ロシア主導のBRICSとイラン主導の抵抗枢軸が力を合わせれば米国のいない西アジアを形成することができる
アメリカに都合のいい、ルールによる支配が終わる
今、起きていることは、いまだに、アメリカが世界最大の強い国であり、米軍が世界最強の軍隊だと思い込んでいる人にとって、寝耳に水の話かもしれません。そんな時代は既に過ぎ去りました。アメリカが最強であったとき、チリのアジェンデ政権、ベトナム、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、イラク、シリア、リビア、アフガニスタン、そして、ウクライナ……、やってきたことはアメリカに不都合な国の破壊です。それは殺戮の歴史でした。バックには国際金融資本と戦争屋が潜んでいたことはもちろんですが、やっていることは人殺しです。これを自由と民主主義を守ると称して"美談"に仕立て上げてきたのが主流メディアでした。日本は特にひどいです。報道はプロパガンダのエンターテインメントです。報道は嘘を平気でつく低俗な娯楽番組と化しています。
それはさておき、アメリカに都合のいい、ルールによる支配がやっと、やっと終わります。
エスコバル氏は先日のプーチン大統領のUAEとサウジアラビアに立ち寄りについて、
「アメリカの覇権が脇役となった新しい西アジアがここにあることを証明し、ロシアの"孤立"というネオコンの政治神話を破壊し、たっぷりと軍事的優位性を示し、そして最後に、ロシアのBRICS議長国就任が近づくにつれ、ロシアが地政学的・地理経済的に重要なカードをすべて保持していることを示した」と、それが意味するものを簡潔にまとめています。
そして既にエスコバル氏は考察の対象を「多極化するグローバル・サウスは、道徳的、政治的、財政的崩壊の奈落の底を見つめながら、激怒し、おびえ、制御不能に陥った帝国主義の西側をどう管理できるのだろうか?」に移しています。
※強調はこちらで付けました。
BRICSとレジスタンス枢軸:目標の収束
BRICS and the Resistance Axis: a convergence of goals
The Gaza war has accelerated cooperation between Global South behemoths resisting western-backed conflict.
Together, the Russian-led BRICS and Iran-led Axis of Resistance can shape a US-free West Asia.
Pepe Escobar
DEC 11, 2023
ガザ紛争は、西側が支援する紛争に抵抗するグローバル・サウスの巨大組織間の協力を加速させた。
ロシア主導のBRICSとイラン主導の抵抗枢軸が力を合わせれば、米国のいない西アジアを形成することができる。
ペペ・エスコバル
2023年12月11日
Photo Credit: The Cradle
モスクワ ── 先週、ロシアのプーチン大統領はUAEとサウジアラビアに立ち寄り、イランのエブラヒム・ライシ大統領と会談するためにモスクワに戻る前に、個々に首長国のムハンマド・ビン・ザーイド大統領(MbZ)とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(MbS)に会った。
外交筋が確認したところでは、この3つの会談における3つの重要課題は、ガザ、OPEC+、BRICSの拡大だった。もちろん、これらは相互に関連している。
ロシアとイランの戦略的パートナーシップは、ロシアとサウジアラビア(特にOPEC+)、ロシアとUAE(投資)と並んで、猛烈なスピードで発展している。これはすでに、西アジア全域における国防の相互連関に大きな変化をもたらしている。イスラエルにとって、ガザの悲劇をはるかに超える長期的な影響は深刻だ。
プーチンはライシに、さまざまな面で通常と異なることを言った:
「イラン上空を飛んでいたとき、私はテヘランに着陸してあなたにお会いしたかった。しかし、私は、あなたがモスクワを訪問したいと聞いています。両国の関係は急速に発展しています。両国の関係を支えている最高指導者によろしくお伝えください」
プーチンが「イラン上空を飛行」と言ったのは、4機の武装したスホーイSu-35が編隊を組んで飛行し、大統領専用機をモスクワからアブダビまで4,000km以上(直線距離で測った場合)、着陸も給油もせずに護衛したことに関連する。唖然とした軍事アナリストが口を揃えて言ったように、アメリカの F-35が無給油で飛行できるのはせいぜい2500kmだ。しかし、最も重要な要素は、ムハンマド・ビン・ザーイド大統領とムハンマド・ビン・サルマン皇太子の両方が自国の領土上空でのロシアのSu-35の護衛を許可したことである。── これは外交上では極めて異例のことだ。
そして、これが重要なことにつながる。空中チェス盤上の一手と、それに続くライシとの決定的な一手によって、モスクワは4つのタスクを達成した:
プーチンは、図式的に言えば、アメリカの覇権が脇役となった新しい西アジアがここにあることを証明し、ロシアの"孤立"というネオコンの政治神話を破壊し、たっぷりと軍事的優位性を示し、そして最後に、ロシアのBRICS議長国就任が近づくにつれ、ロシアが地政学的・地理経済的に重要なカードをすべて保持していることを示した。
殺せ、しかし、そっと
ロシアと中国の戦略的パートナーシップを筆頭とするオリジナルの5つのBRICSは、2024年1月1日、西アジアの3大国イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦に門戸を開く。多極的な大国への加盟は、これらの国々に広範な市場への格別のプラットフォームを提供し、投資や技術交流が活発になる可能性が高い。
ロシアと中国が繰り広げる長期的で洗練されたゲームは、西アジアの地経学(ジオエコノミクス、経済や資源の時間的、空間的そして政治的側面の研究をする学問)と地政学(政治現象と地理的条件との関係を研究する学問)に完全な地殻変動をもたらしつつある。
BRICS10のリーダーシップは、11番目のメンバーであるアルゼンチンが今のところよくてワイルドカードであることを考慮すれば、ロシアの議長国の下では、歯が立たない国連に対抗する効果的な存在になる可能性さえ秘めている。
そしてそれは、BRICSと抵抗勢力との複雑な相互作用につながる。
当初、アラブ連盟とイスラム協力機構(OIC)によるガザでの大量虐殺に対する当たり障りのない非難は、臆病さの表れではないかと疑われる理由があった。
しかし、イランのコッズ部隊司令官故カセム・ソレイマニ将軍が設計したビッグピクチャーと、イスラエルのメンタリティーを知り尽くし、その壊滅的な軍事的反応を詳細に検討したガザのハマス指導者ヤヒヤ・シンワールによる綿密なミクロプランニングが交わるとき、すべてが有機的に進化していることが、再評価によって明らかになるかもしれない。
ほぼ間違いなく、ここ数日、モスクワでの詳細な議論で最も白熱しているのは、"あるシグナル"によって"抵抗の枢軸"の協調的な対応が解き放たれる時点が近づいているのではないかということだろう。
今のところ、我々が手にしているのは散発的な攻撃である:ヒズボラがレバノン南部の国境に面したイスラエルの通信塔を破壊し、イラクの抵抗勢力がイラクとシリアの米軍基地を攻撃し、イエメンのアンサール・アッラー(フーシー派)がイスラエル艦船のために紅海を実際、封鎖している。これらすべてが、協調的、組織的な攻撃を形成しているわけではない。── まだだ。
そしてそれは、ワシントンのバイデン政権が、クリスマスから1月初旬の間にイスラエルにプラン・ガザを完了させる必要があるとの噂で、自暴自棄(やけくそ)になっていることの説明にもなる。ガザ攻撃は、世界的に見れば恐ろしく持続不可能なものとなっているだけでなく、何よりも、軍事作戦が長期化すれば、抵抗枢軸国への"シグナル"となる可能性が劇的に高まる。
そしてそれは、西アジアに対する覇権国の綿密な計画のすべてを終わらせる結果となる。
シオニズムの地政学的目標は極めて明確である。西アジアで自作自演の支配者オーラを再確立し、米国の外交政策と軍事同盟を着実に支配し続けることである。
邪悪(悪行)は、これらの目標を達成するための重要な要素である。何千人もの女性や子どもたちを含む、超軟弱な民間人の標的を爆撃し、砲撃し、焼き払い、ガザを広大な墓地にしてしまうのは、とても簡単なことだ。一方、"白人の重荷(負担)クラブ"は、イスラエル占領軍に、もちろん、もっと静かに彼らを殺すよう促している。
有毒な大西洋主義者で欧州委員会委員長のウルスラ・フォン・デア・ライエンが、エジプトとヨルダンの指導者に直接賄賂を贈った。── ブリュッセルの外交官に確認したところ、カイロに100億ドル、アンマンに50億ドルだという。それが、ガザでの大量虐殺を止めるための、EUの気の遠くなるような解決策なのだ。
エジプトのアブドルファッターフ・アッ=シーシー大統領とヨルダンのアブドゥッラー・ビン・アル=フセイン国王がすべきことは、ガザの強制移住と最終的な民族浄化をそれぞれの領土に"円滑に進める"ことだけだ。
なぜなら、シオニズムの終末論的目標は、戦場で何が起ころうとも、率直な最終的解決であることに変わりはないからだ。そしてもちろん、10月7日のハマス主導のアル・アクサの洪水作戦が示唆するように、エルサレムのイスラム教アル・アクサ・モスクを破壊し、その灰の上にユダヤ教の第三神殿を建設することだ。
“シグナル"が来たらどうなるか
つまり、イスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフによる"移住か絶滅か"というプランと、西アジアのベテラン専門家であるアラステア・クルークが “サイクス=ピコは死んだ" という印象的な表現を比較することになる。この言葉は、アラブやイランがBRICSに加わることで、シオニストのプロジェクトが不利になるように、西アジアのルールが書き換えられることを意味している。
イスラエルがガザで証明した戦争犯罪が訴追される可能性は、今回大いにある。パレスチナ人、アラブ人、イスラム教徒が多数を占める国々が、BRICSの全面的な支援のもと、グローバル・サウスに承認された委員会を結成し、テルアビブとその軍隊を法廷に引きずり出すからだ。
覇権国のルールに基づく秩序に隷属する、腐敗(堕落)した ICCは忘れよう。BRICSは、国連が去勢される前の1945年に誕生したときの意図どおり、国際法を世界の最前線に戻す手助けをするだろう。
ガザでの大量虐殺は、グローバル・サウス(南半球)のあらゆる緯度にある国々に、より包括的であることを迫っている。── 私たち共通の、絡み合った前近代の歴史の知恵を掘り下げるように。良心のある誰もが、言い逃れのできないものに対する説明を見つけるために、自分自身を深く掘り下げることを余儀なくされている。その意味で、私たちは今、みなパレスチナ人なのだ。
現状では、人種差別的で自民族中心主義的なイデオロギーによって行われる最終的解決を阻止できる勢力はない。── 西側諸国はそれを拒否し、BRICSとグローバル・サウスは、まだその役割を果たしていないからである。
しかし、それはまた、シオニスト・プロジェクトの幕を下ろす"シグナル"が来たとき、どの国も抵抗枢軸を止めるのに十分な強さを持たないという驚くべき可能性を開いている。そのときまでに、枢軸は最高の道徳的要請を持つことになり、世界中の人々から認められ、強く要請されることさえあるだろう。
つまり、私たちは今、無力(無気力)と要請(情勢などによる必要性)との間の白熱した対称性を評価しているのだ。この行き詰まりは、恐らく予想よりも早く打開されるだろう。
それは以前のこう着状態との比較を想起させる。ヘブライ語 “文明"の倒錯した(間違いを認めない)低俗なバージョンと新興のイスラム・ナショナリズムとの間の現在の行き詰まり(袋小路)は、ロシアが提案した"安全保障の不可分性"に関する条約がワシントンに拒否された2021年12月の状況を反映している。今にして思えば、それがハートランド(中心部)とリムランド(周縁地帯)の衝突から抜け出る平和的方法の最後のチャンスだった。
覇権国はそれを拒否した。ロシアは効果的にやり(芝居を打ち)、覇権国の衰退を指数関数的に加速させた。
ドンバスの草原から西アジアの油田まで、鳴る音 song(立てる音)は変わらない。拡大するBRICSにますます代表されるようになった多極化するグローバル・サウスは、道徳的、政治的、財政的崩壊の奈落の底を見つめながら、激怒し、おびえ、制御不能に陥った帝国主義の西側をどう管理できるのだろうか?
──おわり
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by kiyo.I
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