ロシアの特別軍事作戦は新たな段階へ

プーチンは本格的な戦争に踏み切った!?

ドンバス共和国の旗

9月に入ってウクライナがハリコフを奪還したとか言って、負け戦続きのウクライナの反撃が始まったと西側は大はしゃぎです。実際はロシアが撤退して空白地帯になったところをウクライナが占領したというだけの話です。その占領地ではネオナチの住民への蛮行が繰り返されていることを忘れてはなりません。

相変わらず日本や欧米のメディアはロシア劣勢、ウクライナ優勢というコマーシャル報道をしています。ペペ・エスコバルはこの「ハリコフ・ゲームチェンジャー」という記事の中で「モスクワがウクライナの主要な変電所を一度に破壊することを決定すれば、数発のミサイルでウクライナのエネルギー網を完全に破壊することができる」と指摘しています。ロシアの高精度のミサイルを使えば、いとも簡単にできます。電気もない、ガスもない、兵隊もいない、もうすぐ冬、そこにいるのはNATOの指導部と傭兵だけということになりそうです。そうなったら、ろうそくの火に照らされたゼレンスキーのおしゃべりを聞くことになりそうです。

ルガンスク、ドネツク人民共和国、ヘルソン州のロシア加盟に関する国民投票が9月23日から27日にかけて各共和国で行われ、ザポロージェ州の国民投票の日程も近く発表される予定です。予定通り行われると、この地域は住民の意志でロシアに編入されます。プーチン大統領は9月21日、ドンバス、ザポロージェ、ヘルソンの各州の住民による決定をモスクワが支持すると述べました。注目を集めていたプーチンの演説の要点を、ノーボスチ通信の記事から引用します。

ロシアのプーチン大統領は、本日、ロシア国民を前に演説を行った。
「ナロドニエ・ノーボスチ」は、大統領の国民向け演説の要点をまとめた。

▪️ ロシアで本日より一部動員が発表された。

▪️ 兵役に召集されるのは、予備役と、とりわけ軍隊に所属し、一定の専門性と関連する経験を持つ国民だけである。

▪️ 兵役に召集された者は、部隊に派遣される前に必然的に追加的な軍事訓練を受ける。

▪️ 防衛企業に対する物質的、資源的、財政的支援に関するすべての問題は、政府によって直ちに解決されるものとする。

▪️ ロシアは国民投票への支持を求められている。強調したいのは、国民投票が安全に実施されるよう、あらゆる手段を講じるということだ。

▪️ ウクライナ全土で弾圧体制が最も過酷な形で強化された。脅迫、テロ、暴力の政策はますます恐ろしく、野蛮な形になってきている。

▪️ 私たちには、愛する人を拷問者に引き渡す道徳的な権利はない。

▪️ 欧米の目的は、我が国の弱体化、分断、破壊である。彼らは、1991年にソ連を分裂させることができたので、今度はロシア連邦そのものが多くの戦場に崩壊する時が来たのだと、露骨に言うのだ。

▪️ ウクライナ国民は大砲の餌にされたのだ。

▪️ ドンバスでの新たな正規の大規模攻勢は、過去2回あったように、クリミアへの攻撃は避けられないものであった。そして、先制攻撃の決断が必要だった。

▪️ ルガンスクはネオナチがほぼ排除されている。ドネツク共和国での戦闘は続いている。キエフ政権は、ここに深い要塞のラインを作り上げた。

▪️ 政府と国防省は、ルガンスクとドネツクにおけるボランティアと戦闘員の法的地位を全面的かつ早急に決定するよう、すでに私から指示を受けている。医療や社会保障を含め、正規軍人と同じであるべきだ。

プーチンとショイグ

プラウダの「プーチンは本格的な戦争に踏み切った。これはロシア人の手柄です」から引用します。

ウクライナでNATOと戦争をしたときのイデオロギー的な根拠である「我々は我々の土地、我々の国民を守る」と同じように、プーチン司令官の全面戦争への決断はタイムリーなものであった。

この決定は、ロシアの市民社会からの要請で、その立場から行われたものだ。

プーチンは決してハッタリをきかせない
ロシアのプーチン大統領は9月21日、次のように述べた。

特殊作戦(SVO)の目的は、ウクライナ全土の非軍事化と非ナチ化であることに変わりはない。プーチンはドンバス解放後の目標である解放された土地を2014年以来初めてノヴォロシアと呼んだ。
ロシア連邦はNATOに対してウクライナで戦争をしているので、特別軍事作戦は別の段階に移った。部分的な動員を宣言しなければならず、そのための法令がすでに署名されている。
ロシアは同胞であるウクライナのロシア人を困らせておくわけにはいかない。したがって、ドネツク、ルガンスク、ヘルソン、ザポロジェの各州の要請に応じてロシア連邦に加盟することが必要である。
ロシアは、領土を脅かす者がいれば、核兵器で対応する。
「そして、風もあなた(西)の方向に向くかもしれません」。
プーチンは決してハッタリをきかせない。この点は、ウクライナ・NATO連合に対する戦争で核兵器を使用することを排除するものではない。

プーチンの計画を説明するショイグ
国防大臣のセルゲイ・ショイグは、2500万人の動員予備軍を声高に主張した。予備役から除隊した人で、戦闘経験や軍歴がある人たちだ。動員されるのは30万人で、これは全予備兵の1%にあたる。ショイグは、学生や徴用工はウクライナに派遣されないと強調した。

ペペ・エスコバルは「これらの地域がロシアに加盟したことで、ウクライナの反攻は、ロシア連邦に組み込まれた地域に対する戦争行為と見なされる。それが何を意味するかは誰もが知っている」と、この記事で指摘しました。どうやら、プラウダの記事によると、プーチンは本格的な戦争に踏み切ったようです。

https://youtu.be/eq1S1m-S1gU

8年前から今日まで、NATOに支援されたネオナチ・ウクライナの民間人虐殺は続いています。昨日は、上半身が切断された犠牲者のビデオを見ました。日本を始め西側のメディアは決して報じません。野蛮という言葉はウクライナとそれを支援する勢力のための言葉でした。

ハリコフ・ゲームチェンジャー:ペペ・エスコバル

ハリコフ・ゲームチェンジャー

The Kharkov Game-Changer
Pepe Escobar September 13, 2022 © Photo: REUTERS/Staff

これは国家(人類)存亡を懸けた戦争である。
食うか食われるかの(命懸けの、決死の覚悟の)問題だ、とペペ・エスコバルは書いている

戦争は心理戦 psychological operations では勝てない。ナチスドイツに聞いてくれ。それにしても、ナトースタン NATOstan のメディアがハリコフ(ハルキウ)について”プーチンを打ちのめす一撃”、”ロシアは困っている”などと一斉にほくそ笑むのは、どうしたものだろう。

事実:ロシア軍はハリコフ領内からオスコル川左岸に撤退し、現在、同地に陣取る。ハリコフ ─ ドネツク ─ ルガンスク間の線は安定しているようだ。クラスニー・リマンが脅かされ、優勢なウクライナ軍に包囲されているが、致命傷にはなっていない。

誰も──神々の使者ヘルメスに相当する現代の女性、マリア・ザハロワでさえも──ロシア参謀本部 Russian General Staff(RGSが何を計画しているのか、この件に限らず、すべてにおいて知らない。もし知っていると言うなら、それは嘘である。

現状では、それなりの確度で推測されるのは、次のようなことだ。スヴャトゴルスク ─ クラスニーリマン ─ ヤンポル ─ ベロゴロフカのラインは、新しいロシア軍が急襲してウクライナ軍をセヴェルスキー・ドネツ線より後ろに追いやることができるまで、現在の守備隊で十分に持ちこたえることができるということだ。

なぜハリコフが起こったのか、事実上、大混乱に陥った ※All hell broke loose。人民共和国とロシアは、1,000kmに及ぶ前線を防衛するのに十分な兵力を有していなかったのだ。NATOの全諜報機関もそのことに気づいており、そこから利益を得た。

※All hell broke loose:大混乱になる;大騒動が起きる。直訳は「地獄が解き放たれる」
ちなみに『All Hell Broke Loose』は、1995年にイスラエルで起きたハマスの自爆テロ事件の犠牲者を、事件から1年後に追ったイスラエルのドキュメンタリー映画。

これらの入植地には、ロシア軍は存在しなかった。ロシアの国家警備隊のみで、軍隊と戦う訓練を受けていない。キエフは5対1の割合で優勢に攻撃した。連合軍(ロシアとドンバス)は包囲を避けるために退却した。この地域にはロシア軍がいなかったので、ロシア軍の損失はない。

※ロシアの国家警備隊:
『ロシア・ビヨンド』の記事から引用)なぜ国家警備隊が必要か?
モスクワ地域間警察労働組合・調整評議会議長のミハイル・パシキン氏は、ラジオ局「ガヴァリート・モスクワ(こちらはモスクワ)」へのインタビューで、内務省軍がつねに秩序の維持を担ってきた点を指摘し、こう述べる。
「それらは、連邦保安庁(FSB)や内務省その他の実働機関のオペレーショナル・データの力による保障の面でテロとの闘いに取り組む。そして、おそらく、それらは、社会秩序の維持にも従事する。内務省軍は、つねにそうした任務を担ってきており、内務省は、大きな重荷を肩から下ろすことになる。内務省にしてみれば、社会秩序を維持する機能が国家警備隊へ移管されることは、もっぱら歓迎すべきものであろう」
「同様の機関は、ドイツ、米国、その他の国々にもある」
※日本語のウィキは「ロシア国家親衛隊」となっており、ナチスドイツの親衛隊を連想させるような表記がされています。

おそらく、これは一過性のものだったのだろう。NATOが運営するキエフ軍は、ドンバスでも、ケルソンでも、マリウポリでも、どこでも再演を行うことはできない。これらはすべて、強力な正規のロシア軍部隊に守られている。

ウクライナ軍がハリコフやイジュム周辺に留まれば、ロシアの大砲で粉砕されることはほぼ確実だ。軍事アナリストのコンスタンチン・シブコフは「ウクライナ軍のほとんどの戦闘可能な編成は、現在、足止めされている(中略)我々は彼らを公然とおびき出すことに成功し、現在、組織的に破壊している」と主張している。

NATOが運営するウクライナ軍は、NATOの傭兵を詰め込んで、6ヶ月間、まさにこのハリコフの瞬間のために装備をため込み、訓練された資産を蓄えていた。一方、使い捨ての人間を巨大な肉挽き機に送り込んでいた。同じようなことを再び行うために、実体がある優良資産(資質、技量)の組み立てラインを維持するのは非常に難しいだろう。

ハリコフとイジュムが、より大きなNATOの行動と結びついているかどうかは、今後数日で明らかになるだろう。NATOの支配下にあるEUの雰囲気は、絶望的な状況に近づいている。この反攻は、NATOが永久に戦争に突入することを意味する可能性が高いが、その一方で、薄っぺらな一見もっともらしい反証を示している。NATOは、”アドバイザー”と傭兵が至るところにいることを、偽りの秘密主義で覆い隠すことはできない。

脱エネルギーとしての脱共産化(共産主義の解体)

特別軍事作戦 Special Military Operation(SMO)は、概念的には領土の征服そのものが目的ではない。それは、あるいは、これまでそうであったように、占領地におけるロシア系市民の保護、すなわち非軍事化と共に非ナチ化が目的である。

このコンセプトは、今まさに微調整されようとしている。そこで、ロシアへの動員をめぐる回りくどい厄介な議論が始まる。しかし、部分的な動員は必要ないかもしれない。必要なのは、同盟軍が後方・防衛線を適切にカバーできるようにするための予備役だ。カディロフ部隊のような筋金入りの戦闘員が攻勢をかけ続けることになるだろう。

ロシア軍がイジュムで戦略的に重要な中継点を失ったことは否定できない。それがなければ、ドンバスの完全な解放は著しく困難になる。

しかし、広大な見せかけの泡の中で、その死骸がうずくまっている西側集団にとって、重要なのはちょっとした軍事的前進よりも心理戦である。したがって、ウクライナがわずか4日でロシア軍をハリコフ全域から追い出すことができたとほくそ笑んでいるが、ドンバス解放には6ヶ月あったのに、解放できなかったのだ。

そのため、心理戦の専門家が必死で煽った結果、西側諸国では、ロシア軍は”ハンマーの一撃”を受け、ほとんど回復しないだろうという認識が支配的なのである。

ハリコフは貴重なタイミングだった。冬将軍が間近に迫っており、ウクライナ問題はすでに世論が疲弊していた。そして、数十億ドル規模の兵器製造のためのターボ潤滑油として、プロパガンダマシーンは後押しを必要としていた。

しかし、ハリコフはモスクワに苦痛の度合いを増やすことを強要したのかもしれない。それは、黒海とカスピ海から発射された数発のミスター・キンザール(ミサイル)が、ウクライナ北東部と中央部にある最大の火力発電所[エネルギーインフラの大部分は南東部にある]に業務用名刺を提示することによって実現したのだ。

ウクライナの半分が突然、電力と水を失った。電車も止まった。モスクワがウクライナの主要な変電所を一度に破壊することを決定すれば、数発のミサイルでウクライナのエネルギー網を完全に破壊することができる。”脱共産化”に新しい意味、脱電源化(電気供給の停止)を加えることになる。

専門家の分析によると「110-330kVの変圧器が損傷した場合、それを稼働させることはほとんど不可能になる(中略)。そして、これが少なくとも5つの変電所で同時に起きれば、すべてがお手上げだ。永遠に石器時代だ」

ロシア政府高官マラト・バシロフは「ウクライナは19世紀に突入している」と、もっと刺激的に(派手に)言った。エネルギーシステムがなければ、ウクライナ軍も存在しない。事実、ボルト(電気)将軍が参戦し、モロズ将軍(”厳寒”)※も参戦したのである。

※太古の昔から、モスクワ市民は、常に侵略者に対して行動してきた神話上の”モロズ将軍”(フロスト将軍)によって保護され、守られていると信じてきた

そうして、いよいよ”本当の戦争”の領域に入っていくのかもしれない。「まだ何も始まっていない」というプーチンの悪名高い口癖があるように。

数日後には、RSG(RGS=ロシア参謀本部?)から明確な回答が来るだろう。

ロシアが次に何をするかについて、再び激しい議論が展開されている。
[結局のところ、RGSはヨーダ・パトルシェフを除いて、不可解な存在である]

RGS(ロシア参謀本部)は[NATOにとって]悪い方向に話題を変えるように、他の場所で首を切るような重大な戦略的攻撃を選ぶかもしれない。

前線を守るために[部分的な動員をせずに]より多くの軍隊を送ることを選ぶかもしれない。

そして何よりも、SMO(特別軍事作戦)の任務を拡大し、ガス田から火力発電所、変電所、原子力発電所に至るまで、ウクライナの輸送/エネルギーインフラの完全破壊に踏み切るかもしれない。

まあ、上記のすべてが混在している可能性もある。前例のない社会経済的大惨事を引き起こすロシア版 ”衝撃と畏怖” だ。それは、すでにモスクワから電信で伝えられている。我々は、いつでも、数時間のうちに、あなた方を石器時代に戻すことができる(筆者が太字で表示)。あなたの街は、暖房ゼロ、水の凍結、停電、接続不能の状態で冬将軍を迎えることになる。

対テロ作戦

キエフのような”意思決定の中心地”が近々キンジャール(極超音速ミサイル)の訪問を受けるかどうかに注目が集まっている。これは、モスクワがもうたくさんだということを意味する。シロヴィキは確かにそうだった。しかし、まだそこまでには至っていない。なぜなら、非常に外交的なプーチンにとって、本当のゲームは、アメリカの外交政策のちっぽけなおもちゃであるEUへのガス供給を中心に展開されるからである。

※シロヴィキ:または、シロヴィクは、ロシアの政治ジャーナリズム用語で、治安・国防関係省庁の職員とその出身者をさす。ロシア語で”力のある男”を意味する。プーチン大統領の側近中の側近たち。

プーチンは内部戦線が圧迫されていることに気づいているのは確かだ。彼は部分的な動員さえも拒否している。
冬に何が起こるかを示す完璧な指標は、解放された領土での住民投票である。2004年に10月革命記念日に代わって導入された”国民統合の日”である11月4日がリミットである。

これらの地域がロシアに加盟したことで、ウクライナの反攻は、ロシア連邦に組み込まれた地域に対する戦争行為と見なされる。それが何を意味するかは誰もが知っている。

西側諸国が自分たちに対してハイブリッドかつ動的な、膨大な軍事機密に関する情報から衛星データ、傭兵の大群まで、あらゆるものを使って戦争を仕掛けてきたときに、曖昧に定義された特別軍事作戦 Special Military Operation(SMO)の実施を主張すれば、厄介な事態に陥る可能性があることは、今や痛いほど明らかかもしれない。

つまり、SMO(特別軍事作戦)の位置づけが変わろうとしているのだ。テロ対策作戦になるに違いない。

これは国家(人類)の存亡を懸けた戦争である。やるかやられるかの問題なのだ。アメリカの地政学的・地理経済的な目標は、はっきり言って、ロシアの統一を破壊し、政権交代を行い、膨大な天然資源をすべて略奪することである。

ウクライナ人は大砲の餌に過ぎない。1401年にティムールがバグダッドを破壊したときに120の塔に固めた頭蓋骨のピラミッドと同じようなもので、ある種の変転を遂げた歴史のリメイクのようなものである。

※ティムールはジャライリッド・スルタン国の治世中の 1401 年にバグダッドを攻撃し、約 20,000 人を虐殺して荒廃させた。彼は、すべての兵士が少なくとも2つの切断された人間の頭を持って戻ってきて、彼に見せるように命じた。9万人が処刑され、その頭蓋骨が街に120の塔を作ったという資料もある。

RSG(RGS=ロシア参謀本部?)が目を覚ますには、”ハンマーの一撃”が必要かもしれない。遅かれ早かれ、ビロードやその他の手袋(外面的な見かけの優しさ)は外されるだろう。SMO(特別軍事作戦)の終了。戦争に突入する。

おまけ「ロシア国家警備隊の女性たち(動画)」

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Posted by kiyo.I