回転する天の船──ディスコース no.15

回転する天の船──ディスコース no.15

古代の歴史と神話お勉強シリーズ
天の牡牛とか天の船というと、普通は最初に、知っている、見たことのある牛をイメージし、船をイメージします。その次にそのイメージを空に探します。昼間だと太陽か月、夜は月と星を見て、似たものを探します。ですが、逆だったのかもしれません。空に見たものを、地上にある、この場合は牛とか舟に見立てたのかもしれません。そう考えると、これまでの古代を解釈する視点というのはすべて、身近なもののイメージを空に投影するというスタイルだと言えます。もし逆だったのだとしたら、エライことになります。これまでの常識的な世界観、積み重ねてきた学問の世界が文字通りひっくり返ります。

ヘテロマック・スタイルのペトログリフ

ペトログリフという岩絵があります。不思議な形を描いたものが世界中で見つかっています。これも、身近で見たものを書いたに違いないという思い込みがあるので、こんな不思議な生き物がいたのかもしれない、宇宙人かもしれない、、、と発想します。それが一般的です。ですが、これは実は空に見たプラズマ現象を岩の上に描いたのだという科学的な研究論文の翻訳記事を以前「アンソニー・ペラット ─ プラズマ放電 ─ ペトログリフ」で紹介しました。

ここで紹介しているのはすべて逆の視点、つまり天に見たものを地上の身近なものに投影したのだという観点からの記事ばかりです。だとすると、古代の空は今日の空とは全く違っていたのかもしれないという視点が出発点になります。それは「地球の海の水は土星から来た?─土星と地球のつながり」で、その例を紹介しました。
ですから、普通の、私も以前はそれを疑ってみたこともありませんでしたが、一般的な常識的な知識を前提に、これらの記事を読んでしまうと、勘違いされるかもしれません。

記事の最後のところでサンダーボルト・プロジェクトのコメントにちょうどいい言葉がありました。
「過去についての(科学的または宗教的な)仮定を一切排除することです」

なお、このディスコース no.15 は no.13 から続く内容です。

回転する天の船
Revolving Ship of Heaven

神話の天の船とは?
世界各地の古代の記録には、天空に大きな船やカヌーが動いていると書かれています。

ポリネシアン・ティキのカヌー
ポリネシアン・ティキのカヌー

しかし、現在の私たちの空には、本来の意味を知る手がかりがないのは不思議です。ここで紹介する再建(復元)では 天の船とは、太古の太陽の天空の乗り物です。世界的に祝福されている神であり、初期の天文学者は惑星土星として認識していました。原始太陽の姿は宇宙の車輪の形をしていますが、なぜ目に見える visible 船で航海したと言われているのでしょうか?

インド、オリッサ州コナーラクの”太陽”の輪
インド、オリッサ州コナーラクの”太陽”の輪

太陽神ヘリオスの船は、古来、土星として認識されており、オセアヌス Oceanus の海を航行する”黄金のゴブレット(台と脚があり、取っ手のないグラス)”と表現されていました。

ヘリオスの船を操るギリシャのヘラクレス
ヘリオスの船を操るギリシャのヘラクレス

エジプトの太陽神ラーも、バビロニアの太陽神シャマシュも、宇宙の船 cosmic ships(宇宙船)に乗っていました。

ラーの船
ラーの船
シャマッシュの船
シャマッシュの船

古代の神々は時を経て、伝説の祖先へと姿を変えていきました。

ギリシャ:ジェイソンとアルゴナウタイの乗り物、アルゴ船
ギリシャ:ジェイソンとアルゴノートの乗り物、アルゴ船

数え切れないほど多くのアメリカ先住民の創造神や先祖代々の英雄たちは、カヌーに乗って太古の海を渡っていました。

創造主である英雄レイヴンのカヌー
創造主である英雄レイヴンのカヌー

マヤはその伝統をよく守り、伝説のハイアワタも”人間の助けを借りずに動く白いカヌー”で航海しました。

マヤ : ティカルの神々
マヤ : ティカルの神々
ハイアワタ、人間の助けを借りずに動く白いカヌー
ハイアワサ(16世紀のモホーク族インディアンの男性戦士)

日本の創造神、少名毘古那神(すくなびこなのかみ)は、「天乃羅摩船アメノカガミノフネ=ガガイモの実とされる)に乗って波の頂点に立った」という。

少名毘古那神(すくなびこなのかみ)
少名毘古那神(すくなびこなのかみ)

神話の船は、かつての神々を伝説の英雄として絶えず思い起こしていたギリシャ人に共通するテーマでした。

ギリシャ : オデュッセウスの船
ギリシャ : オデュッセウスの船

ニューギニアのアスマット族 Asmat は、創造主である英雄がカヌーに乗っていると語りました。マルケサス諸島の先住民は、最初に海だけがあり、その上に創造主であるティキ Tiki がカヌーで浮かんでいたと言います。

ニューギニア :  創造主である英雄の船
ニューギニア : 創造主である英雄の船
ペトログリフ、ニューギニア :  創造主である英雄の船

ポリネシアの神タンガロア Tangaroa は”空飛ぶカヌー”で天上を航海していましたが、それはエニセイ・オスチャーク Yenisei Ostiaks の偉大なシャーマンが天上で船を漕いでいたのと同じです。

南太平洋 : 創造主である英雄の船
南太平洋 : 創造主である英雄の船
エニセイ・オスチャーク
エニセイ・オスチャーク

この問題に関する最大の誤解は、よく知られている事実に由来します。古代の文化では、伝説の船は三日月のような形をしていました。この繰り返す連想(関連)から、神々の船とは三日月のことではないかと安易に考えてしまうのです。

先史時代のエジプト : 天の船
先史時代のエジプト : 天の船
先史時代のエジプト : 天国の船
先史時代のエジプト : 天国の船
先史時代のエジプト : 天国の船
先史時代のメソポタミア : 天の船
先史時代のメソポタミア : 天の船

しかし、歴史的な文脈では、それとは全く違うことが言われています。

天の船
メソポタミア : ”月の神”シンの船
メソポタミア : ”月の神”シンの船

それどころか、具体的な特徴がすべて別のものを指し示しています。そして、これまでのディスコースの中で述べてきたように三日月のフォームの(についての研究)成果を無視することはできません。

真夜中 ▷ 日の出 ▷ 正午 ▷ 日没
真夜中 ▷ 日の出 ▷ 正午 ▷ 日没

もっとはっきり言えば、天の牡牛の角、柱の神の上げた腕、宇宙の山のツインピークスなど、これまで説明してきた三日月のイメージはすべて、宇宙の船の分析に含まれなければなりません。これらはすべて、回転する天の船に象徴的につながっており、対処すべき多くの謎があります。

エジプト : ツインピークスのシンボルを持つ”太陽”の船
エジプト : ツインピークスのシンボルを持つ”太陽”の船

古代シュメール人は、バビロニアのシン(神)であるナンナ神を”輝く角を持つ牡牛”と表現しています。しかし、ナンナはそれだけではありませんでした。

輝く角を持つ牡牛
宇宙の船としてのシュメールのナンナ(バビロニアのシン)
宇宙の船としてのシュメールのナンナ(バビロニアのシン)

テキストや芸術において、この神は天の舟として、天界の輸送船 celestial transport という緊急の機能を持っていることがわかります。輸送船は、私たちの月が古代のテーマとは全く関係がないことを確認するために必要な鍵の一つです。

エジプト:ラーの船 ラムセス9世
エジプト:ラーの船  
(ラムセス9世)

エジプトのピラミッド・テキストでは、亡くなった王に対して次のように宣言しています。
「大いなる牡牛の力を借りて、あなたが渡れるように…… 天空の牡牛が角を曲げたので、あなたはそれによって渡ることができます」

エジプト : 天の牡牛
エジプト : 天の牡牛

コフィンテキスト(棺桶のテキスト)も同様に、偉大な”角”に故人を天空の水域に運んでくれるよう懇願しています。
「角よ、彼の神殿(祭壇)にいる者を渡してくれ」
(※「角よ、主の聖所におられる方の上に帆を張れ」オランダ語訳)

棺桶のテキスト?
棺桶のテキスト?

天の牡牛を理解することで、宇宙の船を理解することができるのは明らかです。そのイメージは明確で、信じられないほど具体的です。エジプトのコフィンテキストでは”アヌビスの樹皮を支える長い角”を称賛しています。

天の船

テキストでもアートでも、天の船はそれ自体が一対の角に分解されます。

メソポタミア : 神々は牡牛の角に乗って航海した
メソポタミア : 神々は牡牛の角に乗って航海した

この識別(同一であることの確認)により、柱神シュウの2本の腕が天の船を支えているというエジプト人の主張が完全に予測可能になります。

柱神シュウの2本の腕が天の船を支えている
柱神シュウの2本の腕が天の船を支えている

この2つの解釈は切っても切れない関係にあります。この事実だけでも、腕を広げたシュウ神が、回転するラーの船の中で直立しているのを見る理由を説明するのに十分です。この船は、腕自体が昼と夜の古代のサイクルの中で回転していたのです。

腕を広げたシュウ神

そして、これまで述べてきた3つ目の三日月のフォーム、ツインピークスについてはどうでしょうか?
この最も途方もない試金石 test(評価基準)では、その考えの全くの不条理さが私たちの主張を明確にしています。

エジプト:ツインピークスは、宇宙船と一緒に、あるいは宇宙船として空を回転していたのだろうか?
エジプト:ツインピークスは、宇宙の船と一緒に、あるいは宇宙の船として空を回転していたのだろうか?

天空で回転しているツインピークスは、宇宙の船とのとんでもない同一性を持っています。エジプトの資料でも同じことが言えます。

ツインピークス、宇宙の船

ツインピークスが船の上に置かれているのか、船がツインピークスの上に置かれているのか。どちらを並べても、シンボルが正確に同じことを意味しているので、十分に合理的です。しかし、我々が知っているように、専門家には自然の矛盾しか見えていないので、その不自然さに驚嘆するしかありません。

[ツインピークス]「太陽の船の中に不調和に配置された」
[ツインピークス]「太陽の船の中に不調和に配置された」
T・ランドル・クラーク著『古代エジプトの神話と象徴』
「あらゆる真実味に反して、山も含めたこの像は、船で天の海の水を渡って運ばれている」
「あらゆる真実味に反して、
山も含めたこの像は、船で天の海の水を渡って運ばれている」
T・ランドル・クラーク著『古代エジプトの神話と象徴』

ひとつの形が、回転する三日月と一日の周期で反対の位相を持つという、明確に結びついた象徴として表現されているのです。断片的に見ると、その根底にある対称性は、古代の想像力の不条理さを確認するだけです。それは、あまりにも長い間、現代の思考の手の届かないところにあったものを、単に肯定しているだけなのでしょうか?

先史時代のエジプト : 天の船

このシリーズを続けていくうちに、すべての象徴的なアーキタイプが互いに密接に、そして不可分につながっていることが次第に明らかになってくるでしょう。すべての元型は一貫してエイリアンスカイ(異世界の空)を指しており、今日体験されるものに対応するものはありません。だからこそ、最初にして唯一の信頼できるガイドとなるのは、変革をもたらした古代の出来事を経験した人々の言葉、絵、そしてシンボルなのです。

先史時代のエジプト
先史時代のエジプト
先史時代のエジプト

──おわり

コメントから

ThunderboltsProject
イアン・マンセル氏へのメモ:(イアン・マンセル氏のコメントはありませんでした)
この再構成を、必要な客観的フレームで考えるために、時間をかけてください。地球規模のパターンを予測しているのか、していないのか。あなたが完全に主観的な物語で反応することは、あなた自身を含め、誰の助けにもなりません。これらのプレゼンテーションは、膨大な歴史的証拠に対する再構築の論理的関係性についてのものです。

Infinion
@ThunderboltsProject
過去のエイリアンスカイが確かな科学的根拠を持っているという事実は、ビデオのイントロの一部として簡潔に述べらる必要があります。そうすれば、この仮説が、世界的に切断された再起的な一連の画像や異なる文化からの証言を通して、科学的に有効な証拠を持っていることが視聴者に明らかになります。
私も、そして他の多くの人も、このことを意識して「ディスコース・オン・エイリアンスカイ」シリーズを見ることができれば、提示された証拠に対して、より容易に心を開くことができるのではないかと感じています。
一つの文化からの証言だけでは、決めつけられた科学理論ができあがり、その理論を証明するだけの証拠が不足してしまいます。(http://plato.stanford.edu/entries/scientific-underdetermination/)
しかし、地球規模の文化が互いに孤立していて、コミュニケーションの手段がないと仮定して、個々のケースが同じ主要な特徴を持つ画像を生成した場合、理論は過小決定を克服し、人類が過去のエイリアンスカイでの出来事を観察し、大きな影響を受けた客観的な現実が存在したと自信を持って述べることができます。

ThunderboltsProject
@Infinion
現代の科学では、古代の空に見られたものを再現することはできません。しかし、科学者や現代の学者が思っている以上に、目撃者たちは具体的な詳細を教えてくれているのです。今のところ、関心のあるところにはその点を伝えていかなければなりません。有資格の科学者も含めて。学際的な議論の中で、残りの論点が自ずと見えてくる可能性もあります。しかし、最初に必要なのは、歴史的な証拠と、その証拠を評価するための基本的なルールであり、過去についての(科学的または宗教的な)仮定を一切排除することです。十分で決定的な証拠が示される前に、科学者と議論しなければならないのは、非常に時間の無駄です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

Posted by kiyo.I