プラズマ宇宙論⑳ ── ニコラ・テスラ「彼らはそんなことはできないと言った」
空間が曲がる?
ニコラ・テスラ、思いつかないことを思いついた人、考え付かないことを考えた人、だれにも発想できないようなことを発想できた人と言えるかもしれません。テスラの研究対象は"電気"でした。あらゆる電気現象を通して宇宙の秘密を探ろうしたといっても言い過ぎではないと思います。ですから、プラズマ宇宙論や電気的宇宙論の立場からすれば共通するところがあり、したがってテスラ関連の情報を探すところも違います。これは、あらゆる分野についても言えることです。人は自分の知りたい角度から対象を眺めます。人によって見える景色は違います。
テスラはアインシュタインを批判して「湾曲した空間のような無意味な憶測や誤った概念」について触れています。この指摘は、溢れるほどの"テスラ礼賛"の日本語の記事ではあまりお目にかかることはありません。
例えば「重力の力学的理論」によると、
相対論との比較
テスラは、重力を時空の曲率として説明するアインシュタインの一般相対性理論を"自己矛盾"と揶揄した。
なぜなら
「……仮に、物体が周囲の空間に作用して同じ空間を湾曲させたとすると、私の単純な頭には、湾曲した空間が物体に反応して、湾曲を直線化するという逆の効果をもたらすに違いないと思える。
作用と反作用は共存するのだから、仮定されている空間の湾曲はまったく不可能である。── しかし、仮にそれが存在したとしても、観測された物体の運動を説明することはできない」
重力効果によって空間が湾曲することに反対する彼の基本的な主張は、彼がアインシュタインの理論を理解していなかったことを示しているようだ。テスラは、多くの科学者が数学を実験に置き換えており、そのような"数学的科学者"は最終的に現実とは関係のない構造物を作り上げると考えていた。
このように「重力効果によって空間が湾曲することに反対する彼の基本的な主張は、彼がアインシュタインの理論を理解していなかったことを示している」と解釈されます。
空間が曲がるとはどういうことでしょうか? 発想や概念としては面白いです。ですが、一般的に認知されているかにみえる曲がった空間ってなんですか? 頭の中で曲がることはあるかもしれませんが、違和感があります。地球の下にネットが張ってあって地球の下が凹んでいるイラストを見たことがあると思います。このように空間が曲がるのかとイメージした方が多いと思います。私も以前はなんの疑いもなく、そうなんだとイメージしていました。さらに方眼状の升目を書いたシートが曲がっているイラストを見たことがある方も多いでしょう。しかし、これはソーンヒル氏が指摘したように、重力を重力で説明している"循環論法"です。テスラは"自己矛盾"だと表現し否定しました。湾曲する空間の図は間違ったイメージへの誤誘導であり、根拠のない論理への飛躍です。現代宇宙論や次元の解釈は"飛躍"で溢れかえっています。
▼「この重力の井戸、またはじょうごは、下から重力に引っ張られて、物体が下に引き込まれ、じょうごの中に入っていくものだと思い込んでいるため、イメージそのものが誤ったものになっている。ただし、これは重力を説明するために重力を使っている」
ニコラ・テスラ(1856-1943)セルビア系アメリカ人
Nikola Tesla (1856-1943), Serbian-American
天才
ニコラ・テスラは物理学者、発明家、電気技師であり、類まれな知的才覚と実用的な業績を残した。セルビア系で、主にアメリカで活躍したが、その功績を他者に奪われることも少なくなかった。
最も有名なのは、回転磁界の原理を考案し(1882年)、それを利用して電気誘導モーターとそれに付随する交流長距離送電システムを発明したことである(1888年)。彼の特許と理論的研究は、今でも現代の交流(AC)電力システムの基礎となっている。
彼はまた、無線技術の基本原理や機械を含む、数多くの電気的・機械的装置、高周波オルタネーター(大陸間無線通信用の超低周波範囲の電波を生成するために使用された。また、初期のラジオ放送や電話にも使用されていた)、"AND(論理積をつくる論理演算子)" 論理ゲート、テスラコイル(高周波で高電圧を発生させるために使用される、空芯を持つ昇圧変圧器)、ブレードレス・タービン、スパークプラグなどを開発した。
彼を"21世紀を発明した男"と呼ぶ人もいるが、相応の評価を得ることができなかったため、アンダーグラウンド・ヒーローと表現されることの方が多い。
“電流戦争"
1880年代後半の"電流戦争"の時代、ニコラ・テスラとトーマス・エジソンは敵対関係にあった。エジソンは、テスラが提唱したより効率的な交流(AC)よりも、電力供給(配電)に直流(DC)を推進した。
この時はテスラが勝利した。二人はそれ以前、テスラがエジソンの下で働いていたときに不仲になり、エジソンはテスラに大きなプロジェクトを完成させたら5万ドルを支払うと約束していた。テスラは望みの目標を達成したが、エジソンはその約束を反故にし、テスラは何も言わずに出て行ったという話である。
エジソンはその後、交流電力は危険すぎて使えないとして、一般の人々を交流電力から遠ざけようと生きた動物を感電死させるという手に訴えた。
相対性理論についてのテスラ
テスラは、アインシュタインの相対性理論を大いに批判していた。
「……仮に、物体が周囲の空間に作用して同じ空間を湾曲させたとすると、私の単純な頭には、湾曲した空間が物体に反応して、湾曲を直線化するという逆の効果をもたらすに違いないと思える。
作用と反作用は共存するのだから、仮定されている空間の湾曲はまったく不可能である。── しかし、仮にそれが存在したとしても、観測された物体の運動を説明することはできない」
「この関連では、創造主自身がこの惑星を電気的に設計したかのように思えるほど、驚異的な事実がある……」
テスラ
彼はまた、この理論はアインシュタインよりも古いものだと主張した
「……ところで相対性理論は、現在の提唱者たちよりもずっと古いものだ。200年以上前に、私の著名な同郷の偉大な哲学者ボスコヴィッチによって提唱された。ボスコヴィッチは、他の多種多様の責務にもかかわらず、さまざまな科目について1,000巻にも及ぶ優れた文献を書いた人物である。ボスコヴィッチは、いわゆる時空連続体を含む相対性理論を扱った……」
「創造性の秘訣は、情報源を隠す方法を知っていることである」
アルバート・アインシュタイン
そして、もし上述のことが説得力のあるものだと思うなら
「……壮麗な数学的衣裳は、人々を魅了し、幻惑し、その根底にある誤りに気づかせない。この理論は、無知な人々が王と見なす紫色の服を着た乞食のようなものだ……この理論の提唱者は素晴らしい人物だが、彼らは形而上学者であって科学者ではない……」
ニューヨーク・タイムズ、1935年7月11日号、p23、c8
動力学的な重力理論
テスラの動力学的重力理論は、重力と電磁気学を関連づける理論、すなわち統一場理論を定式化しようとしたものである。テスラはこの理論を発表する前に亡くなったため、数学的な詳細は不明であり、アインシュタインの一般相対性理論は、その時点ですでに受け入れられていた。
エーテルと電磁気学に関するテスラの研究の大部分は、高周波と高電位電磁気学の実験を行い、それらを利用するための装置の特許を取得していた1892年から1894年の間に行われた。テスラによれば、この理論は1930年代の終わりには完成していたという。テスラは、この理論がアインシュタインの一般相対性理論に代わるものであり、重力を横波と縦波の電磁波の混合として説明するものだと主張した。
「……その影響下にある天体の原因や運動を非常に納得のいくように説明するので、湾曲した空間のような無意味(無駄)な憶測や誤った概念に終止符を打つだろう……
力の場の存在だけが、観測された天体の運動を説明することができ、その仮定は空間の湾曲なしで済む。このテーマに関するすべての文献は無益であり、忘却の彼方へ向かう運命にある。エーテルの存在と、それが現象に果たす不可欠な機能を認識することなしに、宇宙の仕組みを説明しようとする試みもすべてそうである……」
「1896年に私が宇宙線について話したときも、彼らは笑った。35年前、私が交流電流の回転磁場原理を発見したときも、彼らはあざ笑った。私がラジオを予言したとき、彼らは私を気違い呼ばわりした。そして、私が最初のインパルス(衝撃電流や衝撃電圧)を世界中に送ったとき、彼らはそんなことはできないと言った」
ニコラ・テスラ、1937年
1891年、テスラはエーテルの構造と電磁気学に関する講義の中で「無限小の世界があり、分子や原子が天体と同じように軌道を動き、静電気を帯びている」と述べ、「張力や静電歪み」を伝える独立したキャリアが存在すると述べた。これは、ラザフォード、ボーア、アインシュタインによる基本粒子の性質に関する研究に先立つものだった。
しかし、テスラに対する批判の一部は、質量がエネルギーに変換されることを認めなかったことに関連しており、この事実は一般に相対性理論を支持していると考えられている。
ウォーデンクリフタワーと"ワイヤレス配電"
※参照:「ニコラ・テスラのウォーデンクリフタワーの背後にある作動メカニズムとは何だったのか?」
1900年、JPモルガンから15万ドル(51%)を得たテスラは、ウォーデンクリフタワー施設の計画を開始した。おそらく彼の特許の中で最も物議を醸したものだろう。この施設は、ワイヤレス通信のための世界的なシステムの開始と銘打たれていたが、さらに物議を醸すことになったのは、ワイヤレス配電のデモンストレーションとしての目的もあったことだ。
1903年、テスラのワイヤレス送電計画を耳にしたモルガンは、タワー・プロジェクトへの資金援助を拒否した。タワーは戦時中にスクラップとして解体された。1908年の『無線電信と電話 Wireless Telegraphy & Telephony』誌に掲載された記事「無線技術の未来」の中で、テスラはウォーデンクリフ・プロジェクトについて次のように述べている:
「完成すればすぐに、ニューヨークのビジネスマンが指示を口述し、それを即座にロンドンや他の場所にあるオフィスに活字で表示することが可能になる。彼はデスクから電話をかけ、世界中のどの電話加入者とでも、既存の設備に何の変更も加えることなく話すことができるようになる。腕時計ほどの大きさの安価な機器さえあれば、海でも陸でも、音楽でも歌でも、政治指導者の演説でも、著名な科学者の演説でも、どんなに遠く離れた場所でも、雄弁な聖職者の説教でも、どこでも聞くことができるようになる。同じように、どんな絵、文字、図面、印刷物でも、ある場所から別の場所に転送することができる。何百万台ものこの種の機器を、たった一台のプラントから操作することができる」
「しかしそれ以上に重要なのは、電線を使わない送電である。これは、説得力を持たせるのに十分な規模で示されるだろう。これらのいくつかの兆候は、ワイヤレス技術がこれまでになされたどの発明や発見よりも大きな可能性を提供することを示すのに十分だろう。そして、もし好条件が揃えば、今後数年のうちに、無線技術の応用によって驚異がもたらされることは間違いないだろう」
ウェスティングハウスは、"ワイヤレス電力"は実質的に電力業界を財政的に破たんさせるだろうとコメントしたと言われている。
WF?(The Why Files)エピソード「テスラとピラミッド」▼
テスラは大ピラミッドの秘密を知っていた:世界を動かす無限のエネルギー
テスラはギザの大ピラミッドの秘密を知っていた:世界に無限のフリーエネルギーを生み出す発電所
ニコラ・テスラは、地球内部のエネルギーを利用し、その電力をワイヤレスで世界中に送ることができると信じていた。彼の初期の実験は成功した。しかし、彼の研究は彼の死後、不思議なことに消えてしまった。テスラのワイヤレス電力技術の証拠は残っていない。あるいは、あるのだろうか?
私たちは長年、ギザの大ピラミッドは王の墓だと教えられてきた。そうではなかった。別の目的があったのだ。テスラがワイヤレス電力を発明したわけではない。それは5,000年前からここにあった。そしておそらく、それよりもずっと昔からあったのだろう。その理由を探ろう。
テスラと医学
テスラの名前は、磁束密度の国際単位である"テスラ"とともに称えられている。すべての磁気共鳴画像装置(MRI)はテスラ単位(0.2~9テスラ)で校正されている。MRI装置は均一磁場の原理で作動する。ニコラ・テスラは1882年、ブダペストで回転磁場を発見した。磁気を表すテスラ単位は、1956年に国際電気標準会議の委員会活動によってドイツのミュンヘンのラートハウスで制定された。
さらに、彼は水処理にオゾンを使用するパイオニアだった。この技術は、その無害な特徴と、塩素やその他の危険な化学物質が不要であるという事実から、再び人気が高まっている。
彼はまた、電磁気の潜在的な治癒力や鎮痛能力についても推測した。
エーテルの概念
テスラのエーテル概念は、古典的なエーテル理論とは似て非なるものであることを理解することが重要である。テスラのエーテルは、実際には媒質、すなわち"完全な流体"であり、われわれが浸かっているあらゆるものを濡らし、"独立したキャリア"として作用するものだった。光(高周波)に対しては固体として振る舞い、物質に対しては透明であるが、テスラによれば、その効果は慣性を通して感じることができる。
テスラコイル
テスラコイルの実験。アメリカ・コロラド州コロラドスプリングスにあるセルビア系アメリカ人の物理学者で電気技師のニコラ・テスラ(1856-1943)が運営する研究所で、大きなテスラコイルから外に向かってスパークする電気ストリーマ。テスラは1899年からこの研究所を運営していた。彼の名を冠したコイルは共振変圧器の一種で、高電圧、低電流、高周波の交流電気を発生させるために使用される。テスラは1884年にアメリカに移住した。彼の研究は、交流発電や送電などの分野で重要な進歩をもたらした。磁束密度のSI単位は彼にちなんで命名された。
テスラコイルから生み出される壮観な非常に目立つ効果は、長年論争の的となってきた。発生する高周波、高電圧のエネルギーは、従来の電気とは異なる奇妙な性質を持っている。ほとんどの絶縁材を打ち破り、電線なしでエネルギーを伝達し、熱、光、ノイズを発生させ、しかも人体組織を無害に通過し、ほとんど衝撃を与えない。多くの研究、資金、努力が、200フィートの稲妻や25マイル離れた稲妻を発生させることができる同様の大型装置の建設に捧げられてきた。テスラコイルは、テスラの理論に関する現在進行中の多くの研究の基礎となっている。
陰謀論
残念なことに、テスラの仕事の多くは、彼のアイデアの多くが軍事的・経済的に潜在的な意味を持つため、さまざまな陰謀論によって曇らされてきた。ある者は、彼が後年妄想的になったと主張し、またある者は、彼の理論に関連する情報を得るために、様々な"機関"からの"圧力"によって彼の死が早められた可能性を示唆している。
彼の死後すぐに、FBI(連邦捜査局)は、彼のアメリカ市民権にもかかわらず、彼の書類と財産を押収するよう外国人財産管理局に指示した。J・エドガー・フーバーは、テスラの発明と特許の性質上、この事件を"最高機密"と宣言した。
テスラは、エジソンとのノーベル賞の共同受賞を持ちかけられたが辞退した。
「テスラは、その時代までのどの人間よりも電気科学に貢献した」
ケルビン卿
迷信
テスラは迷信深いことで知られ、特に数字に強かった。彼はこう語ったと言われている:
「3、6、9の素晴らしささえ知っていれば、宇宙の鍵を手に入れることができる」
彼が実際にこの有名な言葉を発したかどうかは定かではないが、彼がこれらの数字に取り憑かれていたことは間違いなく、それをさまざまな形で表現していた。彼は建物に入る前に1ブロックを3周歩いたり、18枚のナプキンで食器を洗ったりした(18は3、6、9で割り切れる)。また、彼は3で割り切れる数字のホテルの部屋にしか泊まらず、実際、彼はホテルの3327号室で亡くなった。
要約
陰謀論や些細な政治問題はさておき、テスラは明らかに時代を先取りしたアイデアを持つ卓越した(きらめく)人物だった。彼の将来を見通したアイデアと、より現代的なエレクトリック・ユニバースとの間には、興味深い類似点が数多く存在する。
ニコラ・テスラとエレクトリック・ユニバース ─ 全体像
ニコラ・テスラには、優れた発明家、物理学者、電気技師以上のものがあった。彼はまた、電磁気学と電気力学が持つより広範な意味を強く意識していた。
「私は発明家ではない。私は新しい科学原理の発見者である」
ニコラ・テスラ
「今日の科学者たちは、数学が実験の代わりとなり、方程式に次ぐ方程式でさまよい、結局は現実とは何の関係もない仕組みを作り上げている」
ニコラ・テスラ
──つづく
Image Source: nationalgeographic
※参考までに
Dynamic theory of gravity「重力の力学的理論」
このサイトは、アインシュタインの一般相対性理論を肯定した前提で書かれた記事。ただし、参考文献などが役に立つが、リンク先は開かないものが多い。
Inventions & Experiments of Nikola Tesla / dynamic theory of gravity 「ニコラ・テスラの発明と実験/重力の力学的理論」
このサイトが一番充実している。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(元サイトの不鮮明な画像は差し替えてあります)