執着こだわりを手放すと、ものごとを心から楽しめる

2018年4月12日手放す

なぜか気になって仕方がない。どうも引っかかる。気が付けばあの事ばかり考えている。過去のあの出来事がいまだに忘れられない。別れたあの人のことを今でも思い出してしまう。

なぜわたしたちはこんなにもこだわってしまうのでしょうか?

次のお話をまず読んでみてください。

不要な重荷を下ろす

ふたりの禅僧が川のほとりに立ち、川を歩いて渡ろうとしていました。
するとそこに美しい女が近づいてきました。
その女も向こう岸に渡りたいようなのですが、川の流れが速いので因っていました。
そこで年上の禅僧が「背負ってまいろうか」と言うと、女はうなずきました。
女を背負って無事に向こう岸に渡ると、女はお礼を言って去っていきました。
女が見えなくなるとすぐ、若い禅僧は年上の禅僧を非難しました。
「恥ずかしいと思いませんか。私たちは女の体に触れることを許されていないのですよ」
そのあとふたりは数時間ほど歩き、寺に辿りつきました。
すると若い禅僧は年上の禅僧の行いを寺の住職に報告すると言います。
「あなたは禁じられている下品な行いをしました」
年上の禅僧はわけがわからないといった様子で尋ねました。
「私が何をしたというのだ?」
「美しい女を背負って川を渡ったじゃありませんか」
「ああ、あのことか。おまえの言うとおり、たしかに背負った。だが私は川岸に女を置いてきたぞ。おまえはまだ女を背負っているようだな」

※引用元『次の2つから生きたい人生を選びなさい』
 タル・ベン・シャハー著 大和書房

タル・ベン・シャハー(著), 成瀬 まゆみ(翻訳)
 

こだわりの正体
「私が何をしたというのだ?」

若い禅僧が年上の禅僧のとった行為を非難し責めたことに、年上の禅僧の戒めが秀逸ですね。このお話は「執着を持たない」とか「今を生きる」という真理を説明するときによく引き合いに出される禅の教えです。

似たようなことは私たちの日常生活の中でいろいろあるのではないでしょうか?

職場や学校で、友人関係や家族関係の中で、ある人のとった行動が気になって仕方がないとか、その行為を許せないとか、何か言われたりされたことで気に触って忘れられないとか、ずいぶん昔のことなのに今でも思い出すたびに嫌な気持ちになってしまうことってあります。

過去に起きたことにずっとこだわってしまっているだけでなく、未来にも同じようなことが起きるのではないかと心配になったりします。あ、やっぱりって言葉が出てきたとすると、何かにこだわっている気持ちを持ち続けていた証拠かもしれません。

オアシス 水辺を歩く女性の姿

「おまえはまだ女を背負っているようだな」

なにげなく誰かのことを考えている自分に気がついたことはありませんか? 
その誰かとは好意を寄せている人だったり嫌いな人のことだったりしますが、知らず知らずのうちに誰かや過去の出来事に心を奪われています。考えたくもないのに思い出したくないのにその人やその出来事が気になるのはその人やその出来事が原因だと思いがちです。あの人のせい、あのことがあったからって。トラウマになるほどの強烈な体験をすればなおさらです。

ですが気にしているのは気にしている本人なのです。上に引用した僧侶のお話はそのことをよく表しています。その人やその出来事つまり相手のせいではないのです。相手のせいだとすると自分は「被害者」になってそこから抜け出すことができません。思い出したくもないのに絶えずその人やその出来事に心を奪われ縛られます。挙句の果て相手を責めたり自分を責めたり文句を言い続ける羽目になります。

相手のせいでもなく自分のせいでもなく、自分の思いは自分に責任があることを理解すると抜け出す糸口が見えてきます。逆に言うと、相手のせいにしたり自分のせいにしていると絶対に解決できません。

あなたの心をいつも占めている想念はなんですか? どんな思いに囚われていることが多いですか? いつまでもこだわっていたいですか?

「だが私は川岸に女を置いてきたぞ」

こだわりはさっさと手放すのが自分のためにも相手のためにもいいのです。ところが、わたしたちは何かしらの思い、感情、考えに絶えず心を奪われています。

思い出したくもないのに気にしたくもないのにどうしてそのことについて考えてしまうのでしょうか? 自分で自分を嫌な気持ちにさせたいために? 苦しい思いに陥ることがわかっていてそれでも気にするなんて変ですね。それとも気を紛らわせるために? 何から? さて何でしょう? 

未解決のままになっているからだと考えてみたらどうでしょうか? 
実は解決の時を待っているのだというふうに。

こだわりを手放すと手に入るもの

気になること、過去の経験、トラウマを嫌な思いをするために使うのではなくて、そのことから、わたしは何に気づく必要があったのだろうかと考えてみてください。わたしは未だに何に気づいていないのだろうかと自分自身に問いかけてください。

そう捉えると問題は悩みではなく、解決できる課題へと変化します。問題があるということは実はあなたを解き放ち進化成長させてくれるきっかけを教えてくれています。

こだわりを手放すと、ものごとを心から楽しめるようになります。心が軽くなり知らなかった世界にも興味が湧いてくるようになります。こだわりが堰き止めていた情熱や興奮をもたらしてくれます。時を忘れるほどの興奮があなたを前へ前へと進めてくれます。

ジェラルド G ジャンポルスキー(著), ダイアン V シリンシオーネ(著), 橋本 碩也(翻訳)
 

執着