タッカー・カールソンはなぜ既存メディアが引きずり下ろせない巨人であり続けるのか?

まともな質問、しかし問う人は少ない

タッカー・カールソンと言えば、御用メディアばかりのアメリカ言論界で異彩を放つ言論人として有名です。日本にはこのような人はいません。専門家も含め、この人本当に専門家なの? ジャーナリスト?とあきれるような人ばかりです。日本のテレビ業界は嘘つきを登用する才能にかけては海外に引けを取りません。本当のことを言ったら、即降板になる業界ですから、なおさら呆れた話です。

タッカー・カールソンは、自問自答するよう問いかけています。
●なぜ私はプーチンがそんなに嫌いなのか?
●プーチンは私を人種差別主義者と呼んだことがあるのか?
●彼の意見に反対するとクビになると脅された?
●彼は私の町の中流階級の仕事をすべてロシアに移したのか?
●彼は私のビジネスを破壊し、2年間私を屋内に閉じ込める世界的なパンデミックをでっち上げたのか?
●彼は私の子供たちに人種差別を受け入れるように教えているのか?
●彼はフェンタニルを作っているのか?
●彼はキリスト教を根絶しようとしているのか?
●彼は犬を食べるのか?

日本でも、トランプやプーチンのことになるとヒステリックな論説や報道が目につきます。
トランプやプーチンが直接、日本になにか害を及ぼしましたか?
トランプやプーチンのことになると、おうむ返しのようにメディアの主張と似たようなことを言う人がいますが、それはオウムに任せてください。いつまでも、壊れた録音機のような真似は恥ずかしい限りです。

以下は、タッカー・カールソンについて書かれたRTの記事が2本と「ウクライナの防衛については、外国人ボランティアに任せればいい」と公言して避暑地で優雅な生活を送るウクライナの富豪の記事です。言うまでもなく、ウクライナの富豪とウクライナを支援すべきだと主張する政治家や財界人はお仲間です。

タッカー・カールソンはなぜ既存メディアが引きずり下ろせない巨人であり続けるのか?

19 Dec, 2022 18:22
Why Tucker Carlson remains a giant that the establishment media can’t pull down
The Fox News star gives voice to the concerns of millions – the part of America that some would prefer not to hear
2022年12月19日 @Robert_Bridge

Foxニュースのスターは、何百万人もの人々の懸念を代弁している──それは、一部の人々が聞きたくないと思っているアメリカの一部分である。

ロバート・ブリッジは米国の作家、ジャーナリストである。著書に『アメリカ帝国の真夜中、企業とその政治的使用人がいかにしてアメリカンドリームを破壊しているか』がある。

Tucker Carlson © Janos Kummer / Getty Images
Tucker Carlson © Janos Kummer / Getty Images

米国のメディア王国のジャングルは、2つの強力な存在に分かれているように見える──しばしば主流メディアと呼ばれる体制側の巨大企業と、タッカー・カールソンである。そして、あらゆる見込みに反して、カールソンが勝っているように見える。

フォックス・ニュースの司会者タッカー・カールソンほど、既存メディアにとって嫌な存在、恐ろしい存在(人による)を挙げるのは、暴れん坊のドナルド・J・トランプを除けば難しいだろう。この人物は、5月にニューヨーク・タイムズ紙が2万語のヒットピースで彼の人格を傷つけるために大量のインクを費やしたほど脅威とみなされている。皮肉なことに、この記事は裏目に出て、アメリカ人がもはや”旧来[時代遅れ]のメディア”を信用しなくなった理由を暴露してしまった。

※ヒットピース:虚偽または偏った情報を客観的かつ真実に見えるように提示することによって世論を動かすことを目的とした出版された記事や投稿のこと

グレイ・レディGrey Lady(灰色の貴婦人、ニューヨーク・タイムズを指す)の口から直接:「”タッカー・カールソン・トゥナイト”は、アメリカの人種差別を再構築し、白人米国人を抑圧されたカーストとして提示し、支配的な物語を提示した。支配階級は、フェンタニルなどのオピオイド(麻薬様物質)を使用して、レガシーアメリカンを中毒にして殺し、反白人人種主義で偏屈者とし、フェミニズムで自尊心を低下させ、移民で政治力を低下させるのである。共和党のエリートは、ありえないことだが、民主党が投票箱で必要とする有権者を取り込む手助けをしているのである。カールソンは、米国は『支配する人々に対して長期的な義務を感じない傭兵によって支配されている』と視聴者に語る」

こうした感情は、この記事では荒唐無稽な陰謀論として頭ごなしに否定されているが、ジャーナリストや政治家に対する信頼がいまや史上最低のレベルにある何千万人もの平均的アメリカ人に共有されているのである。

タッカー・カールソン・トゥナイトはケーブル・ニュースの中で2番目に視聴率の高い番組である。9月、午後8時に放送されたこのニューストーク番組の平均視聴者数は309万人だった。彼の提起する懸念は、毎夜、多くのアメリカ人の共感を呼んでいる。彼の仕事を攻撃し、否定するならば、それは、共感する何百万人ものアメリカ人を攻撃していることになるのだ。まるで、既成メディアがそのような懸念を消し去ることを望んでいるかのようであり、国民はそれに気付いている。

ギャラップ社の最近の世論調査では、メディアが ”完全に、正確に、公平に” 報道していると信頼しているアメリカ人はわずか34%であることが明らかになった。しかし、この衝撃的な数字を分解してみると、タッカー・カールソンがなぜこれほどまでに体制側を激怒させているのかが明らかになる。民主党の70%、共和党の14%、無党派層の27%が、言論界を信頼していると答えている。当然ながら、その70%の民主党員は、毎晩カールソンによって自分たちの大切な信念体系が暴かれ、嘲笑されることを喜ばないし、忠実なメディアも、民主党のために働く政治的プロパガンダマシンであることを暴露されたくないのである。

例えば、最近のブラック・ライブズ・マター運動について考えてみよう。ジョージ・フロイドが白人警官に殺された事件後、全米がリベラルの狂気に包まれ、正気を失った。アメリカ全土に及ぶ暴動が発生し、アメリカ国民はこの暴力的な運動(その後、豪邸を買うために組織を設立した人々を除けば、間違いなく一人の黒人も助けたことがない詐欺であることが暴露された)に片膝をつくだけではなく、警察への資金援助の打ち切りを支持するものと思われた。カールソンはどれにも耳を貸さなかった。

「これは、私たちが生きているこの瞬間、多くのことがあるかもしれないが、それは間違いなく黒人の命についてではない」とカールソンは言った。
「彼らがやって来る時、それを忘れないでくれ。このままでは、そうなってしまう」

「暴徒の怒りにさらされたことのある人なら、誰でもその気持ちを知っている」と彼は続けた。
「スズメバチに群がられたようなものだ。頭が働かなくなる。そして、衝動に負けてパニックになる。でも、パニックになってはいけない。冷静になって真実を伝えなければ…… 弱さを見せれば、潰される」
彼は経験からも語っていた──2018年当時、アンティファのデモ隊が彼の家を包囲し、家族を脅し、故意に財産を破壊したのだ。

メディアの荒野におけるカールソンの孤独な声は大規模な反発を呼び、BLM運動にも数十億ドル規模で多額の投資をしている企業が彼の番組から広告を引き揚げ、既存メディアの奇襲部隊はすぐにFox Newsホストを冷血な差別主義者として描き出した。幸いなことに、カールソンには彼のメッセージに賛同する保守層が十分にあり、彼はこの猛攻撃を乗り切った。

最近では、カールソンは、現在ウクライナとの激しい紛争に巻き込まれているウラジーミル・プーチンを”支持”しているとして、リベラル派の非難を浴びている。チンギス・ハーン以来、政治の世界でロシア大統領ほど中傷された人物はいないのだから、ここで、Foxニュースのホストは信じられないほどの勇気を示した。カールソンは視聴者にシンプルなことを尋ねた。プーチンが個人的に何をしたのか考えてみてくれ。それが彼を直感的な憎しみの対象にしているんだ。

「かなり深刻になってきているので、自問自答する価値があるかもしれない。
これは本当に何なのか? 
なぜ私はプーチンがそんなに嫌いなのか?
プーチンは私を人種差別主義者と呼んだことがあるのか?
彼の意見に反対するとクビになると脅された?
彼は私の町の中流階級の仕事をすべてロシアに移したのか?
彼は私のビジネスを破壊し、2年間私を屋内に閉じ込める世界的なパンデミックをでっち上げたのか?
彼は私の子供たちに人種差別を受け入れるように教えているのか?
彼はフェンタニルを作っているのか?
彼はキリスト教を根絶しようとしているのか?
彼は犬を食べるのか?
ウラジーミル・プーチンはそのどれもやっていない」

カールソンは、ウラジーミル・プーチンが世界的な悪役の筆頭に立てられていることについてよく考えるようリスナーに求めただけでなく、アメリカ国民の真の敵は、他ならぬウラジーミル・ゼレンスキー大統領だと示唆した。彼は、それ以外ではメディア全体から手放しで賞賛されているのだ。

米国とメキシコの国境が大きく開かれ、インフレが制御不能に陥っているときに、カールソンだけが、他の何百万ものアメリカ人も疑問に思っていることを、大胆にも質問したのである。
「なぜ私たちはまだこれに資金を提供しているのか?」

ロシアのウクライナでの特別軍事作戦が始まって以来、アメリカとEUの同盟国はキエフに約1260億ドル相当の援助をした。これはウクライナの2020年のGDPにほぼ等しい数字である。そして、日を追うごとに、ウクライナの指導者はさらなる要求を突きつけているようだ。ウクライナに送られた資金の多くは兵士の手に渡らないことが報告されているが、際限のない支出によるインフレ圧力に対処しなければならないのはアメリカ国民である。このニュースに対して、ゼレンスキーはどう反応したのだろうか?

カールソンはウクライナの指導者の言葉を引用して言った。
「インフレは何でもない。誰がインフレのことなど考えているのか。そんなことは二の次だ」
二の次とは何かって? 国からコートダジュールに富を流出させるようなものだろうか?

「ウクライナの指導者たちは、もうそれを隠すこともなく、我々を完全に侮辱している」とカールソンは言った。
「彼らはただ私たちのお金が欲しいだけだ。米国を少しも気にしていない。これは民主主義国が連帯しているのではない。これは詐欺だ」

ちなみに、ロシアのテレビが、反ロシアの生々しいプロパガンダに汚染されていないユニークなカールソンの作品に賞賛の意を示したのは、不思議なことではないだろう。今週、ニューヨーク・タイムズ紙は、カールソンをはじめとする米国の保守派の声が、ロシアのさまざまなニュース放送の「内部ニュースの総まとめ、台本、放送の常連」になっているとする記事を掲載したばかりである。どうやらこれは、クレムリンと共和党の間に存在するふらちな関係を改めて証明するものだったようだ。実際には、リベラル派が政治的戦場で民主党の躍進を助けるために、カールソンとクレムリンを標的にすることにいかに必死になったかを示しているだけである。

既成のメディアもそのようなことを言い出せば、間違いなく視聴率は底上げされるだろう。しかし、過去20年間、アメリカの戦争が気に入らないという報道をしたことがないので、少なくとも今のところ、国が失うのは数十億ドルの税金だけであるアメリカの代理戦争を批判することはないだろう。結局のところ、戦争を挑発する政治家の多くが信じたいように、ウクライナはソ連を崩壊させたと言われるロシアの”アフガニスタン戦争”かもしれないし、アメリカがベトナム戦争で受けた屈辱的な敗北に相当するのかもしれないのだ。いずれにせよ、防衛産業は莫大な利益を得ることができるため、それは問題ではない。

タッカー・カールソンは、彼らが好むと好まざるとにかかわらず、何百万人ものアメリカ人の真の懸念を代弁する率直で正直な稀有な声であり、既存のメディアはそれを記憶から消し去りたがっている。

本コラムで述べられている声明、見解、意見は、あくまで筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではありません。

タッカー・カールソン、なぜ米国のエリートがプーチンを嫌うのか不思議に思う

23 Feb, 2022 08:21
Tucker Carlson wonders why US elites hate Putin
Biden will pay for “defending freedom” of Ukraine out of your pocket, controversial Fox host warns Americans
2022 年2月23日

バイデンはウクライナの”自由を守る”ために、あなたのポケットから支払うことになる、と物議を醸したFoxのホストがアメリカ人に警告する。

FILE PHOTO. Fox News host Tucker Carlson. ©Chip Somodevilla / Getty Images / AFP
FILE PHOTO. Fox News host Tucker Carlson.
©Chip Somodevilla / Getty Images / AFP

Foxニュースの人気司会者タッカー・カールソンは、ロシアと対峙するワシントンの論理にしばしば疑問を投げかけているが、ウクライナに関しては「なぜ気にしなければならないのか」という立場に倍の賭けをした。

ジョー・バイデン米大統領は、東欧諸国に対するロシアのウラジーミル・プーチンとその政府の最新の動きに対して罰しようとする努力は、アメリカの納税者にとって犠牲を伴うものであり、彼らはそれを払いたいかどうか考える必要があると、火曜日に自身の番組で述べた。

アメリカ人がプーチンを憎む理由は、実は何もない。
たとえ左翼メディアが「プーチン憎しでないものは反逆罪だ」と言ったとしても、カールソンは修辞学的(自分の考えや主張を相手に効果的に伝えることによって、理解・納得を得るための技術・学問のこと。英語では”レトリック”)な自分を省みるクイズを放った。

「なぜ、私はプーチンを憎むのだろうか?
プーチンは私を人種差別主義者と呼んだことがあるか?
彼の意見に反対しただけでクビにされると脅されているのだろうか?
彼は私の町の中流階級の職をすべてロシアに移してしまったのだろうか?」
彼の質問の連発の中で、それぞれの答えは「ノー」だった。

なぜ民主党はあなたにプーチンを憎ませたいのか?
プーチンは、あなたの町の中産階級の仕事をすべてロシアに送ったのか?
彼はあなたのビジネスを台無しにする世界的なパンデミックを捏造したのか?
彼はあなたの子供たちに人種差別を受け入れるように教えているのか?
彼はフェンタニルを作っているのか?
彼は犬を食べるのか?

米国は月曜日にウクライナの2つの離脱地域を独立国家として承認したロシアに新たな制裁を科すとバイデンは発表した。「自由を守ることは犠牲を伴う」と大統領は警告した。

カールソンは、ウクライナ問題でロシアと対決するバイデンの決意は、価値観や地政学的な考慮というより、個人と家族の腐敗によって動かされていると主張した。大統領が最大野党の党首を軟禁し、野党メディアを閉鎖したのだから、ワシントンの人々がどう主張しようとも、この国は民主主義国家ではない。

「アメリカ流に言えば、ウクライナは専制国家だ」とカールソンは言った。
「しかし、ジョー・バイデンはウクライナが好きだから『プーチンは悪、戦争は善』なのだ」

ロシア制裁の代償はアメリカ人が払うことになると司会者は指摘し、バイデン自身が認めたように、ガソリン価格が上昇することになる。その見返りは「卑劣な老人ウラジーミル・プーチン」に道徳的勝利を収めたという良い気分だけかもしれない。

なぜ、そんなことで良い気分になれるのだろうか?
あなたにとっても、アメリカにとっても、かなりひどい取り引きのように思える。

この番組は予想通り、カールソンを残忍な独裁者の擁護者であり、おそらくロシアの金で雇われたエージェントだと主張する人たちから、カールソンに対する新たな非難を引き起こすことになった。

タッカーはなぜプーチンを”憎む”べきかと問うているが、憎しみは何の関係もない。問題はタッカーや極右が支持するのは自由なのか、それとも軍隊を暗殺し反対派を殺害する外国の独裁者なのか、ということだ。問題は、タッカーがいつからプーチンのシンパになったかだ。

なぜプーチンを憎むか自問してみてくれ。プーチンは私を差別主義者と呼んだことがあるか? 反対意見でクビになると脅されたことは?

カールソンは米国で最も人気のあるケーブルテレビ番組を持っており、彼の意見は米国人の投票方法に影響を与える。ニュースメディア ”アクシオスAxios”が先月発表した記事によると、Foxの司会者がロシアとの対決に懐疑的な発言をしたことで、厳しい予備選挙を戦っている共和党の候補者は考え直すようになったという。彼らのコンサルタントは「ウクライナにアメリカの資源を投入したり、東ヨーロッパに米軍を配備したりすることを推し進めれば、支持層が離れてしまう」と懸念しているのだ。

今週初め、民主党よりのチャンネルMSNBCは、有権者層の孤立主義的感情を煽るカールソンの能力を通じて、米国の外交政策に与える影響を嘆く番組を放送した。──司会のアレックス・ワグナーは、プーチンやハンガリーのオルバン首相を引き合いに出して「彼は別な方法でファッショ的な指導者の流れを変えることができる道」だと述べた。

タッカー・カールソンはいかにしてロシアの最大のチアリーダーとなったのか?

MSNBCは、スター司会者のレイチェル・マドウが長期休暇に入り、視聴者数が減少しているため、共和党の極端なタカ派、ジョン・ボルトンのようなインタビュアーを招いて、ウクライナについてコメントさせることを好んでいる。

バイバイ、キエフ。こんにちは、コートダジュール。欧米人が援助を送る中、ウクライナの腐敗したエリートが紛争からどのように利益を得ているかを紹介する。

24 Nov, 2022 08:50
Bye-bye, Kiev, hello Cote d’Azur: As Westerners send aid, here’s how Ukraine’s corrupt elites are profiting from the conflict
Officials and oligarchs have diverted much of the financial support sent to Kiev
2022年11月24日

キエフに送られた財政支援の多くを、役人やオリガルヒが横流ししている。

ウクライナの新大統領に選出されたウラジミール・ゼレンスキー(C)は、ウクライナ・キエフの国会で宣誓式を行った後、大統領府に向かって歩いている。© STR / NurPhoto via Getty Images
ウクライナの新大統領に選出されたウラジミール・ゼレンスキー(中央)は、ウクライナ・キエフの国会で宣誓式を行った後、大統領府に向かって歩いている。© STR / NurPhoto via Getty Images

モナコ大隊
ウクライナが60歳未満の男性に総動員をかける一方で、多くの元・現高官、政治家、ビジネスマン、オリガルヒが海外、主にEUに安全を求めて移動している。

ウクライナのエリートたちの集団逃亡は、武力紛争以前から始まっていた。2022年2月14日、ウクライナ大統領の議会派閥(民衆のしもべ)の代議士37人が突如行方不明となった。翌日、議員の出国が禁止されていなければ、他の議員も間違いなく加わっていただろう。一方、元政府高官やオリガルヒは、より自由に動き回れるようになった。イタリアの新聞『ラ・レプブリカ』によると、14日にもキエフのボリシュポリ空港から20機のビジネスジェットが飛び立った。

その先頭を走っていたのは、財界人たちだった。企業家で国会議員のヴァディム・ノヴィンスキー、実業家のヴァシリー・フメルニツキーとヴァディム・ストーラー、ヴァディム・ネステレンコ、アンドレイ・スタヴニッツァーはみなチャーター便で出国した。大富豪の政治家イゴール・アブラモビッチは、親族、ビジネス・パートナー、党員を乗せた50人分のオーストリア行きのプライベート・フライトを予約した。オリガルヒはキエフからニース、ミュンヘン、ウィーン、キプロス、その他のEUの目的地に飛んだ。別の実業家グループはオデッサから自家用機で飛び立った。ボストーク銀行のオーナーはイスラエルに向かい、トランスシップグループのトップはリマソール(キプロスの都市)に飛んだ。オデッサ地方の元知事、スタルカナートのウラジミール・ネミロフスキーも出国した。

2022年の夏から初秋にかけて、ウクライナ・プラウダは、戦時中にコート・ダジュールで休暇を過ごすウクライナの億万長者や高官の姿を目撃した調査ドキュメンタリーをいくつか用意した。
「モナコ大隊」という皮肉なタイトルの映画では、ウクライナのオリガルヒたちが別荘や邸宅、ヨットで休んでいる様子が映し出されている。最初のパートでは、インターポールの指名手配リストに載っている実業家コンスタンティン・ジェバゴが、7000万ドル相当のプライベートヨットでくつろぐ姿が映し出される。コート・ダジュールの海岸線を彩るヨットで、ゼヴァゴの家族が下船する。ハリコフの企業家アレクサンドル・ヤロスラフスキーは、ヨットを売却し、その資金をハリコフの復興に充てることを約束し、並走する姿を見ることができる。

ウクライナ・プラウダの記者も、現在フランスで年間200万ユーロのアパートを借りているスルキス兄弟を垣間見たという。一方、ウクライナの実業家ヴァディム・エルモラエフが所有する30万ドルのベントレーがモナコのカジノ近くで目撃され、ユーロエナゴトレードの共同設立者エドゥアルド・コハンはモンテカルロのあるシックなホテルで目撃されている。

ウクライナのオリガルヒのコロニーは、フランスのエリート集団であるキャップ・フェラ(国際的な富裕層の間で人気の休暇先)に居を構えているようだ。土地開発業者のヴァディム・ソーラー、オリガルヒのドミトリー・フィルタシュ、ヴィタリー・ホムチンニク、セルゲイ・ロヴォチキンが、戦争のさなかに上流生活を楽しんでいる。ベルギー国王レオポルド2世が所有していたキャップ・フェラの別荘は、ウクライナで最も裕福なオリガルヒ、リナト・アフメトフによって買い取られた。彼の隣人は、投資グループDAD LLCの社長アレクサンダー・ダヴティアン、ドネツク地方議会の元副議長ウラジスラフ・ゲルジーンである。

映画の制作者が繰り返し強調しているように、”親ロシア”派の議員や実業家は戦時中に国外へ出て行った。しかし、現政権の積極的な支持者の多くも、外国から祖国を守ることを望んでいる。

ウクライナ・プラウダは、ウラジーミル・ゼレンスキー率いる”国民の奉仕者(民衆のしもべ)”党のアンドレイ・ホロドフ議員に、現在住んでいるウィーンからインタビューを行うことができた。オーストリアの首都は、民族主義者のニキータ・ポトゥラエフと、アムネスティ・インターナショナルが報告した戦争犯罪で知られるアイダー大隊の元長セルゲイ・メルニチュクにも選ばれている。ウクライナ憲法裁判所の元長官、59歳のアレクサンダー・トゥピツキーと45歳の元ウクライナ検事総長ルスラン・リャボシャプカも外国の”トレンチ(塹壕、前線、第一線、陣地)”を好んだ。

ウクライナ議会の議員たちは、戦時中の国にとって極めて重要な法律の採択を急がない。テレグラムチャンネル「ヴォリンニュース」によると、3月11日の時点で、20人以上の国会議員が不特定多数の理由で海外に移住している。イギリス、ポーランド、カタール、スペイン、フランス、オーストリア、ルーマニア、ハンガリー、UAE、モルドバ、イスラエルなどである。3月には、ウクライナ検察庁が海外に滞在した6人の国会議員の行動に関する調査を開始した。

どうやら、戦争も刑罰も、ウクライナの議員を働かせることはできないようだ。7月20日の国会には、450人の議員のうち99人しか出席しなかった。おそらく、夏、コート・ダジュール、モルジブ、ヨットなどに気を取られていたのだろう…… ウクライナの防衛については、外国人ボランティアに任せればいい、と彼らは言う。

写真 会期前に空いた議場に座る議員。© Sergii Kharchenko / NurPhoto via Getty Images
会期前に空いた議場に座る議員。
© Sergii Kharchenko / NurPhoto via Getty Images

(略)
戦争状態にある国に対する欧米人の同情は理解できる。しかし、ウクライナを支援するために最大限の努力をしている国もある一方で、自分たちが経済危機に直面しているにもかかわらず、ウクライナの腐敗した役人はその資金を使って個人資産を築き、高級リゾート地で優雅な生活を送っているのだ。しかも、すべて西側諸国の納税者の負担で。

2015年、アルセニー・ヤツェニュクは首相を退任する際、自分が億万長者になったことを公然と宣言している。紛争終結までに、外国の軍事援助によって育まれたウクライナの新たな超富裕層の大物が、欧米にどれだけ現れるかはまだわからない。

元ウクライナ外交官、オルガ・スハレフスカヤ 記

──おわり  
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
@kiyo18383090

Posted by kiyo.I