ウクライナを紹介します

ウクライナ人の平均的な月収はわずか190ユーロ。アナリストによると、最も平均純給料が高いのはスイス。平均的なスイス人の税引き後の月収は、5,000ドルを下らない。

・ウクライナで法定最低賃金が初めて導入された2015年、1時間あたり50円
・2017年、月の最低賃金は14,000円
・しかし、欧米の労働組合や"人権活動家"は、人権を侵害する繊維産業の低賃金といえば、いまだにアジアやバングラデシュに目を向けている。

・ウクライナはソビエト連邦の工業生産の中心地だった
・1991年の独立後、オリガルヒが企業を買収し、利益を得て、イノベーションには何も注ぎ込まなかった
・欧米企業にとっては、数百万人の有能な従業員が低賃金で利用可能だった

・1990年代後半までに、数十万人のウクライナ人がロシアに移住していた
・2000年代以降、2014年のマイダンクーデターの余波で加速し、約500万人のウクライナ人が出稼ぎ労働者となった。約200万人が事実上、海外に永住し、約300万人が近隣の国に通勤している

・平均して、女性の給与は男性の同僚の3分の1
・ウクライナで売春婦として働く推定18万人の女性の中には、月給18,000円では生活できない小学校教師、離婚した子持ちの独身女性、失業中の女性が含まれる

・ウクライナは産業用代理出産の世界的なホットスポット
・570万円から930万円が、健康な赤ちゃんを産むための価格。アメリカでは1,600万円から3,400万円
・生まれた子どもには、ドイツ領事館で出生証明書とパスポートが発行される

・農民たちは国内外のオリガルヒに小さな土地を、2008年の80ドルから現在年平均150ドルという低額のレンタル料で貸し出してきた

・ウクライナは、違法タバコをヨーロッパに届けるための世界的なハブ

・ヨーロッパで最も高い軍事費

・2017年以降、平均年金は8,000円

・ウクライナの人口は5100万人から現在は4100万人に縮小。戦争が起こる前から、2050年には3200万人と予測

・ウクライナは栄養失調による死亡でヨーロッパで1位

ヨーロッパの最貧国にしたのは誰?

驚きましたか?
賃金や年金の額など一桁間違ってるんじゃないかと思われかもしれません。ちなみに、ユーロから円への換算は現在のレートでの概算です。

2022年のロシアの特別軍事作戦以降、軍事的なことに関心がいってしまいがちですが、ウクライナという国は汚職国家としても有名ですが、一体どういう国なのか?
一言で言えば、ソ連邦崩壊後、ウクライナはロシアのエリツィン時代と同じように、西側諸国とオルガリヒの食い物にされてきたようです。EUがウクライナを支援する理由は、ロシアを叩き潰して、その国土、資源などを略奪したいという動機の他に、ウクライナの安い労働力をあてにしているのではないでしょうか。ですから、ゼレンスキー政権とはEUにとって、搾り取るための便利な悪代官と言えそうです。その意味では日本の自民党統一教会政府も似ています。

欧州の最貧国 2023年
一人当たりGDP 米ドル

欧州の最貧国 2023年

欧州最貧国トップ10(2020年一人当たりGNI、アトラス方式、現行米ドル)*
ウクライナ – 3,540ドル
ジョージア(グルジア) – 4,290ドル
コソボ(一部承認) – 4,440ドル
モルドバ – 4,570ドル
アルバニア – 5,210ドル
北マケドニア – 5,720ドル
ボスニア・ヘルツェゴビナ – 6,090ドル
ベラルーシ – 6,330ドル
セルビア – 7,400ドル
モンテネグロ – 7,900ドル

我々のヨーロッパ的価値観: ウクライナの最低賃金は1.21ユーロ(175円)

‘Our European Values’: 1.21 Euro Minimum Wage in Ukraine
Werner Rügemer
July 27, 2022
© Photo: REUTERS/Yves Herman
「我々のヨーロッパ的価値観」: ウクライナの最低賃金は1.21ユーロ(175円)
ヴェルナー・リューゲマー(Werner Rügemer)
2022年7月27日

REUTERS/Yves Herman
REUTERS/Yves Herman

ヨーロッパで最も貧しく、最も病気の人が多い国、タバコの密輸の拠点、女性の身体売買の世界的リーダーであるウクライナを紹介する。

ウクライナで法定最低賃金が初めて導入された2015年、それは0.34ユーロ、つまり1時間あたり34セント(50円)だった。その後、2017年は68セント、2019年は10セントアップの78セント、2021年からは1.21ユーロと、引き上げが続いている。
聞いたことがありますか?

この最低賃金でさえも、必ず支払われるわけではない

もちろん、この状態で実際にこの最低賃金が正しく支払われているかというと、そうではない。したがって、2017年の完全週休二日制の場合、月の最低賃金は96ユーロ(14,000円)だった。しかし、例えば繊維・皮革産業では、ほとんどが女性労働者の3分の1は、この最低賃金が期限内に支払われることはほとんどなかった。また、1時間に一定枚数のシャツを縫わなければならない、うまくいかなければ無給の手直しをしなければならないといった、枚数による支払いも横行している。

注文がなければ、無給の休暇が命じられた。多くの場合、法律で定められた年次休暇が付与されなかったり、支払われなかったりした。経営陣は従業員代表の選出を阻止した。この最低賃金では、人々は公的な生活水準をはるかに下回っていた。問題となっている年の賃金は166ユーロ(24,000円)だった。

ウクライナから近隣EU諸国への飢餓賃金の連鎖

正式に登録された繊維企業は約2,800社あるが、未登録の中小企業も同様に多数存在すると思われる。何十年もの間、小さな町や村では、こうした中小企業が常態の闇経済を形成してきた。

しかし、これらの企業のほとんどは、近隣のEU諸国、特にポーランド、そしてルーマニアやハンガリーの、国際的につながりの深い低コスト生産者の二流サプライヤーに過ぎない。

こうして、靴の41%は飢餓賃金の半製品としてウクライナからまずルーマニア、ハンガリー、イタリアの低賃金工場に送られ、そこで “Made in EU"という無邪気で美しいラベルを手に入れる。

繊維労働者自身は、ドイツからの中古品しか買えない

約22万人の繊維労働者の大半は高齢の女性である。自給自足の農業、例えば鶏小屋のある庭を持つことでしか、生活を維持することができない。栄養失調による病気はよくあることだ。

繊維労働者は、主にドイツ、ポーランド、ベルギー、スイス、米国から輸入される中古品から自分の服を購入する。ウクライナは輸出よりも輸入の方がはるかに多い。

ウクライナで事前に生産された、豊かなEU西側からの高価なボスやエスプリの輸入品は、キエフの金持ちエリートやNGOバブルに向けられるが、輸入品の大部分は最も安い中古の繊維製品である。繊維労働者、そして実際に国民の大多数は、クリーン クロース キャンペーン(きれいなお洋服キャンペーン=1989 年にオランダで結成された衣料品業界最大の労働組合と非政府組織の同盟)が報告したように、豊かな国からのほとんど無料の使い捨ての繊維製品しか買えないのだ。

しかし、欧米の労働組合や “人権活動家"は、人権を侵害する繊維産業の低賃金といえば、いまだにアジアやバングラデシュに目を向けている。ウクライナの低賃金はもっと低いのだが。また、現在EUやドイツ連邦議会で行われているサプライチェーン法についての議論では、EUとウクライナの貧困の連鎖が否定される一方で、視界は遠くグローバルにアジアへと続いている。

ここには、腐敗がある。C&A、ヒューゴ・ボス、アディダス、マークス&スペンサー、ニューバランス、エスプリ、ザラ、メックスなどが利益を得ているエンドユーザーである。これらは、人権に反する搾取によって生きている。豊かなEU諸国では、汚職の主役たちがここに座っている。彼らは、存在しないか共謀しているウクライナ国家の労働検査官を密かに歓迎し、EUもまた、ウクライナの腐敗に対する偽善的で筋の通らない勧告の決まったやり方で、体系的な労働不正をカバーしている。

自動車部品メーカー、製薬会社、機械製造会社

繊維・皮革産業と似たようなことが、他の分野でも起こっている。ウクライナはソビエト連邦の工業生産の中心地であった。1991年の独立後、オリガルヒが企業を買収し、利益を得て、イノベーションには何も注ぎ込まなかった。欧米企業にとっては、数百万人の有能な従業員が低賃金で利用可能だった。

アメリカやEU諸国を中心とする数千の企業、ドイツだけでも約2,000社が、単純な部品の下請け注文をした。例えば、ポルシェ、VW、BMW、シェフラー(機械、装置、車両、航空宇宙などの用途で使われる軸受の開発、製造)、ボッシュ、レオニなどの自動車用電線メーカー、バイエル、BASF、ヘンケル、レシオファーム、ウエラなどの医薬品グループによる製品の充填・包装、アルセロール・ミッタル(世界最大級の鉄鋼メーカー)、シーメンス、デマーグ(産業用クレーン)、ヴァイラント(暖房、冷房、給湯用製品)、ヴィースマン(ドイツに本拠を置く、暖房機器メーカー)による組立・販売拠点などだ。
ここでは2~3ユーロの賃金が支払われ、つまり最低賃金よりは高いが、近隣のEU諸国であるハンガリー、ポーランド、ルーマニアに比べればまだ低い。

そのため、ウクライナのサイトは、法定最低賃金が3ユーロ(400円)以上4ユーロ(580円)未満のこれらEU近隣諸国の同じ会社のサイトと密接にネットワークされている。ただし、EUに加盟していない、さらに貧しい隣国のモルドバ、グルジア、アルメニアとも同様にネットワークが構築されている。ここでも支店が運営されている。EUによって組織された"東側近隣諸国"の中では、資格の違いや低賃金であっても、ウクライナを回転ドアに見立てて、すべて搾取される。

数百万人の労働移動

欧米の資本家による立地条件の優位性の選択的利用は、国家の経済発展には結びつかなかった。それどころか、ウクライナは経済的に貧しくなった。国民の大多数が貧しくなり、病気になった。大衆の反応は労働移動である。

それは早くから始まっていた。1990年代後半までに、数十万人のウクライナ人がロシアに移住していた。賃金はさほど高くないが、ロシアではライフスタイルの過度な欧米化や食費、家賃、医療費、役所の手数料などの生活費の上昇が浸透していない。

2000年代以降、2014年のマイダンクーデターの余波で加速し、約500万人のウクライナ人が出稼ぎ労働者となっている。約200万人が事実上、海外に永住し、約300万人が近隣の国に通勤している。特に、ウクライナ西部の領有権を主張するポーランドは、ウクライナからの労働移動を奨励している。
ポーランドでは、約200万人のウクライナ人が、主に清掃員、家事手伝い、ウェイター、高齢者介護、トラック運転手などの高い技術を必要としない仕事で雇用されている。ポーランドでは、雇用仲介業者のビジネスも盛んだ。彼らは、ウクライナ人をポーランド人と申告し、例えばドイツやスイスでホームヘルパーとして紹介する。週40時間労働で最低賃金を支払うが、実際には、ケアワーカー(支援員)はポーランドの仲介業者との契約に従い、24時間待機していなければならない。

また、ルーマニア、ハンガリー、スロバキア、チェコ共和国では、何十万人ものウクライナ人が常用、臨時、通勤で雇用されており、最低賃金は3.10ユーロ(450円)から3.76ユーロ(550円)である。
ウクライナ人は、この最低賃金より少し下に追いやられたとしても、これには満足している。それでも自国よりずっといいが、労働監督局は何も言わないし、EUも何も言わない。
[ヴェルナー・リューゲマー:「インペリウム(絶対権)EU ─ 労働の不正、危機、新しい抵抗」tredition, 2021]

ウクライナからの留学生は、EUの農業で季節労働者として献身的に働くのが好きだ。ニーダーザクセン州(ドイツ)だけでも、毎年約7,000人の留学生がいるが、ウクライナからの留学生は、明らかに、必ずしも勉強しているわけではなく、偽造された入学許可証で入学している。ウクライナでもドイツでも、管理されていないことが、フリードリヒ・エーベルト財団の調査で判明した。

リトアニアの最低賃金は2015年は1.82ユーロ(260円)で、当時のウクライナの5倍、2020年は3.72ユーロ(540円)となる。EUは、リトアニアをヨーロッパの貨物輸送センターとして発展させることを推進している。人工知能の助けを借りて、ウクライナやモルドバなどの第三国から、またフィリピンなどさらに遠くから、安価で意欲的なトラックドライバーをヨーロッパ中に派遣している。彼らは、スマートフォンとナビゲーターで指示を受けるので、言語を学ぶ必要はない。例えば、ウクライナ戦争が始まると、リトアニアやポーランドのトラック会社は突然、10万人以上のウクライナ出身のトラック運転手が不足することになったが、ウクライナ出身者は兵役のため出国できなかった。

女性の貧困 I : 禁じられた売春がまん延する

家父長的な(男性に支配された)寡頭政治国家であるウクライナは、男女間の不平等を極度に深めている。男女の賃金格差は32%で、ウクライナの女性はヨーロッパで最下位に位置している。平均して、女性の給与は男性の同僚より3分の1少なく、金融・保険の分野では、同じ仕事でもEU平均が14%であるのに対し、40%という高い数字になっている。家父長的な固定観念から、女性は特に不安定なパートタイムの仕事に追いやられることが多く、女性差別の点でEU諸国の中で下から2番目に位置するアンゲラ・メルケルのドイツでは、なおさらだ。

このような家父長的な女性の貧困には、このような状況下で蔓延している売春の禁止も含まれている。月給120ユーロ(18,000円)では生活できない小学校教師も、ウクライナで売春婦として働く推定18万人の女性、離婚した子持ちの独身女性、失業中の女性の中に含まれている。

売春は禁じられているため、売春宿の経営者は警察官やタクシー運転手と同様に、黙認することで収入を得ている。首都キエフの一等地にある売春宿のように、民間のアパートも利用されている。観光客は誘い込まれる。80ユーロ(11.000円)で彼らは入ってしまうのだ。一晩に8回のサービスは珍しくはない。収入の半分弱が女性たちの手元に残る。1年、2年、あるいは3年の暫定期間を望む人もいる。しかし、多くの場合、それは無駄なことである。3分の1は薬物中毒になり、3分の1はHIV陽性とみなされる。

今世紀初頭のシュレーダー/SPD(ドイツ社会民主党)とフィッシャー/グリーン(緑の党)の連邦政府による性的サービスの"自由化"以降、ドイツは “ヨーロッパの売春宿"となった。連邦政府が所有する開発機関GTZは「女性のためのドイツ旅行ガイド」で、今や性ビジネスで良い見込みのあるウクライナ人女性の募集広告を出した。多くの人がやってきた。
メルケル首相のドイツは、商業売春のヨーロッパの中心地となった。そのほとんどは違法で、当局が容認している。EU加盟国の出身でない女性にとっては好条件である。だから、ポン引きが今、2022年の国境で逃避するウクライナ人女性をリクルートしようとしているのは明らかである。

女性の貧困II : 搾取される素材としての女性の身体

ウクライナは、欧米企業にとって、他では禁止されている行為に従事できる喜ばしい場所であり、米国主導のグローバリゼーションにとって1000倍の場所である。これは、違法な売春をはるかに超えた、女性の身体の商業的利用についても同様である。

ウクライナは産業用代理出産の世界的なホットスポットであり、他よりも大々的な “自由化"が行われている。
広範な女性の貧困は、無尽蔵の貯蔵庫となる。

Vittoria Vita、La Vita Nova、Delivering Dreams、あるいはもっと平凡にBioTex、これらはキエフとハリコフの代理出産業者がそのサービスと女性を宣伝する名前である。外国人富裕層向けのカタログには、かわいくて健康なウクライナ人女性が掲載されている。39,900ユーロ(570万円)から64,900ユーロ(930万円)が、健康な赤ちゃんを産むための価格である。アメリカ、カナダ、西ヨーロッパ、中国から子宝を願う旅行者がやってくる。

妊娠を希望する親は、卵子と精子を数十カ所ある専門クリニックに届ける。そして、試験管の中で受精させる。それから、外国産の胚が代理母に移植される。代理母は、遺伝的に異質な子供を身ごもる。これはアメリカで開発されたものだが、アメリカでは11万ユーロ(1,600万円)から24万ユーロ(3,400万円)と、かなり高額である。
ウクライナでは、あまり規制されていない。子供を身ごもる女性は、子供と遺伝的に何の関係もあってはいけない。彼女は、使用後すぐに忘れ去られ、もはや存在しない、全く別の外国人カップルのために次の使用準備ができる単なる外国の道具なのである。

価格は、妊娠を希望する親が、注文した赤ちゃんに特定の性別を希望するかどうかによって異なる。性別の選択がない場合、BioTexでは39,900ユーロ、希望する性別に2回挑戦する場合は49,900ユーロ、無制限に挑戦する場合は64,900ユーロとなる。これらのキャンペーンには、ホテル宿泊費、ドイツ領事館での出生証明書とパスポートの発行が含まれている。これまでに、世界中で10,000人以上の赤ちゃんが誕生している。

代理母、代理出産を行う会社には「代理出産ウクライナ」という適切な名前がついているが、妊娠中に300〜400ユーロ(58,000円)の毎月のボーナスを受け取り、成功出産後は成功ボーナスは15,000ユーロ(200万円)に増額される。流産したり、子供に障害があったり、養子縁組が拒否されたりした場合、代理母は何も得られない。彼らの心理状態は考慮されず、健康被害に対する社会保障もない。長期的な影響についての研究もなされていない。

ゼロ時間雇用契約、労働組合の没収

※ゼロ時間雇用契約:労働者は自宅に待機しており、雇用主から呼び出された時に、雇用主の希望する時間だけ働くという契約

ゼレンスキー政権は最低賃金を1.21ユーロ(150円)に引き上げたが、同時に独立以来すでにますます弱体化している労働組合を弱体化・破壊している。2019年12月の労働法は、これまでの極端な労働不公正の集大成である。

*ゼロ時間労働契約が認められる。オンデマンドで仕事ができる。起業家は割り当てる仕事があるとき、急遽従業員を確保する。労働時間数も労働による収入もゼロにすることができる。

*解雇はもはや正当化される必要はない。

*雇用契約の個人交渉が奨励される。"交渉"とは、もちろん、代替案のない申し出の婉曲的な用語であり、高い失業率を考えれば問題にはならない。従業員数が250人未満の企業では団体交渉の停止が可能で、これは企業の95%以上に相当する。この恩恵を受ける企業は、特に国有企業、次にアグリビジネス、ネスレやフィリップ・モリスなどの食品・タバコ企業である。

さらに、労働組合は取り上げられ、その資産は差し押さえられることになっている。弱体化したとはいえ、彼らはまだ土地や、場合によってはソ連時代の大きな家を持っており、それらは都市の中心部にある。ゼレンスキーにとって、これらは “ロシアの残り物"であり、没収するのだ!

何十万人ものウクライナ人がこの新法に抗議した。欧米のニュースは一切報じなかった。2021年9月9日付の共同書簡で、国際労働組合連合と欧州労働組合連合(ITUC、CSI、ETUC)は、ウクライナ政府とウクライナの統合を担当するEU委員会に指摘した。ウクライナの新労働法は、すべての国連と国際労働機関(ILO)の労働権だけでなくEUの低い基準も侵害している。が、返答はない。

農民の収奪と貧窮化

独立後、集団農場からおよそ700万人の農民が財産として割り当てられた土地は平均4ヘクタール程度だった。これでは、独立して農業経営を行うには少なすぎる。そのため、農民たちはこれまで、国内外のオリガルヒに小さな土地を、2008年の 80ドルから現在年平均150ドルという低額のレンタル料で貸し出してきた。

例えば、オリガルヒのアンドリー・ヴェレフスキーと彼のカーネル・グループは57万ヘクタールのリース地を取得し、オリガルヒのオレグ・バフマチュークと UkrLandFarming は50万ヘクタールを取得、ニューヨークの米国 “イナゴ(貪欲な)" 投資家の NCH Capital は40万ヘクタールを取得、MHP のユリ・コシユクは37万ヘクタール、彼のアグロ・ホールディングのリナット・アフメドフは22万ヘクタールである。一方、サウジアラビアのコンチネンタルファーマーズグループは “たった"195,000ヘクタールを借りているに過ぎない。
スウェーデンやオランダの年金基金も関与している。バイエルン州からは、ディートリッヒ・トライスやハンス・ヴェンツェルといった小さなオリガルヒがやってきて、彼らは自宅に60ヘクタールの畑を持っているが、ウクライナでは4,500ヘクタールを他に類を見ないほど安いリースで栽培している。ザクセン州のアレクサンダー・ウォルターズも一緒に4,200ヘクタールを1ヘクタールあたり年間60ユーロ(8,650円)でリースしている。

いずれもEUや欧米の世界市場に完全に組み込まれている。

*アグリビジネスの法的・税務的な拠点は、キプロス、ルクセンブルグ、スイスといったEU標準の財務回避地にあることが望ましい。ウクライナ政府は免税や補助金を提供している。

*欧州復興開発銀行(EBRD)、欧州投資銀行(EIB)から多額の融資を受けている。

*種子、肥料、農薬、農業技術は、主にカーギル、アーチャーダニエルズ、ジョンディア、コルテバ、バイエル、BASFといった米国とドイツの企業の手中にある。

高給取りの経営者が事業を運営している。少数の農民は、この大規模なアグリビジネスの中で、最低賃金で非熟練労働を行うことができる。わずかな非リース(リースの対象ではない)の土地で、彼らは細々と生きていくことができる。

しかし、ゼレンスキー政権は、このリース契約を終了させた。2021年7月1日より、農民は土地を売却できるようになり、当初はウクライナ国籍を持つ買い手にのみ売却できた。そのために、政府はオークションサイトを立ち上げ、匿名での入札もできるようにした。
肥沃度の高いウクライナの黒土の売却解除は、オリガルヒの土地収奪者だけでなく、国際通貨基金(IMF)も要求していた。IMFは、50億ドルの新規融資のために、大きな負債を抱えるウクライナにこの条件を課していた。土地は売ってもよい、そうすれば景気は上向く!
2024年に行われる国民投票で、外国人への土地売却という次のステップに進むことになる。農民の家族がさらに困窮するのは、このような状況下で始まる結果のひとつである。そのため、多くの農民がこの"土地改革"に抗議したが、効果はなかった。

密輸センター・ウクライナ、30年前から

1992年から、たばこ最大手のフィリップ・モリス、R.J.レイノルズ、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ、日本たばこ産業がウクライナのたばこ工場を買収した。その際、国が少数株主として数年間留まるケースもあった。

生産は順調だったが、今は低賃金の熟練工はウクライナ市場には最低限しか当てられていない。マルボロやチェスターフィールドのような高級ブランドから、最も安いブランドまで幅広く輸出用に生産された。その見返りとして、加担した政府はタバコ税を欧州の半分以下という国際的に見ても破格の水準まで引き下げた。同時に、税関の管理も最低水準に保たれた。

1990年代末、欧州委員会は、フィリップモリス社が90%以上をウクライナで生産し、貧しい国だけでなく、豊かなEU諸国への世界的な密輸のために安いタバコを含む輸出を行うことに気がついた。この密輸により、EU諸国は年間40億ユーロの損害を被ることになる。
EUはフィリップモリスとレイノルズを損害賠償で訴えた。ニューヨークの裁判所は、2001年にこの訴えを棄却した。その3年後、フィリップモリスはEUに13億ドルを支払い、密輸と偽造ラベルの撲滅を支援することに合意した。

しかし、モリスは当分の間支払わず、2010年に協定が更新された。モリス社は、ベルギー、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ポルトガル、スペインに、12年間に渡ってこの金額を支払うことに同意した。これらの国は協定に署名したが、東欧のすべてのEU諸国は署名しなかった。
同時に、舞台裏では共謀が進行していた。2001年から2007年までEU委員会の法務局長を務めたミシェル・プティット氏は、2008年に米国の法律事務所クリフォード・チャンスに移籍し、そこでフィリップ・モリス社を担当し、EUの「倫理委員会」委員長にも就任した。

ウクライナではマルボロのタバコ1箱が2.50ユーロ(360円)、コソボでは1.65ユーロ(2021年時点)、その間タバコ税が多少値上がりしているにもかかわらず、ドイツでは7ユーロ(1,000円)、ベルギーでは 6.20、フランスでは10、イタリアでは6、といった具合に、1箱の値段は高くなる。したがって、当然ながら、ウクライナからの輸出と密輸は続いている。
2022年の第21回EU・ウクライナ首脳会議を含め、交渉が形式主義で決着しないのはそのためである。ウクライナ大統領府のオレクシー・ホンチャルク副長官は「ウクライナは、違法タバコをヨーロッパに届けるための世界的なハブになっている」と認めている。もちろん、ゼレンスキー大統領は、ウクライナがこれまで以上に断固としてタバコの密輸と戦うことを改めて公約に掲げている。

ウクライナ、ヨーロッパで最も高い軍事費

NATO通信部、ホライズン キャピタル Horizon Capital、スウェドバンク Swedbank、全米民主主義基金 National Endowment for Democracy、黒海トラスト Black Sea Trust、オープン・ソサエティ財団 Soros Foundation といった欧米の関係者が組織した2014年のマイダンクーデターは、けちな銀行家アルセニー・ヤツェニュクをウクライナの首相の座に押し上げた。
対ロシア・ボイコットにより、ウクライナでは数十万人の雇用が失われ、自動車部品メーカーのレオニなどドイツ企業だけでも約4万人の雇用が失われた。

ウクライナ政府は今度はEUに習って、2015年に法定最低賃金、労働1時間あたり34セント(34円)を導入した。これは、労働所得が動くレベルを明確に発表したものだった。繊維産業やアグリビジネスのような労働者は、最低賃金が実際に支払われると喜ぶ。その他の従業員は、時給が3ユーロ(430円)に近づくと喜ぶ。外国方面への労働移動は加速し、それほど貧しくない東欧の近隣諸国が昔も今も喜んで利用している。

人口の多さでヨーロッパで最も貧しい国家は、NATO、特に米英の支援を得て、2016年からさらに加速して再軍備を行い、5年で国内総生産(GDP)の 2.9%の軍事費から、2020年には倍増する。戦争以前は5.9%。オバマ米大統領が要求する軍事予算の2%への引き上げの高率の広告塔となった。これにより、ウクライナはサウジアラビアに次いで世界第2位となり、米国の模範である高度に武装したイスラエルを上回ることになった。

NATO非加盟国のウクライナは、人口4100万人で、29万2,000人の兵士を擁し、他のNATO加盟国やそれ以上の規模の国(もちろん米国は除く)よりも多くの軍隊を持っている。つまり、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、ギリシャ、スペイン、ポーランド、ルーマニアよりも多くの兵士がいる。
ヨーロッパで最も貧しい人口を抱える国家が、同時にワシントン、ブリュッセル、ロンドン、パリ、ベルリンの自国あるいはその領主たちに、おそらく戦争の準備のため、あるいは何のために、圧倒的に高い軍事費を支払う余裕があったのだろうか。

ヨーロッパで最も貧しく、最も病んでいる人々

IMFは、"ヨーロッパで最も腐敗した国家"(トランスペアレンシー・インターナショナル=腐敗、特に汚職に対して取り組む国際非政府組織)に対して、社会保障や年金の削減、自治体の料金(上下水道、ゴミ)およびエネルギー価格の引き上げ、さらなる民営化を条件に融資した。IMFはまた、戦争屋(戦争挑発者)でもあった。ドンバスを失えば、欧米の融資額に悪影響が出ることを知らしめたのである。

2020年、国の借金は、EU加盟に有利な60%まで削減された。それに伴う結果は、国民の大半はさらに貧しくなり、生活費、食費、市税、家賃、医療費、エネルギー費が上昇し、今では部分的にしか買えないか、まったく買えない状態になっている。
マイダンクーデター前の2013年の平均年金はまだ140ユーロ(2万円)で、これはウクライナ独立史上最高だった。2017年以降、平均年金は55ユーロ(8,000円)だ。ますます多くの年金受給者が、仕事を見つけたとしても、働き続けなければならなくなった。

欧米志向の独立以来、ウクライナの人口は5100万人から現在は4100万人に縮小している。国際移住機関(IOM)は、戦争が起こる前から、2050年にはさらに人口が減少し、3200万人今よりさらに平均年齢が高くなると予測していた。

ヨーロッパで最も貧しい人々は、最も病んでいる。2019年に欧州疫学ジャーナルが記録したように、ウクライナは栄養失調による死亡でヨーロッパで1位だ。

欧州委員会委員長のフォン・デア・ライエンが絶賛したように「ウクライナは感動するほど(見事なまでに)我々のヨーロッパの価値を守っている!」
だからこそ、ウクライナはEUの一員になるべきなのだ。委員長はさらに「ウクライナはヨーロッパの夢のために死ぬ覚悟があるからこそ、この地位に値するのだ」と付け加えた。

虚飾的(利己主義と傲慢)なクリスチャン Christian-painted 政治家は、自分が思っている以上に正しい。

ヴェルナー・リューゲマー
ヴェルナー・リューゲマー

ヴェルナー・リューゲマー
ドイツのコメンテーター、講演者、作家。
“介在する哲学者"の代表格とされる。

──おわり
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
@kiyo18383090

Posted by kiyo.I