兄からの性的虐待について

ランドスケープ

誰に相談すれば?

誰に相談すればいいのだろう? どう相談すればいいのだろう? 相談したからといって、忘れられるだろうか? 色々な思いが渦巻いて迷っていらっしゃると想像します。
EMDRという治療法をご存知でしょうか? とてもシンプルな治療法ですが効果的です。記事の最後になりますが紹介します。

最初に具体例から始めます。
以下の文はカウンセリング.COMでの相談内容です。

兄から性的な嫌がらせ。
どうすれば良いのか教えて下さい

私はむかし、兄から性的な嫌がらせを受けていました。
私が小学生で兄が中学生のころ寝る際に兄から私の布団に入ってきて私の性器を触り始めたのが最初です。その時に抵抗しましたが、力も敵わないのでムダでした。
結局ヒートアップし続け私の性器を舐めたり兄の性器を触らせることや舐めることを強要してきました。(もちろんやりたくはなかったですが半ば強引にさせられました。)

今はもうこのようなことはないのですが、学校で卑猥な発言を全体に向け注意されたことを発端に思い出し始め1ヶ月程度忘れられなくて考えてしまいます。
今は私も中学生になりましたが、授業中や部活中に思い出し泣きだしそうになることもあります。一人でいるときなんかは思いっきり泣いてしまいます。
正直、自分の部屋や、自分の中で収まるのなら良いのですが、学校で泣きだしたり取り乱してしまうことが怖いです。

今、親からの暴言にも悩んでいてスクールカウンセリングも受けています。とっても悩んでいますが、その時に兄から性的な嫌がらせを受けていたことについて困っているということを相談しても良いのでしょうか?
そして、兄から受けた嫌がらせを忘れられず泣きだしたりしてしまう私は弱いのでしょうか? やはり、止めさせられなかった私に非があるのでしょうか?
この前は自分がどうすれば良いのか分からなくなってしまい自傷をしてしまいました。もう、自分が我慢すれば良いのに人を頼ろうとすることが本当に情けないです。

終始ボロボロな文になってしまい申し訳ありません。
兄から受けた嫌がらせについてどんなアドバイスでも大丈夫です。ぜひ私はどうすれば良いのか教えて下さい。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

同じように兄からいたずらをされたという相談はとても多いです。
以下はそのときに私が回答したものを再構成しました。

あなたはどこも間違っていません

兄の性的な嫌がらせをどうとらえるかですが、嫌がらせととらえると、あたかもあなたにも原因があって、あなたにも悪いところがあったかのように思えてきませんか?

あなたのお兄さんは、ただ自分の好奇心や性的な興味を満たしたかっただけではないでしょうか? だからといって許されるわけではありません。ただ好奇心や興味を満たしたいだけで、あなたがどう感じているのかとか、傷つけてしまったということは、まったく考えていなかったと思います。つまり反省してないという事です。

お兄さんの興味本位な身勝手さは、自身で代償を払っているはずです。ですから、”事故”だったととらえたほうがいいように感じます。

”事故”だったら、自分のことを「私は弱いのでしょうか?」とか「私に非があるのでしょうか?」というふうに責めなくてすみます。もちろん弱くもないし非もありません。
あなたの人に対するやさしさがそう思わせてしまうのかもしれません。

さらに「自分が我慢すれば良いのに人を頼ろうとすることが本当に情けない」なんて、思わなくてすみます。我慢することではありません。あなたには何の問題もなかったのだから。

自分を犠牲にしていたことにも気付いてください。

親からの暴言ですが、親から暴言を受ける前に、自分の中で、自分自身に対して暴言のような事をしていませんでしたか?
自分に非があると誤解して責めていませんでしたか?
共通していませんか?

自分を責めてしまうと、まわりの人があなたに暴言という形で危害を加えるようなことが起きてしまいます。まわりで起きる事はあなたの「鏡」なんです。

自分に非があるという誤解があなたの不安や悩みの原因です。
家族に迷惑をかけたくなくて、兄でさえもかばおうとしていたかもしれません。

あなたに落ち度はひとかけらもありません。間違った思い込みで自分を追い込まないでください。あなたには人への優しさや人を助けようとするいい所がいっぱいあります。自分に✖ではなく〇をつけてください。

もし今でも虐待されているのであれば身を隠すことが先決です。虐待を働く相手からは性的なことに限らずどんな場合でも離れてください。

相手は家族である兄です。恨んでも恨んでも恨みきれません。されたことと家族だという現実が心の中でぶつかり合います。兄へのどうしようもない整理しきれない気持ちは、兄だけにとどまらず世の中の男性すべてに対しての嫌悪感、性的な行為への嫌悪感に直結してしまいます。

男性という存在そのものが信じられなくなり、そういう目で見てしまいます。そうしている自分も嫌になるかもしれません。すべての男性がそうでないことは理屈では分かっていても、許せない気持ちで心を開くことができません。

ですが、恨みつらみの気持ちがどんなに正当であっても、許せない気持ちがやむを得ないものであったとしても、残念ながらここには出口はありません。被害者という意識から抜け出せず悩み続けるという袋小路に迷い込みます。それこそ言葉に言い表せないほど辛いことです。

花びらと女性

自分を責めるとトラウマは消えません

このケースでは、「事故」だと思ってはどうでしょうかって提案しました。
こんな辛い思いをして、「事故」だなんて冗談ではないかもしれません。
それを承知で提案しました。

なぜかというと、抵抗しきれなかった罪悪感で苦しんで欲しくなかったからです。兄にとってはその時だけのことかもしれませんが、された側にとっては一生苦しむことになりかねません。それこそ言いようのない悲しみです。なんの落ち度も罪もなかったのですから。

ですから、自分が弱いせいだとか、自分に非があるとか考えないでください。弱かったとか非があると誤解するとさらに問題を長引かせてしまいます。

子供の頃というのは、親に何度も叱られるのが普通です。叱られるようなことをしたのかもしれません。ですが親はその時の気分で叱ることがよくあります。機嫌が悪かったとか、余裕がなかったとか。親自身、自らのイライラに対処できないでいることが多いのです。親といえども欠点のある人間です。

子どもからすれば力でも言葉でも親にかないませんから、自分が悪いのでは?って考えるしかありません。そこから間違いが始まり、不安や悩み事が生まれます。

兄にされたこと。ふたつのとらえ方

された方は相手を怪物のように見るか、自分に非があると思ってしまうか、その両方です。

相手を怪物のように見る見方は、男性嫌悪や性的なものに対する嫌悪感につながります。

自分に非があると思う見方は、罪悪感や犠牲的な行動につながります。

いずれも間違っています。
どちらものちのち様々な問題を作ってしまいます。つまり悩みというループがここで作られてしまいます。
ですからトラウマとなってしまった辛い経験を自分にとってどういう経験としたいのかがとても大切なことです。どういう経験にするか自分で選べます。

では、何が正解なのか? どうとらえるのがいいのか?
「自分を弱者にしない」だと思います。

あなたは同じような目にあった人の気持ちがとても良く理解できるはずです。そういう人たちを助けることができます。同じような目にあった人にとって理解して共感してくれる人がいるだけで救われます。

自分のこと愛していますか?

自分の中に、さらに相手の中に問題や原因を見つけようとするとキリがなく間違った方向にいってしまいます。自己嫌悪は問題を複雑にするだけです。
自分自身を許してください。
愛してください。
そして前に進んでください。

EMDRとは?

最初に紹介したEMDRですが、ある意味とてもシンプルなトラウマ治療法です。
クライエントの方はトラウマを思い浮かべます。同時に治療者は目の前で指を左右に振ります。その動きを頭は動かさないで眼球だけを動かして指先を追い続けます。基本的にはそれだけのことをします。信じられないかもしれませんがこれで苦痛が和らぐことがあります。
おすすめはしませんが、これを一人で試された方の記事があります。
心理学の研究のために自分で自分にEMDRを行ってみた

わたしはこれに脳の中の記憶を司る海馬や感情を司る扁桃体にエネルギー調整で働きかけます。遠く離れていてもできますのでお問い合わせください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

Posted by kiyo.I