モスクワ・オン・ザ・ロック──ペペ・エスコバル
ロシアの勝利、ウォッカを注ぎ、多極化に乾杯
多極化の着実な進展に、冷えたウォッカで乾杯するエスコバル氏。
ペペ・エスコバル氏は、ロシアクレムリンの奥深くの情報にコンタクトを許されたジャーナリストの筆頭に挙げられる人だと思います。
「私は、ウクライナ・ベラルーシ戦線の最新情報から、米ドル決済を回避する理想的なメカニズムに関するいまだ極秘の一流の研究まで、あらゆる重要な会議に参加する機会に恵まれてきた」とあるように。
アスタナフォーラムでは司会をされています。
アスタナ:今朝のブロッカライゼーション・セッションの司会。アメリカ人と中国人の分析の衝突。議論は和やか(品がある)。https://t.me/rocknrollgeopolitics/9305
昨年のウクライナへのロシアの特別軍事作戦を契機に世界は大きく変わってきました。腐敗という"贅をつくした"ナチ・ゼレンスキーはそろそろ終わりでしょう。イスラエルは狂気の果てに沈むかもしれません。日本の統一教会政治部・自民党もあきれ果てた醜態をさらけ出しています。来年、この世界の大転換ショーの続きがお披露目となり、これまで気付かなかった人々も気付かざるを得なくなるでしょう。
モスクワで高らかに祝杯をあげるエスコバル氏の余裕の笑顔が見えてくるようです。
しかし、現在、イスラエルで進行中のシオニストによるパレスチナの人々への殺戮は、2014年以降、ウクライナのロシア領となったドンバス地方でネオナチによって行われていたことも忘れてはならない。
モスクワ・オン・ザ・ロック──ペペ・エスコバル
Moscow on the Rocks
Pepe Escobar
December 9, 2023
© Photo: Public domain
ペペ・エスコバル
ロシアは外交対話を始めない。ロシアでは脅威感が非常にリアルだ。外交ルートはこのメッセージをアメリカに伝えた。
そして、プーチンはドンバスの英雄たちに会っている間に、ほとんど余談のようにさりげなく、来年3月の大統領選挙に再び出馬すると発表した。少なくとも全国で80%以上という彼の絶大な人気を考えれば、2030年まで権力の座にとどまるに違いない。
VVP-2024へようこそ。親愛なる友人である習近平との連続会議の時間はたっぷりある。ロシアと中国の戦略的パートナーシップ(多極化への道を切り開く役割)は、タルカスのエマーソン、レイク&パーマー(「石のごとき年月を歩いてきたのか?」)よりももっとプログレッシブで揺れ動く(すごい)予定だ。
プーチン大統領が再選を目指して出馬することが正式に決まった。皮肉な人は、授賞式後の会話は演出だったと言うだろう。しかし、多くの人は、そのアイデアは提案されたかもしれないが、言われた言葉は本心から出たものだと言うだろう。
「ロシアの英雄たち:プーチン大統領としてあなたが必要です:私は再び出馬する」
まばゆいばかりの雪に覆われたモスクワでは、うっとりさせる日々が続いている。手始めに、狂気じみたNATOスタン・メディアでさえも渋々認めつつある、あらゆる指標を列挙してみよう。
半戦時経済では製造業ブームが起きている。投資は増加し、もっともっと増加している。── 西側諸国に資金を預けられなくなった、いかがわしいロシアのオリガルヒによるものも含めて。
観光業もうなぎ上りで、中国からのツアー客の大群、そして誰も彼も、西アジア、中央アジア、南アジアからの中国の隣人たちも増えている。石油とガスの輸出ブームが起きている。EUの顧客はトルコ経由でガスを買い続けているし、ニューデリーは詰め替えられたインド産原油に喜んでいる。
人民元が米ドルとユーロに取って代わる。
輸入代替ルール ── 並行して、メイド・イン・トルコやメイド・イン・チャイナの製品がヨーロッパ製品に取って代わる。
昨年1月、IMFはロシア経済が2.3%縮小すると断言していた。そして今、この財務省の出先機関は、ロシアのGDPが2.2%成長すると認めている。プーチン本人によれば、"邪魔する人(混乱させる人)“(と西側諸国は評する)と呼ばれるエルヴィラ・ナビウリナ女史(ロシア中央銀行総裁)が提供した数字に基づいて、実際には3%である。
動く饗宴のカーテンの陰で
私は、ウクライナ・ベラルーシ戦線の最新情報から、米ドル決済を回避する理想的なメカニズムに関するいまだ極秘の一流の研究まで、あらゆる重要な会議に参加する機会に恵まれてきた。
国際ロシア愛好運動(MIR)に招待された私たちの小グループは、驚異的なスレテンスキー修道院複合施設を詳細に見学した。この修道院は、メガ・クールガイのラリー・ジョンソンによって、"神の明白な臨在"を体験できる比類なき建築の宝石と定義されている。
それから、ロシアの核開発計画の歴史を紹介するためにロスアトムが建設した4階建ての地下壕を備えた、比類なき総主教の池で ── モスクワのソーホー、サンクトペテルブルグで画期的なシンクタンクを計画中の若い未来世代との対話、VDNKh(国民経済成果展示会)での魅惑的なロシア展 ── 気絶するほど美しいプリンセスと一緒に、儀式に欠かせない長く、ゆったりとしたディナーを共にした。
そのうえ、超音速機TU-144や原子力潜水艦 K3レーニンスキー・コムソモール、さらにはツァーリ・ボンバのレプリカもある。ガガーリンのロケットは言うまでもないが、まるでサイケデリックな旅をしているかのようにライトアップされている。赤の広場はクリスマスムード一色 ── スケートリンクとGUM(ロシアで最も重要なショッピングセンター)に飾られたロシア各地からの無数のクリスマスツリー。
本物の多極移動祝祭 multipolar Moveable Feast へようこそ。そこらじゅうスマートフォンで大量殺戮が行われているこの時代、1世紀前のヘミングウェイの時代とは異なり、それは陰鬱で恐怖に満ちたパリで行われているわけではない。
MIR(国際ロシア愛好運動)がコーディネートした最高外交レベルでの対話は、チャタムハウスのルールに則って行われた。私たちは、議論され開示された ─ 千金の値打ちがある ─ 情報について話すことはできるが、身元や所属は明らかにすべきではない。
そのため、いくつかの重要な点を強調することができる。
ロシアのハイレベル外交官は、ヨーロッパが多くの人が信じていたよりもはるかに独断的であることを知って唖然とした。対話の再開には"新しい世代"が必要だが、それはすぐには無理のようだ。
大使館は調停役として働くべきだ。しかし、モスクワのアメリカ大使館に限って言えば、そうではない。
ロシアは外交対話を始めようとしない(強調は著者)。ロシアでは脅威感が非常にリアルである。外交ルートは非公開でこのメッセージをアメリカに伝えた。
元NATO事務総長のアンダース・"フォッグ Fogh・オブ・ウォー"・ラスムッセン(Anders Fogh Rasmussen、fogy:時代遅れの人)のような、サンクトペテルブルクをバルト海から締め出すことを自慢するような過去の人(落ち目の人)の希望的観測: 「これは、非常に悪い結果に終わるかもしれない」
NATOの屈辱の深淵
“主権者が組織化した偽善 sovereign- organized hypocrisy“と正しく形容される中、ロシア、グローバル・サウス、そして少数の反体制的なアメリカ人とヨーロッパ人が、多極化を受け入れるよう西側諸国を誘導するために、知的イニシアチブを統一する可能性が垣間見えた。しかし、今のところ支配しているのは、"暗黒のパターン"と定義されたものである。─ 金、プラチナ、レアアースの分析基準であるアラステア・クルック(元英国外交官、ベイルートに拠点を置く紛争フォーラムの創設者兼ディレクター)が投げかけた、いまだ答えのない質問も含まれる:なぜ西側諸国はこれほどまでにウォークイズム Woke-ism に無気力(無関心)でいたのか?
※Sovereignty: Organized Hypocrisy:あるアナリストは、主権は現代の国際システムの一側面であるグローバリゼーションによって侵食されていると主張し、またあるアナリストは、政府が最も限られた資源しか持たない国家であっても、主権はシステムのもう一つの側面である国際社会が生み出す相互承認と共有された期待によって維持されていると主張している。国家権力の範囲が時代とともに拡大しているという指摘もあれば、国家が効果的な統制を行使する能力が低下しているという指摘もある。また、普遍的人権のような新しい規範は、過去との根本的な決別を意味するとの指摘もある。
経済と並行して、ロシアの制裁への適応力と国民性の強化について多くのことが学ばれた。ナビウリナは結局正しかったのだ。ロシア人が以前より自信を取り戻したように感じるのも不思議ではない。
それでも、幾重にも重なるヘゲモニー主導のハイブリッド戦争に幻想を抱くことはない:
「ロシアは罰せられなければならない。何世代にもわたって。ロシア人は自分の立場をわきまえるべきだ」
その考え方は消えることはない。そのため、プーチンと正教会の下で統一されたロシアが、"実存的に深刻な"何かと戦う必要があるのだ。
そして特殊軍事作戦という深い次元もある。ドンバスの草原で起こっていることは、精神的な挑戦でもあると見なされている。だから、ヘーゲル精神を呼び起こす必要があった: ヘゲモニーがNATOの宇宙的屈辱という奈落の底を見つめて完全にパニックに陥っている今ならなおさらだ。
以上のことを考えると、モスクワの夜中に長い散歩をするたびに、いつも天の川のような思考が渦巻いていたのも不思議ではない。そして、お気に入りの店に立ち寄り、最後に冷えたウォッカを注ぎ、銀河の多極化に乾杯する。遥か彼方だが、まだ手の届くところにある。
──おわり
モスクワ旅行レポート ラリー・ジョンソン
MOSCOW TRIP REPORT 9 December 2023 by Larry Johnson
2023年12月9日 ラリー・ジョンソン
ラリー・ジョンソン氏の記事「モスクワ旅行レポート」には、国際ロシア愛好運動に招待されたペペ・エスコバル氏ら、モスクワの様子などが綴られています。
アラステア・クルック、ペペ・エスコバル、エヴァ・バートレット、そして私(ラリー・ジョンソン)
エスコバル氏の記事に70年代人気を博したプログレッシブ・ロック・グループのエマーソン、レイク&パーマーの「タルカス」の文字を見て意外だったのと、なんかこの人なら納得できるなと思い、なによりも嬉しかったので、私事ですが少し。
当時、このグループが日本ではあまり知られてない頃、高校生だった私は友達と二人で、とある山中で行われたEL&Pのビデオコンサートを真夏の暑い中、見に行ったことを思い出しました。歩いてやっとのことで会場に着くと、そこには誰もいなくて、係の人も姿もなく。本当にここでやるの?って感じで。結局見たのは二人だけでした。
キーボードの抜群の名手、キース・エマーソンと痺れるほどのいい声のグレッグ・レイクはすでに亡くなり、ドラマーのカール・パーマーだけが今でも活動しています。いいグループでした。今でも好きで聴いています。タルカスの歌詞を一部引用します。引用させてもらった「プログリリックス◆プログレッシヴ・ロック名盤の名曲訳詞館」いいですね。
I 石のごとき年月
今までに夜明けがお前の目に映ったことはあるか?
日々はお前をそれほどまで愚かにしてしまったのか?
悟るのだ、今ある自分自身の姿を。
もし時代の風に話しかけたことがあるなら、
お前は知ることだろう、いかにして水が韻を踏み
ワインの味となるかを。
どこにいたのかをお前がどうして知ることができよう?
やがてお前はその痕跡を目にし
そして自らの罪を悟るだろう。
種がどうやって蒔かれたかお前は知るだろうか?
お前の時代は育ち過ぎてしまって
知る由もない。
石のごとき年月を歩いてきたのか?
お前が話す時、耳を貸すのはお前だけなのか?
お前の耳は詰まっているのか?
お前は何も聞くことはできないだろう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
Posted by kiyo.I
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