SAFIREプロジェクト、フェイズ3─ 実験の成果と驚くべき発見
SAFIREは安定した高エネルギー密度プラズマを生成、制御、封じ込め、維持することができる
記事追加のお知らせ
この記事も含め、SAFIREプロジェクトはフェイズ1から3まで既に一度記事にしました。それとは別に、それぞれもう少し詳しく解説された PDFファイルが公開されています。それぞれ別の記事でまとめようと思っていましたが、煩雑になりそうなので、PDFファイルの内容はすでに公開した記事のあとにそれぞれ続けて掲載することにしました。
この記事は次の二つの記事を翻訳したものです。
「SAFIREプロジェクト、フェイズ3」
「SAFIRE PHASE THREE」(PDF)
なお構成が少し違いますが「プロジェクトレポート」という PDFファイルにはフェイズ1から3まで、まとめて掲載されています。
SAFIREプロジェクト、フェイズ3で出来ること。
・様々な球状プラズマ放電を作り出す
・高エネルギー高密度プラズマの閉じ込め、制御、安定化
・高エネルギー光子の電気的閉じ込め(光子の捕捉)
・光球、太陽圏、核爆弾に匹敵する電子密度変化を実現する
・低エネルギー核反応(LENR)の可能性
・球状プラズマ二重層を通過するイオンを弾道速度まで加速する、等々
そして、さらに大きな成果が出ている。
●設計段階で行われた熱力学の解析では、プラズマの最高温度は2,000℃程度とされていた。タングステンを気化させるためには、5500℃が必要である。プラズマはどのくらい高温になったのだろうか? この不思議な現象は、チーム内で大騒ぎになった。
●結果得られるプラズマは、ガスを注入した大気中で作られたものよりも、真空の宇宙空間で作られた太陽の大気をより正確にモデル化している可能性がある
➡ 電気的宇宙論が実験で確かめられる
●このシェルの形成により、プラズマは変換コンデンサとして振る舞うようになる。この極めて強力な電磁波のシェルが、高エネルギーの電子、イオン、光子の捕獲を担っている
➡ 地球:自己修復コンデンサ
●低エネルギー核反応──元素の変換──が起こる可能性のあるプロセスである
●テスト中にできた小さな穴や隆起の上に、元の金属合金にはなかった新しい元素が濃縮されていることがわかった
●チャンバー放電にさらされる前の先端部には見られなかった元素が濃縮されており、新たな化学反応を示していたことは、まさにミステリー
➡ ルイ・ケルヴランの生物学的元素転換を説明できる?
●固体アノードと中空アノードの両方がプラズマよりも低温
➡ 太陽の標準理論に反して中心部が温度が低いことを説明できる?
フェイズ3
チャンバー起動前の12cmアノードの様子。
フェーズ3
SAFIRE実験室は完成し、本格的に稼動している。2017年を通じて、SAFIREチームは数多くの実験を行った。
多くの発見があった。その中には、驚くべき発見もあった。
これらの実験と発見を要約すると、不完全な理解に陥りやすいので、完全な文脈で考察する必要がある。そこで、「SAFIRE──Experiments / Discoveries」のPDFをダウンロードし、ご覧いただくことをお勧めする。
また、プロジェクト全体の詳細なレポートとして、2017年のSAFIRE発表会の映像や、SAFIRE PROJECT REPORTのダウンロード用PDFをお勧めする(いずれも下記に収録)。
注:国際科学財団の委任が無事履行され、SAFIREが商業企業になったため、技術力と生産力が拡大された。
参照: www.aureon.ca
SAFIREは安定した高エネルギー密度プラズマを生成、制御、封じ込め、維持することができる。
化学的変化
光速を遅くする
SAFIREは光球(太陽や恒星の光を放つ表面の層)、ヘリオスフィア(太陽圏、太陽圏界面によって構成される、太陽風が届く領域)、核爆弾に匹敵する電子密度の変化を発生させている。
高エネルギー光子の電気的閉じ込め(光子の捕捉)
SAFIREのコアは、周囲の大気よりも温度が低い。
▲PHASE THREE──実験と発見の詳細については、クリックすると新しいウィンドウでPDFが開きます。
▲SAFIRE PROJECTプレゼンテーション(90分)をクリックでご覧いただけます。
▲クリックすると、SAFIRE PROJECT REPORTのPDFが新しいブラウザウィンドウで表示されます。
技術力 technology capabilities
・DOX──実験計画法
・光学分光法
・質量分析
・ラングミュアプローブ測定
・プラズマ電圧制御
・プラズマ電流制御
・赤外プラズマ測定
・紫外光測定
・RF測定とデータ収集
・EMI/EMF/EM測定とデータ収集
・走査電子顕微鏡法
・材料試験
・材料析出・侵食試験
・光学顕微鏡法
・偏光分析法
・高解像度ビデオおよび静止画キャプチャ
・監視制御とデータ収集──すべての制御システム
・圧力/距離の解離 (Pd)──パッシェンの法則──カソードテレメトリー制御
・リアルタイム・マルチガス圧・真空圧制御
・高解像度3Dプローブ・テレメトリー制御
・リアルタイム・マルチストリーム・データ同期・データ変換
※パッシェンの法則:火花放電は、電界で加速された電子が気体分子と衝突し、気体を電離させることによっておこる。そのため、気体が少なくなると衝突が起こりにくくなり、逆に気体が多くなると電子が衝突までに充分加速されにくくなるので、ガス圧p 電極間の距離dが大きすぎても小さすぎても必要な電圧は大きくなり、その中間で最低値をもつ。
生成能力 production capabilities
・低エネルギー静止プラズマの生成
・低エネルギー静止プラズマの安定化
・プラズマタフトの生成
・プラズマタフトの安定化
・マルチ球状プラズマ・ダブルレイヤー(二重層)シェルの作製
・マルチ球状プラズマ・ダブルレイヤー・シェルの安定化
・高エネルギー発熱プラズマ反応の生成
・高エネルギー発熱プラズマ反応の安定化
・高エネルギー密度プラズマの閉じ込め
・高エネルギー高密度プラズマの安定化
・高エネルギー発熱プラズマ反応の生成
・高エネルギー発熱プラズマ反応の安定化
・光速を遅くする
・10.2eVの真空紫外光の生成
・大量の原子状水素の生成
・自由な陽子の生成
・仮想カソード(陰極)の生成
・低エネルギー核反応(LENR)の可能性
・高エネルギー光子の閉じ込め(光子の捕捉)
・光球、太陽圏、核爆弾に匹敵する電子密度を生み出す
・球状プラズマ二重層を通過するイオンを弾道速度まで加速する
・イオンと電子の閉じ込め──(プラズマの井戸)
・アノード(陽極)への電子衝突の抑制──クールアノード
・カソードへのイオン/プロトン衝突の抑制──仮想カソード
フェイズ3(PDF)SAFIRE PHASE THREE──DISCOVERIES
発見 実験結果
本装置の最大の特長は、陽極を取り囲む複数の球状二重層からなるプラズマを安定かつ持続的に生成できることにある。
プラズマは非常に高温であることが知られているので、太陽の実用的なモデルを作ろうとするプロジェクトはすべて、高温を扱うことになる。ジンバル(機械式ジャイロ)に取り付けられたラングミュアプローブ※のテレメトリー(距離測定)を校正するための初期のテストでは、先端にタングステンワイヤーが取り付けられていた。チャンバー(空洞室)の映像を見ながら、オペレーターが可視プラズマの最外層に向かってプローブを操作する。
プラズマは、182ワットのパワーで陽極に供給されている。プラズマの縁と思われる部分に到達する前に、タングステンの先端が蒸発し、残ったアルミナの絶縁体が溶けたように見えた。
※ラングミュアプローブ:プラズマのプラズマ電位、電子密度及びプラズマ密度を比較的簡単に測定できる測定方法
設計段階で行われた熱力学の解析では、プラズマの最高温度は2,000℃程度とされていた。タングステンを気化させるためには、5500℃が必要である。プラズマはどのくらい高温になったのだろうか?
この不思議な現象は、チーム内で大騒ぎになった。タングステンチップの予想外の蒸発に、ラングミュアプローブの設計変更と作り直しが必要になった。新しいタングステンチップは、最初の20倍の大きさである。
実験に使用するアノードは、簡単かつ迅速に交換することができる。標準的なアノードは固体の金属合金だが、中空のものに代えることができる。この中空アノードは、そのコアを水素や他のガスで加圧できるように取り付けられている。アノード内の圧力と大きなチャンバー内の圧力の差によって、ガスは結晶格子を介してアノードから逃げ出すことができる。その結果得られるプラズマは、ガスを注入した大気中で作られたものよりも、真空の宇宙空間で作られた太陽の大気をより正確にモデル化している可能性がある。
この装置を用いた初期の実験では、チャンバー内で予想外の高エネルギー状態にまで高められた単原子水素が大量に生成された。このプロセスはまだ詳しく研究されていないが、帯電した金属合金マトリックスが、水素分子H₂を単原子水素Hに分解するのである。同時に、水素Hから電子を剥ぎ取り、自由な陽子を残す。
これは、低エネルギー核反応(LENR)──元素の変換──が起こる可能性のあるプロセスである。
※マトリックス matrix。金属・合金材料の主体となる母地組織。金属・合金材料の諸性質を主として決定するのは、このマトリックスであり、マトリックスの選択が最も重要である。このマトリックス中にほかの相や炭化物、窒化物、金属間化合物などを析出させることにより、材料特性の向上を図る。マトリックスの組織を制御し,析出相および析出物の量,大きさ,形状を制御することにより材料特性をコントロールする.金属基複合材料においては,強化材料を結合する金属合金をマトリックスという。基地(きじ)、素地(そじ)ともいう。
大きな発見は、水素と他の微量元素の間の電気化学的な触媒作用であることだ。これが安定した球状のプラズマ二重層シェルを形成する主な理由であることが判明した。
このシェル(膜)の形成により、プラズマは変換コンデンサとして振る舞うようになる。この極めて強力な電磁波のシェルが、高エネルギーの電子、イオン、光子の捕獲を担っている。
この捕捉により、イオンが外に飛び出し、カソードやチャンバーの鉄壁にぶつかるのを防ぐことができる。高エネルギーはプラズマの中に閉じ込められ、さもなければ装置を破壊してしまうようなエネルギーである。
球状のプラズマ二重層膜 spherical plasma double layer shells は、重力の影響を全く受けない。つまり、球状であるため、慣性ダンピングをほとんど必要としない。これは非常に重要なことである。
これらの試験の後、金属合金陽極はその表面に視覚的な変化を示した。走査型電子顕微鏡(SEM、Scanning electron microscopy)で観察すると、試験中にできた小さな穴や隆起の上に、元の金属合金にはなかった新しい元素が濃縮されていることがわかった。チタン、バリウム、カルシウムなどである。なぜ、このような元素がそこに存在するようになったのか、現時点では不明である。
この金属水素試験で使われたタングステンのプローブチップも、奇妙な変化を見せた。タングステンの表面には溶融や沸騰は見られなかったが、材料は非常にもろくなっていた。金属をバラバラにして縦断面を観察することも可能だった。
光学顕微鏡で見ると、タングステンの表面は元の結晶のままで、内部が溶けていることがわかった。外観は変色しているだけで、これは高温のプラズマにさらされた場合に予想されることである。また、タングステンの内部には、チャンバー放電にさらされる前の先端部には見られなかった元素が濃縮されており、新たな化学反応を示していたことは、まさにミステリーである。
プローブハウジングからの Al(アルミニウム)と Si(シリコン) ;
汚染物質からの Na(ナトリウム)と K(カリウム)[?] ;
Yb(イッテルビウム)ピークの重なり
※ Yb:略=ytterbium:原子番号70。原子量173.043
もうひとつの驚き:熱力学の法則に反して、固体アノードと中空アノードの両方がプラズマよりも低温である。中空アノードでは水素が拡散しているが、固体アノードと中空アノードの温度は同等であった。
これらの反応は、陽極の表面からすぐのところに、非常に薄いが強力なプラズマ二重層が形成されているためと考えられる。これは、そうでなければ陽極をより高い温度に加熱するであろう陽極表面への電子の衝突を制限する。
距離(横軸) 電位(縦軸)
実質的な電圧降下 = 270 V 0.05mm厚の二重層
タングステンチップ プローブ
3,000,000°K 1,200°K
チャンバーの陽極に近い 270ボルトの電圧降下は、全て温度に換算すると 300万Kに相当し、これは驚くべきことに、太陽の彩層から下部コロナに移動するときに見られる温度上昇と同じである。
二重層の内部のプラズマが高温・高密度であることから、球状の二重層のシェルがある種の力場※を作り、二重層の外側よりも内側の方が高い圧力になっていることがわかる。
※力場 [りきば]:物体に働く力が物体の位置によって一義的に定まる空間領域のこと。物体の質量に働く力の場を万有引力場または重力場という。電荷に働く電気力の場を電場,磁荷に働く磁気力の場を磁場という。
プラズマは高エネルギーの紫外光子 ultraviolet photons を発生させる。
110,000 °Kの温度を生成するプラズマ球の中に高エネルギーの光子が蓄えられている。
この実験用プラズマがX線やガンマ線を発生させるかどうかは、今のところわかっていない。しかし、高エネルギーの紫外光子を発生させることはできる。光学分光で得られた可視バルマー線から、水素が10.2eVのライマンアルファ(水素による放射のスペクトル)光子を大量に作り出していることが推測され、プラズマ球の中に高エネルギーの光子の蓄積があることが示された。
これは、タングステンがそれにさらされたときに11万ケルビンの温度を生成しており、数秒、あるいはおそらくピコ秒に起こるタングステンプローブの変形と化学変化を説明することができる。
※バルマー系列:水素原子の線スペクトルのうち可視光から近紫外の領域にあるもの
※ライマン系列:水素原子で電子が主量子数 n=1 の基底状態のエネルギー準位とそれよりも上の準位の間で遷移することによる一連の輝線あるいは吸収線の総称である。主に紫外線の領域にあり、1906年にアメリカのライマンによって発見された。
※K(ケルビン):絶対零度を0とする温度の単位。その値は、セ氏温度の値に273.15を足したものに等しい。
この実験がどのようにして粒子を、このような高い速度とエネルギー状態にまで持っていったかについては、多くのことが解明されている。ひとつの重要な発見は、顕著な電圧降下が、陽極表面から離れるイオンの最初の加速と、その後の層を横切るイオンの駆動に必要なブーストを提供し、周囲のプラズマに含まれる電場を横切るときにさらにエネルギーを獲得している可能性があるということである。
これらの実験によって生み出されるエネルギー密度は、予測をはるかに超えるものである。この大きさのエネルギーは、他に2つの場所、つまり太陽の光球で見られる……
……そして核爆弾である。
要旨 SUMMARY
要約すると、SAFIRE実験は以下のようなことができる。
・DOX──実験計画法
・発熱性プラズマ反応の生成──強力な電磁球状プラズマ二重層シェルを形成させる反応を解く鍵
・様々な球状プラズマ放電を作り出す
・高エネルギー高密度プラズマの閉じ込め、制御、安定化
・原子状水素を大量に発生させる。
・陽極合金のマトリックス内で自由なプロトンを生成する
・10.2eVの真空紫外光の生成
・高エネルギー光子の電気的閉じ込め(光子の捕捉)
・光球、太陽圏、核爆弾に匹敵する電子密度変化を実現する
・低エネルギー核反応(LENR)の可能性
・球状プラズマ二重層を通過するイオンを弾道速度まで加速する
・陽極がその周囲の大気より低温である状態
・システム制御とデータ収集
・多くの計測器をプラズマ大気中を自由に移動させる
・多種多様な計測器のデータセットを取得すること
・実験後の解析のためのデータの集計と変換
・ピコ秒という高速でデータを収集する能力
・全データの関連付けとグラフィカルなオーバーレイの生成
・すべてのデータストリームをリアルタイムで同期化
・高解像度の動画や静止画の取得
・材料試験
・材料の堆積と侵食のテスト
・ラングミュアプローブ分析
・光学分光学
・近紫外光測定
・赤外線測定
・偏光分析法
THE FUTURE
このプラズマ科学の新しい進歩は、安定した発熱プラズマ反応において、プラズマ二重層を一貫して生成、保持、制御するプロセスを実証するものである。
エネルギーと密度は太陽の光球や核爆弾に匹敵するが、放射能のような有害な副作用はないことがデータから示されている。
しかし、分子や原子のレベルで実際に何が起こっているのか、科学的にはまだ十分に解明されていない。これらの反応を理解することは、太陽の大気がどのように機能しているかという貴重な洞察を与え、これらのエネルギーを有益に利用するための基礎を提供することになる。この研究は、2018年の最重要課題となる。
SAFIREとは関係ありませんが、こんな動画を見つけました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。