エレクトリック・ユニバースの恒星──ウォレス・ソーンヒル[2011年ジョン・チャペル記念論文](旧題:太陽のエネルギー源は何ですか?)
- 1. 科学者は太陽や恒星を全く理解していない
- 1.1. 実はわかっていないというのが主流科学の現状
- 1.2. エレクトリック・ユニバースの恒星──ウォレス・ソーンヒル
(2011年ジョン・チャペル記念論文)- 1.2.1. 1. はじめに Introduction
- 1.2.2. 2. 電気的な恒星の誕生 Electric Star Birth
- 1.2.3. 3. アルヴェーンの太陽回路を確認 Alfvén’s Solar Circuit Confirmed
- 1.2.4. 4. 電気的な太陽 The Electric Sun
- 1.2.5. 5.太陽黒点 Sunspots
- 1.2.6. 6. 可変的な太陽 The Variable Sun
- 1.2.7. 7. 太陽の磁気 Solar Magnetism
- 1.2.8. 8. 電気的ヘルツシュプルング・ラッセル図 The Electrical Hertzsprung-Russell Diagram
- 1.2.9. 9. おわりに Conclusion
- 1.2.10. 謝辞 Acknowledgements
- 1.2.11. 参考文献 References
科学者は太陽や恒星を全く理解していない
「平凡な太陽は、現代の理論では理解できない様々な現象を示している。太陽黒点、光球磁場の強烈なフィラメント構造、スピキュール、太陽のスーパーグラニュールで絶えず発生する小さな磁気双極子の起源、コロナホールで膨張するガスを維持する熱源、太陽ダイナモの理解に欠かせない有効な磁気拡散、日震学から推定される特異な内部回転、太陽活動のレベルに応じた太陽の明るさの変化など、太陽が示す、より明らかに不可解なマクロ物理学的現象のいくつか、などに注目する必要はない」
これは、著名なアメリカ合衆国の宇宙物理学者・太陽物理学者と言われるユージン・ニューマン・パーカーという太陽風の存在を理論的に予言したことで有名な方の言葉です。
これについてのエレクトリック・ユニバースのソーンヒル氏の感想は、
「このような率直な告白は、科学者が太陽や恒星を全く理解していないことへの警告です」
実はわかっていないというのが主流科学の現状
冒頭に引用した長いセンテンスは、今回紹介する電気的宇宙論のソーンヒル氏の「ジョン・チャペル記念論文」の最後に出てきます。ちなみに、パーカー氏のウィキの記事は、この方の功績が箇条書きで強調されて記述されています。逆に現代宇宙論の未解決の問題を知るにはちょうどいいかもしれません。
というのは、功績は功績で立派な方なんでしょうが、それぞれの項目を見ていくと、ひとつとして “証明された"というニュアンスの言葉は出てきません。別に、この人を貶める意図などありません。ただ、ウィキの記事を読むと、ほぼ “わかってない"ということは読み取れます。ですが、わかってないということは太字では強調されてはいません。誤解を生みませんか?
例えば、
✹ 黒点に代表される太陽磁場の起源は現在も未解決の謎である(太陽ダイナモ問題)
✹ ほぼ確実であると現在では考えられている
✹ 太陽風の発生機構は未だに解明されていない
✹ コロナがどのようにしてこの温度を保っているのかは太陽物理学における未解決の謎のひとつである
で、何が分かっているんですか?って逆に聞きたいくらいです。
「太陽風の存在を理論的に予言した」ことで有名とされているのに、その理論では「太陽風の発生機構は未だに解明されていない」んです。不思議です。
科学という名のフィクション
今回紹介するのは「エレクトリック・ユニバースの恒星 Stars in an Electric Universe(2011 John Chappell Memorial Paper)」と題されたソーンヒル氏の記念論文です。
内容は主に太陽についてです。公認の科学では太陽は核融合で “燃えて"いると説明されています。いつかは燃え尽きてしまうということですが、内側より外側の方が桁違いに温度が高いなど、これまでの熱核理論では実際に観測されている現象を説明できていません。
エレクトリック・ユニバースでは太陽のような恒星はトランジスタのようなものだと言います。トランジスタは今日の電子回路の基本原理に必ず登場する電子部品です。パソコンもスマホもこの原理が無ければ成立しません。簡単に言えば、外部から電気を取り入れ信号を何倍にも増幅したりスイッチングするデバイスです。
エレクトリック・ユニバースでは太陽や夜空で光っている恒星を一種の電気回路としてとらえれば、その不思議な現象が説明できると言います。太陽を始め夜空に輝く恒星はどうやって輝いているのか、太陽の黒点がどうしてできるのか、黒点周期とは何なのか?などコンセンサス・サイエンスの小難しい理屈抜きに、物理学が分からなくても直感的、感覚的にも理解できるのではないかと思います。
ソーンヒル氏は「パラダイムほど強力なものはありません」と言います。誰だって、長年慣れ親しんだ世界、教えられたこと、まさかそれが嘘だったなどとは思いたくはありません。ですが、今日支配的な宇宙論はダークマターとか、ブラックホールとか、中性子星とか、不可能な星とか、自らの混迷を新奇な専門用語でごまかす表現がなんと多いことか。これは今日、無症状の感染とかソーシャルディスタンスとか、ワクチンを打った人の方が感染し死亡しているにも関わらず、ワクチンパスポートとか言い出すのと似た現象のような気がします。
メディアが報道しなければ事実にならず、嘘でも報道されれば事実となってしまいます。メディアが “事実"を作ってしまう世界です。パラダイムとは常識的な価値観です。別の表現をすれば、上から一網打尽にするような網のように張り巡らされたマインドコントロールです。疑問を抱かせないようになっています。しかし、あまりにも"ありふれた"日常なので、このこと自体に疑問を持つ人は少ないようです。パラダイムほど強力なものはありません。
「実際、ビッグバン、銀河の形成、太陽とその家族である惑星の形成、そして地球の歴史など、私たちの宇宙論はすべてフィクション」です。
宇宙論に限らず、進行中のコロナ騒動、パンデミック、二酸化炭素の温暖化犯人説など、ほとんどすべてがフィクションです。
「もし、恒星が銀河系の回路から電気的に供給されているとしたら、この事実だけでも科学や社会に与える影響は甚大です」
エレクトリック・ユニバースの恒星──ウォレス・ソーンヒル
(2011年ジョン・チャペル記念論文)
パラダイムほど強力なものはありません。重力と電磁流体力学の標準的なパラダイムのレンズを通して見ると、太陽はパラドックスで私たちの目をくらませます。一方、プラズマの電気力学的挙動に基づくモデルは無視されます。ノーベル賞を受賞したプラズマ物理学者のハンス・アルヴェーンは、この新しいプラズマ宇宙論の先駆者でした。最近の二つの発見は、アルヴェーンの予測に関して引き立っており、結局のところ彼を無視することはできません。ひとつは星の誕生に関するもので、もう一つは太陽の電気回路に関するものです。エレクトリック・ユニバースは、プラズマ宇宙論を発展させ、すべての恒星を放電現象として捉えています。
1. はじめに Introduction
真の宇宙論とは、広範で首尾一貫した自然哲学でなければなりません。したがって、それは真に学際的な追求でなければいけません。現代の専門的な科学は、そのような探求には不利な環境です。例えば、世界最大の専門機関である IEEE(Institute for Electrical and Electronic Engineers)は、プラズマ宇宙論を認めていますが、天文学を学ぶ学生にとっては、そのような学問は耳に入ってきません。プラズマ宇宙論は、目に見える宇宙のほとんどを占めるプラズマの電磁的挙動を実証的に扱う学問であるにもかかわらず、その存在を知られていません。理論的なビッグバン宇宙論とは異なり、プラズマ宇宙論は仮想的な物質やエネルギー、力に頼らずに予測を成功させることができます。
しかし、多くの成功を収めているにもかかわらず、プラズマ宇宙論は、基礎物理学や恒星物理学の未解決の問題を扱っていないため、最終的な答えであると主張することはできません。新しい電気的宇宙論は、これらの基本的な問題に対処することで、私たち自身と宇宙における私たちの位置を理解するための画期的な方法を提供しています。それは、幅広い科学的進歩と宇宙開発のための実用的な洞察を提供します。
エレクトリック・ユニバースは、E.O.ウィルソンの言葉を借りれば、"コンシリエンス consilience(知の統合)“、つまり"知識の統一"を試みる、一点に向かう convergent 学際的(多分野にまたがる)な宇宙論です。
2. 電気的な恒星の誕生 Electric Star Birth
欧州宇宙機関(ESA)のハーシェル宇宙望遠鏡(旧称:遠赤外線・サブミリ波望遠鏡[FIRST])は、天文学者に前例のない分子雲の内部を見せ、恒星が「信じられないようなフィラメント構造のネットワークで形成され、ほぼ同時に恒星が形成された連鎖を示す特徴があり、銀河の奥深くで真珠の糸のように輝いている」ことを発見しました[1]。天文学者は「信じられない」と表現していますが、図1の画像は、プラズマ宇宙論者が何十年も前から期待していたものと正確に一致しています。また、ESAの別のレポートでは、ハーシェル宇宙望遠鏡の高解像度がもうひとつの驚きをもたらしました。
「フィラメントは巨大で、宇宙空間を数十光年に渡って伸びている。ハーシェル(宇宙望遠鏡)は、生まれたばかりの恒星がフィラメントの最も密度の高い部分にしばしば見られることを示した……このような星間雲のフィラメントは、他の赤外線衛星でも確認されているが、幅を測れるほどはっきりと見えたことはなかった。今回、ハーシェルは、フィラメントの長さや密度にかかわらず、その幅が常にほぼ同じであることを明らかにした」[2]
90本のフィラメントを分析した結果、すべてのフィラメントの幅は約0.3光年、つまり地球の太陽からの距離の約2万倍であることがわかりました。
「この幅の一致には説明が必要である」 [3]
光るフィラメントの好まれている従来の説明としては、"恒星の爆発で発生したソニックブーム(衝撃音波)“と"恒星の光による照明"が有力です[4]。しかし、爆発している星はどこにあるのでしょうか?
また、爆発によってフィラメントにはある程度の放射状の湾曲が加わるはずです。しかし、私たちが目にするのは、雲と雲の間を走る稲妻の曲がりくねった道のようなものです。実際、宇宙規模ではそのようになっています。そして、稲妻のように、反射光ではなく、自分自身の内部エネルギーによって照らされています。
プラズマ宇宙論の"父"であるハンス・アルヴェーンは1986年にこう書いています。
「平行な電流がお互いに引き合うことは、アンペールの時代にすでに知られていた。プラズマの中では、電流がフィラメントに集まる傾向があることは容易に理解できる。1934年、ベネットはこれがピンチの形成につながるはずだと明言した。彼を発見に導いた問題は、磁気嵐を起こす媒体(現在の用語では太陽風)が太陽から一様に流れ出ていないことだった。したがって、ピンチ効果を導入するに至ったのは、宇宙物理学上の問題だったのである……。
しかし、ほとんどの宇宙物理学者にとっては未知の現象である。実際、重要な研究分野、例えば恒星の形成を含む星間領域での状態の扱いは、半世紀以上前のベネットの発見を無視したものになっている……。現在、宇宙物理学を学んでいる学生たちは、この話を聞くことはない」[5](中略)
遠く離れた場所でも一定の幅を保っているのは、ビルケランド・フィラメントに沿って流れる電流によるもので、それぞれのフィラメントは大きな電気回路の一部を構成しています。回路内の電流はフィラメント全体で同じでなければなりませんが、フィラメント内の電流密度はベネットのピンチ効果によって変化することがあります。したがって、マルクルンド対流 Marklund convection と呼ばれる分子雲からの物質の電磁的掃気(洗浄)効果 electromagnetic scavenging effect は、各電流フィラメントに沿って一定であり、フィラメントの幅が一定であることを説明しています。恒星はベネットピンチ Bennett pinches の中でプラズモイドとして形成されますが、これは地球のプラズマ研究室ではZピンチ Z-pinches とも呼ばれています。
図3は、分子雲内部のフィラメントの正体を示したものです。電界ベクトル electric field vector(E)とヘリカル( らせん状 )磁場 magnetic field の配置(B)が示されています。温度勾配(∇T)を横切る速度Vのイオンの内向きマークランド対流は、宇宙プラズマにおける急速なフィラメント形成と化学分離のメカニズムです。その結果、重元素(宇宙物理学的には"金属")が軸上に集中し、水素ではなく恒星のコア物質を構成することになります。
2010年5月、同じような星の形成の雲の中で、ハーシェルは、
「……形成中の不可能な恒星 impossible star を発見した……というのも、このような大きな星が放つ強烈な光は、質量が蓄積される前に生まれた雲を吹き飛ばしてしまうはずだからだ。しかし、なぜかできてしまう。このような"不可能"な星の多くはすでに知られており、中には150太陽質量に達するものもある。しかし、ハーシェルが誕生間近の恒星を見た今、天文学者はこのデータを使って、この星がどのように理論に反しているかを調べることができる」[7]
“不可能"とは、標準的な天体物理学の理論が非現実的であることを示すシグナルです。エレクトリック・ユニバースでの答えは簡単です。恒星を形成する電流は、生まれた後も消滅しません。重元素の核で核融合が起きていないので、星の明るさと重さは関係ありません。また、光球 photosphere は通常の意味での表面ではないので、恒星の質量と大きさは関係ありません。むしろ、星の表面からある程度の高さのところで放電現象が起きています。
“不可能な星"は存在しません。恒星の光は、ビルケランド・フィラメントに沿って流れる利用可能な電気エネルギーから生まれます。恒星からの光の圧力による"ソニックブーム"は、プラズマを包む電磁力に比べれば無視できる程度の力です。このような衝突は、塵やガスをさらにイオン化させ、電磁力の影響を受けやすくします。しかし、太陽(ひいてはすべての恒星)の電気的環境に少しでも疑問が残っているのであれば、以下のレポートがその疑問を払拭してくれるでしょう。
3. アルヴェーンの太陽回路を確認 Alfvén’s Solar Circuit Confirmed
南極上空の宇宙線は、空に一様に分布しているのではなく、特定の場所から出ているようです。北の空にも同じような宇宙線の"ホットスポット"が見られますが、このようなパターンを生み出すほど近い発生源は知られていません。
IceCube(アイスキューブ・ニュートリノ観測所)は、氷にぶつかったニュートリノによって生成されたミューオンを検出しますが、地球の大気にぶつかった宇宙線によって生成されたミューオンも検出します。これらの宇宙線ミューオンは、元の宇宙線粒子の方向を把握するのに使われます。
2009年5月から2010年5月までの間に、アイスキューブは320億個の宇宙線ミューオンを検出し、そのエネルギーの中央値は約20テラ電子ボルト(TeV)でした。これらのミューオンは,極めて高い統計的有意性をもって,南半球の空には宇宙線が過剰な領域("ホットスポット")と宇宙線が不足している領域("コールドスポット")があることを明らかにしました[8]。
この2年間、ニューメキシコ州ロスアラモスにあるミラグロ天文台や羊八井(ヤンパチェン)にあるチベット・エアシャワー・アレイでも、北の空に同様のパターンが見られました。このホットスポットは"良い謎"とされています。謎なのは、ホットスポットが地球から約0.03光年(1900天文単位)以内で発生していることです。さらに遠方であれば、銀河の磁場によって粒子が大きくそらされ、ホットスポットが空全体に散らばるはずです。しかし、そのような天体は知られていません[9]。
1920年代、アーヴィング・ラングミュア Irving Langmuir とハロルド・モットスミス Harold Mott-Smith は、放電管の中でプラズマが薄い境界シース(鞘、覆い)を形成して、壁やプローブ(探針)からプラズマを分離し、壁やプローブを電界からシールドすることを示しました。このシースの中の電界、分離した電荷の"二重層 double layer“(DL)が荷電粒子を加速させます。1958年、アルヴェーンはこの現象が宇宙プラズマで重要であることを示唆しました。アルヴェーンは1986年に、太陽の軸に沿って位置する粒子加速DLを予測しました。
「磁気圏の回路との類似性から、太陽圏の回路には二重層があると予想される。二重層は対称軸に位置しているはずだが、軸方向の電流が太陽から遠ざかるような太陽周期の場合にのみ存在する」
「太陽からどのくらい離れたところにあるのか、まだ誰も予想していない。太陽に向かって高エネルギーの電子を発生させ、そこからの放射光で電波源として観測されるはずだ。さらにまた、ノイズも発生するはずだ。地上から観測できるかもしれないが、今のところ誰もそのような物体を探そうとはしていない」[10]
[下線部強調]
回路モデルでは、インダクタンスを含むすべての回路は本質的に爆発的(突然の変化)であることが指摘されています。これは、導電性の回路では、回路が遮断された時点で、すべての誘導エネルギーが供給される傾向があるからです。二重層は、プラズマの電流を遮断しやすいことが知られています。したがって、回路のエネルギー源にかかわらず、二重層が形成された時点で、回路の全エネルギーを放出することができます。
アルヴェーンは、宇宙線や放射光、ラジオノイズを発生し、時には爆発するという特性から
「二重層は新しいクラスの天体と考えてもよいのではないか…… 例えば、太陽圏の電流システムは遠く離れた場所で閉じなければならず(図5参照)、これはフィラメント状の電流のネットワークによって行われている可能性がある(おそらくそうだろう)。そのようなフィラメントの多くが二重層を生成し,そのうちのいくつかは爆発するかもしれない[12]」と提唱しました。
宇宙に遍在する二重層は、惑星のオーロラ領域、銀河系外のジェット、恒星のジェット、新星・超新星、X線・ガンマ線バースト、X線パルサー、二重電波源、太陽フレア、宇宙線の加速源などに関与しています。今回、アルヴェーンの二重層が、太陽から"0.03光年以下"のビルケランド電流フィラメントに発生する"宇宙線ホットスポット"という形で検出されたようです。このホットスポットは、局所的な星間磁場と一致していることがわかるはずです。今回報告された宇宙線のエネルギーの中央値20TeVは、宇宙の二重層から予想される範囲内です。
図5. アルヴェーンのヘリオスフェア回路。
太陽は同極の発電機として働き(A)、両軸に沿って外側に向かう電流(B₂)と、磁力線に沿って赤道面内に向かう電流(B₁)を発生させている。この電流はかなりの距離で閉じなければならず(B₃)、均一な電流層として、あるいはより可能性の高い、ピンチした電流として現れる。オーロラ回路と同様に、太陽の軸上に対称的に配置された二重層(DL)が存在する可能性がある。「そのような二重層はまだ発見されていない」
クレジット:ハンス・アルヴェーンによるオリジナルの図。[11]
4. 電気的な太陽 The Electric Sun
概して、太陽や恒星の理解に自信を持つためには、まず目に見えるものを簡単に説明できなければなりません。アルヴェーンは、太陽を放電現象とまでは考えていませんでした。彼は、太陽の太陽圏電流が太陽の自転によって駆動されていると考えていました。しかし、その逆もまた真なりのようです。太陽の赤道は最も速く回転しており、まるで同極モーター homopolar motor のように駆動されているかのようです。
「通常、太陽の差動回転は、赤道付近では約2,000m/s、緯度80度付近では約1,000m/sの回転速度を示す。差動回転は、意外に短い期間で変化している。つまり、中央部の緯度はある程度一定であるのに対し、赤道付近や極地では半周期的に大きく変化しており、これは太陽の磁気サイクルと相関しているようだ」[13]
また、軸方向二重層の宇宙線のエネルギーは、銀河系からのものであることを示唆しています。したがって,恒星は広大なプラズマシースか、二重層の中心にあるピンポイントの物体と見ることができます。プラズマシースは恒星の電気的影響の境界を形成し、星間空間のビルケランド電流と結合しています。太陽のプラズマシースないし"太陽圏"は、地球から太陽までの距離の約100倍の距離から始まっています。太陽圏の大きさは、天の川のすべての星が、冥王星の軌道で囲まれた球体に収まるくらいの大きさです。太陽の太陽圏には、天の川17個分の星が入ることになります!
巨大な太陽圏では、太陽に向かう電子(熱運動と重なる)と太陽から遠ざかるイオン(太陽風)のわずかなドリフト(流れ)で、太陽を照らすのに必要な電力を満たすことができます。太陽風の磁場は、ドリフト電流 drift current の特徴です。電流密度と電界が大きくなり、プラズマ放電が “ダークモード"から切り替わり、その効果が目に見えるようになるのは、太陽のごく近くになってからです。比較的 “石のように冷たい"光球の上に何百万度ものコロナがあるという太陽の謎は、太陽の電力が太陽の中心からではなく銀河から来ている場合にはすぐに解決します。
太陽が超低圧グロー放電の陽極現象であることは観測から明らかです。赤い彩層は、放電管の陽極面上の光りと対になっています。電流密度が高すぎて陽極面がそれに対応できない場合、一次プラズマの中に明るい二次プラズマが形成されます。これを"アノードタフティング anode tufting “と呼びます。太陽では、タフト(房[ふさ])がぎっしりと詰まっているため、その上部が粒状に見えます。この粒状化 granulation と"グラニュール(粒状班、太陽表面に見られるまだら模様)“の挙動は、カオス的な対流からは予想できないものです。
5.太陽黒点 Sunspots
太陽黒点は、熱核モデルの恒星では想定されていない現象です。
「黒点の存在自体に興味をそそられる。黒点は側面から急速に加熱されて消えてしまうはずだ。形成されるはずがないのに、形成されるのだ。あまりにも奇妙な動きなので、なぜ黒点が存在するのか、科学者の間ではいまだに議論が続いている。黒点以外にも、太陽には謎がたくさんある。予想していたものが発見されることはほとんどない」[14]
黒点がわからなければ、恒星もわかりません!
太陽黒点のアンブラ(中心の暗い部分)は、光球(5,770K)よりもずっと冷たく(4,000K)暗いのです。一見したところ、これは太陽の内部から熱が逃げようとしていないことの証拠です。また、太陽のコロナは光球よりも何百万度も高い。これらの単純な観察結果は、太陽のエネルギー源が外部にあることを示しています。これに加えて、磁場が太陽の外部挙動に支配的影響を与えていることから、電気エネルギーの供給が必要であると考えられます。磁界は電流がなければ存在しません。
プラズマ中の電流はフィラメント状になっています。ペナンブラ penumbral(境界域、半陰影)のフィラメントは、暗い黒点の中心部分の"フットポイント(立ち上がり点)“付近で分裂し、移動するのが観測されています。これはプラズマフィラメントの典型的な挙動であり、玩具のプラズマボールでも観察されます。しかし、最大の衝撃は、ペナンブラのフィラメントが暗いコアを持っていることです! ガスが対流しているのに、どうしてそうなるのでしょうか? そうであれば、フィラメントの中心部が最も高温で明るいはずです。
放電で簡単に説明できます。
図6. この画像では、これまでで最も鮮明な太陽表面の画像の中に、惑星サイズの黒点の暗い中心部付近に驚くべき神秘的なディテールが写っている。黒点内に伸びる明るいフィラメントの中に、ヘアやカナルと呼ばれる特徴とともに、暗いコアが見えており、これまで知られていなかった未知の太陽現象を表している。今回明らかになったフィラメントの暗いコアは、長さが数千キロメートル、幅はわずか百キロメートル程度であることが分かった。
画像出典:米航空宇宙局(NASA)
写真提供:NASA Göran B. Scharmer, and Boris V. Gudiksen, Swedish Institute for Solar Physics.
電気現象は少なくとも14桁以上のスケールがありますから、私たちの大気中の放電現象を参考にして、太陽の大気中で何が起きているのかを考えることができるかもしれません。ペナンブラフィラメントを単純に巨大な稲妻に見立てたいところですが、特徴がうまく一致しません。
一般的な稲妻は、0.2秒で10km程度の距離を走ります。ペナンブラフィラメントは最低でも1時間は続き、長さは1000kmにもなります。もし稲妻を100倍に拡大できたら、20〜200秒、1,000kmの長さの閃光が得られるかもしれません。これでは寿命が短すぎます。また、避雷針の傷跡を測定したところ、雷の放電路は5mm程度の幅しかありませんでした。これを100倍にすると、太陽の雷の放電路は望遠鏡の分解能の限界以下になってしまいます。
しかし、もうひとつの身近なゆっくりとした大気放電があり、これは適切にスケールアップされており、ペナンブラフィラメントの謎のダークコアを説明することができます。単純な機械的な流体の渦を竜巻と同一視するのは誤解を招く恐れがあります。竜巻は、高速で移動する電荷が生み出す強力な電磁力によって螺旋状に束縛された、ゆっくりとした放電です。竜巻は数分間続き、その直径は1kmにもなります。この数字を100倍に拡大すると、ペナンブラフィラメントとよく一致します。また、太陽で見られるように、循環するプラズマの円筒が熱と光を放射していれば、太陽の"トルネード"の横顔には暗いコアがあるように見えます。
図7. 紫外光に照らされた太陽のプラズマトーラス(赤道方向から見た図[左]と極方向から見た図[右])。
画像提供:SOHO / NASA
黒点の原因は?
電気的モデルでは、太陽は星間空間からグロー放電の形で電気エネルギーを受け取っています。ビルケランドの"テレラ"と呼ばれる磁化された球体の実験では、電磁エネルギーが赤道上のドーナツ型の"プラズモイド"に蓄えられることが示されています。
このエネルギーは、太陽の中緯度地域への放電によって、プラズモイドから散発的に放出されます。(ちなみに、最近太陽に関して報告されたように、プラズモイドの共鳴によって中心体の反対側で同時にフレアが発生することがあります)。光球の全球的なトルネード性(竜巻)の嵐は、プラズモイドの電気エネルギーを太陽大気の下層に届ける、より強力なビルケランド電流によって押し流されます。その結果、光球にできた穴が黒点と呼ばれるものです。
黒点は、エネルギーの流れが制限されている場所ではなく、エネルギーの流れが促進されている場所です。それを示すのが、約3,000ガウス(地球の磁場の約1万倍)の強い磁場です。黒点の緯度方向の移動は、テレラの実験でも入力電力を変化させるだけで再現されています。黒点の中心の暗い部分には、光球よりも寿命が長く(15〜30分)、温度も高い(6,200K)"アンブラルドット umbral dots ※1“がたくさんあります。黒点を通過した電流がフィラメント化して断面積が小さくなり、それが高密度の大気に入って加熱されるので、電気的な解釈では稲妻のようなものです。
また、同じ極性の黒点同士が反発せずに引き合う不思議な現象も、このモデルで説明できます。黒点には平行に回転する電流が流れており、長距離では相互に引き合い、近距離では反発しています。このことは、黒点が合体するほど近づいても、黒点の独自性が保たれているように見えることの説明にもなります。
図8. ようこう(日本の太陽観測衛星)が撮影した、1991年から1995年にかけての太陽の極小期から極大期のX線太陽。
Credit: G.L. Slater and G.A. Linford; S.L. Freeland, The Yohkoh Project.
6. 可変的な太陽 The Variable Sun
天体物理学者は、X線を太陽磁場による加熱でぞんざいに説明しようとしていますが、太陽磁場は太陽活動周期に合わせて変化することがわかっています。簡単に言えば、この二つの効果には共通の電気的原因があるということです。図8は、放電が最も集中している場所でX線が放射されることから、太陽には変動する電力があることを示しています。
「太陽は可変的なX線星だが、その変動が可視光のエネルギーフラックス(流れ)に反映されないのは幸運なことだ」[15]
太陽からの光と熱の変動は、年ごとに1%のごくわずかであると測定されています。そうすると、もし太陽が可変電源を持っていたら、どうして生命を与える安定した放射エネルギー源になるのか?電気モデルで説明しなければなりません。その答えは、やはり電気工学でなければならないようです。
恒星の陽極の上にある房状のプラズマシース(光球)は、PNPトランジスタ(小さな電圧変化で大きな出力変化を制御する簡単な電子デバイス)に相当する回路のようです。光球自体が太陽放電を制御し、放射される熱や光の出力を安定させている一方で、太陽に入力される電力は黒点周期で変化しています。明るい光球を持たない主系列から外れた星では、このような調節ができません。
図9は、太陽の光球のプラズマシースの断面図です。白い曲線は、太陽本体から外側に向かうにつれて、太陽プラズマ内の電圧がどのように変化するかを示しています。
陽電荷を帯びた陽子は、"丘を転がり落ちる"傾向があります。つまり、光球の房状のプラズマは、太陽の出力を制限するバリアの役割を果たしています。(b)と(c)の間の安定状態と(e)の先の安定状態は、通常の準中性プラズマを定義しています。彩層には強い電界があり、それは平坦になるが、太陽系全体ではゼロではありません。陽子が彩層斜面を加速して右に向かうと、⒠で乱流に遭遇し、太陽コロナが数百万度に加熱されます。コロナを超えたところにある小さいが比較的一定の加速電圧勾配が、太陽風を太陽から遠ざけるための加速の役割を果たしています[16]。
このように太陽のプラズマシースが太陽電流を調節する能力は、1999年5月に太陽風が2日間停止したときに劇的に証明されました。この奇妙な出来事は、もし太陽風が高温の太陽コロナによって"煮えたぎって boiled off “いるのであれば、意味をなしません。しかし、電気的には調整用のプラズマシースは正常に機能し、太陽の放射量にも目立った変化はありませんでした。
7. 太陽の磁気 Solar Magnetism
太陽の最大の謎のひとつが黒点の周期です。それは、もう一つの大きな謎である太陽の磁場と密接に関係しています。この謎は、高温の導電性プラズマの球の中から磁場を作り出すのは非常に難しいということです。特に、太陽の磁場が驚くほど複雑で、しばしば急激な変動を示している場合はなおさらです。
太陽には一般的に双極子磁場 dipole magnetic field があり、黒点周期で極性が切り替わります。極と赤道で磁場の強さが2倍になる双極子磁石 dipole magnet とは異なり、太陽の磁場の強さは非常に均等に分布しています。この奇妙な現象は、太陽に放射状に電流が流れ込んでいる場合(受け手)にのみ説明できます。磁場を整える電流は、陽極表面上に均等に配置されるという自然な傾向によって、磁場の輪郭を調整します。内部のダイナモではこのような磁場のパターンはできません。
太陽の惑星間磁場は、黒点の数に応じて強さが増します。電気的には、太陽とのやり取りの電流の流れによって惑星間磁場が生成されるため、この関係は最も重要です。電力が増加すると、黒点の数が増え(電流入力の増加を反映して)磁場が強くなります。
標準的な熱核恒星理論では、約11年の太陽黒点周期を説明することはできません。電気的モデルでは、太陽黒点周期は、巨大なビルケランド電流フィラメントの電流密度と磁場の変化が太陽系をゆっくりと通過する際に、銀河系のローカルアーム(渦状腕)である天の川から供給される直流電力の変動によって引き起こされます。太陽磁場の反転は、単純な"変圧器"の働きによるものと考えられます。
アルヴェーンの太陽回路の"単極発電機 homopolar generator “モデルとは対照的に、スコットは太陽磁場の反転について、外部から動力を受けた"単極電動機 homopolar motor “とそれに伴う磁気誘導効果という観点から、次のように説明しています。
「表面電流を誘導する主磁場の強度が増している場合、表面電流は一方向を向く。主磁界が弱くなると、二次的な表面電流の方向が逆転する」[17]
この"トランスフォーマー transformer(トランス、変圧器)“作用には、アルヴェーンのモデルのように太陽・太陽圏の電流が逆向きになる必要はなく、実際には観測されていないものです。
8. 電気的ヘルツシュプルング・ラッセル図 The Electrical Hertzsprung-Russell Diagram
電灯には様々な種類があります。白熱電球の中には、フィラメントに電流を流して点灯させるタイプのものがあります。また、蛍光灯、高輝度ガス放電ランプ、アーク灯、ネオン灯、ソリッドステート発光ダイオード(LED)などがあります。
恒星は、ネオン、ガス放電灯、アーク灯のカテゴリーに属します。恒星は白熱(高温に加熱された物体)していません。放電灯の主な違いは、エネルギー密度と、光の大部分が発生するガス放電路の位置です。例えば、ネオン管では、管の両端の電極の間にある広範囲に及ぶプラズマ柱から光が発生します。アークライトの場合は、電極に光が集中します。アークライトの出力密度を上げると、黄白色から白色、青白色へと色が変化します。
天文学者は、恒星を分類するために、ヘルツシュプルング-ラッセル(H-R)図 ※2を使います。恒星の絶対的な明るさを、星のスペクトルクラス(温度)に対してプロットしたものです。
H-R図に描かれているデータは観測された量であり、図表の意味を推測することはできません。図11は、H-R図を工学的に意味のあるようにプロットしたもので、左から順に電流密度、温度、回転エネルギーが大きくなっています。主系列星は、太陽のように明るい光球を持っています。
電気的恒星モデル electric star model [18] のテストは、はぐれ星 stragglersである赤色巨星、赤色・白色矮星で行われます。恒星の大きさはプラズマ現象なので、これらの恒星に"巨大 giant " や “矮星 dwarf “という言葉を使うと、非常に誤解を招くことになります。そのため、"赤色巨星"は年老いて肥大化した死にかけの星、"白色矮星"は爆発した星の崩壊した残骸という概念は通用しません。エレクトリック・ユニバースでは、恒星は進化しません。星の進化や年齢という概念は、標準的な熱核モデルの発明です。エディントン自身も、白色矮星に戸惑いを感じていました。
「光度に全くそぐわない種類のスペクトルを示し続ける奇妙な天体は、規則通りに放射するホスト(主星?)よりも、最終的には我々に多くのことを教えてくれるかもしれない」[19]
彼は正しかった。白色矮星は、電気的ストレスが少ない星なので、明るい陽極のタフト tufting(房)が必要ありません。太陽のかすかな白いコロナ放電が星の大気まで届いているのと同じことなので、恒星は非常に熱く、白く、光量不足に見えます。通常通り、恒星のプラズマと宇宙のプラズマの間には薄いプラズマシースが形成されます。プラズマシースを横切る電界は、電子が大気中の原子にぶつかると、電子を加速してX線を発生させられます。そして、放出された電力は、薄いプラズマ層の温度を数万度にまで上昇させることができます。
白色矮星は複数の星系(例えばシリウスAとB)に存在することが多く、同じ年齢の二つの星がどうしてこんなに違うのか、天文学者を悩ませています。その答えは簡単です。電気を帯びた星の見た目は、星の年齢とは関係ありません。多重星系では、明るい方の主星が電力のほとんどを使い、そのエネルギーを光の波長で消散させています。白色矮星は、その電力を最も効率よくX線に変換します。
一方、赤色矮星は、周囲のプラズマから電子を得ることができない星です。そこで恒星は、宇宙での有効な陽極となる大きなプラズマシースを成長させることで、電子を集める表面積を広げます。シースが大きくなると電界が強くなるため、成長には限界があります。電界に巻き込まれた電子は、より大きなエネルギーへと加速されます。やがて、衝突した中性粒子を励起するほどのエネルギーを持つようになると、巨大なシースは一様に"赤い陽極の光 red anode glow “を放つようになります。それが赤色巨星になります。また、この過程で発生する電界により、正イオンが大量に流れ出し、驚異的な恒星の"風"が発生することになります。実際、このような質量放出は赤色巨星の特徴です。標準的な恒星理論では、この現象を説明することができません。というのも、この星は寒すぎて恒星風を"ボイルオフ boil off(蒸発)“させることができないと言われているからです。
注目すべき点は、赤色巨星には、明るい房状の光球を持つ恒星のような自己調整機構がないことです。赤色巨星は、電気的な入力の変化に応じて、半径を変えたり、物質を放出したりしなければならない。赤色巨星ベテルギウス(オリオン座α星)は、15年の間に、15%ずつスムーズに、しかし時間が経つにつれて速くサイズが小さくなっています[20]。このように、ベテルギウスの半径は、時間の経過とともにほぼ正弦波状に変化していくことが予想されます。赤色巨星は、褐色矮星をクローズアップしたときのスケールアップ例です。
エレクトリック・ユニバースでは"失敗した failed “星は存在しません。恒星には熱核の"エンジン"がないので、失敗することはありません。銀河系内のすべての天体は、銀河系の回路から外部の電気エネルギーを受けています。電気的恒星の大きさや色の見え方は、電気的現象です。
例えば、木星が独立した銀河系の天体で、そのプラズマシースが褐色矮星として光っていたとすると、その星は地球からは5倍離れた太陽の大きさに見えることになります。木星の衛星は、木星の膨張した赤い陽極グロー anode glow の中を周回し、その表面全体に同じエネルギー密度を受けることになります。
エレクトリック・ユニバース・モデルでは、このような衛星の環境が、宇宙で最も広範で、生命が繁栄するのに適した環境であると推測しています。
9. おわりに Conclusion
著名な太陽系天体物理学者であるユージン・N・パーカーは『特別な歴史的レビュー Special Historical Review』の中で次のように述べています。
「何が確かな理論で、何が根拠のない憶測に過ぎないのかを明確に認識した上で、観測上の制約と基本的な数学的法則の両方に細心の注意を払うことが、このような高揚した時代には不可欠である。一見するともっともらしい平凡な説(決まり文句)を、ここでは冗談抜きでお届けする……」
「……平凡な(ありふれた)太陽は、現代の理論では理解できない様々な現象を示している。太陽黒点、光球磁場の強烈なフィラメント構造 intensely filamentary structure of the photospheric magnetic field、スピキュール spicules(太陽の彩層から高速に噴出する比較的低温で高密度のガス)、太陽のスーパーグラニュール supergranules(超粒状斑)で絶えず発生する小さな磁気双極子の起源、コロナホールで膨張するガスを維持する熱源、太陽ダイナモの理解に欠かせない有効な磁気拡散、日震学 helioseismology(太陽の振動や波動現象[日震]に関する研究)から推定される特異な内部回転、太陽活動のレベルに応じた太陽の明るさの変化など、太陽が示す、より明らかに不可解なマクロ物理学的現象のいくつか、などに注目する必要はない」[21]
このような率直な告白は、科学者が太陽や恒星を全く理解していないことへの警告です。すべての問題は、ガス燈時代にさかのぼる無効な恒星モデルに起因しています。エレクトリック・ユニバースの観点からすると、熱核モデルの恒星は不幸な歴史的タイミングの事故でした。エディントンの時代に原子のエネルギーが解明され、太陽のエネルギー源という不可解な問題の答えが得られると思われたとき、プラズマ科学やガス放電理論は黎明期にありました。
最後に、1970年12月11日のノーベル賞受賞スピーチ[22]で、宇宙物理学の最終的な失敗を予言するという前代未聞の行動に出たアルヴェーンの言葉を紹介します。
「結論としては、宇宙物理学は、これらの教科書から主要な知識を得た宇宙物理学者の手に委ねるには、あまりにも重要過ぎるということである(※宇宙物理学者の手に委ねるわけにはいかないという婉曲表現)。天体望遠鏡から得られる数十億ドルの宇宙データは、実験室や磁気圏の物理学、回路理論、そしてもちろん現代のプラズマ物理学に精通した科学者が扱うべきである。宇宙の99%以上はプラズマで構成されており、電磁力と重力の比率は10³⁹である」[23]
もし、恒星が銀河系の回路から電気的に供給されているとしたら、この事実だけでも科学や社会に与える影響は甚大です。私たちは、知識の蜃気楼を追いかけてきましたが、それは無知の砂漠につながっています。太陽や惑星についての私たちの物語は神話です。"太陽のような"核融合エネルギーの困難な探求の対象(至高の目標、聖杯)は、誤った探求でしかありません。実際、ビッグバン、銀河の形成、太陽とその家族である惑星の形成、そして地球の歴史など、私たちの宇宙論はすべてフィクションです。
最もパワフルに組織する電気力を無視して、最もかすかな力である重力を優先しています。費用のかかる核融合実験や宇宙ミッションなど、私たちの"ビッグ"サイエンスのほとんどは、方向性を誤り、無駄になっています。すべての科学は、相互につながっているエレクトリック・ユニバースに基づいて、新しい学際的な視点から再検討されなければなりません[24]。
謝辞 Acknowledgements
太陽の放電モデルを詳細に提案した故ラルフ・ジョーガンズ Ralph Juergens の独創的な着想と、アール・ミルトンEarl Milton 博士とドナルド・スコット Donald Scott 教授の貴重な追加的洞察に感謝します。
参考文献 References
[ 1 ] ESA News, “ハーシェルが見た宇宙の紐の上の深宇宙の真珠 Herschel Views Deep-space Pearls on a Cosmic String" (16 Dec 2009), http://www.esa.int/esaMI/Herschel/SEMUABGNA0G_3.html.
[ 2 ] D. Arzoumanian, et al, “IC 5146におけるハーシェルによる星間フィラメントの特性評価 Characterizing Interstellar Filaments with Herschel in IC 5146", Astron. & Astrophysics, 529: L6 (2011).
[ 3 ] ESA News, “恒星の形成とソニックブームを結びつけるハーシェル望遠鏡 Herschel Links Star Formation to Sonic Booms" (13 Apr 2011) http://www.esa.int/esaCP/SEMQVH7S9MG_index_2.html.
[ 4 ] Ibid.同書に
[ 5 ] H. Alfvén, “天体物理学における二重層と回路 Double Layers and Circuits in Astrophysics", IEEE Transactions on Plasma Science Dec. 1986; PS-14; 6: 790.
[ 6 ] G. T. Marklund, “宇宙プラズマにおける化学分離のメカニズムとしてのフォースフリー磁界中のプラズマ対流 Plasma Convection in Force-free Magnetic Fields as a Mechanism for Chemical Separation in Cosmical Plasma", Nature 277: 370-371 (1 Feb 1979).
[ 7 ] Physorg, “ハーシェルが明らかにした恒星の誕生の裏面 Herschel Reveals the Hidden Side of Star Birth" (6 May 2010), http://www.physorg.com/news192368995.html.
[ 8 ] A. Ananthaswamy, “奇妙な宇宙線ホットスポットが南の空に出現 Strange Cosmic Ray Hotspots Stalk Southern Skies", New Scientist (4 May 2011), http://www.newscientist.com/article/dn20436-strange-cosmic-ray-hotspots-stalk-southern-skies.html.
[ 9 ] Ibid. 同書に
[ 10 ] H. Alfvén, 「基調講演」(宇宙物理学における二重層)"Keynote Address", in Double Layers in Astrophysics, p 13 (NASA Conference Publication 2469, 1986), http://ntrs.nasa.gov/archive/nasa/casi.ntrs.nasa.gov/19870013880_1987013880.pdf.
[ 11 ] Ibid., p. 27.
[ 12 ] Op. cit. [10], p. 15.
[ 13 ] J. C. LoPresto, et al, “太陽の極渦? Solar Polar Vortex?", NOAO/NSO Newsletter, p. 3 (Sep 2009), http://www.nso.edu/press/newsletter/SolarPolarVortex.pdf.
[ 14 ] R. Giovanelli, “太陽の秘密 Secrets of the Sun", p. 1 (Cambridge University Press 1984).
[ 15 ] R. L. F. Boyd, “Space Physics: 宇宙空間でのプラズマの研究 The Study of Plasmas in Space" (Oxford: Clarendon Press, 1974).
[ 16 ] D. Scott, 電気的な空 The Electric Sky, pp. 96-7 (Portland, OR, Mikamar Publishing, 2006).
[ 17 ] Ibid., pp. 112-3.
[ 18 ] W. Thornhill, “超新星1987aのZ-pinch形態と電気的恒星 The Z-pinch Morphology of Supernova 1987a and Electric Stars", IEEE Transactions on Plasma Science 35 (4): 832-844 (Aug 2007).
[ 19 ] A. S. Eddington, “100周年記念講演 Centenary Address", 1922, RAS Monthly Notices, 82, 436.
[ 20 ] C. H. Townes, et al, “ベテルギウスの大きさの時間による変化について A Systematic Change with Time in the Size of Betelgeuse", Astrophysical Journal 697: L127–L128 (1 Jun 2009).
[ 21 ] E. N. Parker, “マクロフィジックスと太陽についての考察。(歴史特集)Reflections on Macrophysics and the Sun: (Special Historical Review)", Solar Physics 176: 220 (1997).
[ 22 ] H. Alfvén, “プラズマ物理学、宇宙開発、太陽系の起源について Plasma Physics, Space Research and the Origin of the Solar System", ノーベル講演Nobel Lecture, p. 308 (11 Dec 1970).
[ 23 ] Op. cit. [10], p. 16.
[ 24 ] W. Thornhill, D. Talbott, “電気的宇宙論 The Electric Universe" (Portland, OR, Mikamar Publishing, 2007); also http://www.holoscience.com.
──おわり
資料
※1:(図6.1)黒点のアムブラは均一であるとは言い難く、その寿命の間、動的な変化を示す。このような不均一性は、暗い背景(黒点の傘)の中に埋め込まれた明るくてほとんどが円形の小さなパッチとして観察されることが多い。このパッチは、Danielson (1964)によってアンブラルドット umbral dots (UD)と名付けられた。UDは、あらゆるサイズ、形状、強度の黒点に現れる。
※2(図11.1) The H–R Diagram ヘルツシュプルング・ラッセル図 HR図
Luminosity 明るさ
Surface Temperature 表面温度
Spectral class スペクトル分類
多くの恒星の H-R線図の模式図。H-R線図上の星の90%は、主系列と呼ばれる狭い帯状の部分に属している。右上には少数の恒星があり、それらは冷たく (つまり赤い) かつ明るいので、巨人に違いない。一部の星は左下に位置し、高温で薄暗く、白色矮星であることがわかっている。
※なお、本文中の図11は座標軸のとり方が違うことと逆になっていることに注意してください。電気的解釈です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
図1. 南十字星の星座にある冷たいガスの雲の中での恒星形成。
画像提供:ESA and the SPIRE & PACS consortia.
図2. IC 5146分子雲のハーシェル観測から得られた27の恒星形成フィラメントのネットワーク。
Credit: D. Arzoumanian et al.
図3. マルクルンド対流の模式図[6]。
※ Radial element separation 放射状元素の分離 Filament Axis フィラメント軸 He H, O, N C, S Fe, Si, Mg
図4. 南極に埋められたアイスキューブのニュートリノ検出器。
Image credit: NSF/B Gudbjartsson.
図5. アルヴェーンのヘリオスフェア回路。
太陽は同極の発電機として働き(A)、両軸に沿って外側に向かう電流(B2)と、磁力線に沿って赤道面内に向かう電流(B1)を発生させている。
この電流はかなりの距離で閉じなければならず(B3)、均一な電流層として、あるいはより可能性の高い、ピンチした電流として現れます。
オーロラ回路と同様に、太陽の軸上に対称的に配置された二重層(DL)が存在する可能性があります。
「そのような二重層はまだ発見されていません」
クレジット:ハンス・アルヴェーンによるオリジナルの図。[11]
図6. この画像では、これまでで最も鮮明な太陽表面の画像の中に、惑星サイズの黒点の暗い中心部付近に驚くべき神秘的なディテールが写っています。
黒点内に伸びる明るいフィラメントの中に、ヘアやカナルと呼ばれる特徴とともに、暗いコアが見えており、これまで知られていなかった未開の太陽現象を表している。
今回明らかになったフィラメントの暗いコアは、長さが数千キロメートル、幅はわずか100キロメートル程度であることが分かりました。
画像出典:米航空宇宙局(NASA)
写真提供:NASA Göran B. Scharmer, and Boris V. Gudiksen, Swedish Institute for Solar Physics.
図7. 紫外光に照らされた太陽のプラズマトーラス(赤道方向から見た図[左]と極方向から見た図[右])。
画像提供:SOHO / NASA
図8. ようこう(日本の太陽観測衛星)が撮影した、1991年から1995年にかけての太陽の極小期から極大期のX線太陽。
Credit: G.L. Slater and G.A. Linford; S.L. Freeland, The Yohkoh Project.
図9. クレジット:W.ソーンヒル(W.Allis & R.Juergensにちなんで???に倣って)
photosphere tufts フォトスフィア・タフツ
chromosphere 彩色圏
corona (primary plasma) コロナ(一次プラズマ)
voltage 電圧
cool body of the sun 太陽の熱のない?体
primary plasma potential 一次プラズマ電位
radial distance 放射距離
図10. 太陽の一次電流と二次電流。
Credit: D. Scott, The Electric Sky. [16]
※ Magnetic fields increasing in strength 強さを増す磁界
Main current increasing in strength 強くなる主電流
Magnetic loop created by the secondary current 二次電流が作る磁気ループ
Secondary current 二次電流
図11. 電気的 H-Rプロット
Luminosity 明るさ
current density 電流密度
supergiants 超巨星
giants 巨星
main sequence 主系列星
white dwarfs 白色矮星