エレクトリック・ユニバースの宇宙論は様々なレベルで私たちの理解を変えている
エレクトリック・ユニバースは私に語りかけ、あなたに語りかける
『ディスコースseries no.5』で、少しだけ触れた、ガダ・チェハデさんの『電気的宇宙理論…そして来るべきパラダイムシフト』という記事は、その内容がとても素晴らしく記事のリンクだけ紹介させていただきました。今回の記事は2017年に書かれた『Electric Cosmology And Shifting Paradigms』の翻訳です。先ほどの記事同様に感銘を受けたので、急遽訳してみました。
そこには私が伝えたいことが綺麗にまとめられていました。当たり前ですね。この方は博士号を取得されている方ですから。昨年から、このところ電気的宇宙論と神話の記事ばかり書いていますが、その動機は、今回ご紹介する記事に要約されています。
『Ghada Chehade: Cosmology Crisis 2021 | Thunderbolt』の動画から著者を簡単にご紹介します。
「作家、詩人、社会評論家であるガーダ・チェハデは、科学や宇宙論の変化が文化にどのような影響を与えるかを分析することに焦点を当てている。談話分析 Discourse Analysis の博士号を取得し、博士論文は"ディスコースとライティングの研究のためのカナダ協会"で最優秀論文賞を受賞」
電気的宇宙論とパラダイムシフト Electric Cosmology And Shifting Paradigms
エレクトリック・ユニバースに興味を持つ多くの人と同様、私は科学者ではありません。しかし、多くの人がそうであるように、エレクトリック・ユニバースは私に語りかけ、私に訴えかけてきます。この記事では私のような科学者ではない人にも興味を持ってもらえるよう、エレクトリック・ユニバースについて三つのポイントを挙げています。
まず第一に宇宙論が最大かつ最も決定的なパラダイムであること。第二に、メタパラダイムとしてのコスモロジーは、間接的にせよ他の補助的なパラダイムに影響を与えます。最後に以上の二点から、宇宙論が変われば他のパラダイムも必然的に変わることになります。
コスモロジーはすべての科学と哲学の母です Cosmology is the Mother of all Science and Philosophy
まず第一に、宇宙論がいかに重要で決定的なパラダイムであるかを考えてみましょう。歴史的に見れば、宇宙論はすべての科学と哲学の母体であると言えます。宇宙論は私たちの宇宙の"大きな物語"を語るものであり、大きな疑問を扱うものです。基本的には宇宙論は"あるがままの姿"を語るものです。
私たちが宇宙と呼んでいるものは何なのか?
宇宙の構造はどうなっているのか?
その原動力は何なのか?
どのようにして、なぜそのように発展したのか?
また、孤立しているのか、つながっているのか、有限なのか、無限なのか、起源はあるのか、終わりはあるのか……?
これらの問題は科学的であると同時に哲学的でもあるため、科学を超えた影響力を持っています。簡単に言えば、宇宙のことを考えるだけで、その中にあるすべてのものを考えることになります。
宇宙論が他のパラダイムに与える影響 Cosmology Impacts Other Paradigms
これが二つ目のポイントです。宇宙論が大きな問題を扱い"外の世界"の全体像を扱うということは、必然的にすべての補助的なパラダイムに影響を与え、ひいては地球上の人間の世界に対する理解にも影響を与えることになります。宇宙論のようなメタパラダイム(超越した枠組み)が他のパラダイムに影響を与えることを示す例として、ガリレオが挙げられます。ガリレオは17世紀にコペルニクスの革新的な思想に基づいて異なる宇宙論(地球ではなく太陽が宇宙の中心であるとする)を提唱したため、国外追放の危機に陥りました。
ガリレオの革新は他の多くの補助的なパラダイムにも影響を与え、最終的に私たちを宗教から科学と啓蒙の世界へと導きました。このように宇宙論のパラダイムの変化は、広く文化や社会に影響を与える可能性があります。このことを理解するために、現代の宇宙論が特定の知識分野にどのような影響を与えてきたか、そして電気的宇宙論への移行によって、それがどのように変化するのかを見てみましょう。
エレクトリック・ユニバースの宇宙論は、様々なレベルで私たちの理解を変えています EU Cosmology is Shifting Our Understanding on Many Levels
人間の本質(人間性)Human Nature
ここで三つ目のポイント、そしてこの記事の主眼を紹介します。まず第一に、EU(エレクトリック・ユニバース)の宇宙論は歴史に対する理解を変えつつあります。そしてそれは、宗教や人間の本質に対する一般的な見解にも影響を与える可能性があります。何世紀にもわたって、天界で起こる現象は、宗教などのメタパラダイムに影響を与えてきましたし、人間の本質についての理解や誤解にも影響を与えてきました。
例えば、一神教では人類は天の怒りを受けるべき"堕落"した存在であると考えられています(古い宗教の多くもそうです)。しかし、これらの概念はどこから来たのでしょうか? 主流の科学では、それらは過去の神話や空想的な物語から生まれたものだと言われています。しかし、主流の科学は、これらの神話が誤って解釈された実際の出来事に基づいているという可能性を認めていません。
電気的宇宙論によると、古代の神話は、実際に起きた大変動や、古代の空に見られた実際のプラズマ現象に基づいています。これらの大変動は、大昔に宇宙の天体が地球に影響を与えたときに起こったものです。このことは、宗教が人類を"堕落した"と解釈する理由を説明するのに役立ちます。タルボットの言葉を借りれば、私たちの祖先が空を見て、天で起きている出来事に地上で影響を受けたとき、神話、宗教、存亡の物語 existential narratives が生まれたのです。
天上から大災害が降ってきたとき、古代人はそれを"神の怒り"と解釈したのかもしれません。このことは、人類が堕落した欠陥品であり、罰を受けるべき存在であるという見方が今日まで続いていることからも、非常に大きな意味を持っています。
古代の神話を現実の出来事として記録したものとしてエレクトリック・ユニバースが採用することで、人類や人間性に対する見方が変わるかもしれません。欠陥や堕落ではなく、人類は宇宙的に引き起こされたトラウマの犠牲者であり、それゆえに歴史の再検証を通じて集団的な癒しを必要としていると理解できるようになるかもしれません。
このことは、過去を正しく理解することが未来への道しるべになることを示唆しています。エレクトリック・ユニバースの未来では、人々が宇宙論について考えるとき、宇宙論が実際に私たちの物理的な世界に影響を与え、古代人がそうであったように(比喩的に言えば)一瞬にして破壊してしまう可能性があることを考えるかもしれません。
このことは、私たちに危機感を与え、私たちの存在と宇宙の力に対する尊敬の念を高めることになるでしょう。また、この壊れやすい地球上で争いや戦争に明け暮れるのではなく、仲間と協力して生きていこうという気持ちが芽生えるかもしれません。
さらに(過去についての新しい理解から)私たちの宗教的なパラダイムも変化するかもしれません。人間の"堕落"や"欠陥"に焦点を当て、人間を"救う"のではなく、人間のより中立的な、あるいは肯定的な側面に焦点を当てるように、宗教的イデオロギーが変化するかもしれません。
そして、これは大きな波及効果をもたらす可能性があります。宗教の教義が根本的に変わると、人類の進路は(良くも悪くも)変更を余儀なくされることは、歴史がはっきりと示しているからです。
宇宙の構造 The Structure of the Universe
エレクトリック・ユニバースの宇宙論が私たちの未来に影響を与えるもう一つの方法は、宇宙の性質や構造、そして私たちと宇宙とのつながりに対する見方を変えることです。エレクトリック・ユニバースは、主流の天体物理学や重力ベースの宇宙論が信じているほど"奇妙"で不可解ではない宇宙を提示しています。
私は理系ではありませんが、ビッグバンや重力、アインシュタインの相対性理論などをベースにした主流の宇宙論は、どこかバラバラでとっつきにくい印象がありました。この宇宙論はあまり合理的な説明をしているとは思えず、実際、その仮説の多くは現在でも謎とフィクションに包まれています。
ビッグバン、ブラックホール、ワームホール、ダークマターなどの概念は、答えよりも疑問が多いようです。
科学者たちは、アインシュタインと違って私たちは"天才"ではないのだから、このような概念を理解することはできないと言うかもしれません。しかし、実際には、これらの理論は検証不可能であり、言うまでもなく、先行する理論の穴を埋めるために、その場しのぎで提起されることが多いのです。
もちろん、このような欠陥のある理論に基づいて、すべてのキャリアや財産が築かれてきたわけですから、宇宙論の主流がこのような理論を手放したくないと考えるのも無理はありません。
検証不可能な仮説に基づくのではなく、代替となる学際的な宇宙論として、エレクトリック・ユニバースの宇宙論ははるかに説得力があるように思えます。科学者ではない私にとっても、エレクトリック・ユニバースは宇宙とその性質について、はるかにわかりやすく、包括的で理解しやすい説明を提供していることがよくわかります。
エレクトリック・ユニバースは、いくつかの重要な点で主流の宇宙論から脱却しています。ここではそのうちの三つを紹介します。
◉ まず、電気は帯電したプラズマによって宇宙を形作り、実体化していると考えます。
◉ 二つ目は、電気が宇宙を動かしているのは、このあらゆるところに広がる[行き渡る]プラズマの中を流れる電流であると考えていることです。
◉ 三つ目は、宇宙を相互に連結されたシステムとして認識することです。エレクトリック・ユニバースでは、宇宙のすべてのものが、この電流でつながっています。
このような宇宙観は間違いなく合理的であり、神秘性や矛盾もはるかに少ない。エレクトリック・ユニバースのパラダイムでは、ブラックホール、ダークマター、ダークエネルギーなどは必要ありません。
現代の宇宙論では説明のつかない現象も、電気的宇宙論では容易に説明がつきます。最も重要なことは、エレクトリック・ユニバースの理論は検証可能であるということです。宇宙時代の技術により、宇宙の電気を測定し、実証することが可能になっています。
宇宙のつながり Cosmic Connectivity
しかし、科学者ではない私にとって、エレクトリック・ユニバースを特に魅力的で示唆に富んだものにしているのは、一体化した連結性──あるいはダイナミックな宇宙のつながり──という概念です。
重力の何十億倍もの力、最も微細なものから最も巨大なものや銀河系に至るまですべてのものに浸透し、動的に構造化されたシステムの中ですべてのものを結びつける力があるというアイデアは、私たちが最大の興味を持つべきものです。それは、現在、私たちが考えているよりもはるかにまとまりのある、組織化された宇宙を示唆しているからです。
これには実用的な意味合いと哲学的な意味合いがあります。哲学的には、エレクトリック・ユニバースの"宇宙のつながり"という概念は、私たち自身が世界や宇宙のあらゆるものとつながっている電気的な存在であるという、より深く、おそらく崇高な理解への扉を開くものです。
エレクトリック・コスモロジーでは、より大きな、切断された宇宙の中のランダムな孤立したインスタンス(実例、過程、出来事)として存在するのではなく、高度に組織化された宇宙とそのすべての構成要素の中で、私たちは似たようなスケーラブルな構造を共有しているのではないかと考えています。これは、生物としての私たちの本質を描き始めています。
現実的な、あるいはあまり哲学的でない観点から、もし連結された宇宙という概念が普及して主流になれば、私たちが他のシステム構造をどのように理解しアプローチするかに影響を与える可能性があります。例えば、社会構造の理解、健康と癒し、教育、さらには政治に至るまで。
古代の知恵が示すように"上なるものは下にあるものの如く"
例えば、現代社会の疎外感の原因がアインシュタインや主流の宇宙論にあるわけではありませんが、主流の宇宙論が非常にランダムで孤立した宇宙を提示することで、私たちを自分自身や宇宙の他のものから疎外していることは否定できません。
極めて潜在意識のレベルでは、この疎外された宇宙論は、より一般的な疎外感を助長し、現在のような孤立したバラバラな社会モデルを助長しているかもしれません。
つまり、宇宙論が変わり、宇宙(とその中にあるすべてのもの)をつなぐエネルギーの網という概念が一般的に認識され、受け入れられるようになれば、社会構造も同様につながっているという認識や実践に変わる可能性があります。
この点は推測であり、後で(将来の記事で)もっと詳しく説明します。ここではそれ以上の詳しい説明はしません。私が今日伝えたいことは、宇宙論は、他のものや他の構造の見方にも影響を与えるということです。
結論 Conclusion
最後に、私は次のことを強調したいと思います。もし宇宙論や"大きな物語"が変わる時は──そして、それはエレクトリック・ユニバースとその検証可能な仮説が採択されたことで現在変化しています──私たちの世界や私たち自身についての考え方を含め、他のすべてのものが変わることになります。
ガリレオがコペルニクス革命に基づいて発表した宇宙論が、科学、宗教、哲学のすべてに革命をもたらす波及効果をもたらしたように──宇宙の主な駆動力である重力を排除し、古代の神話を太陽系の現実の出来事を反映したものとして再解釈するエレクトリック・ユニバースの宇宙論が──いつの日か巨大なメタパラダイムシフトを引き起こすかもしれません。
このような大きな変化は、科学の領域を超えて、社会学、宗教、歴史、法と正義、大衆文化、芸術、物語、秘教的知識など、他の分野の知識や考え方にも影響を与えるでしょう。
今、このシフトの効果が完全に発揮される前に、私たちはとっくにこの世を去っているかもしれません。しかし、私たちはその始まりのときにここにいて、私たち全員がその火種の一部になることができます。
なぜなら、未来の科学は “単なる科学"ではないからです。それは様々な分野を網羅しており、電気技術者や宇宙物理学者から、詩人や芸術家、映画製作者まで、あらゆる分野の人々によって語られ、広められていきます。
著者あとがき:この記事は、フェニックスで開催されたEU 2017カンファレンスで行ったブレイクアウトルームでの講演をもとにしています。以前のエレクトリック・ユニバースの仕事をまとめたものであり、以前のエレクトリック・ユニバースの記事と重複する部分もありますので、こちらをご覧ください。
──おわり
ビッグバンは間違っているかもしれない?
Could the Big Bang Be Wrong?
No better time than the present to reconsider the well-held theory.
ビッグバンは現代宇宙論の定義となる物語である。すなわち、私たちの宇宙には始まりがあり、有限の年齢を持つという大胆な宣言であり、それはその宇宙に生きる人間と同じである。その有限の年齢は、宇宙が膨張しているという証拠によって定義される(繰り返しになるが、残念ながら、その感覚に親しんでいる人も多い)。宇宙の始まりが唯一無二であり、それに続いて何十億年もの宇宙の成長が続いたというこの二つの考え方は、あまりにも奇妙であるため、それらを受け入れられない人もいる。その結果、懐疑論者たちはビッグバンモデルが提唱されて以来、その妥当性を疑問視し続けている。
主流派の宇宙論学者の間では、ビッグバンに対する疑念は、1960年代に宇宙マイクロ波背景放射が発見されたことでほぼ解消された。この放射は、高温の初期宇宙の遺物であるとしか考えられない全方位的な放射である。しかし、周辺部では疑念が根強く残っている。最近では、宇宙の膨張に関するさまざまな測定値に不可解な食い違いがあることが明らかになり、疑念はさらに強まっている。科学の中道派でさえ、初期の宇宙に関する我々の理解は著しく不完全であることを認めている。今こそ、ビッグバン理論が誤っている可能性について掘り下げるのに最適な時期であるように思われる。
この疑問は、公開フォーラムやソーシャルメディア上で常に話題に上る。ほとんどの場合、その疑問は科学に対する疑念というよりも、科学が何であるかについての誤解に根ざしているように思われる。そのため、意味のある答えを導くには、まず重要な点を明確にしなければならない。ビッグバンという言葉は、誰が話すかによって、全く異なる二つの意味を持つということだ。
一般会話では、ビッグバンという言葉は、宇宙を創り出した神秘的な始原の出来事を意味するものとして広く使われることが多く、一般的に、一点から発生した途方もない爆発として想像される。(公平を期すために言っておくと、一般向けの記事やイラストでは、往々にして、こうした考えを単純化し過ぎたり、混乱を招くような表現で補強している)。しかし、宇宙論者がビッグバンという言葉で意味しているのは、そういうことではない。
重要な点は、ビッグバンは誰もが目撃したような種類の爆発ではないということだ。シカゴ大学のベテラン宇宙学者ウェンディ・フリードマン氏は、「これは人々にとって理解するのが難しい概念です」と語る。「まず最初に払拭すべきなのは、爆弾に類似したイメージである。これは最初に想像する傾向にあるものであり、間違っている。中心から物質が外に向かって飛び散る爆発だ。しかし、宇宙ではこのようなことは起こらない。ビッグバンは宇宙の爆発であり、宇宙に向かっての爆発ではない。爆発には中心も端もないのだ。
ビッグバン以外の場所は存在しないため、何かに向かって膨張しているわけではない。むしろ、すべての空間がどこまでも膨張し始めたのだ。銀河が私たちからあらゆる方向に離れていくように見えるのはそのためである。どこにいようとも、どんな観察者でも同じものを見るだろう。私は時々、ビッグバンを人間の心理の比喩として考える。ある意味では、すべての観察者にとってそう見えるように、自分自身を宇宙の中心だと考えることができる。しかし、より深い意味では、誰も中心にはいない。なぜなら、膨張はどこにでも起こっているし、私たち全員が同じ状況にあるからだ。
宇宙のある一点で起きた爆発から宇宙が形成されたのかと疑問に思う人がいるかもしれないが、答えはノーだ。その考えは本当に間違っている。しかし、ビッグバンが説明しているのは、それとはまったく異なることだ。
そこで、もう一つの重要なポイントに触れたい。ビッグバンは宇宙の始まりを説明するものであり、宇宙がなぜ始まったのかを説明するものではない。ビッグバンは宇宙を創造したもの(または創造主)について何も想定しておらず、宇宙の前に何があったのか(もし何かがあったのか)についても何も想定していない。
現代の宇宙論学者にとって、ビッグバンとは、宇宙が初期の非常に高温で高密度の状態から、今日、私たちが目にするような現実へと膨張した様子を説明するモデルである。この解釈の証拠は圧倒的である。確かに、宇宙に関する知識が飛躍的に増大したこの50年間で、これに匹敵するものは他にない。
ビッグバンに関する最も有名な証拠は、"赤方偏移"と呼ばれる、遠方の銀河からの光の伸びが観測されたものだが、それだけが唯一の根拠というわけではない。宇宙マイクロ波背景放射のスペクトルと分布は、高温のビッグバンの予想と完全に一致している。銀河の進化は宇宙の有限の年齢を証明しており、観測された星の年齢は宇宙膨張から推測される宇宙の年齢と完全に一致している。銀河の大規模な分布は、ビッグバンの初期の粒子と放射の"スープ"における音波の波紋の広がりを推測したものに一致する微妙な波紋パターンを示している。宇宙における水素、ヘリウム、重水素の存在量は、そのスープで起こった核反応のモデルと完全に一致する。
ビッグバンの解釈の枠組み全体が間違っている可能性はあるだろうか? ありえないとは言わないが、私はそれを…… 考えられないと呼ぶだろう。
ビッグバンに対する最後の強硬な反対派の一人は、晩年の宇宙学者ジェフリー・バービッジだった。彼はキャリアの初期には定常宇宙論を支持しており、証拠がそれを否定した後も長きにわたって自身の持論を捨てようとはしなかった。晩年になって、彼は多くの小さなビッグバンを効果的に取り入れた複雑な振動宇宙モデルを考案した。つまり、彼はビッグバンを事実上受け入れたのだ。ただ、それを口に出さなかっただけである。ディスカバー誌は2005年に、バービッジと彼の考えについて詳細なプロフィールを掲載した。
ビッグバンに代わる多くの理論を目にしてきたが、138億年ほど前に宇宙が高温で高密度の状態から始まったという膨大な観測的証拠を正直かつ包括的に扱っているものは見たことがない。私が知る限り、最も真のアウトサイダー的な代替案に近いものは、ビッグバンは起こらなかったという見解でカルト的な信奉者を獲得したプラズマ物理学者エリック・ラーナーのプラズマ宇宙論モデルである。しかし、彼のモデルはデータと完全に矛盾している。
同時に、私たちがどれほど知らないかについてオープンであることは重要である。ビッグバンに関する私たちの理解は不完全である可能性があるだけでなく、絶対に確実である。
ビッグバン発生の最初の数秒間に起こったことについては、宇宙インフレーション理論が広く受け入れられているが、証明はされていない。現在、宇宙の膨張率をめぐって論争が続いているが、それは初期の時代に関する我々の無知を反映しているのかもしれない。ビッグバンがなぜ、どのようにして起こったのかは、まったくの謎である。宇宙論学者たちが"多元宇宙"について、あるいは始まりが多数ある振動する宇宙の概念について、あるいは現実の二つの膜が衝突して我々の宇宙が生まれたという考えについて推測しているのを聞いたことがあるかもしれない。これらの考えのうち、どれが正しいのか、誰も知らない。しかし、これらの考えに共通しているのは、現在の宇宙が非常に高温で高密度の初期状態から出現したという証拠を受け入れていること、つまり、ビッグバンを出発点としていることである。
ビッグバン以前の時間があったのか? 宇宙は永遠に膨張し続けるのか? またビッグバンが起こるのか? 宇宙は有限なのか、無限なのか? 他の宇宙は存在するのか? これらはすべて、興味をそそる、答えの見つからない問いである。自然界の壮大な計画における私たちの位置について、私たちはまだ学ぶべきことがたくさんある。しかし、将来の理論や発見が私たちをどこへ導こうとも、ビッグバンがその一部であることは確実である。
最後までお読みいただきありがとうございました。