ネガティブな感情も悪くない

日頃よく見ているニュースサイトで、『ネガティブな気分になっても構わない理由』という記事を目にしました。
それによると「殆どの人は自分の感情をコントロールできるようになりたいと望み、ポジティブな気分だけを良しとしている。だが最新の研究結果によると、このアプローチは最善の方法ではない可能性もあるのだ」そうです。
意外な研究結果に興味が湧いてきました。

スプートニク記事『ネガティブな気分になっても構わない理由』

「研究の結果、自分の感情を全て受け入れつつも自身を責めない人は一般的に、より早くネガティブな気分から抜け出すことがわかった」のです。

私たちはポジティブな感情は良くて、ネガティブな感情は悪いものだという観念を持っています。こうした観念が強いと当然ネガティブな感情は避けようとします。ところが避けたいのに逆にとらわれてしまうことがあります。ネガティブなことが気になってしまい抜け出られなくなり、そんな自分を責めてしまうのです。
ところが、すべての感情を受け入れつつ自身を責めない人の方が早くネガティブな感情から抜け出せるというのです。

研究の結果、自分の感情を全て受け入れつつも自身を責めない人は一般的に、より早くネガティブな気分から抜け出すことがわかった。しかもそのような人は、湧きあがった一次的な感情について覚える二次的な感情、いわゆる「メタ感情的反応」に陥る傾向が低い。つまり自分の気持ちを素直に受け入れることで、割合に短いとされる感情の自然サイクルを通過し、やがてその気持ちは消滅してしまうのだ。

金銭的な苦労や健康面で悩みのない裕福な人は、例えば週70時間労働を強いられる貧困者よりも全てにおいて順調だと思われがちである。だが、貧困者がネガティブな感情を全て受け入れるのであれば、否定的な感情のループにはまり込んでしまいがちな裕福な人よりも幸福を感じるかもしれない。

このテーマの最新研究を行ったのは、トロント大学心理学部のブレット・フォード教員。約1000人がアンケートで人生の満足度やストレスに悩む頻度などについて回答した。この他、どのような精神的症状に苦しみ、それとどう接してきたのかについても記述をしてもらった。これらを集計分析した結果、フォード氏と同僚の研究員は、否定的な感情を受け入れる人ほど精神的な健康度が高いという傾向を見出した。更に、ネガティブな状況そのものは、それによって引き起こされる感情について言えば、何の役割も演じるものでないことも明らかになったのだ。

元ネタの女性誌『カット』の記事も読んでみました。英文ですからグーグル翻訳で日本語にして読みました。そこには意外なタイトルが付けられていました。

『あなた自身が気分が悪いとあなたは幸せになる』

記事を読み進めると、
「私たちは良い感情を抱きしめ、悪いものを避けようとしますが、研究は少なくとも負の感情になると、その努力が誤っているかもしれないと示唆しています」
「研究によると、あなたの否定的な感情を受け入れる能力は膨大なメリットをもたらす可能性があることを示しています」
「心理的な幸福を最もよく示しているのは否定的な状況から来た心の状態を受け入れる事でした」

常識的な感覚からすれば想像もできない内容なので驚きました。
さらに、
「トロント大学助教授の(省略)フォードと彼女の同僚は、彼らの否定的な感情を受け入れた人は、平均してより心理的に健康であることを発見した」
記事の最後はこう書いてあります。
「ときには気分が悪いと感じるようにするのが一番です」

力を合わせる 橋を渡す

この研究結果から言えることは、ネガティブな感情であろうと「受け入れる」こと。そして、いい悪いという「判断」をしないことのようです。

ポジティブな感情もネガティブな感情も相対的なものです。時代や場所により人によって変わります。
例えば、物静かな人がいたとします。ある人にとっては、とても平和で温和な状態をイメージするかもしれません。別の人にとっては、覇気がない、積極的でない、引っ込み思案と映るかもしれません。
ある人にとってはそのようなネガティブな評価は自分自身を責める材料になってしまうかもしれません。責めてしまうのはいいとか悪いとか考えてしまって「判断」してしまうからです。

ネガティブだからと言って「悪い」わけではありません。ネガティブな人は細かいところに気付くことができるので、ポジティブな人の大雑把な所を補うことができます。ネガティブな人の用心深さはポジティブな人の抜けているところを補うことができます。お互いに長所短所があります。助け合うことでパズルが完成するのです。

Posted by kiyo.I