プラズマ宇宙論① ── 序論

科学とは専門家の無知を信じることである──リチャード・ファインマン

これは「アインシュタインと有名人崇拝」の著者、デイヴィッド・ドリュー氏のサイト「Plasma Cosmology.net」の冒頭に出てくる言葉です。リチャード・ファインマンは、1965年、量子電磁力学の発展に大きく寄与したことで、ノーベル物理学賞を受賞した物理学者です。ウィキによると、

・父親は「身分」なんぞというものに決して頭を下げないという考え方があった。このため、ローマ教皇だろうが皆と同じ人間であり「違うところは着ているものだけさ」とファインマンに言い聞かせていた。また、父親はセールスマンではあったが、人間は嘘をつくよりも正直でいた方が結局は成功するという信念があり、これらの考え方はファインマンが受け継ぐようになる。
・また父親は物理や科学の知識を持っていたわけではないのだが、子供の「なぜ?」という質問に対して説得力のある説明を与えることが得意だった。後にファインマンは「“本当にわかった”と思うのは、物事に二通り以上の説明ができた時だ」と語り、自身優れて分かりやすい説明能力で人気を集めたが、こうした姿勢も父親から受け継いだものである。科学的知識は大した事は無かったが、何故こうも特別興味を持っていたかについては兄妹共に常々疑問に感じていた。父は科学的素養があったが、それを学ぶ機会が無かったのではないかと推察している。

ファインマンは「電磁力の驚異的な力が天地を動かしている」で、ファインマン物理学講義、第2巻第9章「大気中の電気」を訳したことがあります。内容は明瞭で、小難しい言い回しはなく、自分の言葉で、よく練られた文章で、さすがだなという印象を受けました。

デイヴィッド・ドリュー氏のサイトはプラズマ宇宙論や電気的宇宙論が分かりやすくまとめられているので、今回から、これをシリーズで翻訳していきます。

plasmacosmology.net

プラズマ ── はじめに

Introduction

プラズマ宇宙論

このウェブサイトの目的は、新たなプラズマ宇宙のパラダイムを紹介し、多くの遠大な引き起こされるであろう結果(予想されること)を探求することである。つながっていて、フラクタルで、生きている宇宙という新しい見方が、急速にクローズアップされつつある。ビッグバン仮説が想定しているような物質の行き当たりばったりの衝突よりも、はるかに多くのことが起こっている。

ポピュラー(コンセンサス)サイエンスは、宇宙を電気的にニュートラルで純粋に機械的なもの、つまり弱い重力が支配する場所として見ている。これに対してプラズマ宇宙論は、宇宙の電気力学的性質を認めている。重力と慣性だけが働いているわけではない。

もちろん、科学の歴史は論争に満ちている。たとえ学界や無批判な主流メディアがオウム返しの正統性を選択したとしても、今日の状況は何ら変わらないことを理解することが重要である。

プラズマとは何か?

プラズマとは何か?

プラズマは物質の第4の状態である。原子が自由に浮遊する"負"の電子と"正"のイオン(電子を失った原子)に分かれている点で、固体、液体、気体とは異なる。イオン化気体と呼ばれることもある。学生は一般的に、物質の3つの状態についてしか教わらず、プラズマについて言及されても、あまり重要視されない。プラズマをリストに加えるだけでなく、順序を逆にして第1位にすべきである。その理由はいずれ明らかになるだろう。プラズマという言葉は、そのほとんど生命のような、自己組織化する性質を表現するために、血液の血漿から借用された。

プラズマは、電場や磁場によって励起されると発光する。極地のオーロラはこの事実を証明している。

プラズマはどこにあるのか?

プラズマはどこにあるのか?

プラズマはほとんどどこにでもある。既知の宇宙の少なくとも99%は、プラズマ状態の物質である! 太陽の表面はプラズマであり、高温のガスではない、まったく別物だ。

宇宙空間のプラズマは、すべてイオンと電子で構成されている。したがって、非常にエネルギーが高く、"高温"である。冷やされて初めて、固体、液体、気体など、私たちが地球上で慣れ親しんでいる物質が形成される。
プラズマは宇宙空間でも電荷を帯びているため、重力よりも電磁力の影響を強く受ける。実際、かつてはほとんど何もないと考えられていた宇宙空間は、プラズマで満たされていることが分かっている。帯電した粒子の広大な流れが、星間空間を数十万光年にわたって横切っていることが発見されている。

地球上で最も身近な電気プラズマの例は、ネオンサインや照明、テレビ画面、電気アーク溶接機などである。火や雷もプラズマの一種である。

プラズマは、何をするのか?

プラズマは、何をするのか?

ほぼあらゆることだ! プラズマは電気の優れた伝導体であり、自由に流れる電子のため、その伝導特性は銅や金をはるかに凌ぐ。電磁気との相互作用により、プラズマは気体、液体、固体の物質をはるかに超える複雑な構造を示す。プラズマは細胞状やフィラメント状の構造になる傾向がある。

これらの構造は、荷電粒子流(または電流)が自身の周囲に環状の磁場を発生させ、宇宙規模でも局所的な規模でも見られるように、プラズマを複数のフィラメント状の繊維に"挟む(つまむ)pinching“という事実に由来している。

上の写真は、一般に市販されているプラズマランプである。

主流派の誤解

従来の天文学は磁気をマッピングするとはいえ、電流は宇宙空間では意味がないという誤った理由で除外されている。

この先の惰性的な思い込みから、宇宙物理学者は婉曲えんきょく(当たりさわりのない、または間接的)な表現で話をする傾向がある。"電子の雨"や"イオン化したガスの雲"は、よく使われるふたつの例に過ぎない。伝統的な観点からは、これらの用語は、よりエーテル的なプラズマの挙動よりも理解しやすいように思えるかもしれないが、それにもかかわらず、不明瞭である。実際には、我々は電気力学的現象について話している。

重力に基づくモデルは、宇宙旅行や高性能望遠鏡が登場する以前、石油やガスが照明を提供していた時代に体系化されたものであることを理解することが重要である。当時、我々の銀河系、天の川銀河は宇宙全体であり……電気的には不毛("無菌")であると考えられていた!
プラズマ宇宙論は、現在我々が見ているものを古いモデルに当てはめようとするのではなく、過去の進歩を尊重するが、それに束縛されることはない。科学理論というものは、当然のこととして、誤りを立証されやすいものである。科学は進歩する。

宇宙におけるプラズマの役割

宇宙におけるプラズマの役割

プラズマ宇宙論は、仮説と分析の域を超えている。もちろん、第3、つまり普遍的なスケールでの実験には問題がある。しかし実際には、プラズマは非常にスケーラブルであり、スーパーコンピューティングの能力によって、銀河スケールでのプラズマの振る舞いをモデル化することができるようになった。……わずかな簡単な公式を利用するだけである。これらのモデルは現実と一致している。
一方、ビッグバン宇宙論は、我々が観測している"塊状"やフィラメント構造を十分に説明できていない。

big bang vs. Plasma Universe

プラズマ宇宙論は、抽象的な数学的モデリングや、ダークマターやダークエネルギーのようなエキゾチックな仮説の数々には依存していない!

一枚の写真は千の言葉を語ることができる

標準望遠鏡(左)とフィラメント構造を示す電波望遠鏡(右)を通して撮影された天の川銀河。
暗黒物質は必要ない。

標準望遠鏡(左)とフィラメント構造を示す電波望遠鏡(右)を通して撮影された天の川銀河

重力と電磁気の比較

引力       ⇔ 引力と斥力(つながっている)
逆2乗の法則   ⇔ 逆2乗の法則
物体を取り囲む  ⇔ 物体を取り囲む
遮蔽できない   ⇔ 遮蔽できる(?)
とてつもなく弱い ⇔ とてつもなく強い

私たちが最もよく知っている電磁気力は、10の39乗より強い。
つまり、10,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000の強さである!

あまりにも多くの人が、明白なことに気づかないままである。気が付かない(無関心でいる)こととは、宇宙が重力だけに支配されているということだ。

バック・トゥ・ザ・フューチャー

このサイトで述べられている多くの考え方には、実はそれほど目新しいものはない。前世紀初頭、多くの一流の科学者たちは、電磁気学の理解を深めることが天文学と宇宙論の進むべき道であり、重力をよりよく理解できる可能性の高い方向でもあると考えていた。今日、ほとんどの教科書はこのような考えを頭から否定している。
電磁気は遮蔽でき、重力は遮蔽できないから、両者は無関係に違いないと主張することが多い。さらに、手で握れる磁石が発生させる力は、地球全体の重力に比べれば取るに足らないものだと説明されることも多い。
まあ、そうだろう、言いかねない、小さな子供と成長した象の力を比べても意味がないのと同じことだ。私たちは比較できないものを比較する話をしている。にもかかわらず、このようなナンセンスなことが教科書で頻繁に語られ、お決まりの画面に登場する話し手がテレビで総出演している。

1900年代初頭、科学は間違った方向に進んだ。プラズマ物理学は、科学者ではなく数学者が支配する分野となった。そして、プラズマ物理学の父と呼ばれるハンス・アルヴェーンが何度も指摘したように、プラズマは数学のすっきりしている法則に従おうとしない。

プラズマと政治

宇宙論は科学の女王と呼ばれているが、それは他のほとんどの科学分野に基礎的要素を提供しているからである。このことが、変化に対する惰性(不活発、遅鈍、無気力)に拍車をかけている。科学は冒険であるべきだが、悲しいことに、資金獲得競争とイデオロギーへの傾倒が、科学主義と呼ばれる考え方を伴う、用心棒代の取り立て(みかじめ料の徴収、ゆすり)に近いものに変えてしまった。助成金と名声が絡んでいる(問題となっている)のだ。

私たちが今日目撃している、科学に対する科学否定のごた混ぜを浮き彫りにしている以下の引用を考えてみよう。

ふたつ目の引用(Phys.org、2011年)には何の説明もない。おそらく、さりげない却下で十分なのだろう。
問題は、ひとたびプラズマと電磁気学の扉を開けてしまったら、もう後戻りはできないということであり、彼らはそれを知っている。彼らの数学的方程式(曖昧な表現)は、ほとんど根拠のない推測であることが露呈してしまうのだ。※(原文には「曖昧な表現」に打ち消し線があります)
沈滞した(退屈で)、還元的(何かを単純な方法で、特に単純すぎる方法で検討したり提示したりすること、情報を過度に単純化したり、重要な詳細を省略したりすることで、機械論的な宇宙観はゲームオーバーとなるだろう。

プラズマ宇宙論はパラダイムシフトを象徴している。
プラズマ宇宙論は、すべての答えを持っているとは主張しないが、正しい方向を指し示している。
宇宙論における来るべき革命は、新たなルネッサンスの先駆けとなるだろう。シートベルトを締めて(波乱[長丁場]を覚悟して)、乗ろう。

The Soupdragon

The Soupdragon

──つづく
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Posted by kiyo.I