chriskitと音楽③スピーカーとスピーカーユニット
(すごいことになっています、、、)
クリスキットの200ℓのスピーカーボックスを今でも使っています。
でかいスピーカーボックスに FOSTEXの16cmフルレンジがひとつ、ちょこんと入っているだけの単純なつくりです。シンプルな作りなのでいろいろなことを試せるので愛着が生まれます。
お金に余裕があって、もし今、新しくスピーカーを買うとしたら、Yoshii 9を買うことでしょう。多分、Yoshii 9が原理的にも音楽を聴くには一番いいスピーカーだと思います。円筒形で 9cmくらいのフルレンジスピーカーユニットが上を向いて乗っかっています。場所も取りません。15年くらい前に初めて聴いた時は、形もさることながら、聴こえてくる音もずいぶん変わってるなという印象でした。
このスピーカーから教えられたものはいくつもあります。それをクリスキットの 200ℓのスピーカーボックスになんとか、無理矢理、応用しようといろんなことをしてきました。
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スピーカーユニットを吊るしてみました
多分、こんなことは誰もしていないと思いますが、普通、スピーカーユニットはバッフル板に固定してあります。ネジで前面のバッフルの板にしっかりと固定されています。
ネジの材質や締め具合を問題にしている方もいらっしゃいます。バッフル板はスピーカーから音が鳴っている時、振動しています。箱全体もそうですが、スピーカーとともに一緒に振動してしまいます。
スピーカーユニットもそれ自体で振動し、プラスして、バッフル板とともに振動しています。かなり複雑な動きになっていることは容易に想像できます。電気信号を忠実に再生することが大切なわけですから、この振動は余計なものです。
10年か20年くらい前のこと、スピーカーユニットに鉛などの重いものを張り付けたり、後ろや下からスピーカーユニットだけ固定したり、様々な対策がされているものを見かけることがありました。ところが、いくら重くしても振動するものは振動します。振動する力は意外に強いものです。
では、どうすればよいのか?
私は、スピーカーユニットを上から紐で吊るしました。
例えば、仏壇にあるチンする鉦(かね)、叩くと振動して音が鳴りますが、軽く指で触ると鳴りやみます。
スピーカーユニットも固定するのではなく、軽く触る程度にしておけば振動が止むのではないかと考えました。それで、スピーカーユニット本体を上から吊るして、バッフル板に軽く接触する感じにしたらどうだろうかと試してみました。
ユニット本体の重心を探して、ユニット本体がバッフル板と平行になるように調整して、上から麻の紐で吊るしてみました。そして、バッフル板に接触するところはセーム皮を張りました。
こんなことは多分誰もやっていないのではないかと思います。バッフル板にスピーカーユニットをがっしりと固定するのが常識です。鳴らしているうちにネジが緩んでくるので締め直すことまでします。ですがあえて常識に反することをやってみました。フルレンジだからできる事ですがスピーカーユニットを鳴らしていてもバッフル板も箱全体も以前と比べて振動がかなり減りました。
音を出してみます。
1960年以前のマイルス・デイヴィスを聴いてみました。すると、トランペットの音がパーンと弾けるように聴こえてきます。管楽器もドラムもベースも、弾けるような音が気持ちよく再生されます。クラシック音楽でも弦の音もピアノもどちらもいい感じです。
ただし欠点はあります。
固定してないので、かなり大きな音を出すと、スピーカーユニット本体が暴れてガタガタ振動し始めます。日本の住宅事情ですから、どでかい音は出せないので、実用上、問題ありません。大きな地震があった時はスピーカーユニットが揺れてあっちの方を向いてしまいましたが。
スピーカーユニットのダンパーの一部を切り取りました
それからもうひとつ、スピーカーユニット本体にも細工しました。コーンを支えているダンパーの一部を切り取りました。
スピーカーユニット本体の構造を見たとき、コーン紙をエッジとダンパーで支えています。これはボイスコイルとコーン紙を支えるためには必要不可欠です。しかし、この二つのものがあるためにコーン紙の微細な振動が妨げられているとも考えられます。そこで、ダンパーに三か所、面積でいえば四分の一くらい? 切り取ってしまいました。
すんなりといったわけではありません。失敗したらオシャカなので、決断するのに迷いました。切り取るのも大変。なにしろ狭い隙間から切り取らなくてはならないので、難しい作業でした。
切り取った穴からは金属がむき出しに見えているので、反響対策として、そこにセーム皮を張りました。ダンパーというのは意外に硬くてしっかりしているので、四分の一切り取ったくらいでは構造上、問題ないようです。
次は音出しです。
狙い通り、繊細な音が以前よりもでている感じです。映画などで録音のいいものは衣擦れの音がしたりして、雰囲気を豊かに盛り上げてくれます。繊細な音が綺麗に再生できているかどうかで臨場感が違ってきます。
スピーカー内部といえば吸音材がありましたね。今のところ使っているのは、炭と、ウールの毛布、それからあれはなんと言うのでしょうか? 家電を買ったとき、発泡スチロールで本体の製品を固定して保護してありますが、これが発泡スチロールではなくて紙製の段ボールみたいなものも使われています。表面がぼこぼこしてます。これをスピーカーの前にかざしてみたら、意外にも音を吸収してくれるようなので、これをスピーカーの中に放り込んでいます。
最後にもう一つ、スピーカーの極性について。
プラスはプラス、マイナスはマイナスに接続するのが普通です。ですが、これを逆に接続すると微妙に違って聴こえてきます。
試しに、XBOXでゲームの音を出してみました。爆弾の爆発音や銃の射撃音の鳴る位置が違って聴こえました。音楽も大きな違いはありませんが、ビミョーにニュアンスが違います。
微妙な違いですが、スイッチで簡単にプラスとマイナスを切り替えられるようにしました。どうも音源によって、極性が正相と逆相の違いがあるようです。スイッチで切り替えると音の広がりや定位が微妙にほんのかすかに変わります。スピーカーケーブルはライカル線です。
ダンパーに穴を開けたり吊るしたり、自分でもよくこんなことをするよなってところですが、再生される音には、今のところたいへん満足しています。
あまりきれいではありませんが、開口部をラッパ状に削って、セーム皮を張りました。スピーカーコーンの中心部にあるラッパ状のコーンには同じ材質では意味がないだろうと思い、膠(にかわ)を塗りました。乾くとカチカチになります。膠はピアノを製造する時の接着に使われるそうです。よく自作のスピーカーボックスに木工用ボンドが使われますが、乾いても柔らかいものを強度が必要なボックスに使って大丈夫なのでしょうか? 膠を塗る時は水分を含んでいるので乾いた後、少し変形しましたが。
「工作」はくれぐれも自己責任でお願いします。
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