで筆者の体験談をご紹介します。
ある日、製品の最後の仕上げ段階で、どうしても音の抜けが悪く、悩んでおりました。そして宙吊りサーカス事件が発生します・・
ある日同僚が、血相を変えて筆者の処に来て、袖を引くのです。曰く、トランスを宙吊りの刑に処したので、音質を確認して欲しいと。シャーシに加わる微振動エネルギーを、完全に遮断する実験です。
某TV局のフレーズでは無いですが・・何という事でしょう! 今まで聴いた事もない 透明感溢れる、実に美しいメロディーが、流れて来たではありませんか!
まるで森林浴の中で聴いているかの様な、錯覚に捕らわれる、唖然とする程の素晴らしい・・の一言に尽きる音の桃源郷を発見する思いでした。回路設計で、あ~だ!こ~だ!と、考えるのがバカバカしくなる程の、鮮烈な衝撃を受けた次第です。 即ち、それ程に電源トランスから発生する微振動が、信号に悪影響を及ぼしていた次第です。』
とても長い記事ですが技術者の方が書かれたものだけあって専門的で設計開発現場の苦労話など読み応えのある記事でした。
振動源は内部にあり
衝撃でした。信じ込みやすいので。素直?
普通、防振対策としてアンプやスピーカーの下に防振グッズを敷いて対策をします。これがまた高価なものが多いこと。僕はこんなものは買ったことがないので効果の程は知りません。昔ごつい木のラックを買ってそのまま使っています。鉛を載せていたことがありましたが効果を感じなかったのでいつの間にかやめてしまいました。
これらは主に振動は外からやってくるという前提で考えられているものです。製品だから内部を開けて内側になにかするというものではありません。内部に貼ったりするようなものも売ってますが。
しかしなんと内側に「敵」がいたとは。トランスや電源部を別個体にしてアンプ本体に入れないとかバッテリー駆動にするという話は聞いていましたが、それほどまでに影響があるとは知りませんでした。トランスを吊るすなんて発想もしませんでした。トランスはしっかり固定するものという固定観念があります。そういえば以前スピーカーで箱の中にフルレンジのスピーカーユニットを吊るすということをやったのにね。あれいまだに吊るしたまま使ってます。
ところでトランスの音を聞いたことがありますか?
普通はそんなことはあえてしません。で、耳を近づけてトランスに耳をくっつけてみました。聴診器があればいいんですが。すると結構唸ってますね。これがシャーシに伝わり基盤に伝わり足から台に伝わり跳ね返って、、、複雑なことになっているのだと想像できます。CDプレーヤーのようにモーターがあればなおさらです。物理的な振動だけでなく電磁波も飛び交っているわけで。
で、やって見る価値はあるぞということでやってみました。
最初に考えたのが、でもどうやってやるのか?
トランスを宙吊りにする?
ショートでもしたら大変なことになるし。でも『まるで森林浴の中で聴いているかの様な、錯覚に捕らわれる、唖然とする程の素晴らしい』の言葉の魅力に負けました。
トランスを吊るしてみた
まずはCDプレーヤーからです。吊るためのもので身の回りのもので使えそうなものを考えていると傘の骨を思い出しました。これを切って端を潰してシャーシーに渡して吊り下げてみました。どうしてもトランスは重いので沈んでしまいます。仕方ないので下にプチプチ(割れ物などに巻くあれ)を敷きました。
ついでだからCDP-920XBの前に飛び出すトレイの内側に駆動部品とぶつからないように慎重に鉛の板を貼り付けました。
なお無様なので処置後の画像はつけません。
次はプリアンプです。プリのトランスは比較的軽いので同じように吊るしました。
パワーアンプは? これ重いし、吊るとしても黒いカバーの上に穴を開けて、、、。できたとしても修理や何かで外そうとしても簡単にはいきません。それで試しに下に緩衝材として手持ちのバルサ材を敷いてみました。ですがなにかパンチが無くなったような気がしたので(2年近くほったらかし)最近外しました。
それからプリント基板はネジで締めずに綿棒の綿を剥がしてそれを基盤との間に噛ませました。乗っけてる状態です。ヒートシンクは下にセーム革を噛ませました。効果あるのかよくわかりませんが。僕は石油化学製品は嫌いなのでなるべく自然素材を使います。絶縁や鳴きどめに使うテープ類もドラッグストアで売ってる自然素材の絆創膏のような紙製の医療用のテープを使っています。絶縁用ではありませんが。他にも色々やりましたがこのぐらいにしておきます。
プリアンプの基盤も吊り下げるかしてできるかなと思いましたが片方の右側の基盤は逆さまに付いているし、不安定でショートしそうだし、、、諦めました。
で、音は?
で、肝心の音です。
森林浴のような、音の桃源郷に近づいたでしょうか?
満足しています。と言うしかないのかな?
振動源は外ではなく内にありました。
空間に音がふわりと浮くような感じです。以前と比べて耳障りなと言うか刺激的な音が奥に引っ込んで、大人の音というか透明感のある落ち着いた自然なしっとりした音空間になりました。だからといってなんの変哲もない凡庸な音ではありません。その反対です。
音に身を任せられるというか、ああいいなって、いつまでも聴いていたくなる心地よさです。特にCDプレーヤから出る音はスッキリ晴れ晴れとした感じになりました。
でもいまさらこういうのもなんですが、こんな「改造」はオススメしません。事故になる可能性大です。
最近はいつもパソコンで調べものをしたり作業したり本を読みながら聞き流すことが多いです。別のLinux Mintを入れたノートパソコンでネットのラジオを聴いています。もっぱら外国のクラシックの局です。音質も良好です。
AUDIOPHILE BAROQUE
http://stream.psychomed.gr/webstream%20baroque.html
VENICE CLASSIC RADIO
https://www.veniceclassicradio.eu/en/
RADIO SWISS
http://www.radioswissclassic.ch/en
ジャズもクラシック同様に局がいっぱいありますが、曲の間に喋る声がうるさいのが多いので、よくネットでおすすめの局として紹介されているものは試してみてやめました。ほとんど曲だけ流してくれるロシアのジャズ局を聞くことが多いです。
1JAZZ.RU
https://1jazz.ru/swing-jazz.html